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グルコース感受性細胞の保護剤

国内特許コード P180014970
整理番号 (S2015-0924-N0)
掲載日 2018年5月23日
出願番号 特願2017-510244
出願日 平成28年4月1日(2016.4.1)
国際出願番号 JP2016060882
国際公開番号 WO2016159335
国際出願日 平成28年4月1日(2016.4.1)
国際公開日 平成28年10月6日(2016.10.6)
優先権データ
  • 特願2015-077228 (2015.4.3) JP
発明者
  • 塩田 邦郎
  • 早川 晃司
  • ▲高▼森 瑞子
  • 藤井 遼介
  • 伊藤 幸成
出願人
  • 国立大学法人 東京大学
発明の名称 グルコース感受性細胞の保護剤
発明の概要 高グルコース濃度が及ぼす生体への悪影響を低減させる手段を提供する。
N-アセチル-D-マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための剤;N-アセチル-D-マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための医薬組成物;高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護用医薬を製造するためのN-アセチル-D-マンノサミンの使用;ならびにN-アセチル-D-マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護する方法。グルコース感受性細胞は神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる。
従来技術、競合技術の概要


糖尿病の合併症として、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、血管合併症、皮膚合併症、免疫不全、神経障害(ニューロパチー)、高血圧などが知られている。高血糖のこれらの合併症を引き起こすメカニズムが明らかでないこともあり、有効な治療薬はない。さらに、慢性の高血糖は、これらの疾患の原因となるばかりでなく、中枢神経の神経毒性(glucose neurotoxicity)となりうることが報告されている(非特許文献1-4)。



N-アセチル-D-グルコサミンの異性体であるN-アセチル-D-マンノサミンは、例えば、医薬品や医薬品原料となるシアル酸(N-アセチルノイラミン酸)の酵素合成原料として知られている。また、N-アセチル-D-マンノサミンは、その誘導体から、シアル酸誘導体を酵素合成することが可能であり、産業上、重要な物質である。N-アセチル-D-マンノサミンの製造方法として、N-アセチルグルコサミンをアルカリ条件下で異性化する際に、ホウ酸またはホウ酸塩を添加することにより、N-アセチルマンノサミンへのモル変換収率を増大させる方法が知られている(特許文献1)。また、シアル酸を基質としてN-アセチルノイラミン酸リアーゼを反応させることにより、N-アセチル-D-マンノサミンを製造する方法も知られている(特許文献2)。N-マンノサミンのアシル化体を細胞に接触させることにより、細胞表面へのレクチン結合を調節する方法または神経細胞の増殖を調節する方法が提案されている(特許文献3)。特許文献3においては、N-アセチル-D-マンノサミンは、インビトロで軸索成長を促進させることに関してネガティブコントロールとして位置づけられている。さらに、シアル酸生合成の主要酵素であるウリジン ジホスホ-N-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ/N-アセチルマンノサミン(ManNAc)キナーゼ(GNE/MNK)をコードするGNE遺伝子における変異(例、点突然変異により生じるM712T変異)は、成人で発症する常染色体劣性遺伝性封入体筋炎(HIBM)を引き起こすことが知られている。Gne/MnkのM712Tホモ変異マウスは生後年齢3を超えて生存せず、重篤な糸球体性タンパク尿を発症したが、N-アセチルマンノサミン(ManNAc)の投与により救済されることが報告されている(非特許文献5)。



本発明者らは、N-アセチル-D-マンノサミンが脳機能低下の改善や睡眠障害の改善に有効であることを見出している(特許文献4および5)。また、本発明者らは、N-アセチル-D-マンノサミンを用いて、多能性幹細胞または神経前駆細胞から効率的にオレキシンニューロンを製造することに成功している(特許文献6)。さらに、本発明者らは、N-アセチル-D-マンノサミンがうつの治療に有用であることを見出している(特許文献7)。うつ病は、糖尿病の発症および糖尿病による死亡率を高め、動脈硬化をすすめ、心筋梗塞および脳梗塞のリスクを高め、がんによる死亡率も高めることが知られているが、うつ病とこれらの疾患の進行との生理学的または病理学的関係は不明である。

産業上の利用分野


本発明は、グルコース感受性細胞の保護剤に関し、詳しくは、神経細胞等のグルコース感受性細胞の高グルコース濃度による悪影響に対するN-アセチル-D-マンノサミンの保護用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
N-アセチル-D-マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための剤。

【請求項2】
グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項1に記載の剤。

【請求項3】
グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項1に記載の剤。

【請求項4】
N-アセチル-D-マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための医薬組成物。

【請求項5】
グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項4に記載の医薬組成物。

【請求項6】
グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項4に記載の医薬組成物。

【請求項7】
糖尿病による合併症を治療するためのものである、請求項4~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【請求項8】
高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護用医薬を製造するためのN-アセチル-D-マンノサミンの使用。

【請求項9】
グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項8に記載の使用。

【請求項10】
グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項8に記載の使用。

【請求項11】
N-アセチル-D-マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護する方法。

【請求項12】
グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項11に記載の方法。

【請求項14】
糖尿病による合併症を予防または治療するためのものである、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。

【請求項15】
N-アセチル-D-マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度による神経細胞消失の保護剤。

【請求項16】
神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項15に記載の剤。

【請求項17】
N-アセチル-D-マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度による神経細胞消失を予防または治療するための医薬組成物。

【請求項18】
神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項17に記載の医薬組成物。

【請求項19】
糖尿病による合併症を治療するためのものである、請求項17または18に記載の医薬組成物。

【請求項20】
高グルコース濃度による神経細胞消失の保護用医薬を製造するためのN-アセチル-D-マンノサミンの使用。

【請求項21】
神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項20に記載の使用。

【請求項22】
N-アセチル-D-マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度による神経細胞消失の予防または治療方法。

【請求項23】
神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項22に記載の方法。

【請求項24】
糖尿病による合併症を予防または治療するためのものである、請求項22または23に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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