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新規フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体及びその用途 NEW

国内特許コード P180014991
整理番号 (S2015-0409-N0)
掲載日 2018年5月23日
出願番号 特願2016-573358
出願日 平成28年2月1日(2016.2.1)
国際出願番号 JP2016052960
国際公開番号 WO2016125757
国際出願日 平成28年2月1日(2016.2.1)
国際公開日 平成28年8月11日(2016.8.11)
優先権データ
  • 特願2015-018260 (2015.2.2) JP
発明者
  • 田中 義正
  • 水田 賢志
  • 植田 弘師
出願人
  • 国立大学法人 長崎大学
発明の名称 新規フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体及びその用途 NEW
発明の概要 P-C(F)-Pの炭素原子にアルキルアミン側鎖を付加した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸、複素環基の置換したアミノ基又は窒素原子を含有する複素環基を付加した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸、及び、それらの酸部分をPOM基やn-ブタノイルオキシメチル(BuOM)基等のアルコキシメチル基でエステル化した一連のフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体、即ち、下記一般式(I):



(式中、各記号の意味は明細書中に定義される通りである)で表されるフッ素含有型ビスホスホン酸及びフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体は、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞に対する優れた細胞障害性を有するVγ2Vδ2型T細胞受容体を発現する末梢血γδ型T細胞を効率的に増殖誘導可能で、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞を感作し、γδ型T細胞による細胞障害性を惹起することができる。
従来技術、競合技術の概要


ビスホスホン酸はP-C-P骨格を有する一群の化合物であり、骨組織移行性及び骨親和性が高い。また、エチドロン酸やクロドロン酸など第一世代のビスホスホン酸は、液相エンドサイトーシス作用により破骨細胞などのモノサイト系細胞に選択的に取り込まれると、ATP類縁体へ代謝変換され、ATP受容体に拮抗的に作用するようになり、細胞障害性を示す。このように、第一世代のビスホスホン酸は、破骨細胞に細胞死を誘導することにより、骨吸収作用を抑制する。これらの性質を利用し、ビスホスホン酸が種々の骨関連疾患に適用されている。具体的には、骨粗鬆症、変形性骨炎、骨形成不全症、悪性腫瘍の際の高カルシウム血症など、骨の脆弱性やカルシウム濃度変動に関わる疾患の予防や治療薬として用いられている。また、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸など第二世代に属するビスホスホン酸、および、リセドロン酸、ゾレドロン酸などの第三世代に属するビスホスホン酸は、側鎖に窒素原子を含有しており、窒素含有型ビスホスホン酸と呼ばれる。これらのビスホスホン酸は、破骨細胞などのモノサイト系細胞に選択的に取り込まれると、ファーネシル二リン酸合成酵素を特異的に阻害し、細胞障害性を示す。その性質を利用して、種々の窒素含有型ビスホスホン酸が骨粗鬆症や悪性腫瘍の際の高カルシウム血症改善薬として用いられている。また最近、閉経前エストロゲン感受性初期乳がん症例や多発性骨髄腫に対する内分泌療法や化学療法において、ゾレドロン酸をアジュバント療法薬として用いると無病生存期間が優位に延長されることが報告された(非特許文献1,2)。これは、窒素含有型ビスホスホン酸が、腫瘍細胞に対して直接、及び/あるいは免疫細胞の活性化を介した間接的細胞障害作用を有し、抗腫瘍効果を示すためと考えられている。



例えば、生体に投与されたエチドロン酸やクロドロン酸の一部は、液相エンドサイトーシス作用により細胞内に取り込まれ、ヌクレオシド一リン酸に転移し、ヌクレオシド三リン酸類縁化合物に転換される。この代謝産物は、ヌクレオシド三リン酸の高エネルギーリン酸結合を利用した生体酵素反応を拮抗的に阻害することが示されている。取り込む細胞が破骨細胞の場合には、骨吸収が抑制され、血漿中のカルシウム濃度が低下する。腫瘍細胞の場合には、腫瘍細胞が傷害され、直接的な抗腫瘍効果が期待される。



