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新規なアミロイド線維生成抑制剤 NEW

国内特許コード P180015039
整理番号 (S2015-1616-N0)
掲載日 2018年5月24日
出願番号 特願2017-523714
出願日 平成28年6月10日(2016.6.10)
国際出願番号 JP2016067373
国際公開番号 WO2016199892
国際出願日 平成28年6月10日(2016.6.10)
国際公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
優先権データ
  • 特願2015-117150 (2015.6.10) JP
発明者
  • 城野 博史
  • 有馬 英俊
  • 安東 由喜雄
  • 本山 敬一
  • 東 大志
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 新規なアミロイド線維生成抑制剤 NEW
発明の概要 本発明は、難治性アミロイドーシスに対するより有効な治療薬を提供することを目的とする。より具体的には、安全性の高く、TTRタンパク質のアミロイド線維形成の抑制効果が従来の治療薬に比べてより優れたアミロイド線維の形成を抑制できる新規な物質を提供することである。本発明により、グルクロニルグルコシル-β-シクロデキストリン(GUG-β-CyD)とアルキレンジアミンをコアとするポリアミドアミンデンドリマーとの結合体(GUG-β-CDE)と、トランスサイレチン(TTR)のmRNAに対してRNA干渉を起こすRNAとからなる複合体を有効成分として含むアミロイド線維生成抑制剤が提供される。本発明によりまた、前記アミロイド線維生成抑制剤を含むアミロイドーシスの予防および/または治療のための医薬組成物が提供される。
従来技術、競合技術の概要


アミロイドーシスとは、β-シート構造を有するタンパク質が重合して不溶性のアミロイド(amyloid)又はアミロイド線維と呼ばれる細線維を形成し、生体内に沈着して組織傷害をもたらす疾患群のことを指す。ドイツの病理学者であるVirchowは、アミロイドーシスの組織標本がヨードで紫色に染まることを発見した。この結果から、Virchowは組織に沈着した物質は多糖体であると考え、これを「デンプン様物質」すなわち「アミロイド」と命名し、アミロイドの沈着により惹起される病態をアミロイドーシスと呼ぶことを提唱した。その後の研究により、アミロイドの主成分はナイロン様に重合して線維を形成するタンパク質であり、アミロイドには血清アミロイドP成分やグリコサミノグリカンなどが含まれていることが分かっている。現在では、アミロイドは「コンゴレッド染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下で観察すると緑色に強く輝く複屈折を起こす幅8-15nmの枝分かれのない細線維の集積からなる」と定義されている。



アミロイド線維の沈着によって臓器障害が引き起こされるアミロイドーシスには、家族性アミロイドポリニューロパチー(familial amyloid polyneuropathy;FAP)、アルツハイマー病、クロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病)、細胞内にアミロイド様物質がたまるハンチントン病をはじめとする遺伝性神経変性疾患など様々な疾患が含まれている。その中でもFAPは、末梢神経、自律神経、腎、皮膚などの全身諸臓器にアミロイド沈着をきたし、常染色体優性遺伝形式で遺伝浸透する全身性アミロイドーシスであり、我が国、特に九州地方及び中部地方で多くの症例が確認されている。1952年にポルトガル人のFAP症例が初めて報告されて以来、世界各国から同様の症例報告がなされている。FAPの原因となるアミロイド線維は、主として、血清タンパク質であるトランスサイレチン(TTR)が変異したもので構成されている。



正常TTRは、β-シート構造を多く含む立体構造をしており、肝臓、脳脈絡叢、網膜、膵α細胞などで産生されるが、特にその90%以上が肝臓で産生されるといわれている。正常TTRは、四量体を形成してサイロキシン(T4)やレチノール結合タンパク質(RBP)などを介したビタミンAの輸送体としての役割を担っている。正常TTRの変異体は、これまでに100種以上が報告されており、構造安定性が低く、四量体から単量体への構造変化を起こしやすいことが明らかになっている。



