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耐溶損性鋳物およびその製造方法、ならびに金属溶湯接触部材 UPDATE 実績あり

国内特許コード P180014943
掲載日 2018年5月1日
出願番号 特願2011-018891
公開番号 特開2012-157880
登録番号 特許第5942118号
出願日 平成23年1月31日(2011.1.31)
公開日 平成24年8月23日(2012.8.23)
登録日 平成28年6月3日(2016.6.3)
発明者
  • 柳田 治美
  • 阿部 雅
  • 高田 昇
  • 小池 勝美
  • 平原 宏
出願人
  • 栃木県
  • 古河キャステック株式会社
発明の名称 耐溶損性鋳物およびその製造方法、ならびに金属溶湯接触部材 UPDATE 実績あり
発明の概要 【課題】耐溶損性が従来のものより極めて優れ、さらに製造する際の設備コストやランニングコストに優れる耐溶損性鋳物および鋳物からなる金属溶湯接触部材を提供する。
【解決手段】本発明の耐溶損性鋳物は、母材金属層と、該母材金属層表面に形成された酸化物層と、を備え、前記酸化物層の一部は、該母材金属の結晶粒界に繊毛状に伸長している。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


近年、アルミニウムやアルミニウム合金は軽量で加工性・耐食性・機械的性質に優れることから、航空機・鉄道車両・自動車の部品やサッシなどの家庭用品に広く用いられている。アルミニウムは多様な方法によって成形可能であり、アルミニウム溶湯を用いた鋳造方法が広く採用されている。



従来から、アルミニウム溶湯と接触する部材は鋳鉄から構成されている。しかしながら、アルミニウムの融点は660℃と高いため、当該部材は常時600~700℃程度の温度に曝されて早期に劣化しアルミニウムと反応して一部が消失する、所謂、溶損してしまう問題点を有していた。
そのような問題点を解決するために、メルティングポット等の高い耐溶損性を要求される部品の構造部材は、耐溶損性を向上させるための表面処理を施すことが一般的に行われている。
鋼材の耐溶損性を向上させる表面処理として一般的なものは、窒化物層を形成する窒化処理と酸化物層を形成する酸化処理が挙げられる。



窒化処理は鋼材を炉内で500℃程度に加熱しアンモニアガスを供給することで表面に窒化物層を形成するが、窒化物層の表層は窒化鉄(Fe-N)を主体とした所謂白層と呼ばれるものであり、脆く剥がれ落ち易いため好ましくない。窒化鉄を形成しないようにアンモニアガスと水素ガスを供給することで窒素元素を鋼材内部に浸透・固溶させ窒素拡散層なる層を形成することも提案されているが、この窒素拡散層は脆さに改善が認められるものの耐溶損性は満足できるものではない。



一方の酸化処理であるが、鋼材を炉内で加熱することで表面に酸化物層を形成することができるが、酸化物層自体の耐溶損性は非常に高いものの熱膨張によって損傷して母材金属から剥がれ落ち易いという問題がある。



そこで、特許文献1には、鋳造用金型の素材として一般的なSKD61(JIS規格)を炉内で500℃程度に加熱しアンモニアガスと水素ガスを供給することで表面に窒素拡散層を形成し、引き続き、炉内に酸素ガスと水素ガスを供給することで酸化鉄のみからなる酸化物層を窒素拡散層の上に形成することで鋳造品の表面に複合層構造を形成した鋳造用金型部材が開示されている。



この特許文献1の技術によれば、最表層の酸化物層はアルミニウムに対して耐溶損性を発揮し、その下層に位置する窒素拡散層は母材金属が熱応力により変形するのを抑制することで酸化物層が剥離することを防ぐ働きがある。



しかしながら、特許文献1の技術は窒素拡散層と酸化鉄のみからなる酸化物層を積層させるためにアンモニアガス、水素ガス、および酸素ガスを供給可能な専用の熱処理炉を設備する必要があり設備コストが嵩み、また、熱処理中に各種ガスを供給し続ける必要があるためランニングコストが嵩む。



また、窒素拡散層と酸化鉄のみからなる酸化物層の結合は、PVD法等による異種材料の被覆層と母材金属の結合と比べて大きな強度は有するものの、物理的な特性が変化する界面が存在し、この界面においては白層と呼ばれる窒化鉄が形成される可能性があることから、そこから剥離が発生するおそれがあるという問題がある。

産業上の利用分野


本発明は、鋳造品の表面に耐溶損性を有する酸化物層を備える耐溶損性鋳物および該鋳物からなる金属溶湯接触部材に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
母材金属層と、該母材金属層表面に形成された酸化物層と、を備え、
前記酸化物層の一部が、該母材金属層の結晶粒界に繊毛状に伸長しており、
前記母材金属層は、炭素元素と2種以上の母材金属元素とを含み、
前記酸化物層は、前記母材金属層表面に形成された被覆層であり、前記被覆層は、前記母材金属元素の熱酸化物からなり、
前記母材金属層側の前記酸化物層内には、前記母材金属層中の前記炭素元素と前記2種以上の母材金属元素との反応生成物である複炭化物が含まれることを特徴とする耐溶損性鋳物。

【請求項2】
請求項1に記載の耐溶損性鋳物において、
前記酸化物層は互いに組成の異なる複数の領域を含み、最も前記母材金属層側の前記領域よりも、最も表面側の前記領域において、前記複炭化物が少ない耐溶損性鋳物。

【請求項3】
請求項1または2に記載の耐溶損性鋳物において、
前記母材金属層の組成(重量%)が、C 0.40~0.70%、Si 0.35~0.50%、Mn 0.50~0.70%、P <0.03%、S <0.02%、Cr 4.50~6.00%、Mo 0.50~0.75%、Co 0.70~0.90%、V 0.15~0.30%、W 0.50~0.70%、Nb <0.10%、Al <0.10%、残部がFeおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする耐溶損性鋳物。

【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の耐溶損性鋳物からなる金属溶湯接触部材。

【請求項5】
母材金属層と、該母材金属層表面に形成された酸化物層と、を備え、
前記酸化物層の一部が、該母材金属層の結晶粒界に繊毛状に伸長しており、
前記母材金属層は、炭素元素と2種以上の母材金属元素とを含む、耐溶損性鋳物の製造方法であって、
前記母材金属層を反応ガスを供給することなく加熱して前記母材金属層を直接酸化することにより、前記母材金属層の表面に前記母材金属元素の熱酸化物からなる被覆層を形成する工程を含み、
前記母材金属層側の前記酸化物層内には、前記加熱工程により、前記母材金属層中の前記炭素元素と前記2種以上の母材金属元素とが反応して形成された複炭化物が含まれることを特徴とする、耐溶損性鋳物の製造方法。

【請求項6】
前記母材金属層を直接酸化する工程が、前記母材金属層を炉内で所定の温度に昇温し当該温度を保持する第一工程の後、前記炉内で降温速度を制御しながら徐冷する第二工程を含むことを特徴とする、請求項5に記載の耐溶損性鋳物の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2011018891thum.jpg
出願権利状態 登録


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