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静電レンズ、並びに、該レンズとコリメータを用いた平行ビーム発生装置及び平行ビーム収束装置 NEW 新技術説明会

国内特許コード P180015044
整理番号 (S2015-1683-N0)
掲載日 2018年5月24日
出願番号 特願2017-528715
出願日 平成28年7月13日(2016.7.13)
国際出願番号 JP2016070744
国際公開番号 WO2017010529
国際出願日 平成28年7月13日(2016.7.13)
国際公開日 平成29年1月19日(2017.1.19)
優先権データ
  • 特願2015-141687 (2015.7.15) JP
発明者
  • 松井 文彦
  • 松田 博之
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 静電レンズ、並びに、該レンズとコリメータを用いた平行ビーム発生装置及び平行ビーム収束装置 NEW 新技術説明会
発明の概要 点源から放出される荷電粒子を広立体角範囲にわたり取り込み、荷電粒子
の軌跡を平行化するコンパクトな装置を提供する。点源に対し凹面状を有す
る軸対称な非球面メッシュ(2)および軸対称な複数の電極(10~14)
から成る静電レンズと、静電レンズと同軸に配置される平面コリメータプレ
ート(3)とから構成される。点源(7)から発生した荷電粒子の取り込み
角が±30°以上で、荷電粒子の軌跡が静電レンズにより略平行化されるよ
うに、非球面メッシュ(2)の形状とアース電極(10)と印加電極(11
~15)の電位及び配置が調整されている。荷電粒子の軌跡が軸に対して略
平行化された後で、荷電粒子が平面コリメータプレート(3)に対して略垂
直に入射するように、静電レンズと平面コリメータプレートが共軸に配置さ
れている。
従来技術、競合技術の概要

従来の同心球状の複数枚のグリッドと蛍光スクリーンを組み合わせた阻止電位型エネルギー分析器は、低速電子線回折観察やオージェ電子分光測定に広く用いられている。しかし、同心球状のグリッドを用いていることから荷電粒子を球面へ投影するため、平面のマイクロチャンネルプレートを用いて信号増幅することができないといった問題があった。また、阻止電位型エネルギー分析器は、ハイパスフィルター作用のため、シグナル対バックグラウンド比が悪く、光電子回折などの2次元角度分布測定には不向きであるといった問題もあった。そこで、軸対称の電極を用いて、2次元角度分布を平面に投影する阻止電位型エネルギー分析器が開発されている(特許文献1,2を参照)が、点源から発生した荷電粒子の取り込み角は±10°と限られたものであった。
また、阻止電位型エネルギー分析器を、光電子回折測定に利用する際に障害となるのが蛍光X線である。阻止電位ではX線が除去できず、荷電粒子の取り込み角を大きくするほど蛍光X線の量が増え、バックグラウンドとなってしまうといった問題があった。


一方で、電子分光装置では、エネルギーアナライザの入射部分に静電レンズが用いられることが多く、この静電レンズは、試料から放出される電子をできるだけ多く取り込み、その電子を減速させてからアナライザに入射させることにより、エネルギー分解能を向上させることができる。電子分光装置に限らず、材料表面分析および固体物性学基礎研究などにおいて、結晶表面から放出される電子による電子分光測定、電子回折、放出イオン角度分布測定などは、どれだけ大きな開き角の荷電粒子を取り込めるかで感度が決まるため、荷電粒子の取り込み角を大きくし、広立体角範囲にわたり測定できる技術が求められている。
また、荷電粒子の取り込み角が±30°未満であると、光電子回折や光電子ホログラフィーといった原子配列構造解析が困難であるが、取り込み角が±30°以上の広立体角の測定ができると原子配列構造解析が可能になる。


通常の静電レンズでは、球面収差によって、大きな開き角のビームを一点に集束させることが困難であり、取り込み角は±20°程度が限界であったが、球面メッシュを用いることで感度を上げることが可能であり、取り込み角は±30°程度まで改善された(特許文献3を参照)。
また、非球面メッシュの負の球面収差補正作用を応用し、複数の電極を用いて最適な電場を作り出すことで、球面メッシュを用いるよりも広い取り込み角を実現できる球面収差補正静電型レンズが知られている(特許文献4を参照)。


