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レビー小体型認知症のバイオマーカー

国内特許コード P180014961
整理番号 (S2015-0752-N0)
掲載日 2018年5月22日
出願番号 特願2017-505307
出願日 平成28年3月4日(2016.3.4)
国際出願番号 JP2016056828
国際公開番号 WO2016143703
国際出願日 平成28年3月4日(2016.3.4)
国際公開日 平成28年9月15日(2016.9.15)
優先権データ
  • 特願2015-044353 (2015.3.6) JP
発明者
  • 池内 健
  • 桑野 良三
  • 佐藤 義明
  • ベルニエ フランソワ
出願人
  • 国立大学法人 新潟大学
  • エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社
発明の名称 レビー小体型認知症のバイオマーカー
発明の概要 コレステロール及びデスモステロール、並びにこれらのレベルの比は、アルツハイマー病、前頭側頭葉変性症又はレビー小体型認知症の血液中バイオマーカーとして利用可能である。
従来技術、競合技術の概要


バイオマーカーは疾患の診断及び病態の進行状況の把握に非常に有用であり、治療対象となる患者の選別、適切な治療の選択の支援、副作用の監視及び新薬の発見に関して重要である。



レビー小体型認知症の病理学的特徴は、大脳皮質、扁桃体及びマイネルト基底核などの中枢神経系並びに自律神経系に広範に多数のレビー小体が出現することである。レビー小体型認知症は、進行性の認知機能の低下、注意、覚醒レベルの顕著な変動、具体的な幻視に基づく妄想、特発性のパーキンソン症状(手のふるえ、歩行障害など)、REM睡眠行動障害、抗精神病薬への過敏性、自律神経症状、抑うつなどの症状を呈する。レビー小体型認知症では、高齢健常者と比較して脳脊髄液中に酸化型α-ヘリカルAβ1-40が有意に増加すること及び血液中のα-シヌクレインが減少することが報告されている(非特許文献1及び2)。また、高齢健常者と比較して血清中のコエンザイムQ10(CoQ10)がレビー小体型認知症患者で統計的に有意に減少しているものの、CoQ10とコレステロール(CHO)の比(CoQ10/CHO)には統計的有意差はなく、さらには、CoQ10及びCoQ10/CHOと発症年齢、MMSE(Mini Mental State Examination)スコアなどとの相関はないという報告がある。また、その実験結果では、CHOには触れておらず、その考察のところで、高齢健常者と比較してレビー小体型認知症患者のCHOの数値がわずかに減少していることに言及しているが、統計的に有意であるとは述べていない(非特許文献3)。



アルツハイマー病は、早期からの近時記憶の障害を特徴とする緩徐な発症と持続的な認知機能低下を特徴とする神経変性疾患である。脳脊髄液のアミロイドベータ(Aβ)1-42及びリン酸化タウタンパク質が、アルツハイマー病の有用なバイオマーカーと考えられている(非特許文献4及び5)。また、アルツハイマー病では、同様にコレステロール代謝の異常が起きていると考えられている。アルツハイマー病患者では高齢健常者と比較して血漿中のデスモステロール(DES)レベルは変化しないが、脳脊髄液中のデスモステロールレベルが低いことが報告されている(非特許文献6)。一方、アルツハイマー病患者の血漿中のデスモステロールレベルが高齢健常者と比較して低いという報告もある(非特許文献7及び特許文献1)。



前頭側頭葉変性症は、前頭葉及び側頭葉に限局して進行性の変性を呈する疾患であり、臨床的に行動異常や言語障害を主徴とする非アルツハイマー型変性性認知症を含む。脳脊髄液中のバイオマーカーとして、タウタンパク質、TAR DNA binding protein of 43kD(TDP-43)が同定されている(非特許文献8)。さらに、血漿リン酸化TDP-43が脳のリン酸化TDP-43病理の重症度スコアと有意な相関があり、重症度バイオマーカーとして有用である可能性が指摘されている(非特許文献9及び10)。
しかし、レビー小体型認知症、アルツハイマー病又は前頭側頭葉変性症の区別において、上記バイオマーカーの特異性については明確になっていない。

産業上の利用分野


本発明は、レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)の診断に有用なバイオマーカーに関する。より詳細には、DLBの治療剤の候補物質の効果を評価する方法、DLBの診断を補助する方法、DLBを診断する方法、DLBの治療剤の候補物質の治療効果を期待できる患者を選択する方法、DLBとアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)及び前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)を区別する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質投与前の非ヒト動物の血液中のデスモステロール(DES)レベル及びコレステロール(CHO)レベルを測定する工程と、
候補物質投与後の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質投与前の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質投与後の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが上昇している場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。

【請求項2】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質を投与されていない第一の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
候補物質を投与された第二の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質を投与されていない第一の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質を投与された第二の非ヒト動物の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが高い場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。

【請求項3】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の効果を評価する方法であって、
候補物質投与前の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
候補物質投与後の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
前記候補物質投与前の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルと比較して、前記候補物質投与後の被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが上昇している場合、前記候補物質がレビー小体型認知症治療に有効である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。

【請求項4】
レビー小体型認知症の診断を補助する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症である可能性があるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。

【請求項5】
レビー小体型認知症を診断する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症であると判定する工程、
を含む、前記方法。

【請求項6】
レビー小体型認知症治療剤の候補物質の治療効果を期待できる患者を選択する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルから選択される少なくとも1つが低い場合、レビー小体型認知症の候補物質を投与すべき患者であるとの指標を提供する工程、
を含む、前記方法。

【請求項7】
レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
(1)基準値と比較して、前記被験者の血液中のCHOレベルが低い場合、アルツハイマー型認知症及び前頭側頭葉変性症型認知症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;又は
(2)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低く、且つ、CHOレベルに対するDESレベルの比(DES/CHO)に差がない場合、アルツハイマー型認知症及び前頭側頭葉変性症型認知症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある、
との指標を提供する工程、
を含む、前記方法。

【請求項8】
レビー小体型認知症、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症を区別する方法であって、
被験者の血液中のDESレベル及びCHOレベルを測定する工程と、
(1)基準値と比較して、前記被験者の血液中のCHOレベルが低い場合、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;
(2)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低い場合、前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症又はアルツハイマー病である可能性がある;
(3)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDESレベルが低く、且つ、DES/CHOに差がない場合、アルツハイマー病及び前頭側頭葉変性症ではなく、レビー小体型認知症である可能性がある;又は
(4)基準値と比較して、前記被験者の血液中のDES/CHOが低い場合、レビー小体型認知症及び前頭側頭葉変性症ではなく、アルツハイマー病である可能性がある、との指標を提供する工程、
を含む、前記方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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