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板状蛍光体とその利用 UPDATE

国内特許コード P180014936
掲載日 2018年5月1日
出願番号 特願2009-143700
公開番号 特開2011-001409
登録番号 特許第5279134号
出願日 平成21年6月16日(2009.6.16)
公開日 平成23年1月6日(2011.1.6)
登録日 平成25年5月31日(2013.5.31)
発明者
  • 松本 泰治
  • 細井 栄
  • 後藤 義昭
  • 岡村 達也
  • 山田 隆之
出願人
  • 栃木県
  • 吉澤石灰工業株式会社
発明の名称 板状蛍光体とその利用 UPDATE
発明の概要 【課題】 厚さ方向にはナノサイズであるが、面方向には十分な広がりの粒径をもった板状体の結晶体であって、紫外線の照射を受けて赤外光を発する蛍光体を提供し、それにより記録の偽造防止のためのセキュリティー印刷に適した顔料を提供して、技術の高度化の要請にこたえる。
【解決手段】 K2O・Al23・2SiO2・xH2Oの組成を有し、六角板状の結晶形態をもつ「リンデQ」型ゼオライトを、その中のKイオンとネオジムNd3+イオンとのイオン交換を行なったのち、濾過、洗浄、乾燥をへて、200℃以上の温度、とくに900℃近辺の温度で焼成する。この焼成体は板状の蛍光体であって、354nmの紫外光で励起すると、1063nmの赤外光の蛍光を発する。
【選択図】 図10
従来技術、競合技術の概要


ゼオライトは、そのキャビティ(細孔)内に、発光中心となる希土類元素をイオン交換により均一に分散させることが容易であることから、ゼオライトを母結晶ないし原料に用いた蛍光体が、多数知られている。希土類金属のイオンを、ゼオライトキャビティに混入した配位子と錯体を形成させ、この配位子を希土類金属の発光輻射線より低い波長範囲において励起電磁線を吸収できるように、電子構造に関して選定し、かつ、配位子のトリプレットレベルを希土類金属の放射レベルより上にすることが開示された(特許文献1)。ゼオライト中の水分の存在は、励起を妨げるので、ゼオライトのイオン交換をしたのち、焼成して水分を駆逐することにより、蛍光体として機能するようになる。



希土類元素としてはさまざまなものが使用可能であるが、とくにユーロピウムEuが有用であることが知られている。しかし、ゼオライトは、蛍光体の製造時に失った水分を環境から再度取り込み、その結果として、蛍光体は蛍光を発する機能を失う。そこで、この機能を維持させるため、ゼオライトに水分が再吸着しないような手段が考えられている。たとえば、ビピリジンのような有機化合物をEuとの錯体として、Y型ゼオライトの内部に位置させるということが試みられた(非特許文献1)。Euや、Tbのイオンを含むゼオライトに、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化タンタルなどの遷移金属酸化物を加えたものも提案された(特許文献2)。



蛍光性能の維持という、上記の目的を達する技術としては、ゼオライト単結晶に発光マトリックス用金属酸化物、具体的にはスズ、亜鉛またはインジウムの酸化物に、発光中心用希土類金属との複合体を担持させたものもある(特許文献3)。発明者らの一部は、フォージャサイト型ゼオライトをEu3+でイオン交換したのち、焼成してなる蛍光体を開示した(特許文献4)。この蛍光体を、粒子形状が均一であって粒径の制御が容易であり、粒径が小さくても強い発光が得られるものとして得るため、アルミノシリケート系非晶質マトリクス中に、セラミックスの結晶微粒子を分散させた複合体とする提案もある(特許文献5)。



フィールドエミッションディスプレイ用の蛍光体に代表される、いわゆる次世代蛍光材料には、高解像度、高発光効率に加えて、低速電子線のようなエネルギーの低い電磁波で励起できるという特性が要求される。この目的には、ナノサイズの蛍光体が適当であるが、従来の蛍光体を単にナノサイズ化すると、表面積の増大に伴う発光強度の減少が避けられない。この問題を解決する途は、蛍光体を厚さ方向にだけナノサイズであって、面方向には大きな板状体にすることであるが、既知の方法では、所望の板状蛍光体を製造することはできない。従来の酸化物系または硫化物系の蛍光体を製造する方法は、固相反応法やフラックス法であって、これらの方法で、結晶形態や粒径を制御することは困難である。



