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試験管内淘汰及び分子間相互作用解析用高速光架橋型共用リンカー、そのリンカーを用いた試験管内淘汰方法 NEW

国内特許コード P180015027
整理番号 (S2015-0929-N0)
掲載日 2018年5月24日
出願番号 特願2017-510169
出願日 平成28年3月31日(2016.3.31)
国際出願番号 JP2016060611
国際公開番号 WO2016159211
国際出願日 平成28年3月31日(2016.3.31)
国際公開日 平成28年10月6日(2016.10.6)
優先権データ
  • 特願2015-072810 (2015.3.31) JP
発明者
  • 根本 直人
  • 望月 佑樹
  • 熊地 重文
出願人
  • 国立大学法人埼玉大学
発明の名称 試験管内淘汰及び分子間相互作用解析用高速光架橋型共用リンカー、そのリンカーを用いた試験管内淘汰方法 NEW
発明の概要 本発明は、酵素を利用することなく、候補クローンのスクリーニング及び得られた候補クローンの結合性の評価の双方に使用可能なリンカーの提供、前記リンカーを用いる試験管内淘汰方法を提供することを目的とする。本発明では、主鎖の5'末端に位置し固相との結合を形成するための固相結合部位と;前記固相結合部位ごと前記固相を切り離すための固相切断部位と;側鎖を連結するための側鎖連結部位と;主鎖と相補的な配列を有するmRNAを、前記主鎖と光架橋によって連結する高速光架橋部位と;前記側鎖連結部位に隣接し、前記主鎖の3'末端に位置する逆転写開始領域と;を備える主鎖と、蛍光標識と、遊離末端に位置するタンパク質結合部位と、前記主鎖の側鎖連結部位に連結される連結形成部位と、を備える側鎖とを有し、試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカーを提供する。
従来技術、競合技術の概要


これまで、各製薬企業による抗体医薬の開発が進められてきた。抗体は、抗原分子を一定の期間を置いて複数回動物に投与し、その後、採血して得られた血液から精製する必要があるため、in vivoでの製造には時間と手間がかかる。また、最も分子量の小さいIgGでさえ分子量が150 KDaと大きいため、in vitroでの完全合成も難しい。



一方で、抗体の抗原認識部位やペプチドアプタマーは、分子量が小さいことから人工的に合成することができる。



医薬品として使用する場合にはGMPレベルの有機合成が求められるが、上記のようなペプチドアプタマーの場合にはこうしたレベルの合成も可能である。また、分子量が小さいことから化学修飾も容易であり、チップなどへの固定化も自由に行うことができ、さらに、抗体に比べると安定性が高いため、チップ等へ固定した後に、常温で保存することもできるといったメリットがある。



こうしたペプチドアプタマーは、mRNAを作成した後に、遺伝子型-表現型対応付け技術(以下、単に「対応付け技術」ということがある。)を用いて合成及び淘汰することができる。そして、こうした対応付け技術としては、cDNAディスプレイ法の外、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法、mRNAディスプレイ法等が存在する。これらのうち、自動化、ハイスループット化という要請を考慮すると、cDNAディスプレイ法がペプチドアプタマーを合成するのに最も適している。



従来、cDNAディスプレイ法で使用するために、図1A~1Dに示すようなリンカーが提案され、使用されてきた。図1Aには、固相結合部位と、mRNAとこのリンカーの主鎖とをT4 RNAリガーゼで連結するためのT4 RNAリガーゼ用連結部位と、逆転写用プライマー領域とを備える主鎖と、ペプチド結合部位及び蛍光標識を備え、前記主鎖に連結された側鎖とで構成されたリンカーが示されている(特許文献1参照、以下、「従来例1」という。)。



また、図1Bには、主鎖が一部二本鎖で構成されている点を除けば従来例1のリンカーとほぼ同様の構造を有しており、この二本鎖で構成された部分に、固相からリンカーを切り離すための制限部位が組み込まれたリンカーが示されている(特許文献1参照、以下、「従来例2」という)。
また、図1Cには、前記従来例1に加えて、固相とリンカーとを切り離すための第1及び第2切断部位を有するリンカーが示されている(特許文献1参照、以下、「従来例3」という。)。図1Dには、2本の主鎖がソラレンで連結されたリンカーが示されている(特許文献2参照、以下、「従来例4」という。)。