また、細胞内に移行した第二世代および第三世代の窒素含有型ビスホスホン酸は、コレステロールなどのイソプレノイド系代謝産物の生合成経路に関与するファーネシル二リン酸合成酵素を阻害することが示されている。かかる酵素は、イソペンテニル二リン酸とジメチルアリル二リン酸からゲラニル二リン酸を合成する反応と、イソペンテニル二リン酸とゲラニル二リン酸からファーネシル二リン酸を合成する反応を触媒する。従って、ファーネシル二リン酸合成酵素の阻害により、ゲラニル二リン酸の下流に位置する代謝経路が遮断されるとともに、酵素の基質となるイソペンテニル二リン酸が蓄積すると考えられる。ゲラニル二リン酸の下流に位置する生合成経路が遮断されると、イソプレノイド系化合物である、コレステロール、脂溶性ビタミン類、胆汁酸、リポタンパク質などが生合成されず、腫瘍細胞の増殖が抑制されると考えられる。



通常、ファーネシル二リン酸合成酵素により生合成されるファーネシル二リン酸及びゲラニルゲラニル二リン酸の、イソプレニル基は、Ras、Rho、Rap、Rab、RacなどのいわゆるスモールGタンパク質に転移される。このように、イソプレニル基が転移したスモールGタンパク質は、イソプレニル基が細胞膜アンカーとして機能するため、スモールGタンパク質の本来の作用部位である細胞膜へと移行し、細胞の増殖、接着など、重要な生理機能を発揮する。しかし、ゾレドロン酸などの窒素含有型ビスホスホン酸がファーネシル二リン酸合成酵素を阻害すると、このイソプレニル基転移が阻害されるため、スモールGタンパク質の膜移行が阻止され、結果的に腫瘍細胞の増殖が阻害される。これが、窒素含有型ビスホスホン酸の示す直接的抗腫瘍効果を説明するメカニズムの一つである。



さらに、ファーネシル二リン酸合成酵素が阻害されると、その基質であるイソペンテニル二リン酸の細胞内濃度が上昇する。このイソペンテニル二リン酸の細胞内濃度上昇は、ブチロフィリン3A1膜貫通型タンパク質に感知され、その変化をVγ2Vδ2型のT細胞受容体を有するγδ型T細胞が認識する(非特許文献3,4)。その結果、γδ型T細胞が脱顆粒を起こし、パーフォリン及びグランザイムBを放出し、腫瘍細胞やウイルス感染細胞にアポトーシスを誘導する。このようにして、窒素含有型ビスホスホン酸は、免疫細胞の活性化を介して、間接的に腫瘍細胞やウイルス感染細胞を効率的に障害することが示されている。



上記のような窒素含有型ビスホスホン酸による直接的及び間接的な細胞障害性は、傷害される細胞にどの程度取り込まれるか、そして、どの程度ファーネシル二リン酸合成酵素を阻害できるかに依存する。ところが、現在臨床適応になっているビスホスホン酸はいずれも骨事象の改善を目的として合成されたため、破骨細胞の作用部位である骨への親和性と、破骨細胞に対する細胞毒性を指標に化合物合成、及び、スクリーニングが行われた。しかし、腫瘍およびウイルス感染に対する薬剤の開発においては、骨移行性の高さは、逆に、腫瘍細胞及びウイルス感染細胞への到達性を低下させる要因となる。



従って、直接的な細胞障害性の改善を目的とする場合には、骨移行性の低減を一つの目標とする必要がある。一方、免疫エフェクターであるγδ型T細胞の活性化の改善を目的とする場合には、抗原提示細胞となるモノサイト系の細胞への取り込み、及び、γδ型T細胞の活性化能を指標として薬剤開発を行う必要がある。このように、骨吸収抑制を指標としない化合物スクリーニングを行うためには、これまでのビスホスホン酸とは異なる基本骨格を有するビスホスホン酸の系統的合成が必要となる。



