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光計測システムおよび光計測方法 UPDATE

国内特許コード P180015107
整理番号 S2017-0008-N0
掲載日 2018年6月20日
出願番号 特願2016-204385
公開番号 特開2018-066608
出願日 平成28年10月18日(2016.10.18)
公開日 平成30年4月26日(2018.4.26)
発明者
  • 伊藤 雅英
  • 星野 鉄哉
  • 桜井 健次
  • 渡辺 紀生
  • 青木 貞雄
出願人
  • 国立大学法人 筑波大学
発明の名称 光計測システムおよび光計測方法 UPDATE
発明の概要 【課題】単純な光学系であって、多数の微粒子の形状およびサイズを推定することを可能とする、光計測システムおよび光計測方法を提供する。
【解決手段】本発明の光計測システムは、レーザー光源102と、レーザー光源102を用いて微粒子Pに照射するレーザー光L1の集光スポットの形状を、線状となるように調整するレーザー光集光スポット形状調整手段103と、レーザー光L1の集光スポットを、微粒子Pの位置に合うように調整するレーザー光集光スポット位置調整手段104と、レーザー光L1の光軸と直交する軸を中心に、微粒子Pと集光スポットとを相対的に回転させて、微粒子Pに対するレーザー光L1の入射角度を調整するレーザー光入射角度調整手段105と、微粒子Pから散乱される散乱光を利用して、前記微粒子の投影像を表示する微粒子投影像表示手段106と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


光学的に粒子の吸収スペクトルを得る従来の手法として、X線吸収分光法、紫外/可視分光法、赤外分光法等があり、特に、単独微粒子の吸収スペクトルを得る手法として、顕微赤外分光法がある。顕微赤外分光法は、赤外光と集光システムを用いて、散乱体の吸収スペクトルから光散乱体の消光係数(あるいは吸収係数)を読み取る手法である(非特許文献1)。一般に、この手法では、フィルム状の試料で得られるような定量的なスペクトルを、粒状の試料から得るのは難しいとされている(非特許文献2、3)。



赤外線吸収スペクトルは、官能基の同定や未知試料の同定に、産業界及び大学にて広く利用されている。赤外線吸収スペクトルは、核磁気共鳴スペクトルと異なり、溶媒に溶けないものでも簡便に計測でき、また、質量分析と比較して定量性があるという点で優れている。そのため、例えば、固体中における、部分的な反応の追跡に有効である。赤外線の計測用試料としては、一般に、KBrと一緒に乳鉢ですりつぶし、圧力をかけて錠剤としたものが用いられるが、粒子の状態で計測することは非常に難しい。その理由は、粒子の状態ではスペクトルに歪みが出ることや再現性が乏しいことにある。一方、粒径の影響なく解析ができるラマン散乱では、個別粒子スペクトル計測の装置が市販されていることから分かるように、粒子ごとに組成を計測することの重要性は高い。



赤外線吸収スペクトルに歪みが出る理由は、粒径が照射光の波長近傍の共鳴領域にある場合に、散乱パターンが、波長によって大きく変化することであるとして、説明することができる(非特許文献4、5)。粒径が波長の半分以下である場合には、透過光は散乱せず、直進する。一方、波長の20倍以上である場合には、空気との界面で屈折し、曲げられるという比較的単純な理論(幾何光学)で説明できる。中間の波長領域では、波長と粒径の関係によって、複雑に散乱する。通常の有機合成で作製される粉末のサイズは、μmオーダーであることが多く、赤外線の共鳴領域に当たっている。そのため、再現性の高いデータを得るために、粒径が波長の半分以下となるように試料を前処理して測定されることが多い。



赤外計測の場合、一つの試料作製にかかる時間は1時間弱であり、数百個あるいは数千個の試料を作製して、それらを全て計測するのは事実上不可能である。前処理が、粒子ごとに計測する際の障害となっている。粒子の前処理なしで、解析可能な吸収スペクトルを得るには、粒径・形状を正確に計測し、シミュレーションにより、計測結果を補正する必要がある。そのために、単一微粒子の粒径・形状を正確に計測することが求められる。



波長近傍のサイズにおいては、従来のレンズ結像を利用した計測では、単一微粒子の粒径・形状を正確に計測することは難しい。実験でレンズ倍率が高いと焦点合わせが難しいことがその理由として挙げられるが、得られた像の解析において、より本質的な問題がある。結像の輪郭を形状とした場合、光は粒子近傍を直進しているという仮定が入っているが、粒径が波長に近いと回折効果が顕著となるためその仮定が成り立たなくなる。このため、レンズを使わずに光散乱パターンの解析による微粒子の計測が検討されている。



