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IgG結合ペプチドによる抗体の特異的修飾 NEW コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P180015036
整理番号 (S2015-1502-N0,14P058WO)
掲載日 2018年5月24日
出願番号 特願2017-519419
出願日 平成28年5月20日(2016.5.20)
国際出願番号 JP2016065061
国際公開番号 WO2016186206
国際出願日 平成28年5月20日(2016.5.20)
国際公開日 平成28年11月24日(2016.11.24)
優先権データ
  • 特願2015-103153 (2015.5.20) JP
発明者
  • 伊東 祐二
出願人
  • 国立大学法人 鹿児島大学
発明の名称 IgG結合ペプチドによる抗体の特異的修飾 NEW コモンズ 新技術説明会
発明の概要 この発明は、IgG結合ペプチド、架橋剤で修飾されたIgG結合ペプチド、該架橋剤で修飾されたIgG結合ペプチドとIgGの複合体、及び該複合体を生産する方法等に関する。
従来技術、競合技術の概要


抗体は、従来から種々の研究・開発において、標的分子の検出に多く利用されており、検出試薬や診断薬として産業面でも、極めて重要なものとなっている。また、抗体は、その標的分子に対する特異性から、疾患の治療のための医薬品としても注目されている。



抗体の機能付加のための化学修飾として、アルカリフォスファターゼ(AP)やパーオキシダーゼ(HRP)等の酵素(非特許文献1~2)、さらには放射性同位体のためのヨウ素化やキレート化合物の付加(非特許文献3)、ビオチン等といった低分子化合物による修飾がなされてきた(非特許文献4)。これらの修飾は、主にリシンのアミノ基やシステインのチオール基、及び活性化されたカルボキシル基等を介して行われており、これらは官能基について特異的だが、部位特異的ではないため、抗体の抗原結合部位への修飾等により抗体の活性を低下させるといった問題や、結合する化合物の数をコントロールすることが難しい等の問題があった。近年登場した抗体医薬の抗体薬物複合体(ADC)においても(非特許文献5~6)、抗がん剤を部位非特異的に抗体に結合させるため、抗体そのものの活性が弱まったり、抗がん剤の結合数のコントロールの困難さからその後の製剤化のステップが煩雑となる等の問題があった。



このような問題を克服するため、特定の官能基を部位特異的に導入した抗体を使って、抗体を修飾することが行われている。例えば、非天然アミノ酸(非特許文献7~9)やフリーのシステイン(非特許文献10~11)を、特定の部位に遺伝子工学的改変により導入することで、特定の部位での修飾が可能になった。またトランスグルタミナーゼ(TG)を利用して、抗体中の天然のもしくは人工的に導入された特定のグルタミンを標的にして修飾を行うことが報告されているが(非特許文献12~13)、導入する化合物の構造や、標的とするグルタミン残基の空間的な環境によってその反応収率が大きく影響を受けることが知られている。さらに、抗体のFc上の糖鎖を標的にした修飾技術も利用されており(非特許文献14~15)、これらの方法は部位特異的であるものの、糖鎖の酸化修飾が必要であるため、反応の工程が複雑であるといった問題がある。このように部位特異的な抗体修飾技術は開発されつつあるが、多くの場合、抗体そのものを抗体工学的に改変する必要があり、その改変に伴う抗体の機能低下や開発のコスト高を考えると必ずしも有利な方法とはいえない。

産業上の利用分野


本発明は、IgG結合ペプチド、架橋剤で修飾されたIgG結合ペプチド、該架橋剤で修飾されたIgG結合ペプチドとIgGの複合体、及び該複合体を生産する方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の式I:
(X1-3)-C-(X2)-H-(Xaa1)-G-(Xaa2)-L-V-W-C-(X1-3) (I)
(式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Hはヒスチジン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Gはグリシン残基であり、
Xaa2はグルタミン酸残基又はアスパラギン残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Vはバリン残基であり、かつ
Wはトリプトファン残基である。)
によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgG及び/又はウサギIgGと結合可能であることを特徴とするペプチド。

【請求項2】
下記の式II:
(X1-3)-C-(Xaa3)-(Xaa4)-H-(Xaa1)-G-(Xaa2)-L-V-W-C-(X1-3) (II)
(式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Hはヒスチジン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Gはグリシン残基であり、
Xaa2はグルタミン酸残基又はアスパラギン残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Vはバリン残基であり、
Wはトリプトファン残基であり、
Xaa3はアラニン残基、セリン残基又はトレオニン残基であり、かつ
Xaa4はチロシン残基又はトリプトファン残基である。)
によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgG及び/又はウサギIgGと結合可能であることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド。

【請求項3】
下記の式III:
(X1-3)-C-A-Y-H-(Xaa1)-G-E-L-V-W-C-(X1-3) (III)
(式中、Xの各々は独立的にシステイン以外の任意のアミノ酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Aはアラニン残基であり、
Yはチロシン残基であり、
Hはヒスチジン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Gはグリシン残基であり、
Eはグルタミン酸残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Vはバリン残基であり、かつ
Wはトリプトファン残基である。)
によって表される、13~17アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgG及び/又はウサギIgGと結合可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のペプチド。

【請求項4】
17アミノ酸残基とした場合の、N末端から1~3、15~17番目の各アミノ酸残基が、
1番目のアミノ酸残基= S、G、F又は、なし
2番目のアミノ酸残基= D、G、A、S、P、ホモシステイン、又は、なし
3番目のアミノ酸残基= S、D、T、N、E又はR、
15番目のアミノ酸残基= S、T又はD、
16番目のアミノ酸残基= H、G、Y、T、N、D、F、ホモシステイン、又は、なし、
17番目のアミノ酸残基= Y、F、H、M又は、なし
である、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド。

