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壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法、装置、及び、表面修飾パターンの定量的可視化方法、装置 新技術説明会 外国出願あり

国内特許コード P180015123
整理番号 P1J1-1535
掲載日 2018年6月25日
出願番号 特願2010-532874
登録番号 特許第5328799号
出願日 平成21年9月25日(2009.9.25)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
国際出願番号 JP2009066652
国際公開番号 WO2010041560
国際出願日 平成21年9月25日(2009.9.25)
国際公開日 平成22年4月15日(2010.4.15)
優先権データ
  • 特願2008-263639 (2008.10.10) JP
発明者
  • 佐藤 洋平
  • 嘉副 裕
  • 宮川 修
出願人
  • 学校法人慶應義塾
発明の名称 壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法、装置、及び、表面修飾パターンの定量的可視化方法、装置 新技術説明会 外国出願あり
発明の概要 帯電量ないし帯電特性が異なり、且つ、蛍光波長の異なる複数の蛍光色素を溶液に混入させ、該溶液を測定対象面に流し、前記測定対象面をエバネッセント波によって励起することにより、各蛍光色素の濃度分布に応じた複数色の蛍光強度分布を生成させ、前記蛍光の複数色の強度を各色に分離して取得可能な2次元撮像素子を用いて、測定対象面の蛍光強度を測定することにより、前記複数色の蛍光強度の比を計算し、あらかじめ作成しておいた、前記蛍光強度の比と壁面におけるゼータ電位、pH又は温度との関係式を使って、壁面におけるゼータ電位、pH又は温度の2次元分布に変換する。これにより、壁面におけるゼータ電位、pH又は温度の2次元分布や表面修飾をリアルタイムに可視化し、更に定量的に評価可能とする。
従来技術、競合技術の概要


表面科学の分野において、吸着性や濡れ性といった物質表面の性質について多くの研究が行われてきた。更にSAMs(Self-assembled monolayers)(Whitesides, G. M. et al., Annu. Rev. Biomed. Eng., 3, 335-373, 2001.[以下、非特許文献1]参照)と呼ばれる、有機物の単分子膜を物質表面に形成させる表面修飾技術が考案され、物質表面の性質を能動的に変化させる試みも多く行われてきた。



近年、試料の分離・混合・反応・検出といった機能を集積化したマイクロ流体デバイスの発展に伴い、固液界面の電位であるゼータ電位(Kirby, B. J. et al., Electrophoresis, 25, 187-202, 2004.[以下、非特許文献2]参照)が、これらの動電学を利用したデバイスの性能を決定する重要なパラメータの一つとなった。電気化学、生物化学の分野では、マイクロ流体デバイス内に表面修飾をパターン状に施し、濡れ性や物質吸着性を制御する研究が盛んに行われている。



こうした物質表面に関する研究を受けて、表面の性質を評価しようとする計測技術が考案されてきた。電子顕微鏡を用いて物質表面の構造を可視化した手法(Lopez, G. P. et al., Langmuir, 9, 1513-1516, 1993.[以下、非特許文献3]参照)、SAMsの膜厚や内部に含まれる分子の種類によって表面修飾を評価する手法(Yang, X. M. et al., Appl. Phys. Lett., 69(26):4020-4022, 1996.[以下、非特許文献4]参照)、あるいは、濡れ性を用いて表面の性質を評価した手法(Lopez, G. P. et al., Science, 260, 647-649, 1993.[以下、非特許文献5]参照)などが提案されてきた。



前記のようなマイクロ流体デバイスの性能評価や最適設計に向けて、デバイス内流路表面のゼータ電位の定量的な計測が有効である。即ち、デバイス内流路の壁面に施された表面修飾パターンや、液体試料混合により発生するゼータ電位の2次元分布を定量的に可視化すれば、デバイス性能への寄与を評価することが可能となる。