粒子形状やサイズを光散乱で正確に計測するには、回折効果を正確に評価する必要があるが、波長の近傍の粒径では、特にこの評価が難しい。この波長近傍の光散乱から様々な形状を正確に求める計算手法が考案され(非特許文献6)、さらに、この振る舞いを詳細に検討することで、正確な計測を行う手法が考案されている(非特許文献7)。この手法を用いることで、粒径・形状を正確に計測し、シミュレーションにより、吸収スペクトルを補正することができる(非特許文献8、特許文献1)。



波長近傍の粒径(共鳴領域)において単独の微粒子の吸収スペクトルを歪みなく得るという試みは、これまでうまくいかなかった。そこには、二つの問題がある。一つは微粒子の形状・サイズを簡便かつ正確に計測する手法がなかったこと、もう一つは、不規則な形状の単独微粒子の吸収を正確に計測・解析する手法がなかったことである(非特許文献9)。



微粒子の散乱パターンの解析は、粒子形状が球形に近い場合を除いて、あまりうまくいっていない。その理由は、計算時間、プログラミング時間、精度を高い次元で両立させることができなかったことにある。例えば、discrete dipole approximationやT-matrixという計算手法が形状計測に利用されているが、計測可能なサイズに制約があり、実用レベルには至っていない(非特許文献10、11)。現在、実用レベルで利用されているのは、球体近似(Mie理論)または、微粒子の3次元的な取り扱いが難しいフラウンホーファー近似である(非特許文献12)。本発明者は、様々な形状について、簡便に精度良く計算する方法を考案し、この問題に対応している(非特許文献7)。



光の電場の計算に使用しているアルゴリズムとしては、厳密結合波解析という方法によるものがあり、1980年代にMoharamとGaylordによって開発され、今では市販のプログラムも販売されている。この方法の欠点は、周期的な構造にしか適用できないことである。これに対し、本発明者らは、孤立した形状に適用する方法を見出している(非特許文献13)。他の厳密な電場の計算手法と比較して、様々な形状・材質に容易に対応できることと、新たなプログラムの開発の必要がほぼないことで優れている。そのため、本発明者らが見出した方法は、未知の形状の微粒子の光散乱の計算に適している。



従来、微粒子の形状を得る方法としては、X線CTが用いられており、有機物に関しても、軟X線による計測が試みられている(非特許文献16、17)。これは、微粒子のサイズが波長の20倍以上であるときに有効な方法である。また、X線散乱だけを用いた未知形状の微粒子についても、2次元での解析が行われており(非特許文献18)、さらに、3次元についても研究が進められている(非特許文献19)。本発明者らは、非特許文献7において、シミュレーションに偏光を考慮する波動光学を用いた方法を開示している。この方法では、特に粒子サイズが波長の0.5~10倍程度のときに、散乱パターンの高い計算精度を見込むことができる。未知形状の微粒子についても、非特許文献7の計算を繰り返し併用することで、原理的には、従来の方法より高精度に、形状・サイズを求められることが、2次元では示されている。しかし、同方法を用いて、未知形状の微粒子の3次元的な解析をどのように行えばよいか、そして、実験レベルで具体的に、どのような計測方法を用いればよいかは明らかにされていない。



例えば、以下の問題が存在する。
i)粒子を固定する支持体をどうするか。
ii)粒子を支持体とともに回転させたときに、どのようにして、集光点からずれないようにするか。
iii)粒子と支持体、さらにレンズを、一緒に光学的に解析するためにはどうするか。
iV)多数の粒子から一つの粒子を特定するにはどうすればよいか。



これらの問題の解決が難しい理由は、多数の粒子から一つの粒子を選択するには平行光でなく集光を用いなければいけない点(理由1)と、集光を含めた微粒子のシミュレーションが難しい点(理由2)にある。(理由1)は、集光してしまうと、特定粒子とまわりの粒子との位置関係を把握するのが難しくなることによる。(理由2)は、集光位置を正確に把握しないと、シミュレーションができないが、集光位置を直接、正確に計測するのは、計測時間・装置コスト・精度のいずれにも壁があることによる。



多数の粒子の吸収スペクトルを個々に解析する場合、多大な時間を要するため、この解析を人手で行うことは難しい。そこで、この解析を自動化する必要がある。赤外線吸収スペクトルを例にとると、粒子が一つの場合、この粒子の吸収スペクトルは、水酸基、カルボニル基、アミノ基等の官能基の種類によって、吸収のピーク位置が概ね特定される。吸収スペクトルのピークの波数が、ある範囲に入っていると考え、特定の範囲でのピークの有り無しを符号化したファイル(シグニチャファイル)を作成する(非特許文献20)。このファイルを既存のデータベースと照合することにより、成分の同定を行うことができる。一方、多数の粒子に対して、こうした方法をどのように適用すればよいかは、まだ知られていない。