【請求項5】
以下の1)~15)のいずれかのアミノ酸配列からなる、ただし、Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、Xaa2はホモシステインである、請求項4に記載のペプチド。
1)DCAYH(Xaa1)GELVWCT(配列番号1)
2)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号2)
3)RCAYH(Xaa1)GELVWCS(配列番号3)
4)GPRCAYH(Xaa1)GELVWCSFH(配列番号4)
5)SPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号5)
6)GDDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号6)
7)GPSCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号7)
8)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCSFH(配列番号8)
9)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCTHH(配列番号9)
10)GPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFY(配列番号10)
11)SPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFY(配列番号11)
12)SDDCAYH(Xaa1)GELVWCTFY(配列番号12)
13)RGNCAYH(Xaa1)GQLVWCTYH(配列番号13)
14)G(Xaa2)DCAYH(Xaa1)GELVWCT(Xaa2)H(配列番号36)
15)RRGPDCAYH(Xaa1)GELVWCTFH(配列番号37)

【請求項6】
下記の式IV:
D-C-(Xaa3)-(Xaa4)-H-(Xaa1)-G-(Xaa2)-L-V-W-C-T (IV)
(式中、
Dはアスパラギン酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Hはヒスチジン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Gはグリシン残基であり、
Xaa2はグルタミン酸残基又はアスパラギン残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Vはバリン残基であり、
Wはトリプトファン残基であり、
Tはトレオニン残基であり、
Xaa3はアラニン残基又はトレオニン残基であり、かつ、
Xaa4はチロシン残基又はトリプトファン残基である。)によって表される、13アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgG及び/又はウサギIgGと結合可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のペプチド。

【請求項7】
以下の1)~4)のいずれかのアミノ酸配列からなる、ただし、Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸である、請求項6に記載のペプチド。
1)DCTYH(Xaa1)GNLVWCT(配列番号14)
2)DCAYH(Xaa1)GNLVWCT(配列番号15)
3)DCTYH(Xaa1)GELVWCT(配列番号16)
4)DCAWH(Xaa1)GELVWCT(配列番号17)

【請求項8】
下記の式V:
D-C-(Xaa2)-(Xaa3)-(Xaa4)-(Xaa1)-G-(Xaa5)-L-(Xaa6)-W-C-T (V)
(式中、
Dはアスパラギン酸残基であり、
Cはシステイン残基であり、
Gはグリシン残基であり、
Lはロイシン残基であり、
Wはトリプトファン残基であり、
Tはトレオニン残基であり、
Xaa1はリシン残基、システイン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、2-アミノスベリン酸、又はジアミノプロピオン酸であり、
Xaa2はアラニン残基、セリン残基又はトレオニン残基であり、
Xaa3はトリプトファン残基又はチロシン残基であり、
Xaa4はヒスチジン残基、アルギニン残基、セリン残基又はトレオニン残基であり、
Xaa5はグルタミン酸残基、アスパラギン残基、アルギニン残基、又はアスパラギン酸残基であり、かつ
Xaa6はイソロイシン残基又はバリン残基である)によって表される、13アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、かつヒトIgG及び/又はウサギIgGと結合可能であることを特徴とするペプチド。

【請求項9】
ペプチドが外側の2つのシステイン(C)残基間でジスルフィド結合を形成しているか、又はペプチドの外側の2つのシステイン残基中のスルフィド基が、以下の式:
【化1】


で表されるリンカーにより連結されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のペプチド。

【請求項10】
標識物質により標識されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のペプチド。

【請求項11】
薬剤が結合している、請求項1~10のいずれか一項に記載のペプチド。

【請求項12】
Xaa1がリシン残基である、請求項1~11のいずれか一項に記載のペプチド。

【請求項13】
Xaa1が架橋剤で修飾されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のペプチド。

【請求項14】
前記架橋剤が、DSG(ジスクシンイミジルグルタレート)、DSS(ジスクシンイミジルスベレート)、DMA(アジプイミド酸ジメチル二塩酸塩)、DMP(ピメルイミド酸ジメチル二塩酸塩)、DMS(スベルイミド酸ジメチル二塩酸塩)、DTBP(3,3'-ジチオビスプロピオンイミド酸ジメチル二塩酸塩)、及びDSP(ジチオビススクシンイミジルプロピオン酸)からなる群より選択される、請求項13に記載のペプチド。

【請求項15】
前記架橋剤がDSG(ジスクシンイミジルグルタレート)又はDSS(ジスクシンイミジルスベレート)である、請求項14に記載のペプチド。

【請求項16】
請求項13~15のいずれか一項に記載のペプチドとIgGとの複合体であって、架橋剤で修飾されているペプチドとIgGの架橋反応によって形成される、前記複合体。

【請求項17】
請求項13~15のいずれか一項に記載のペプチドとIgGを混合し、架橋剤で修飾されているペプチドとIgGを架橋反応させる工程を含む、ペプチドとIgGの複合体を生産する方法。

【請求項18】
請求項1~15のいずれか一項に記載のペプチド、又は請求項16に記載の複合体を含む、医薬組成物。

【請求項19】
システイン残基を2つ以上含むペプチドと、以下の式:
【化2】


で表される化合物(式中、R1及びR2は、各々独立的に任意のハロゲン原子である)を混合し、2つ以上のシステイン残基中のスルフィド基が、以下の式:
【化3】


で表されるリンカーにより連結されたペプチドを得る工程を含む、2つ以上のシステイン残基がリンカーにより連結されたペプチドを生産する方法。

【請求項20】
前記化合物において、R1及びR2が同一であり、かつCl、Br、又はIである、請求項19に記載の方法。

【請求項21】
前記ペプチドが、請求項1~8及び10~15のいずれか一項に規定されるペプチドである、請求項19又は20に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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