これまで板状の蛍光体として知られているのは、ホウ酸塩系のa(M11-x223・B23(MはY,LaまたはGd、M2はEu,TbまたはCe、0.005≦x≦0.2、0.5≦a≦2)の組成式により表される化合物であるが(特許文献6)。得られる蛍光体粒子は、最大径1~5μm、厚さ0.05~0.5μmとのことであるが、形態や粒径の制御は容易でない。



発明者らは、厚さ方向にはナノサイズであるが、面方向には十分な広がりをもつ板状体の結晶であって、比較的弱い励起電磁波によっても高い輝度の発光をするものを開発し、すでに提案した(特許文献7)。この蛍光体は、「リンデQ」型ゼオライトを基質とし、そのKと希土類金属イオンとをイオン交換したのち、焼成してなるものであって、その蛍光スペクトルのピークは、希土類金属としてEuを使用したものは610nm(赤色)、Tbを使用したものは540nm(緑色)、Tmを使用したものは453nm(青色)である。
【特許文献1】
特開平05-194941
【特許文献2】
特表平11-504064
【特許文献3】
特開2003-246981
【特許文献4】
特開2005-048107
【特許文献5】
特開2005-314573
【特許文献6】
特開2002-309245
【特許文献7】
特開2008-069290
【非特許文献1】
Journal of Luminescence 72-74(1997)532-534



近年、各種の有価証券をはじめとする重要な書類の偽造を防止する技術の開発が盛んに行なわれており、とくに、偽造防止処理を施したこと自体が容易に視認されないような偽造防止の技術が求められている。具体的には、きわめて薄い塗膜の形成で偽造防止処理ができ、その存在自体が目視で検知されず、可視光領域外の電磁波、たとえば紫外光の照射によって蛍光を発するか否かにより、真贋が容易に見分けられるような偽造防止方法である。

産業上の利用分野


本発明は、紫外光による励起を受けて赤外光を蛍光として発する蛍光物質に関する。この蛍光物質は、六角板状の形状を有する結晶体または非晶質体である。本発明はまた、この蛍光物質を、ゼオライトのKをNdとイオン交換することにより製造する方法にも関する。本発明はさらに、この蛍光物質が板状であるという特性を発揮する蛍光塗膜の形成方法と、その塗膜形成方法を実施して得られる、偽造防止処理を施した書類と、この処理を施した書類について、その偽造を検知する方法をも対象に含む。

特許請求の範囲 【請求項1】
1-mNdm/3SiAlO (m=0.1~0.8)
なる組成を有する板状の形状の、紫外線で励起されて赤外光を発する蛍光物質。

【請求項2】
請求項1に記載した蛍光物質からなる蛍光体を製造する方法であって、K2O・Al23・2SiO2・xH2Oの組成を有する「リンデQ」型ゼオライトを、ネオジムの可溶性塩の水溶液に浸漬し、温度100℃以下でゼオライト中のKとNd3+イオンとのイオン交換を行なって、少なくとも10%の交換率でネオジムのイオンを存在させたのち、濾過、洗浄、乾燥をへて、200~1000℃の温度で焼成して板状の蛍光体を得ることからなる製造方法。

【請求項3】
焼成の温度を850℃以下に選ぶことにより、ゼオライト構造を維持したままの板状蛍光体を得る請求項2の製造方法。

【請求項4】
焼成の温度を850℃超過1000℃以下に選ぶことにより、ゼオライト構造を非晶質化させ、六角板状の外形を維持したままの板状蛍光体を得る請求項2の製造方法。

【請求項5】
請求項1に記載した板状蛍光体をビヒクルに分散させて形成した塗料を、板状体が基材の面に沿って配向される塗布手段を用いて基材に塗布し、厚さ方向にナノサイズの板状蛍光体が存在する塗膜を得ることからなる板状蛍光体の塗膜形成方法。

【請求項6】
請求項1に記載した板状蛍光体を含有するコーティング材をシート状の基材にコーティングしてなる、偽造防止機能を有するシート。

【請求項7】
偽造を防止すべき書類を基材とし、その表面に請求項5に記載した塗膜形成を行なって得た、偽造防止処理を施した書類。

【請求項8】
偽造を防止すべき書類が、有価証券または製品ラベルである請求項7の偽造防止処理を施した書類。

【請求項9】
請求項6に記載の偽造防止機能を有するシートに対して、または請求項8に記載の偽造防止処理を施した書類に対して紫外線を照射し、励起された発光体から生じる赤外光を検出することからなる偽造を検知する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009143700thum.jpg
出願権利状態 登録


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