以上のようなリンカー以外に、リンカーの主鎖にcnvKを組み込んでおき、mRNAと主鎖とを光で架橋するというリンカーが提案されている(特許文献3参照、以下、「従来例5」という。)。



ところで、現在の日本人の死因の第一位は癌(腫瘍)であるが、その死因中に占める割合は、年々増加している。腫瘍に罹患しているか否か、及び主要の治療後の経過を観察するためには、腫瘍が体内に存在するようになると、血中や尿の中に、あるレベル以上の特定の物質(腫瘍マーカー)が検出されるようになる。そして、腫瘍マーカーの種類及びそれらの血中又は尿中レベルを測定することによって、腫瘍の有無やその進行度を知ることができる。



ここで、腫瘍マーカーは、ほとんどが糖鎖抗原である。正常な細胞が癌化すると、細胞表面上の糖鎖の鎖長が糖転移酵素によって変化し、癌細胞特異的な糖鎖となるため、このような糖鎖が癌を識別するための腫瘍マーカー(以下、「糖鎖性腫瘍マーカー」という。)とされている(非特許文献5参照)。ここで、糖鎖性腫瘍マーカーの抗原決定基(以下、「エピトープ」ということがある。)は、図2(A)に模式的に表すような一般的構造を有し、その構造から、下記表1に示すように、1型糖鎖、2型糖鎖、母核糖鎖、コア蛋白に分けられている。



【表1】




ここで、上記1型糖鎖及び2型糖鎖には、上記表1に示すようなものがあることが知られているが、これらはいずれも、細胞表面に存在する糖鎖が糖転移酵素によって伸長されて、正常細胞の場合よりも長くなっている。また、コア蛋白はウイルスの核酸の周囲に存在するタンパク質をいう。



図2(B)に、基幹構造に対する糖鎖抗原の1種であるCA19-9(Carbohydrate Antigen 19-9)の構造を、こうした糖鎖抗原の1例として模式的に示す。CA19-9は、5つの単糖からなる構造を有する分子量874の分子であり、各単糖はグリコシド結合によってつながっている。図中、NeuNacはN-アセチルノイラミン酸、Galはガラクトース、Fucはフコース、GlcNAcはN-アセチル-D-グルコサミンをそれぞれ表す。そして、図2(B)に示したCA19-9に含まれているGlcNAcは、CA19-9以外の多くの糖鎖抗原にも含まれていることが知られている(非特許文献5参照、以下、「従来例6」という。)。



また、抗体は、一般的には軽鎖と重鎖とで構成されているため、免疫グロブリン(IgG)の分子量は、170KDaと大きいことが知られている。これに対し、ラクダ科の抗体は軽鎖を持たず、重鎖のみで構成されており、分子量が12KDaと小さく、立体構造の可塑性が高く、熱安定性に優れることが知られている。以下、このような領域(ドメイン)を有する分子を「VHH」ということがある。

産業上の利用分野


本発明は、遺伝子型-表現型対応付け技術である、cDNAディスプレイ法に使用するためのリンカー及びその使用方法等に関する。より詳細には、試験管内淘汰及び親和性測定の双方に利用可能な新規ピューロマイシン・リンカー、そのリンカーを用いた試験管内淘汰方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
主鎖と側鎖とを有するリンカーであって、
前記主鎖は、
所定の塩基配列を有し、前記主鎖の5’末端に位置し固相との結合を形成するための固相結合部位と;
前記固相結合部位ごと前記固相を切り離すための固相切断部位と;
前記側鎖を連結するための側鎖連結部位と;
前記側鎖連結部位と前記固相切断部位との間に位置し、前記主鎖と相補的な配列を有するmRNAを、前記主鎖と光架橋によって連結する高速光架橋部位と;
前記側鎖連結部位に隣接し、前記主鎖の3’末端に位置する逆転写開始領域と;
を備え、
前記側鎖は、蛍光標識と、遊離末端に位置するタンパク質結合部位と、前記主鎖の側鎖連結部位に連結される連結形成部位とを備え、
前記側鎖は前記連結形成部位で前記側鎖連結部位に連結されている、試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカー。

