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チロシンホスファターゼ及びチロシンキナーゼ活性の測定方法

国内特許コード P180015283
整理番号 (S2015-1473-N0)
掲載日 2018年9月21日
出願番号 特願2017-544450
出願日 平成28年9月26日(2016.9.26)
国際出願番号 JP2016078224
国際公開番号 WO2017061288
国際出願日 平成28年9月26日(2016.9.26)
国際公開日 平成29年4月13日(2017.4.13)
優先権データ
  • 特願2015-198320 (2015.10.6) JP
発明者
  • 佐藤 伸一
  • 中村 浩之
  • 中野 洋文
出願人
  • 国立大学法人東京工業大学
発明の名称 チロシンホスファターゼ及びチロシンキナーゼ活性の測定方法
発明の概要 ハイスループット化に適し、高感度の測定方法として、下記の一般式(I)



〔式中、Aは共役環を表し、Lは末端に標識物質を有するリンカーなどを表し、R1は水素原子など表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子又はアルキル基などを表す。〕
で表される化合物を利用したチロシンホスファターゼ及びチロシンキナーゼの活性測定方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要


チロシンキナーゼはタンパク質のチロシン残基をリン酸化する酵素であり、それに対してチロシンホスファターゼはリン酸化されたチロシン残基を基質とし、脱リン酸化を触媒する酵素である。チロシンキナーゼ及びチロシンホスファターゼは生体内で重要な働きをしており、これらの酵素の発現異常などが疾患の原因となっていることも多い。例えば、チロシンキナーゼであるEGFR(上皮成長因子受容体)は、肺がんや大腸がんなどで過剰発現していることが知られており、また、チロシンホスファターゼであるPTP1Bは糖尿病に関係することが報告されている。このため、チロシンキナーゼ及びチロシンホスファターゼの活性を正確に測定することは、これらの酵素が関与する疾患の治療手段確立のために重要である。



チロシンキナーゼ活性の測定方法は、数多く知られており、例えば、32P放射性同位体を用いる方法(非特許文献1)、抗リン酸化抗体を用いる方法(非特許文献2)、キャピラリー電気泳動を用いる方法(非特許文献3)などが知られている。一方、チロシンホスファターゼ活性の測定方法については、あまり多くの方法が知られていない。よく使われる方法としては、マラカイトグリーンにより無機リン酸を定量し、それから活性を推定する方法(非特許文献4)やp-ニトロフェニルリン酸(pNPP)のようなリン酸化チロシンミミックとチロシンホスファターゼを反応させ、生成する脱リン酸化体を定量する方法(非特許文献5)がある。

産業上の利用分野


本発明は、チロシンホスファターゼ及びチロシンキナーゼ活性の測定方法に関する。また、本発明は、この測定方法に使用する測定キット、この測定方法を利用したチロシンホスファターゼ阻害剤若しくは活性化剤及びチロシンキナーゼ阻害剤若しくは活性化剤のスクリーニング方法、並びにこの測定方法を利用した診断薬に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程を含むことを特徴とするチロシンホスファターゼ活性の測定方法、
(1)測定対象とするチロシンホスファターゼとリン酸化チロシン残基を含むペプチドを反応させ、リン酸化チロシン残基を脱リン酸化する工程、
(2)脱リン酸化させたチロシン残基に、酸化剤及び金属触媒の存在下で、下記の一般式(I)
【化1】


〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー又は末端に標識物質を有するリンカーを表し、R1は水素原子を表すか、共役環上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物を結合させる工程、
(3)ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定し、その量からチロシンホスファターゼ活性を求める工程。

【請求項2】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化2】


〔式中、Lは上記と同じ意味である。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のチロシンホスファターゼ活性の測定方法。

【請求項3】
リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物と特異的に結合する担体を用いて、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物を単離し、前記蛍光物質によってペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載のチロシンホスファターゼ活性の測定方法。

【請求項4】
リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物に、前記蛍光物質とFRETペアを形成する蛍光物質又は前記蛍光物質に対するクエンチャーを結合させ、ペプチドに結合させた蛍光物質及び/又は一般式(I)で表される化合物に結合させた蛍光物質の蛍光の変化によって、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項1又は2に記載のチロシンホスファターゼ活性の測定方法。

【請求項5】
リン酸化チロシン残基を含むペプチドと下記の一般式(I)
【化3】


〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー又は末端に標識物質を有するリンカーを表し、R1は水素原子を表すか、共役環上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物を含むことを特徴とするチロシンホスファターゼ活性測定用キット。

【請求項6】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化4】


〔式中、Lは上記と同じ意味である。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載のチロシンホスファターゼ活性測定用キット。

【請求項7】
以下の工程を含むことを特徴とするチロシンホスファターゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法、
(1)被験物質の存在下で、チロシンホスファターゼとリン酸化チロシン残基を含むペプチドを接触させる工程、
(2)チロシンホスファターゼと接触させたリン酸化チロシン残基を含むペプチドを、酸化剤及び金属触媒の存在下で、下記の一般式(I)
【化5】


〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー又は末端に標識物質を有するリンカーを表し、R1は水素原子を表すか、共役環上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物と接触させる工程、
(3)ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定し、その量からチロシンホスファターゼ活性を求める工程。

【請求項8】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化6】


〔式中、Lは上記と同じ意味である。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項7に記載のチロシンホスファターゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法。

