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遺伝子発現用カセット及びその産生物 NEW

国内特許コード P180015286
整理番号 S2016-0007-N0
掲載日 2018年9月21日
出願番号 特願2015-198160
公開番号 特開2017-070224
出願日 平成27年10月6日(2015.10.6)
公開日 平成29年4月13日(2017.4.13)
発明者
  • 阪口 政清
  • 西堀 正洋
  • 公文 裕巳
  • 村田 等
  • 山本 健一
  • 木下 理恵
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 遺伝子発現用カセット及びその産生物 NEW
発明の概要 【課題】目的タンパク質を安定かつ高産生するための遺伝子発現用カセットを提供する
【解決手段】発現させようとする遺伝子及びポリA付加配列を含むDNA構築物(X)が、プロモーター(P)とエンハンサー(P')で挟まれる構造を有する遺伝子発現用カセットにおいて、さらにプロモーター(P)の上流及びエンハンサー(P')の下流にトランスポゾン配列(T)を含むことを特徴とする、遺伝子発現用カセットによる。さらに、上記において、トランスポゾン配列(T)とともに、複製開始配列(S)の上流に核マトリックス結合配列(M)を組み合わせて適宜配置することで、より効果的に目的タンパク質を安定的かつ大量に産生することができる。例えばヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)や抗体を安定的かつ大量に産生することができる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


遺伝子発現効率を上昇させるために、CMVプロモーターやCAGプロモーターなど様々な遺伝子発現プロモーターが開発されている(特許文献1~3)。本発明者らが開発したプロモーター、エンハンサーなどの組み合わせを最適化し、大半の哺乳細胞で遺伝子の発現を上昇させるシステムもその1つである(特許文献4、非特許文献1、2を参照)。



より高い効率で遺伝子を発現させることができるシステムの開発を試み、様々な遺伝子のプロモーターやエンハンサーの組み合わせによるプロモーター活性の比較、検討を行うことにより、プロモーターの下流に発現させようとする遺伝子及びポリA付加配列を含むDNA構築物の下流にエンハンサー又は第2のプロモーターが連結した、遺伝子の発現用カセットを用いることで、遺伝子を高効率で発現させ得ることが本発明者らにより見いだされ、報告されている(特許文献4、非特許文献1、2を参照)。しかしこのベクターは、細胞の一過性発現に有効なベクターであり、現在、医薬品生産の現場で求められる目的タンパク質を安定かつ高産生する哺乳動物細胞を作製するためには、さらにベクターを改良する必要があった。



一般的に、遺伝子組換えの手法による目的タンパク質を安定かつ高産生させる細胞を取得するためには、宿主細胞内の染色体に目的遺伝子を組み込み、遺伝子増幅を利用し、目的遺伝子が多コピー組み込まれた細胞を構築する。その方法として最も頻繁に用いられているのが、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)欠損株CHO-DG44細胞を用いた方法である。具体的には、目的遺伝子及びDHFR遺伝子を含むベクターを細胞に導入し、目的遺伝子が多コピー組み込まれた細胞を取得する(非特許文献3、4を参照)。しかしながら、係るDHFR欠損細胞を用いた方法は、DHFR阻害剤であるmethotrexate(MTX)の濃度を段階的に増加させながら培養し、高濃度のMTX耐性のクローンを選択することにより、MTXの濃度を段階的に増加させながら培養を行う必要があるため、クローンの取得に時間がかかり、他の細胞への汎用性が低いなどの問題点がある。



上述したごとく、遺伝子発現効率を上昇させるための技術は、様々なプロモーターの開発などにより、改良が進められている。しかし哺乳動物細胞におけるタンパク質の産生系は、大腸菌や酵母など他の宿主と比較して十分なタンパク質を得ることが難しい。バイオテクノロジーの分野では、これらの従来技術を用いても、細胞の種類や遺伝子の種類によって、遺伝子発現がほとんど起こらない、又は発現タンパク質量が極めて少ないといった問題が日常的に発生している。また、この問題は、遺伝子発現を診断や治療に用いる医療の発展において、大きな障壁となっている。