【請求項2】
前記固相切断部位は、デオキシイノシン、リボG又はリボピリミジンからなる群から選ばれる塩基で構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカー。

【請求項3】
前記高速光架橋部位はシアノビニルカルバゾール化合物で構成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカー。

【請求項4】
前記シアノビニルカルバゾール化合物は3-シアノビニルカルバゾールである、ことを特徴とする請求項3に記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカー。

【請求項5】
前記固相結合部位は、ビオチン、ストレプトアビジン、アルキン、クリックケミストリーによるアジ化物、アミノ基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)、SH基、及びAuからなる群から選ばれるいずれかの化合物と、前記化合物に結合したポリAとで構成される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカー。

【請求項6】
前記タンパク質結合部位はピューロマイシン又はその類縁化合物で構成されている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカー。

【請求項7】
前記ピューロマイシンの類縁化合物は、3’-N-アミノアシルピューロマイシン及び3’-N-アミノアシルアデノシンアミノ酸のヌクレオシドからなる群から選ばれるいずれかの化合物である、ことを特徴とする請求項6に記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカー。

【請求項8】
請求項1に記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカーの主鎖と所望のmRNAとを相補結合させる相補結合形成工程と;
前記相補結合が形成された主鎖とmRNAとに、300~400nmの波長の光を0.5~5分間照射して光架橋を形成させる光架橋工程と;
前記リンカーに結合されたmRNAを無細胞翻訳系で翻訳し、前記mRNAに対応するタンパク質を前記リンカーのタンパク質結合部位に結合させ、mRNA-タンパク質の融合体を形成する融合体形成工程と;
前記融合体を固相に結合させる固相結合工程と;
前記融合体に含まれるmRNAを逆転写し、前記融合体と逆転写されたcDNAとの結合体を形成する逆転写工程と;
前記結合体を固相切断部位から切断し、所望のcDNAディスプレイ法を選択する選択工程と;
を備える、試験管内淘汰方法。

【請求項9】
前記固相は、ストレプトアビジン又はアビジンでコーティングされた磁性粒子である、ことを特徴とする請求項8に記載の試験管内淘汰方法。

【請求項10】
前記選択工程における前記結合体の切断は、エンドヌクレアーゼV、RNase T1、及びRNase Aからなる群から選ばれるいずれかの酵素で行う、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の試験管内淘汰方法。

【請求項11】
前記高速光架橋型共用リンカーの主鎖は、糖鎖抗原を認識する配列を有する、ことを特徴とする、請求項8~10のいずれかに記載の試験管内淘汰方法。

【請求項12】
請求項1に記載の試験管内淘汰及び分子間相互作用解析のための高速光架橋型共用リンカーの主鎖と所望のmRNAとを相補結合させる相補結合形成工程と;
前記相補結合が形成された主鎖とmRNAとに、300~400nmの波長の光を0.5~5分間照射して光架橋を形成させる光架橋工程と;
前記リンカーに結合されたmRNAを無細胞翻訳系で翻訳し、前記mRNAに対応するタンパク質を前記リンカーのタンパク質結合部位に結合させ、mRNA-タンパク質の融合体を形成する融合体形成工程と;
前記融合体をRNAで消化してリンカー-タンパク質融合体とする、リンカー-タンパク質融合体形成工程と;
前記リンカー-タンパク質融合体を固相に結合させる固相結合工程と;
前記リンカー-タンパク質融合体を所定の条件下で前記固相から溶出させ、精製する精製工程と;
を備える親和性測定用リンカー-タンパク質の作製方法。

【請求項13】
前記固相は、ストレプトアビジン又はアビジンでコーティングされた磁性粒子である、ことを特徴とする請求項12に記載の親和性測定用リンカー-タンパク質の作製方法。

【請求項14】
前記精製工程は、0~100mM NaClを含む水溶液中、室温にて行う、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の親和性測定用リンカー-タンパク質の作製方法。

【請求項15】
請求項12~14のいずれかに記載の方法で作製された親和性測定用リンカー-タンパク質。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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