TOP > 国内特許検索 > 腫瘍細胞の悪性化抑制剤及び抗腫瘍剤

腫瘍細胞の悪性化抑制剤及び抗腫瘍剤 NEW

国内特許コード P180014978
整理番号 (AF42P001)
掲載日 2018年5月23日
出願番号 特願2017-516587
出願日 平成28年4月22日(2016.4.22)
国際出願番号 JP2016062757
国際公開番号 WO2016178374
国際出願日 平成28年4月22日(2016.4.22)
国際公開日 平成28年11月10日(2016.11.10)
優先権データ
  • 特願2015-093980 (2015.5.1) JP
発明者
  • 深見 希代子
  • 佐藤 礼子
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 腫瘍細胞の悪性化抑制剤及び抗腫瘍剤 NEW
発明の概要 本発明は、腫瘍細胞の転移性能獲得又はアポトーシス抵抗性獲得といった悪性化を抑制するための抑制剤及び抗腫瘍剤を提供する。本発明は、Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、腫瘍細胞の転移性能獲得又はアポトーシス抵抗性獲得を抑制又は阻害する、腫瘍細胞の悪性化抑制剤;ヒト以外の動物の腫瘍細胞の悪性化を抑制する方法であって、Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害することにより、腫瘍細胞の転移性能獲得又はアポトーシス抵抗性獲得を抑制又は阻害する、腫瘍細胞の悪性化抑制方法;Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、前立腺がんの治療に用いられる、抗腫瘍剤;並びに、Zic5遺伝子の発現量からなる、腫瘍細胞の悪性度マーカーである。
従来技術、競合技術の概要


悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニン産生細胞であるメラノサイトががん化した悪性腫瘍である。早期発見により治癒が可能であるが、遠隔性転移を起こした症例における5年生存率は約10%と低く、有効な治療法が確立されていない(例えば、非特許文献1及び2参照。)。また、症例の約60~70%以上でBRAFV600E遺伝子変異が確認されている。BRAF(MAPK経路のMAPKKK)が下流のMEK(MAPK経路のMAPKK)をリン酸化して活性化し、活性化されたMEKによりさらに下流のERK(MAPK経路のMAPK)がリン酸化されて活性化することにより、増殖、生存、浸潤、転移に関わる多くのタンパク質が活性化される(例えば、非特許文献3参照。)。BRAFV600Eの変異によりBRAFが恒常的かつ強力に活性化していることが、メラノーマの原因の1つであり、現在では、変異型BRAFに対する選択的な阻害剤(PLX4032、vemurafenib)を用いた臨床試験が行われ、高い奏効率が確認されている。しかし、BRAF遺伝子のスプライシングバリアントの発現や、間質細胞から分泌される肝細胞増殖因子(HGF)の発現など、様々な機構により、BRAF阻害剤に対する薬剤耐性が生じ、その効果は限定的であることが報告されている(例えば、非特許文献4~6参照。)。



上皮性のがんが転移能を獲得する原因の1つとして、上皮間葉形質転換(Epithelial Mesenchymal Transition;EMT)が知られている。EMTは、上皮系の細胞が間葉系細胞の形質を獲得する現象であり、EMTを生じると、上皮細胞間接着分子であるE-カドヘリンの発現量が減少することが知られている。また、EMTは、Snail、Slug、Twistなどの転写因子によって制御されていることが明らかになっており、これらの因子がE-カドヘリンなどの発現を制御し、EMTを引き起こすことが知られている(例えば、非特許文献7参照。)。



メラノーマにおいても、転移のある症例で多くのEMT関連遺伝子の発現が変化しており、EMTプログラムの亢進が転移の原因の一つであることが示唆されている(例えば、非特許文献8参照。)。また、BRAF変異をもつメラノーマにおいて、BRAFの恒常的活性化によりZeb1、Twist1などの転写因子が発現誘導され、これらの因子によるE-カドヘリンの発現抑制が生じ、メラノーマの増悪が引き起こされるというEMT様の現象が確認されている(例えば、非特許文献9参照。)。E-カドヘリンの発現レベルは多くのメラノーマにおいて低下しており、E-カドヘリンの発現が低下している症例において再発率が有意に上昇することが報告されている(例えば、非特許文献10参照。)。これらの知見から、E-カドヘリンの発現低下とメラノーマの増悪との関連が示唆されている。



