TOP > 国内特許検索 > 乳児の社会脳発達促進用栄養組成物
未熟児は、早産等で身体機能の発育が未熟のまま出生した子である。未熟児は、予定通りに生まれる新生児と比較して、生後の数日及び数週間における死亡率及び重病率が非常に高く、精神遅滞又は自閉症の発症リスクも高いことが知られている。世界保健機関(World Health Organization;WHO)の報告によると、毎年1500万人もの未熟児が産まれており、そのうちの100万人以上が死亡している。
未熟児を含む乳児は、母親の血液に含まれるホルモン、栄養、及び微生物群等を得るために、母乳の摂取が推奨されている。母乳に含まれるホルモンであるオキシトシンは、陣痛促進剤として発見された9個のアミノ酸からなる環状ペプチドであり、主として脳視床下部のオキシトシン作動性ニューロンで合成され、下垂体後葉の神経末端から循環中に放出される。オキシトシンの生理的機能としては、分娩時の子宮収縮、乳汁分泌の促進等の生殖関連ホルモンとしての作用と、中枢神経系における神経伝達物質及び神経モジュレーター(変調物質)としての作用とが知られている。近年では、脳内オキシトシンは、社会性行動において重要な作用を有することで注目されている(例えば、非特許文献1参照。)。 また、近年、自閉症スペクトラム障害及び統合失調症等の精神疾患を有するヒト及び健常なヒトの双方に多量のオキシトシンを鼻内投与した場合に血液脳関門(Blood brain barrier;BBB)を通過したとの報告がされている(例えば、非特許文献2参照。)。
本発明者らは、これまで、オキシトシンと後期糖化反応生成物受容体(Receptor for advanced gylcation end-products;RAGE)とが結合し、複合体を形成することを明らかにした(例えば、特許文献1参照。)。さらに、本発明者らは、RAGEが、BBBを通過させ、オキシトシンの脳内への移行を促進するための「トランスポーター」としての機能、及び血中でのオキシトシンを安定させるための「保護剤」としての機能を有することを明らかにした。
本発明は、乳児の社会脳発達促進用栄養組成物に関する。