わが国で多いFAPは、Val30Met型の変異TTRを原因タンパク質とするFAPである。FAPの主要性状は、左右対称性に下肢末端から上行する知覚障害を伴う多発性神経炎と自律神経障害(交代性の下痢と便秘、起立性低血圧、排尿障害等)であり、これらはいずれもアミロイドによる神経障害が原因である。その後、心臓、腎臓、消化管へのアミロイド沈着が著しくなり、これらの臓器の機能不全を引き起こす。一般的には、20代後半から30代で発症し10年で歩行不能となり、10数年の経過で心不全、腎不全などで死亡する予後不良の疾患であり、厚生省特定疾患にも指定されている難病の一つである。



FAPをもたらし得る変異TTRタンパク質は、正常TTRタンパク質に比べ構造安定性が低く、分子中のβ-シート構造が互いに会合し不溶性のアミロイド線維を形成して組織に沈着するといわれている。FAPの治療としては、変異TTRの約90%以上が肝臓で産生されることから肝移植治療が行われている。一方で、アミロイド線維形成メカニズムに基づいたFAPの治療方法として、四量体TTR分子の乖離(解離)の阻害などが試みられている(非特許文献1及び2)。



また、本発明者らにより、糖、ペプチド又はポリエチレングリコールで修飾されたシクロデキストリン誘導体を有効成分として含むアミロイド線維形成抑制剤が提案されている(特許文献1)。そこでは、修飾されたシクロデキストリン誘導体の例として、6-O-α-(4-O-α-D-グルクロニル)-D-グリコシル-β-シクロデキストリン及び6-O-α-マルトシル-β-シクロデキストリンが開示されている。
また、本発明者らにより、アルキレンジアミンをコアとするポリ(アミドアミン)デンドリマーを有効成分として含むアミロイド線維形成抑制剤が提案されている(特許文献2)。
さらに、本発明者らにより、ポリアミドアミンデンドリマー(G2)と6-O-α-(4-O-α-D-グルクロニル)-D-グリコシル-β-シクロデキストリンとの結合体(GUG-β-CDE)と、TTRに対するsiRNA(siTTR)との複合体による、TTRの発現抑制が報告されており、そこでは、GUG-β-CDEのsiRNA用キャリアとしての利用が提案されている(非特許文献3)。



しかしながら、難治性アミロイドーシスに対する治療薬で単独で臨床的に十分有効な治療効果を示す治療薬の開発は未だに成功していない。そのため、併用による効果を期待した薬剤の併用療法が考えられるが、その場合は薬物相互作用により副作用が発生するなどの様々な問題点が発生する可能性がある。そこで、より有効な治療効果を示す薬剤が求められていた。

産業上の利用分野


本発明は、新規なアミロイド線維生成抑制剤に関する。本発明はまた該抑制剤を含むアミロイドーシスを予防及び/又は治療するための医薬組成物に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シクロデキストリンとポリアミドアミンデンドリマーとの結合体と、トランスサイレチンのmRNAに対してRNA干渉を起こすRNAとからなる複合体を有効成分として含むアミロイド線維生成抑制剤。

【請求項2】
前記シクロデキストリンが、グルクロニルグルコシル-β-シクロデキストリン(GUG-β-CyD)である請求項1に記載のアミロイド線維生成抑制剤。

【請求項3】
前記RNAが、shRNAまたはsiRNAである、請求項1又は2に記載のアミロイド線維生成抑制剤。

【請求項4】
前記RNAが、shRNAである請求項3に記載のアミロイド線維生成抑制剤。

【請求項5】
前記結合体が、グルクロニルグリコシル-β-シクロデキストリンとポリアミドアミンデンドリマーとの結合体(GUG-β-CDE)である、GUG-β-CDE(G2, DS 1.2)、GUG-β-CDE(G2, DS 1.8)、GUG-β-CDE(G2, DS 2.5)、又はGUG-β-CDE(G2, DS 4.5)である請求項2~4のいずれか一つに記載のアミロイド線維生成抑制剤。

【請求項6】
前記複合体における、GUG-β-CDE/RNAのチャージ比が、20~100である請求項2~5のいずれか一つに記載のアミロイド線維生成抑制剤。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか一つに記載のアミロイド線維生成抑制剤を含むアミロイドーシスの予防及び/又は治療のための医薬組成物。

【請求項8】
前記アミロイドーシスが、家族性アミロイドーシスポリニューロパチー(FAP)、アルツハイマー病、老人性全身性アミロイドーシス(SSA)、又はAAアミロイドーシスである請求項7に記載の医薬組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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