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グラフェン膜の作製方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P180015261
整理番号 2015001861
掲載日 2018年9月18日
出願番号 特願2015-197158
公開番号 特開2017-066506
出願日 平成27年10月2日(2015.10.2)
公開日 平成29年4月6日(2017.4.6)
発明者
  • 金 載浩
  • 榊田 創
出願人
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 グラフェン膜の作製方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】 プラズマCVDによるグラフェン膜の低温作製において、高真空プロセス、かつ欠陥が増えて品質が低下する問題を解決すべく、より高圧プロセスで、欠陥が少ない良質なグラフェン膜作製手法、およびグラフェン膜を提供する。
【解決手段】含炭素ガスをノズルから前記基材の表面に吹き出しながら、前記ノズルにマイクロ波を印加してプラズマを生成するとともに、前記ガスの流速を制御して、前記ラジカルを前記基材の表面に強制拡散させることにより、金属基材表面にグラフェン膜を形成する。
【選択図】 図3
従来技術、競合技術の概要


グラフェンは、炭素原子とその結合から六角形に繋がった平面構造で、1原子の厚さのsp2結合の炭素原子シートである。グラフェンは、化学的・物理的に安定して、高導電性、大電流密度耐性、電子とホールの高移動度、高熱伝導性、高光透過性などの優れた特性を持っていることから、次世代のエレクトロニクス素材として注目されている。



透明導電膜や、電子素子の配線材や、電子素子の熱伝導材などのエレクトロニクス素材として、グラフェンを利用する際には、単結晶膜または多結晶膜の形状で利用される。グラフェン膜の層数が10層以上になると通称のグラファイト膜の物性に近くなるため、多結晶膜のグラフェンをエレクトロニクス素材として利用するためには、グラフェンの優れた物性が維持できる層数が10層以下のグラフェン膜が望ましい。



グラフェン産業を実現するためには、工業用量産技術の開発が不可欠である。グラフェン膜の作製方法として、グラファイトからグラフェンを剥離する方法などの様々な方法が開発されているが、なかでも、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)が大面積化に向いており、工業用量産技術として期待されている。



近年、熱CVD法が開発されている(非特許文献1参照)。熱CVD法によるグラフェンの作製は、炉心管にリアクタとして石英管を使用した真空排気可能な石英チューブ炉を用いて行う。しかし、1000℃以上の高温リアクタが必要であるし、構造上、大面積化に限界があるため、工業用量産技術として限界がある。



グラフェン産業の半導体プロセスとの親和性を高め、既存の半導体生産ラインへの適用を可能にするためには、作製温度を500℃以下にすることが望ましい。そこで、プラズマCVD法を用いたグラフェン膜の低温作製方法が開発され、工業用量産技術としての将来性が注目されている。



通常、プラズマCVD処理用プラズマの特性は、プラズマを生成する圧力に強く依存するため、プラズマを圧力に対して次の三つの種類に分けられる。
(1)低圧プラズマ:圧力領域 0.01Torr ~ 1.0Torr
(2)中間圧プラズマ:圧力領域 1.0Torr ~ 100Torr
(3)高圧プラズマ:圧力領域 100Torr ~ 760Torr(大気圧)



マイクロ波を用いた表面波プラズマCVD法により、低温(基材温度500℃以下)・低圧(50Pa(0.375Torrに相当)以下)でグラフェン膜を作製する技術が報告されている(特許文献1、2参照)。
図13に従来のマイクロ波を用いた表面波プラズマCVD装置の模式図を示す。マイクロ波を用いた表面波プラズマCVD装置は、上端が開口した金属製のリアクタ(40)と、リアクタ(40)の上端部に金属製支持部材(44)を介して気密に取り付けられたマイクロ波を導入するための誘電体窓(43)と、その上部に取り付けられたスロット(47)付き矩形マイクロ波導波管(42)とから構成されている。リアクタ(40)の内部のプラズマ生成室(41)に設置された試料台(46)に基材(45)を載置し、プラズマCVD処理を行うことにより、グラフェン膜を作製する。