しかし、図21に示すように、特許文献4に開示された球面収差補正静電型レンズ100では、負の球面収差を有する拡大虚像を形成するように配置された、試料プレート110に対して凹面形状を有する光軸対称な回転楕円面とした非球面メッシュ106と、その像面側に光軸に同軸に配置され、拡大虚像の実像を形成し正の球面収差を生じる収束電場を形成する同心面からなる複数の電極(101~105)を備える構成のため、レンズ自体が大掛かりなものとなり、試料プレート110から出射口107までの距離が大きく(L=0.5m程度)、試料プレート110および球面収差補正静電型レンズ100全体を格納する磁場遮蔽超高真空真空槽(図示せず)が大きくなっていた。また、正の球面収差を生じる収束電場によって出射ビームは狭立体角の点源ビームとなり、出射口107から出射するため、例えば、エネルギー分析のために蛍光スクリーンに投射する場合は、出射口107から放出される電子を阻止電位または偏向電場(図示せず)で分析し、蛍光スクリーン(図示せず)に角度分布を投影する際に、一度、出口スリットに収束させる必要があるため、装置全体のコンパクト化が困難であった。

産業上の利用分野

本発明は、静電レンズとその静電レンズとコリメータを用いた平行ビーム発生装置及び平行ビーム収束装置に関するものであり、具体的には、XPS(光電子分光装置)、AES(オージェ電子分光装置)などの電子分光装置やLEED(電子回折)やPED(光電子回折)などの電子回折装置やイオン脱離角度分布測定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
点源又は集光点に対し凹面状を有する軸対称または実質的に軸対称な非球面メッシュおよび軸対称または実質的に軸対称な単一乃至は複数の電極から成る静電レンズであって、
前記非球面メッシュは、メッシュ開口部の中心近傍からメッシュ中心の位置までを長軸とする回転楕円体、又は、メッシュ開口部近傍が内側に凸の曲率で拡がる形状の実質的回転楕円体であり、
メッシュに接続されるメッシュ電極の開口部半径と、前記単一乃至は複数の電極の内、前記メッシュ電極に隣接する第一電極の開口部半径の比は、1.2以上1.6以下であり、
前記回転楕円体における長軸半径と短軸半径との比は、1.0より大きく2.0以下であり、
点源から発生した荷電粒子の取り込み角が±60°で、荷電粒子の軌跡を光軸からのズレ角が±1°以下に平行化することを特徴とする静電レンズ。

【請求項2】
電極数は前記メッシュ電極を除いたものとし、減速比は荷電粒子の発生時の運動エネルギーに対する終端電極での運動エネルギーの比として、下記1)~5)の何れかを満たすことを特徴とする請求項1に記載の静電レンズ:
1)電極数が1で、減速比が0.1以上0.3以下の場合には、
前記回転楕円体における長軸半径と短軸半径との比が1.69以上1.89以下である、
2)電極数が2で、減速比が0.1以上0.3以下の場合には、
前記回転楕円体における長軸半径と短軸半径との比が1.56以上1.76以下である、
3)電極数が3で、減速比が0.1以上0.3以下の場合には、
前記回転楕円体における長軸半径と短軸半径との比が1.52以上1.72以下である、
4)電極数が4で、減速比が0.1以上0.3以下の場合には、
前記回転楕円体における長軸半径と短軸半径との比が1.49以上1.69以下である、
5)電極数が5以上で、減速比が0.1以上0.3以下の場合には、
前記回転楕円体における長軸半径と短軸半径との比が1.39以上1.59以下である。

【請求項3】
前記減速比が0.01以上0.1未満の場合には、
前記回転楕円体における長軸半径と短軸半径との比が1.0より大きく1.5未満であることを特徴とする請求項2に記載の静電レンズ。

【請求項4】
前記実質的回転楕円体のメッシュ形状は、
同じ長軸半径と短軸半径の回転楕円体の形状と比べ、長軸からの半径方向のズレが半径距離の5%以下であり、
点源とメッシュ形状表面とを結ぶ軸と長軸との成す角度が40°より大きい位置に、上記半径方向のズレを角度について一階微分しプロットしたものの変曲点が存在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の静電レンズ。

【請求項5】
前記実質的回転楕円体のメッシュ形状は、多項式関数である下記数式で表されるdmeshにより表されることを特徴とする請求項1又は4に記載の静電レンズ:
【数1】


(式1中、dmeshは点源からメッシュ表面位置までの距離、距離dは点源から光軸上のメッシュ先端位置までの距離、距離dは点源からメッシュのエッジ位置までの距離、角度θとθmaxはそれぞれメッシュ表面とメッシュのエッジ位置を決めるための光軸からのズレ角、αは角度θの関数、nは関数の次元数で、wはパラメータa~aによって決定される。)。

