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抑制性回路の評価及びその利用 NEW

国内特許コード P180015029
整理番号 (S2015-1410-N0)
掲載日 2018年5月24日
出願番号 特願2016-575977
登録番号 特許第6283840号
出願日 平成28年6月17日(2016.6.17)
登録日 平成30年2月9日(2018.2.9)
国際出願番号 JP2016068144
国際公開番号 WO2016204282
国際出願日 平成28年6月17日(2016.6.17)
国際公開日 平成28年12月22日(2016.12.22)
優先権データ
  • 特願2015-122657 (2015.6.18) JP
発明者
  • 乾 幸二
  • 竹島 康行
  • 鈴木 雅也
  • 熊谷 直也
出願人
  • 大学共同利用機関法人自然科学研究機構
  • 東海光学株式会社
発明の名称 抑制性回路の評価及びその利用 NEW
発明の概要 生体に適用可能であってより実用的な抑制性回路の評価法及びその利用を提供する。本明細書は、刺激又は課題である第1の起因によって活性化される興奮性回路に対して、前記第1の起因よりも先行して第2の起因を付与することで抑制性回路を入力する工程を実施して、前記興奮性回路の活性化によって生じる脳活動が、前記抑制性回路の入力によって減弱されることに基づいて前記興奮性回路に対する前記抑制性回路の作用を評価するようにする。
従来技術、競合技術の概要


脳などにおける神経回路は興奮を伝える錐体ニューロンとそれを抑制する介在ニューロンとから成り立っている。抑制性介在ニューロンの主体はGABA(γ-aminobutyric acid、γ-アミノ酪酸)を神経伝達物質として用いるGABA作動性ニューロンであることがよく知られており、ヒトでもそのように考えられている。動物実験では一般にGABA作動性ニューロンの活動を脳のスライス標本を用いて電気生理学的あるいは薬理学的に観察する。



GABA作動性の抑制性介在ニューロンを含む抑制性回路の何らかの異常が多くの疾患で推定されており、てんかん、本態性振戦、統合失調症、パニック、過活動、躁病、うつ病、自閉症などがその例である。抑制性回路の機能の解明、脳抑制性回路の異常に関連する各種疾患の病態生理の解明ほか、こうした疾患の治療薬の開発、個々の症例における抑制性回路の機能異常を把握することは極めて重要である。また、抑制性回路の機能が正常範囲であっても、興奮を伝える錐体ニューロンによる興奮性回路に対してどの程度強く抑制性回路が働くかには個人差がある。この抑制性回路の個人差は個人ごとの感覚特性と関連していると考えられるため、産業上で個人に合わせた製品を提供する場合などでも抑制性介在ニューロンを含む抑制性回路を評価する意義は高い。



抑制性回路の主体は、興奮性回路にシナプス接続する抑制性介在ニューロンからの抑制性神経伝達物質の放出であり、この作用は接続標的の神経細胞内から抑制性シナプス後電位(IPSP)を直接記録することで観察できる。



こうした抑制性回路の評価は、一般に、脳のスライス標本を用いて電気生理学的に又は薬理学的行われている。また、ヒトなど生体動物では、こうした評価ができないため、IPSPを直接観察するのではなく、興奮性活動を指標として、そこに生じた抑制を観察する方法が報告されている(非特許文献1)。この方法は、運動野に磁気刺激を与えて筋活動を誘発するとともに、この刺激に先んじて微弱な磁気刺激を与え、先行刺激により筋活動が減じるという現象(プレパルス・インヒビション)を利用する。そして、減じた筋活動から抑制の程度を評価することができる。

産業上の利用分野


(関連出願の相互参照)
本願は、2015年6月18日に出願された日本国特許出願である特願2015-122657の関連出願であってこの出願に基づく優先権を主張するものであり、この出願に記載された全ての内容は引用により本明細書に組み込まれるものとする。
本明細書は、抑制性回路の評価及びその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
脳の抑制性回路検出システムであって、
脳活動を検出する検出装置と、
生体に対する刺激又は課題である第1の起因と、前記第1の起因の入力によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性がある第2の起因と、を付与する起因出力装置と、
前記第1の脳活動に関する第1の脳活動情報を取得する手段と、
前記第2の起因の付与を伴う前記第1の起因の付与によって生じる第2の脳活動に関する第2の脳活動情報を取得する手段と、
前記第1の脳活動情報及び前記第2の脳活動情報に基づいて前記第2の起因の付与によって生じる第1の脳活動における応答を検出する手段と、
前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として評価する手段と、
を備える、システム。