また、マイクロ波を用いた表面波プラズマCVD法を用いて、低温(基材温度600℃以下)・中間圧(3 Torr)でグラフェン膜の作製方法が開発された(特許文献3参照)。



また、パルス電源(パルス周波数10 kHz、パルス幅1μs、電圧±700 V)を用いたプラズマCVD法が開発され、低温(基材温度400℃以下)、かつ中間圧(5Torr)でグラフェン膜の作製が可能になった(特許文献4参照)。



また、平行平板型大気圧パルスプラズマを用いたCVD法が開発され、低温(基材温度600℃以下)、かつ高圧でグラフェン膜の作製が可能になった(特許文献5参照)。



一方、低圧から中間圧および高圧において、プラズマを安定に生成・維持できるマイクロ波プラズマ処理装置が開発されている(非特許文献2~4、特許文献6~9)。
これらの装置は、導波管の代わりにマイクロストリップ線路をマイクロ波伝送線路として用いたマイクロ波プラズマ処理装置であって、従来の導波管を用いたマイクロ波プラズマ処理装置より、単純な構造、安価な製作、低電力運転などのメリットを持っており、これからの様々な産業的応用が期待されている。
特に、非特許文献3、4では、大気圧においてマイクロストリップ線路を元に開発したプラズマを大気圧CVDへ応用し、枝状のグラファイト、アモルファスカーボン(DLC:diamond like carbon)、およびナノクリスタルダイヤモンド(NCD:nanocrystalline diamond)をシリコン基材上に合成しており、マイクロストリップ線路を用いて作製したマイクロ波プラズマ処理装置の大気圧CVD用プラズマ源としての可能性を確認している。

産業上の利用分野


本発明は、グラフェン膜の作製方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基材の表面にマイクロ波プラズマ生成してグラフェン膜を形成するグラフェンの成膜方法であって、
ノズルから炭素系ガスを含む原料ガスを前記基材の表面に吹き出しながら、前記ノズルの内部及び/又は前記ノズルの端又は周辺にマイクロ波を印加することにより、前記原料ガスからラジカルを含むプラズマを生成するとともに、前記原料ガスの流速を制御して、前記ラジカルを前記基材の表面に強制拡散させる工程を含むことを特徴とするグラフェン膜の作製方法。

【請求項2】
前記ノズルの、マイクロ波の電界がかかる方向の開口を1mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項3】
前記ノズルが、1mm以下の隙間を有するスリット形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項4】
前記プラズマから前記基材の表面へのイオン衝撃が減るように、前記工程が行われる圧力を前記プラズマにおけるイオンの平均自由行程がデバイ長より小さくなる圧力より高く設定することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項5】
前記工程が行われる圧力を1Torr以上に設定することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項6】
前記工程を500℃以下の基材温度で行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項7】
前記マイクロ波を印加するために、マイクロ波伝送線路としてマイクロストリップ線路又はストリップ線路を用いることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項8】
前記工程の処理時間に関係なくグラフェン膜の層数が1~2層で成長が止まる自己成長停止の成長条件でグラフェン膜を作製することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項9】
前記基材をフレキシブルな基材とし、該基材をロール状で連続的に動かすことにより、グラフェン膜をロールツーロール方式で連続作製することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のグラフェン膜の作製方法。

【請求項10】
前記フレキシブルな基材にしわとひずみが発生することを低減するため、前記フレキシブルな基材をサポートする成膜ローラを設け、前記成膜ローラの形状に沿って前記ノズルを複数配列して、プラズマを生成することを特徴とする請求項9に記載のグラフェン膜の作製方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2015197158thum.jpg
出願権利状態 公開
参考情報 (研究プロジェクト等) 産総研電子光技術研究部門先進プラズマプロセスグループ
ライセンス等を御希望の方又は特許の内容に興味を持たれた方は,下記「問合せ先」まで直接お問い合わせくださいますよう,お願い申し上げます。


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