多数成分の分類は、クラスタリングを用いれば、解析できることが知られている(非特許文献21)。クラスタリングとは、複数の標本の属性を、N次元座標で表し、標本間の座標の距離をもとに、いくつかの種類に分類する手法である。標本間の距離の取り方としては、ユークリッド距離を用いる方法が最も知られている。

産業上の利用分野


本発明は、散乱光を利用して多数の微粒子の情報を取得する、光計測システムおよび光計測方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
支持台に載置された微粒子に光を照射して、前記微粒子に関する情報を取得する光計測システムであって、
レーザー光源と、
前記レーザー光源を用いて前記微粒子に照射するレーザー光の集光スポットの形状を、線状となるように調整するレーザー光集光スポット形状調整手段と、
前記レーザー光の集光スポットを、前記微粒子の位置に合うように調整するレーザー光集光スポット位置調整手段と、
前記レーザー光の光軸と直交する軸を中心に、前記微粒子と前記集光スポットとを相対的に回転させて、前記微粒子に対する前記レーザー光の入射角度を調整するレーザー光入射角度調整手段と、
前記微粒子から散乱される散乱光を利用して、前記微粒子の投影像を表示する微粒子投影像表示手段と、を備えていることを特徴とする光計測システム。

【請求項2】
さらに、前記レーザー光入射角度調整手段で調整された各入射角度で得られた前記微粒子の投影像の形状の情報を組み合わせて、前記微粒子の3次元形状を推定する微粒子形状推定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光計測システム。

【請求項3】
さらに、白色光源と、
前記白色光源を用いて微粒子に照射する白色光の集光スポットのサイズを、調整する白色光集光スポットサイズ調整手段と、
前記白色光の集光スポットを、前記微粒子の位置に合うように調整する白色光集光スポット位置調整手段と、
前記微粒子から散乱される散乱光の強度の波長分布から、前記微粒子の吸収スペクトルを計測する微粒子吸収スペクトル計測手段と、を備えていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光計測システム。

【請求項4】
支持台に載置された微粒子に光を照射して、前記微粒子に関する情報を取得する光計測方法であって、
レーザー光源を用いて前記微粒子に照射するレーザー光の集光スポットの形状を、線状となるように調整するレーザー光集光スポット形状調整ステップと、
前記レーザー光の集光スポットを、前記微粒子の位置に合うように調整するレーザー光集光スポット位置調整ステップと、
前記レーザー光の光軸と直交する軸を中心に前記微粒子と前記集光スポットとを相対的に回転させて、前記微粒子に対する前記レーザー光の入射角度を調整するレーザー光入射角度調整ステップと、
前記微粒子から散乱される散乱光を利用して、前記微粒子の投影像を表示する微粒子投影像表示ステップと、を有していることを特徴とする光計測方法。

【請求項5】
前記レーザー光入射角度調整ステップで調整された各入射角度に対応して前記微粒子投影像表示ステップで表示される投影像の形状の情報を組み合わせて、前記微粒子の3次元形状・サイズを推定する微粒子形状・サイズ推定ステップを有することを特徴とする請求項4に記載の光計測方法。

【請求項6】
前記微粒子の3次元形状・サイズを推定する前または推定した後に、
白色光源を用いて前記微粒子に照射する白色光の集光スポットのサイズを、調整する白色光集光スポットサイズ調整ステップと、
前記白色光の集光スポットが前記微粒子の位置に合うように調整する白色光集光スポット位置調整ステップと、
前記微粒子から散乱される散乱光の強度の波長分布から、前記微粒子の吸収スペクトルを計測する微粒子吸収スペクトル計測ステップと、を有することを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の光計測方法。

【請求項7】
前記集光素子と前記微粒子との距離、および、前記光軸と前記微粒子との距離を、レーザ光源の波長λに対して、0.0010λ以上100λ以下の範囲で調整することを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の光計測方法。

【請求項8】
前記微粒子の3次元形状・サイズと前記波長分布の情報から、前記波長分布の前記断面形状依存性を抽出し、
前記波長分布に対して、前記3次元形状・サイズに依存しないものとなるように校正を行うことを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の光計測方法。

【請求項9】
前記微粒子の吸収スペクトルを特定の波長範囲ごとに区切り、各波長範囲における前記吸収スペクトルのピークの有無を符号化したシグニチャファイルを作成し、
既知の成分を有する微粒子の吸収スペクトルにおいて、得られているシグニチャファイルと照合することにより、前記微粒子の成分を同定することを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の光計測方法。

【請求項10】
前記微粒子の吸収スペクトルのピークの波長または波数を、前記シグニチャファイルと照合することにより、前記微粒子の成分を同定することを特徴とする請求項9に記載の光計測方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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