TOP > クイック検索 > 国内特許検索 > 慢性骨髄性白血病治療剤及び該治療剤をスクリーニングする方法

慢性骨髄性白血病治療剤及び該治療剤をスクリーニングする方法

国内特許コード P180015143
整理番号 P15-041(2)
掲載日 2018年6月29日
出願番号 特願2017-014930
公開番号 特開2017-146297
出願日 平成29年1月31日(2017.1.31)
公開日 平成29年8月24日(2017.8.24)
優先権データ
  • 特願2016-025365 (2016.2.12) JP
発明者
  • 向田 直史
  • 馬場 智久
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 慢性骨髄性白血病治療剤及び該治療剤をスクリーニングする方法
発明の概要 【課題】CML初期段階における正常な造血プロセスを白血病性プロセスに変換する機構を解明して、新たな慢性骨髄性白血病治療剤又は骨転移治療剤となりうる標的物質を見出すことを課題とした。
【解決手段】CMLの初期段階における症状および病態を有するモデル動物を使用して、正常な造血プロセスを白血病性プロセスに変換する機構では、CML骨髄環境下において、好塩基球がCCL3を発現し、さらにCCL3は正常造血幹細胞に対するLICの優性増殖を促進することによって、慢性骨髄性白血病が発症することを見出した。さらに、好塩基球を減少させるなど、好塩基球の機能を直接的又は間接的に阻害することにより、慢性骨髄性白血病の発症又は骨転移を抑制することができることも確認した。これにより、好塩基球を標的物質とする新規な慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法、並びに、新規な慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤を完成した。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


(慢性骨髄性白血病)
慢性骨髄性白血病(以下、「CML」と称する場合もある)は、造血幹細胞(以下、「HSC」と称する場合もある)の悪性腫瘍化から生じる骨髄増殖性腫瘍である。わが国における慢性骨髄性白血病の頻度は10万人に1~2人と比較的まれで、成人における白血病全体の約20%を占める。
慢性骨髄性白血病の発症する原因は、明確には解明されていないが、慢性期、移行期および急性期(急性転化期)の3段階に分けられる(非特許文献1)。慢性期は無症状であり、病気の進行とともに、血液中の白血球数と血小板数が増加し、その後、次第に貧血になる。さらに、白血球数が増加するに従って、全身の倦怠感や、腹部の膨満感などの症状が現れる。90%以上のCML症例は、フィラデルフィア染色体の存在と関係している。この染色体は、染色体9と22の間の相互転座から生じて、BCR-ABL融合遺伝子を形成する(非特許文献2)。この遺伝子がCMLの病原であり(非特許文献3)、骨髄中のBCR-ABL融合遺伝子産物(活性化型チロシンキナーゼ)を発現した白血病幹細胞{leukemia initiating cells(LICs)}の存在が、CMLの慢性期の開始に深く関わっている(非特許文献4)。



BCR遺伝子のブレークポイントクラスタ領域は、BCR-ABL融合タンパク質をコードしている。BCR-ABL融合タンパク質は、造血幹細胞(HSC)をLIC に転換させることができる恒常的チロシンキナーゼ活性を示す。LICは、異種白血病細胞を次々と病理学的に生じさせることができる(非特許文献3、4)。造血に必須の部位は、骨髄(BM)の限られた領域内にある。CMLの開始プロセスの間に、少数のBCR-ABL-発現LICは、多数の正常な造血性細胞と共存する。正確なメカニズムは不明であるが、LICは、その後、正常なHSCを圧倒し、造血系全体で優勢となり、正常な造血のプロセスを白血病性プロセスに変換する。
更に、CML患者は、頻繁に骨髄及び末梢血(PB)中に好塩基球増多症を示し、それは、急性期においてより明白になる(非特許文献5、6)。しかしながら、慢性骨髄性白血病進行における好塩基球様白血病細胞の病因的役割はほとんど知られていない。



CCL3(Chemokine (C-C motif) ligand 3)は、MIP-1α(Macrophage inflammatory protein-1α)としても知られており、CCケモカインファミリーに属する。生体内BCR-ABL発現誘導によって、骨髄中でCCL3の異常な発現が生じることが報告されている(非特許文献7)。さらに、CCL3媒介シグナルは、Ablタンパク質のキナーゼ活性に応じて、正常なHSCおよび白血病幹細胞のin vitro増殖を、異なった方法で、制御することができることが報告されている(非特許文献8、9)。これらの報告は、CML発症の初期プロセスでの正常HSCと白血病幹細胞との間の相互作用に、CCL3が潜在的に関与していることを示唆している(非特許文献7)。
しかし、CCL3の正確な役割は、適切な実験モデル動物がないため不明であった。



本発明者らは、以前、非放射線照射マウスへの少数のLICの直接注入後にCML様疾患を発症できることを示した。このモデルにおいて、白血病細胞由来CCL3発現が優先的に正常なHSPC(造血幹細胞・前駆細胞)に作用すること、及びこの作用が最終的に骨髄中のLICの支配的な増殖をもたらし得ることを示した。
しかしながら、CCL3の細胞性ソース及び該作用の基礎となるメカニズムは不明であった(非特許文献10、特許文献1)。

産業上の利用分野


本発明は、慢性骨髄性白血病治療剤及び該治療剤をスクリーニングする方法に関し、より詳細には、慢性骨髄性白血病の初期段階の症状が誘導された非ヒト慢性骨髄性白血病モデル動物において、該白血病に関与する好塩基球を標的としたスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する試験化合物を選択することを特徴とする慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法。

【請求項2】
以下の工程を含む請求項1に記載のスクリーニング方法:
(1)試験化合物を、放射線非照射のヒト以外の動物でありかつBCR-ABL融合遺伝子が導入されている造血幹細胞が髄腔に移植された慢性骨髄性白血病モデル動物の骨髄に、投与する工程、及び
(2)該骨髄中の好塩基球の発現量を測定する工程。


【請求項3】
前記慢性骨髄性白血病は初期段階の慢性骨髄性白血病である、請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。


【請求項4】
前記ヒト以外の動物が免疫不全マウスまたは免疫不全ラットである、請求項1~3のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項5】
前記造血幹細胞がモデル動物と同種の動物由来の造血幹細胞である、請求項1~4のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項6】
前記髄腔が脛骨または大腿骨の骨髄の髄腔である、請求項1~5のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項7】
自己の正常造血幹細胞と移植された細胞が前記髄腔内に共存している、請求項1~6のいずれか一に記載のスクリーニング方法。

【請求項8】
好塩基球若しくは好塩基球改変体の作用又は発現を阻害する化合物又は抽出物を含む慢性骨髄性白血病又は骨転移の治療剤又は予防剤。


【請求項9】
前記骨転移は乳癌による骨転移である、請求項8に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項10】
前記化合物がCCR5阻害剤である、請求項8又は9に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項11】
前記化合物がマラビロクである、請求項8~10のいずれか1に記載の治療剤又は予防剤。

【請求項12】
前記化合物又は抽出物が、ビクリビロク、バイカリン・フラボノイド、Trigonostema xyphophylloides抽出物(TXE)、又はVatica astrotricha抽出物である請求項8~10のいずれか1に記載の治療剤又は予防剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close