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腎癌薬物療法の効果判定のための血中バイオマーカー

国内特許コード P180015094
整理番号 (S2016-0050-N0)
掲載日 2018年6月20日
出願番号 特願2017-545194
登録番号 特許第6325177号
出願日 平成28年10月11日(2016.10.11)
登録日 平成30年4月20日(2018.4.20)
国際出願番号 JP2016080084
国際公開番号 WO2017065127
国際出願日 平成28年10月11日(2016.10.11)
国際公開日 平成29年4月20日(2017.4.20)
優先権データ
  • 特願2015-202614 (2015.10.14) JP
発明者
  • 中井川 昇
  • 上野 大樹
  • 矢尾 正祐
出願人
  • 公立大学法人横浜市立大学
発明の名称 腎癌薬物療法の効果判定のための血中バイオマーカー
発明の概要 腎癌薬物療法剤の有効性を血液検査によって簡便に判定することを可能にする手段が開示されている。本発明による腎癌治療のための薬物療法の効果判定を補助する方法は、腎癌治療のための薬物療法を受けている腎癌患者から分離された血液試料中のPARK7レベルを測定することを含む。PARK7レベルの上昇は、当該薬物療法が効果的ではないことの指標となる。また、血中PARK7レベルを指標とすれば、腎癌治療薬の候補物質の有効性を判定することもできる。
従来技術、競合技術の概要


腎癌の日本国内における発生頻度は10万人当たり7~8人とされており、年々増加している。腎癌治療の原則は外科的切除であるが、全腎癌患者の30%程度が転移をきたし進行性と言われている。手術が困難な進行性症例に対しては、薬物療法や免疫療法が適用される。



腎癌患者に対して現在使用可能な薬物療法剤は分子標的薬であり、血管新生を阻害するチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の他、mTOR阻害剤がある。このような薬物療法剤の腎癌に対する有効性は、CTスキャン等の画像により調べた腫瘍の縮小率によって判定が行われている。しかしながら、縮小をほとんど認めない薬剤もあり、効果判定自体が困難とされている。例えば、TKIの奏効率(腫瘍縮小率)は、従来の抗がん剤ほど著明ではなく、CT画像で30%以上の縮小を認める症例は10~30%程度である。また、薬物療法が有効な患者においても、CTスキャンによって縮小が認められるまでに数か月かかることが多い。そのため、現状では、CT画像にて明らかな進行が確認されるまで薬物療法剤の投与を継続している。



TKIには高血圧、下痢、全身倦怠感、手足症候群など、従来の抗がん剤とは異なる様々な副作用があり、問題視されている。薬物療法による治療を開始して早期の段階で治療効果が判定できれば、実は効果が得られていない無効な治療を継続することが無くなり、患者の予後改善やQOLの改善につながる。しかしながら、上述の通りCTスキャンによる効果判定は迅速性に欠けるという問題がある。そのうえ、CTスキャンを頻回にとることは放射線被曝の問題から困難であり、薬物療法剤の変更のタイミングが遅れることがある。腎癌の病態を反映する特異的な血液検査法(血中バイオマーカー)を確立できれば、被爆の問題がなく頻回の検査が可能であり、CTスキャンの無い施設であっても必要なタイミングで効果判定が可能となるが、そのような血中バイオマーカーは現状存在しない。



DJ-1は、協調的に細胞を癌化させる新規癌遺伝子として北大有賀らによって1997年に単離された。その後、同遺伝子は、2003年に家族性パーキンソン病の原因遺伝子PARK7として単離され、現在ではPARK7/DJ1と称されている。PARK7/DJ1が、活性酸素による酸化ストレスの防御や、転写調節、プロテアーゼ、ミトコンドリア機能調節に関わるという報告があり、また乳癌や非小細胞肺癌との関連性も指摘されている(非特許文献1、2)。PARK7/DJ1と腎癌(renal carcinoma)に関する報告は、2009年のSitaramらの報告(非特許文献3)と2013年のBaumunkらの報告(非特許文献4)の2件がある。



非特許文献3では、RT-PCRでPARK7/DJ-1、c-Myc及びhTERTの発現を解析しており、PARK7/DJ-1の発現は正常組織(n=49)<乳頭状腎細胞癌(n=23)<腎明細胞癌(n=153)と腎細胞癌(RCC)で高発現していることなどが報告されているが、DJ-1、cMyc、hTERTの発現と予後に相関は認めなかったとされている。



非特許文献4では、RCC91例でPDK-1及びPARK7/DJ1の発現をRT-PCR解析しており、PARK7/DJ1は正常腎組織、RCCともに発現を認めたが、両者に差はなく、臨床・病理学的にも相関を認められるようなものはなかったとされている。



以上のように、腎癌の進行ないしは活動性とPARK7の組織内発現との相関は既報では否定的であり、ましてや血中PARK7レベルと腎癌薬物療法の治療効果に相関があること、PARK7が腎癌薬物療法の効果判定のための血中バイオマーカーとして有用であることは、全く知られていない。

産業上の利用分野


本発明は、腎癌薬物療法の効果判定のための血中バイオマーカーに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
腎癌治療のための薬物療法を受けている腎癌患者から分離された血液試料中のPARK7レベルを測定することを含む、前記薬物療法の効果判定を補助する方法であって、PARK7レベルの上昇は、当該薬物療法が効果的ではないことの指標となる、方法。

【請求項2】
PARK7レベル上昇は、前記血液試料中のPARK7レベルの測定値が、前記患者の少なくとも前回測定値よりも高いことを意味する、請求項1記載の方法。

【請求項3】
前記血液試料が血漿試料又は血清試料である、請求項1又は2記載の方法。

【請求項4】
腎癌薬物療法の効果判定血中バイオマーカーとしてのPARK7の使用であって、患者における血中PARK7レベルの上昇は、当該患者が受けている腎癌薬物療法が効果的ではないことを示す、使用。

【請求項5】
PARK7からなる、腎癌薬物療法の効果判定血中バイオマーカーであって、患者における当該バイオマーカーの血中レベルの上昇は、当該患者が受けている腎癌薬物療法が効果的ではないことを示す、バイオマーカー。

【請求項6】
腎癌治療薬の候補物質の効果判定を補助する方法であって、腎癌を有する被検体から前記候補物質の投与前及び投与後に分離された血液試料中のPARK7レベルを測定することを含み、投与後の血液試料におけるPARK7レベル低下、当該候補物質が腎癌治療に有効である可能性があることの指標となり、ここで、前記PARK7レベルの低下は、投与後の血液試料におけるPARK7レベルが投与前の血液試料におけるPARK7レベルよりも低いことを意味する、方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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