一方で、EMTはがんだけでなく、初期胚発生時にも必須の現象であり、原腸陥入や神経冠細胞の分化に関与している。神経冠細胞は、背側神経管の一部でEMTを起こし、上皮組織から乖離することで移動能を獲得し、末梢神経系、グリア細胞、衛星細胞、メラノサイト、象牙芽細胞、頭蓋顔面軟骨などに分化する。神経冠細胞のEMTにおいても、Snail、Slug、Twistなどの転写因子によりE-カドヘリンの発現低下が引き起こされている(例えば、非特許文献7及び11参照。)。

産業上の利用分野


本発明は、腫瘍細胞の転移性能獲得又はアポトーシス抵抗性獲得といった悪性化を抑制するための抑制剤及び抗腫瘍剤に関する。
本願は、2015年5月1日に、日本に出願された特願2015-93980号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

特許請求の範囲 【請求項1】
Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、腫瘍細胞の転移性能獲得又はアポトーシス抵抗性獲得を抑制又は阻害する、腫瘍細胞の悪性化抑制剤。

【請求項2】
前記Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、Zic5遺伝子を標的とするsiRNAである、請求項1に記載の腫瘍細胞の悪性化抑制剤。

【請求項3】
前記Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、Zic5タンパク質とE-カドヘリンをコードする遺伝子のプロモーター配列との相互作用を阻害する物質、Zic5タンパク質の核内局在を阻害する物質、又はZic5タンパク質を分解する物質である、請求項1に記載の腫瘍細胞の悪性化抑制剤。

【請求項4】
前記腫瘍細胞が、メラノーマ細胞又は前立腺がん細胞である、請求項1~3のいずれか一項に記載の腫瘍細胞の悪性化抑制剤。

【請求項5】
前記腫瘍細胞が、BRAF阻害剤耐性を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の腫瘍細胞の悪性化抑制剤。

【請求項6】
ヒト以外の動物の腫瘍細胞の悪性化を抑制する方法であって、
Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害することにより、腫瘍細胞の転移性能獲得又はアポトーシス抵抗性獲得を抑制又は阻害する、腫瘍細胞の悪性化抑制方法。

【請求項7】
Zic5遺伝子の機能の抑制又は阻害を、RNA干渉により、Zic5遺伝子の発現を阻害することにより行う、請求項6に記載の腫瘍細胞の悪性化抑制方法。

【請求項8】
Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、メラノーマの治療に用いられる、抗腫瘍剤。

【請求項9】
BRAF阻害剤耐性を有するメラノーマ、又はBRAF阻害剤への治療適性のないメラノーマの治療に用いられる、請求項8に記載の抗腫瘍剤。

【請求項10】
Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質を有効成分とし、前立腺がんの治療に用いられる、抗腫瘍剤。

【請求項11】
前記Zic5遺伝子の機能を抑制又は阻害する物質が、Zic5遺伝子を標的とするsiRNAである、請求項8~10のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。

【請求項12】
Zic5遺伝子の発現量からなる、腫瘍細胞の悪性度マーカー。

【請求項13】
被検腫瘍細胞のZic5遺伝子の発現量をマーカーとし、
被検腫瘍細胞のZic5遺伝子の発現量が多いほど、悪性度が高いと評価する、腫瘍細胞の悪性度の評価方法。

【請求項14】
前記被検腫瘍細胞が原発性腫瘍細胞であり、前記被検腫瘍細胞のZic5遺伝子の発現量が、所定の閾値以上である場合に、前記被検腫瘍細胞が転移性能又はアポトーシス抵抗性を獲得したリスクが高いと評価する、請求項13に記載の腫瘍細胞の悪性度の評価方法。

【請求項15】
Zic5遺伝子の発現量からなり、メラノーマ又は前立腺がんを検出する、腫瘍マーカー。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close