現在、上市されている低分子薬剤のうち3割程度がフッ素を基本骨格に有している。フッ素原子を含有することがなぜ薬剤の優位性に繋がるのかについては、完全には解明されていない。しかし、これまで、ビスホスホン酸の開発段階でフッ素含有型のビスホスホン酸はリセドロン酸のP-C-P骨格のCに結合する水酸基をフッ素に置換したもののみである。これは、ビスホスホン酸において、フッ素原子の導入が合成的に困難であることが起因している。従って、一連のフッ素含有型ビスホスホン酸誘導体の合成経路を開拓し、系統的に合成し、その生理活性を検討することは、ビスホスホン酸の医薬開発において重要な研究展開となる。

産業上の利用分野


本発明は、新規フッ素含有型ビスホスホン酸誘導体及びその用途に関する。より詳細には、本発明はフッ素含有型ビスホスホン酸、フッ素含有型ビスホスホン酸エステル誘導体及び当該誘導体を有効成分とする医薬組成物、リンパ球処理剤、抗腫瘍免疫細胞療法剤、抗ウイルス感染症免疫細胞療法剤等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】


(式中、Cyはフェニル基又は複素環基であり、Yは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ハロゲン原子若しくはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基、又は、アラルキルオキシ基であり、Fはフッ素原子であり、Pはリン原子を表し、Rは水素原子又はアルキル基であり、R及びRは、同一又は互いに異なって、水素原子又はアルキルカルボニルオキシアルキル基であり、jは0又は1の数を表し、mは0又は1の数を表し、nは1~6の整数を表す。ただし、Cyが3-ピリジル基であり、mが1であり、nが1であり、Yが水素原子であり、R及びRが水素原子である場合を除く)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項2】
一般式(I)において、Cyがフェニル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項3】
一般式(I)において、Cyが窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれる1~3個の原子を含む5~10員環の複素環基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項4】
一般式(I)において、Cyが窒素原子及び硫黄原子から選ばれる1又は2個の原子を含む5又は6員環の複素環基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項5】
一般式(I)において、Cyがイミダゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、又は7-アザインドリル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項6】
一般式(I)において、Yが水素原子、C1-3アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基又はフェニル基であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項7】
一般式(I)において、jが1であり、Cyがイミダゾリル基であり、Yが水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項8】
一般式(I)において、jが0であり、Yが水素原子又はC1-3アルキル基であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はC2-7アルキルカルボニルオキシ-C1-3アルキル基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項9】
一般式(I)において、jが0であり、Yが水素原子であり、Rが水素原子であり、R及びRが水素原子である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項10】
一般式(I)において、jが0であり、YがC1-3アルキル基であり、RがC1-6アルキル基であり、R及びRが水素原子である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項11】
一般式(I)において、jが1であり、Cyがイミダゾリル基であり、Yが水素原子であり、R及びRが同一又は互いに異なって、水素原子又はピバロイルオキシメチル(POM)基である、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。

【請求項12】
下記式で表される化合物のいずれか1つ又はその薬学的に許容される塩:
【化2】



【請求項13】
請求項1~12のいずれかに1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含む医薬組成物。

【請求項14】
抗腫瘍細胞剤である、請求項13に記載の医薬組成物。

【請求項15】
抗ウイルス感染細胞剤である、請求項13に記載の医薬組成物。

【請求項16】
リンパ球処理剤である、請求項13に記載の医薬組成物。

【請求項17】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とする体内におけるリンパ球の処理方法。

【請求項18】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とするγδ型T細胞の増殖及び/又は誘導方法。

【請求項19】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とする腫瘍細胞及びウイルス感染細胞の増殖抑制方法。

【請求項20】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を生体に投与することを特徴とするがんおよびウイルス感染症の治療方法。

【請求項21】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、生体外においてγδ型T細胞を含む検体に作用させることを特徴とするγδ型T細胞の増殖及び/又は誘導方法。

【請求項22】
請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、生体から採取したγδ型T細胞を含む検体に作用させることにより、γδ型T細胞を増殖及び/又は誘導させる工程、及び、当該γδ型T細胞を生体に戻す工程を含む腫瘍細胞およびウイルス感染細胞の増殖抑制方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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