【請求項9】
リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物と特異的に結合する担体を用いて、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物を単離し、ペプチドに結合した蛍光物質によって一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項7又は8に記載のチロシンホスファターゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法。

【請求項10】
リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物に、前記蛍光物質とFRETペアを形成する蛍光物質又は前記蛍光物質に対するクエンチャーを結合させ、ペプチドに結合させた蛍光物質及び/又は一般式(I)で表される化合物に結合させた蛍光物質の蛍光の変化によって、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項7又は8に記載のチロシンホスファターゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法。

【請求項11】
リン酸化チロシン残基を含むペプチドと下記の一般式(I)
【化7】


〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー又は末端に標識物質を有するリンカーを表し、R1は水素原子を表すか、共役環上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物を含むことを特徴とする糖尿病の診断薬。

【請求項12】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化8】


〔式中、Lは上記と同じ意味である。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項11に記載の糖尿病の診断薬。

【請求項13】
以下の工程を含むことを特徴とするチロシンキナーゼ活性の測定方法、
(1)測定対象とするチロシンキナーゼと非リン酸化チロシン残基を含むペプチドを反応させ、非リン酸化チロシン残基をリン酸化する工程、
(2)リン酸化しなかったチロシン残基に、酸化剤及び金属触媒の存在下で、下記の一般式(I)
【化9】


〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー又は末端に標識物質を有するリンカーを表し、R1は水素原子を表すか、共役環上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物を結合させる工程、
(3)工程(2)においてペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定する工程、
(4)工程(1)で使用した非リン酸化チロシン残基を含むペプチドの非リン酸化チロシン残基に、酸化剤及び金属触媒の存在下で、一般式(I)で表される化合物を結合させる工程、
(5)工程(4)においてペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定する工程、
(6)工程(3)で測定したペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量と工程(5)で測定したペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量からチロシンキナーゼ活性を求める工程。

【請求項14】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化10】


〔式中、Lは上記と同じ意味である。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項13に記載のチロシンキナーゼ活性の測定方法。

【請求項15】
非リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物と特異的に結合する担体を用いて、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物を単離し、前記蛍光物質によってペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項13又は14に記載のチロシンキナーゼ活性の測定方法。

【請求項16】
非リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物に、前記蛍光物質とFRETペアを形成する蛍光物質又は前記蛍光物質に対するクエンチャーを結合させ、ペプチドに結合させた蛍光物質及び/又は一般式(I)で表される化合物に結合させた蛍光物質の蛍光の変化によって、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項13又は14に記載のチロシンキナーゼ活性の測定方法。

【請求項17】
非リン酸化チロシン残基を含むペプチドと下記の一般式(I)
【化11】


〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー又は末端に標識物質を有するリンカーを表し、R1は水素原子を表すか、共役環上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物を含むことを特徴とするチロシンキナーゼ活性測定用キット。

【請求項18】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化12】


〔式中、Lは上記と同じ意味である。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項17に記載のチロシンキナーゼ活性測定用キット。

【請求項19】
以下の工程を含むことを特徴とするチロシンキナーゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法、
(1)被験物質の存在下で、チロシンキナーゼと非リン酸化チロシン残基を含むペプチドを接触させる工程、
(2)チロシンキナーゼと接触させた非リン酸化チロシン残基を含むペプチドを、酸化剤及び金属触媒の存在下で、下記の一般式(I)
【化13】


〔式中、Aは共役環を表し、Lは水素原子を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する末端にクリック反応に用いられる官能基を有するリンカー又は末端に標識物質を有するリンカーを表し、R1は水素原子を表すか、共役環上の任意の位置に存在する1個の放射性同位体、若しくはクリック反応に用いられる官能基を表すか、又は共役環上の任意の位置に存在する1個若しくは2個のアミノ基、アセトアミド基、ヒドロキシ基、アルキル基、若しくはアルコキシ基を表し、R2及びR3は、それぞれ水素原子、アルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基を表す。〕
で表される化合物と接触させる工程、
(3)工程(2)においてペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定する工程、
(4)工程(1)で使用した非リン酸化チロシン残基を含むペプチドを、酸化剤及び金属触媒の存在下で、一般式(I)で表される化合物と接触させる工程、
(5)工程(4)においてペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定する工程、
(6)工程(3)で測定したペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量と工程(5)で測定したペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量からチロシンキナーゼ活性を求める工程。

【請求項20】
一般式(I)で表される化合物が、下記の一般式(Ia)
【化14】


〔式中、Lは上記と同じ意味である。〕
で表される化合物であることを特徴とする請求項19に記載のチロシンキナーゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法。

【請求項21】
非リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物と特異的に結合する担体を用いて、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物を単離し、ペプチドに結合した蛍光物質によって一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項19又は20に記載のチロシンキナーゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法。

【請求項22】
非リン酸化チロシン残基を含むペプチドに蛍光物質を結合させ、一般式(I)で表される化合物に、前記蛍光物質とFRETペアを形成する蛍光物質又は前記蛍光物質に対するクエンチャーを結合させ、ペプチドに結合させた蛍光物質及び/又は一般式(I)で表される化合物に結合させた蛍光物質の蛍光の変化によって、ペプチドに結合した一般式(I)で表される化合物の量を測定することを特徴とする請求項19又は20に記載のチロシンキナーゼ阻害剤又は活性化剤のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
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