【請求項2】
前記抑制性回路は、GABA-A介在抑制性回路及びGABA-B介在抑制性回路のいずれか又は双方である、請求項1に記載のシステム。

【請求項3】
前記抑制性回路は、GABA-A作動性抑制性介在ニューロン及びGABA-B作動性抑制性介在ニューロンのいずれか又は双方である、請求項1又は2に記載のシステム。

【請求項4】
前記GABA-A作動性抑制性介在ニューロンは、バスケット細胞及びマルチノッチ細胞による抑制性回路のいずれか又は双方である、請求項3に記載のシステム。

【請求項5】
前記抑制性回路に係わる受容体は、GABA-A受容体、GABA-B受容体、GABA受容体のいずれか1つ以上である、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。

【請求項6】
前記第1の脳活動情報は、起因の変化に対する応答回路に関する情報である、請求項1~5のいずれかに記載のシステム。

【請求項7】
前記第1の脳活動情報は、触覚、温度感覚、痛覚、深部感覚である体性感覚、視覚、聴覚、味覚及び嗅覚からなる群から選択される1種又は2種以上に関する応答回路に関する情報である、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。

【請求項8】
前記第1の脳活動情報は、聴覚に関する応答回路に関する情報である、請求項1~7のいずれかに記載のシステム。

【請求項9】
前記第1の脳活動情報は、音圧変化に対する応答回路に関する情報である、請求項8に記載のシステム。

【請求項10】
第2の起因の付与は、20ミリ秒以上30ミリ秒以下及び40ミリ秒以上60ミリ秒以下のいずれか又は双方の範囲で、前記第1の起因の付与に先立って実施する、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。

【請求項11】
前記第2の起因の付与は、500ミリ秒以上700ミリ秒以下の範囲で前記第1の起因の付与に先立って実施する、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。

【請求項12】
前記脳活動の応答は、前記抑制性回路の入力による脳活動の変化であり、脳活動が生じる時間(潜時)が変化及び脳活動の生じる部位の変化からなる群から選択される1種又は2種である、請求項1~11のいずれかに記載のシステム。

【請求項13】
前記脳活動の応答は、前記抑制性回路の入力による脳活動の変化であり、脳活動のリズムの早さの変化である、請求項1~12のいずれかに記載のシステム。

【請求項14】
さらに、前記抑制性回路に関する情報の出力処理を実行する手段、を備える、請求項1~13のいずれかに記載のシステム。

【請求項15】
前記抑制性回路に係わる抑制性介在ニューロン及び/又は受容体の種類を検出する、請求項1~14のいずれかに記載のシステム。

【請求項16】
前記検出装置は、前記脳活動を脳活動に基づく電気的活動によって検出する、請求項1~15のいずれかに記載のシステム。

【請求項17】
前記検出装置は、前記脳活動を脳電図又は脳磁図を用いて検出する、請求項1~16のいずれかに記載のシステム。

【請求項18】
脳の抑制性回路の検出システムの作動方法であって、
前記検出システムは、脳活動を検出する検出装置と、生体に対して、前記生体に対する刺激又は課題である第1の起因と前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因とを付与する起因出力装置と、を備え、
前記第1の脳活動に関する第1の脳活動情報を取得する工程と、
前記第2の起因の付与を伴う前記第1の起因の付与によって生じる第2の脳活動に関する第2の脳活動情報を取得する工程と、
前記第1の脳活動情報及び前記第2の脳活動情報に基づいて前記第2の起因の付与によって生じる前記第1の脳活動における応答を検出する工程と、
前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出する工程と、
を備える、作動方法。

【請求項19】
脳の抑制性回路の分析を補助するための検出方法であって、
生体に対する刺激又は課題である第1の起因を、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を伴って被験体に付与して第2の脳活動に関する第2の脳活動情報と、
前記第1の脳活動に関する第1の脳活動情報と前記第2の脳活動情報とに基づいて、前記第2の起因の付与によって得られる第1の脳活動における応答と、を用いる方法であり、
前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出する工程、
を備える、方法。

【請求項20】
脳の抑制性回路に関する疾患の検査を補助するための検出方法であって、
生体に対する刺激又は課題である第1の起因を、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を伴って被験体に付与して得られる第1の脳活動における応答を用いる方法であり、
前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出する工程、
を備える、方法。