従来までのマイクロ流動場におけるゼータ電位の計測法としては流動電位法(Oldham, I. B. et al., J. Colloid Sci., 18, 328-336, 1963.[以下、非特許文献6]参照)、電流モニタリング法(Sze, A. et al., J. Colloid Interface Sci., 261, 402-410, 2003.[以下、非特許文献7]参照)、あるいは、電気浸透流速度を計測してHelmholtz-Smoluchowskiの式を用いて算出する方法(Sinton, D. et al., J. Colloid Interface Sci., 254, 184-189, 2002.[以下、非特許文献8]参照)などが考案されてきたが、いずれも流路全体の平均としてのゼータ電位の計測法であった。



一方、発明者のうち二人が開発したナノ・レーザ誘起蛍光法(Kazoe, Y. and Sato, Y., Anal. Chem., 79, 6727-6733, 2007.[以下、非特許文献9]参照)によって、初めてデバイス内におけるゼータ電位の2次元分布の計測が可能となった。このナノ・レーザ誘起蛍光法は、水溶液中で陰イオン化する蛍光色素(赤色)、および屈折率の異なる界面における光の全反射によって発生するエバネッセント波(Axelrod, D. et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 13, 247-268, 1984.[以下、非特許文献10]、特開2007-85915号公報[以下、特許文献1]参照)を用いている。エバネッセント波は,強度が界面からの距離に対して指数関数的に減衰するため、これを流路壁面において発生させることにより、壁面からの距離数百ナノメートル程度の壁近傍の範囲を照明することができる。蛍光色素を水溶液に混入して流路内に流入すると、負極に帯電した蛍光色素の壁面近傍の濃度分布は、壁面ゼータ電位に依存して変化する。よって、エバネッセント波により励起した際の蛍光強度もゼータ電位に依存する。従って、蛍光強度の分布からゼータ電位分布を知ることができる。



前記ナノ・レーザ誘起蛍光法によりゼータ電位の2次元分布を取得するためには、CCDカメラにより蛍光強度画像を取得するが、取得画像は励起光強度の分布に起因する蛍光強度分布を含んでいるため、リファレンス画像を取得して補正を行う必要がある。そのため、CCDカメラで撮像される画像自体からはゼータ電位の2次元的な分布を可視化することは困難であり、リアルタイムでの計測には不向きである。また計測位置や流路形状が異なる際においても再度補正を行う必要があり、位置のずれに起因する計測誤差や、計測手法の煩雑さなどに難点があった。

産業上の利用分野


本発明は、壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法、装置、及び、表面修飾パターンの定量的可視化方法、装置に係る。特に、細胞生物分野、電気化学分野、マイクロ・ナノスケール熱流体工学分野に用いるのに好適な、壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法、装置、及び、これを利用した表面修飾パターンの定量的可視化方法、装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価に際して、
水溶液中で陽イオン化する第1の蛍光色素、及び、水溶液中で陰イオン化し、且つ、
前記第1の蛍光色素とは蛍光波長の異なる第2の蛍光色素を溶液に混入するステップと、
該溶液を測定対象面に流すステップと、
前記測定対象面をエバネッセント波によって励起することにより、各蛍光色素の濃度分布に応じた2色の蛍光強度分布を生成させるステップと、
前記蛍光の2色の強度を各色に分離して取得可能な2次元撮像素子を用いて、測定対象面の蛍光強度を測定するステップと、
前記2色の蛍光強度の比を計算するステップと、
あらかじめ作成しておいた、前記蛍光強度の比と壁面におけるゼータ電位との関係式を使って、前記蛍光強度の比の分布を、壁面におけるゼータ電位の2次元分布に変換するステップと、
を備えたことを特徴とする壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法。

【請求項2】
前記蛍光強度比と壁面におけるゼータ電位の関係を較正することを特徴とする請求項1に記載の壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法。