【請求項6】
請求項1~5の何れかの静電レンズと、前記静電レンズと同軸に配置される平面コリメータプレートとから構成され、
点源から発生した荷電粒子の取り込み角が±60°で、荷電粒子の軌跡を光軸からのズレ角が±1°以下に平行化した後で、荷電粒子が平面コリメータプレートに対して略垂直に入射するように、前記静電レンズと前記平面コリメータプレートが共軸に配置されたことを特徴とする平行ビーム発生装置。

【請求項7】
前記平面コリメータプレートが、特定の運動エネルギーの荷電粒子のみを選別するバンドパスフィルターとして機能することを特徴とする請求項6に記載の平行ビーム発生装置。

【請求項8】
平板に微小な光電子増倍管を束ねた平面マイクロチャネルプレートが更に設けられ、前記平面コリメータプレートから出射する特定の運動エネルギーの荷電粒子をアバランシェ電流により増幅することを特徴とする請求項7に記載の平行ビーム発生装置。

【請求項9】
前記平面コリメータプレートは、アスペクト比(孔径と孔長の比)1:5乃至1:20である細孔が開口率50%以上で設けられたことを特徴とする請求項6~8の何れかに記載の平行ビーム発生装置。

【請求項10】
前記電極および前記平面コリメータプレートの電位を掃引する掃引手段が更に設けられたことを特徴とする請求項6~9の何れかに記載の平行ビーム発生装置。

【請求項11】
請求項6~10の何れかに記載の平行ビーム発生装置に、蛍光スクリーンとカメラ手段が更に設けられ、前記平面コリメータプレートから出射する特定の運動エネルギーの荷電粒子の角度分布を、前記蛍光スクリーン上で輝点に変換して前記カメラ手段で画像計測することを特徴とする角度分布測定分析装置。

【請求項12】
グリッドに印加する直流電圧を変化させて、グリッドを通過する荷電粒子による電流の変化をロックイン検出する平面阻止電位グリッドが更に設けられ、前記平面コリメータプレートから出射する特定の運動エネルギーの荷電粒子を検出することを特徴とする請求項11に記載の角度分布測定分析装置。

【請求項13】
ディレイライン検出器(delay line detector)が更に設けられ、前記コリメータプレートから出射する特定の運動エネルギーの個々の荷電粒子の出射角方向と到達時間を、前記ディレイライン検出器で個別に計測して時間分解画像計測することを特徴とする請求項11に記載の角度分布測定分析装置。

【請求項14】
請求項11~13の何れかの荷電粒子エネルギーの角度分布測定分析装置が組み込まれた電子分光装置、電子回折装置、光電子分光装置、光電子回折装置、陽電子分光装置、陽電子回折装置、イオン脱離角度分布測定装置、結晶構造分析装置、材料表面分析装置、及び固体物性分析装置の群から選択される装置。

【請求項15】
請求項6~10の何れかの平行ビーム発生装置が、単一エネルギーの大口径平行イオンビーム源として組み込まれたイオンエッチングもしくはイオンスパッタリングを行う精密イオンエッチング装置。

【請求項16】
請求項11の角度分布測定分析装置において、前記平面コリメータプレートを負電位、前記蛍光スクリーンを正電位とし、前記平面コリメータプレートで発生する電子を増幅することを特徴とする広立体角X線検出器。

【請求項17】
請求項1~5の何れかの静電レンズと、前記静電レンズと同軸に配置される平面コリメータプレートとから構成され、
前記平面コリメータプレートに対して略垂直に入射する特定の運動エネルギー荷電粒子の出射後の軌跡が、前記静電レンズにより前記集光点に集光するように、前記静電レンズと前記平面コリメータプレートが共軸に配置されたことを特徴とする平行ビーム収束装置。

【請求項18】
前記平面コリメータプレートは、アスペクト比(孔径と孔長の比)1:5乃至1:20である細孔が開口率50%以上で設けられたことを特徴とする請求項17に記載の平行ビーム収束装置。

【請求項19】
請求項17又は18の平行ビーム収束装置が複数配置され、前記平面コリメータプレートが、特定の運動エネルギーの荷電粒子のみを選別するバンドパスフィルターとして機能し、前記平面コリメータプレートにより特定方向の荷電粒子流を取り出し、特定のエネルギーの粒子だけを前記静電レンズにより一点に集光させてエネルギー強度を計測する荷電粒子流方位・エネルギー計測装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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