【請求項21】
脳の抑制性回路に関する疾患に用いる薬剤の評価を補助するための検出方法であって、
前記薬剤が投与されていない被験体に、生体に対する刺激又は課題である第1の起因を、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を伴って付与することにより得られる前記薬剤非投与時の第1の脳活動の応答と、
前記薬剤を投与した前記被験体に、生体に対する刺激又は課題である第1の起因を、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を伴って付与することにより得られる前記薬剤投与時の第1の脳活動の応答と、を用いる方法であり、
前記薬剤が非投与時の前記被験体及び前記薬剤の投与時の前記被験体のそれぞれにおける、前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出する、方法。

【請求項22】
脳の抑制性回路に関する疾患に用いる薬剤のスクリーニングを補助するための検出方法であって、
前記薬剤が投与されていない被験体に、生体に対する刺激又は課題である第1の起因を、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を伴って付与して得られる前記薬剤非投与時の第1の脳活動の応答を取得する工程と、
前記薬剤を投与した前記被験体に、生体に対する刺激又は課題である第1の起因を、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を伴って付与して得られる前記薬剤投与時の第1の脳活動の応答を取得する工程と、
を備え、
前記薬剤が投与されていない前記被験体及び前記薬剤が投与された前記被験体のそれぞれにおける、前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出し、前記薬剤による前記抑制性回路の作用の変化を検出する、方法。

【請求項23】
脳の抑制性回路に関する疾患に適用する薬剤候補の選定システムであって、
脳活動を検出する検出装置と、
生体に対する刺激又は課題である第1の起因と、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を付与する起因出力装置と、
前記第1の脳活動に関する第1の脳活動情報を取得する手段と、
前記第2の起因の付与を伴う前記第1の起因の付与によって生じる第2の脳活動に関する第2の脳活動情報を取得する手段と、
前記第1の脳活動情報及び前記第2の脳活動情報に基づいて、前記第2の起因の付与によって生じる第1の脳活動における応答を取得する手段と、
前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出する手段と、
を備え、
前記抑制性回路の作用に基づいて被検体に適用する薬剤候補を選定する、システム。

【請求項24】
脳の抑制性回路に関する疾患に用いる薬剤候補の選定システムの作動方法であって、
前記選定システムは、脳活動を検出する検出装置と、生体に対して、前記生体に対する刺激又は課題である第1の起因と前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因とを付与する起因出力装置と、を備え、
生体に対する刺激又は課題である第1の起因、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を伴って被験体に付与されることによって生じる第2の脳活動に関する第2の脳活動情報を取得する工程と、
前記第1の脳活動に関する第1の脳活動情報及び前記第2の脳活動情報に基づいて、前記第2の起因の付与によって生じる前記第1の脳活動における応答を取得する工程と、
前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出する工程と、
を備え、
前記抑制性回路の作用に基づいて被験体に適用する薬剤候補を選定する、作動方法。

【請求項25】
脳の抑制性回路の特性を利用する製品の製造システムであって、
脳活動を検出する検出装置と、
生体に対する刺激又は課題である第1の起因と、前記第1の起因の付与によって生じる第1の脳活動を変化させる可能性のある第2の起因を付与する起因出力装置と、
前記第1の脳活動に関する第1の脳活動情報を取得する手段と、
前記第2の起因の付与を伴う前記第1の起因の付与によって生じる第2の脳活動に関する第2の脳活動情報を取得する手段と、
前記第1の脳活動情報及び前記第2の脳活動情報に基づいて、前記第2の起因の付与によって生じる第1の脳活動における応答を取得する手段と、
前記第1の起因に先立って付与される前記第2の起因を付与するタイミングによって入力される前記抑制性回路の種類を選択し、前記応答を前記抑制性回路の作用の指標として検出する手段と、
を備え、
前記抑制性回路の作用に適合し、改善し、緩和し、又は増強可能な機能を有する製品を製造する、システム。

【請求項26】
前記製品は、ヒトの感覚的作用に関連する製品である、請求項25に記載のシステム。

【請求項27】
前記製品は、被験体の視覚に関する前記抑制性回路の作用に適合し、改善し、緩和し、又は増強する感覚的作用を有する製品である、請求項25又は26に記載のシステム。

【請求項28】
前記製品は、眼鏡レンズである、請求項27に記載のシステム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
  • 4C127AA03
  • 4C127AA10
  • 4C127DD01
  • 4C127DD02
  • 4C127GG05
  • 4C127GG09
  • 4C127GG15
  • 4C127HH03
画像

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JP2016575977thum.jpg
出願権利状態 登録


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