【請求項3】
前記第1の蛍光色素として、赤色発光のジクロロトリ(1,10-フェナントロリン)ルテニウム(II)ハイドレート(Dichlorotris(1,10-phenanthroline)ruthenium(II)hydrate)を用い、前記第2の蛍光色素として、緑色発光の3,6‐ジアミノ‐9‐[2,4‐ビス(リチオオキシカルボニル)フェニル]‐4‐(リチオオキシスルホニル)‐5‐スルホナトキサンチリウム/3,6‐ジアミノ‐9‐[2,5‐ビス(リチオオキシカルボニル)フェニル]‐4‐(リチオオキシスルホニル)‐5‐スルホナトキサンチリウム(3,6‐Diamino‐9‐[2,4‐bis(lithiooxycarbonyl)phenyl]‐4‐(lithiooxysulfonyl)‐5‐sulfonatoxanthylium/3,6‐diamino‐9‐[2,5‐bis(lithiooxycarbonyl)phenyl]‐4‐(lithiooxysulfonyl)‐5‐sulfonatoxanthylium)を用いることを特徴とする請求項1に記載の壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法。

【請求項4】
前記2次元撮像素子が、一台の3CCDカメラであることを特徴とする請求項1に記載の壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価方法。

【請求項5】
水溶液中で陽イオン化する第1の蛍光色素、及び、水溶液中で陰イオン化し、且つ、前記第1の蛍光色素とは蛍光波長の異なる第2の蛍光色素を溶液に混入する手段と、
該溶液を測定対象面に流す手段と、
前記測定対象面をエバネッセント波によって励起することにより、各蛍光色素の濃度分布に応じた2色の蛍光強度分布を生成させる手段と、
前記蛍光の2色の強度を各色に分離して取得可能な2次元撮像素子と、
該2次元撮像素子を用いて測定した2色の蛍光強度の比を計算する手段と、
あらかじめ作成しておいた、前記蛍光強度の比と壁面におけるゼータ電位との関係式を使って、前記蛍光強度の比の分布を、壁面におけるゼータ電位の2次元分布に変換する手段と、
を備えたことを特徴とする壁面におけるゼータ電位の分布の定量的評価装置。

【請求項6】
水溶液中で陽イオン化する第1の蛍光色素、及び、水溶液中で陰イオン化し、且つ、前記第1の蛍光色素とは蛍光波長の異なる第2の蛍光色素を溶液に混入するステップと、
該溶液を、表面修飾によってゼータ電位が局所的に分布している測定対象面に流すステップと、
前記測定対象面をエバネッセント波によって励起することにより、各蛍光色素の濃度分布に応じた2色の蛍光強度分布を得るステップと、
前記蛍光の2色の強度を各色に分離して取得可能な2次元撮像素子を用いて、測定対象面の蛍光強度を測定するステップと、
前記2色の蛍光強度の比を計算するステップと、
あらかじめ作成しておいた、前記蛍光強度の比と壁面におけるゼータ電位との関係式を使って、前記蛍光強度の比の分布を、壁面におけるゼータ電位の2次元分布に変換することにより、表面修飾パターンを可視化するステップと、
を備えたことを特徴とする表面修飾パターンの定量的可視化方法。

【請求項7】
前記表面修飾が、オクタデシルトリクロロシランによって行われたものである請求項に記載の表面修飾パターンの定量的可視化方法。

【請求項8】
水溶液中で陽イオン化する第1の蛍光色素、及び、水溶液中で陰イオン化し、且つ、前記第1の蛍光色素とは蛍光波長の異なる第2の蛍光色素を溶液に混入する手段と、
該溶液を、表面修飾によってゼータ電位が局所的に分布している測定対象面に流す手段と、
前記測定対象面をエバネッセント波によって励起することにより、各蛍光色素の濃度分布に応じた2色の蛍光強度分布を生成させる手段と、
前記蛍光の2色の強度を各色に分離して取得可能な2次元撮像素子と、
該2次元撮像素子を用いて測定した2色の蛍光強度の比を計算する手段と、
あらかじめ作成しておいた、前記蛍光強度の比と壁面におけるゼータ電位との関係式を使って、前記蛍光強度の比の分布を、壁面におけるゼータ電位の2次元分布に変換することにより、表面修飾パターンを可視化する手段と、
を備えたことを特徴とする表面修飾パターンの定量的可視化装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2010532874thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) 慶應義塾大学 理工学部 菱田・佐藤研究室
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