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近年、1080p高精細(HD)及び4K(解像度3840×2160)ウルトラHD(UHD)が映像アプリケーションに於いては主流である。そして、次世代の映像アプリケーションに於いては、8K UHD(解像度7680×4320)/120fps(フレーム毎秒)の研究・開発が行われており、これに対する映像符号化規格としてITU-T勧告のH.265/HEVC(以下「HEVC」という。)が策定されている。HEVCにおいては、ループ内フィルタ(in-loop filter:ILF)として、ブロックノイズを低減するためのデブロッキング・フィルタ(deblocking filter:DBF)とモスキートノイズ及び直流成分誤差を低減するためのサンプル適応オフセット(sample adaptive offset:SAO)とが採用された。SAOのVLSIアーキテクチャ設計は、復号器(デコーダ)に於いては計算複雑性が低いため、然程困難ではない。然し乍ら、符号化器(エンコーダ)においては、特にHEVCに対応して低消費電力で且つ小実装面積となるように、リアルタイム処理に適したSAOのハードウェア設計を行うことは難しい技術課題である。
SAOは、HEVCにおいて新たに追加された新しいILFであるため、特にここ3年の間に多くの研究がなされている。これらの研究のうちの幾つかは、アルゴリズムをより高速化し、又はハードウェアとの親和性を高めるためにアルゴリズムを改良することを目的としている。非特許文献1,2では、イントラ予測とSAOとの関係について検討がされており、エッジ・オフセット(Edge Offset:EO)のタイプ数を削減して符号化時間を更に削減するため、EOタイプを予測するためにイントラ予測モードを用いることが記載されている。非特許文献3には、幾つかのSAOアルゴリズムが記載されており、それらの間での性能の比較が行われている。非特許文献4には、DBFにおけるデブロック強度(デブロックをかける強度)に基づくSAOカテゴリ決定方法が記載されている。非特許文献5には、クラス結合、事前決定及び結合分離カテゴリに基づくSAOの低複雑度アルゴリズムが記載されている。
また、幾つかの文献では、符号化器のためのリアルタイムVLSIアーキテクチャの実装に関する技術が開示されている。非特許文献6では、SAOでの統計収集のためのアーキテクチャが開示されている。非特許文献7では、SAOにおけるパラメータ決定に関するアーキテクチャが開示されている。非特許文献8では、統計収集とパラメータ決定を含むSAOのハードウェア・アーキテクチャが開示されており、当該アーキテクチャを4K@60fps符号化に適用した例が示されている。非特許文献9では、高速SAO推定アルゴリズムが開示されており、当該アルゴリズムに対するVLSIアーキテクチャが開示され、それを8K符号化に適用した例が示されている。
本発明は、映像符号化器のループ内フィルタにおいて用いられるサンプル適応オフセット決定装置に関する。
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