例えば、HRG(Histidine-rich glycoprotein)は、1972年にHeimburger et al (1972)によって同定された分子量約80 kDaの血漿タンパク質である。合計507個のアミノ酸より構成され、そのうちヒスチジンが66存在する高ヒスチジン含有タンパク質であり、主として肝臓で合成され、約100~150μg/mLという非常に高いと考えられる濃度でヒト血漿中に存在する。しかしながら、HRGの臨床的意義を検討するために、遺伝子組み換え技術によって充分量のHRGを産生する方法が望まれていた。

産業上の利用分野


本発明は、組換えタンパク質を大量かつ安定的に産生しうる遺伝子発現用カセットに関し、さらには当該遺伝子発現用カセットを用いた遺伝子の発現方法及びその産生物に関する。具体的には、プロモーター、エンハンサー等を含む遺伝子発現用カセットに関し、さらには当該プロモーター、エンハンサー等を用いて遺伝子の発現を上昇させる方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
発現させようとする遺伝子及びポリA付加配列を含むDNA構築物(X)が、プロモーター(P)とエンハンサー(P')で挟まれる構造を有する遺伝子発現用カセットにおいて、さらにプロモーター(P)の上流及びエンハンサー(P')の下流にトランスポゾン配列(T)を含むことを特徴とする、遺伝子発現用カセット。

【請求項2】
さらに、プロモーター(P)の上流及び/又はエンハンサー(P')の下流に、複製開始配列(S)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項3】
プロモーター(P)、発現させようとする遺伝子及びポリA付加配列を含むDNA構築物(X)、エンハンサー(P')及びトランスポゾン配列(T)が含まれ、更に選択的に複製開始配列(S)を含む遺伝子発現用カセットが、以下の1)~4)のいずれかに示す順序で含まれる、請求項1又は2に記載の遺伝子発現用カセット:
1)(T)、(P)、(X)、(P')、(T);
2)(T)、(S)、(P)、(X)、(P')、(T);
3)(T)、(P)、(X)、(P')、(S)、(T);
4)(T)、(S)、(P)、(X)、(P')、(S)、(T)。

【請求項4】
複製開始配列(S)の上流に核マトリックス結合配列(M)が配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項5】
トランスポゾン配列(T)、プロモーター(P)、発現させようとする遺伝子及びポリA付加配列を含むDNA構築物(X)、エンハンサー(P')、核マトリックス結合配列(M)、複製開始配列(S)及びトランスポゾン配列(T)を含む、遺伝子発現用カセット。

【請求項6】
複製開始配列(S)が、ROIS及び/又はARSである請求項2~5のいずれかに記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項7】
プロモーター(P)が、CMVプロモーター、CMV-iプロモーター、SV40プロモーター、hTERTプロモーター、βアクチンプロモーター及びCAGプロモーターからなる群から選択されるプロモーターである、請求項1~6のいずれかに記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項8】
発現させようとする遺伝子及びポリA付加配列を含むDNA構築物(X)の下流に連結したエンハンサー(P')が、hTERTエンハンサー、CMVエンハンサー及びSV40エンハンサーから選択されるいずれか1種又は複数種を含む、請求項1~7のいずれかに記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項9】
発現させようとする遺伝子及びポリA付加配列を含むDNA構築物(X)において、発現させようとする遺伝子が、疾患の治療に用い得る治療用遺伝子、又は医薬、診断薬若しくは試薬に用い得るタンパク質をコードするDNAである、1~8のいずれかに記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項10】
疾患の治療に用い得る治療用遺伝子、又は医薬、診断薬若しくは試薬に用い得るタンパク質が、ヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)である、請求項9に記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項11】
疾患の治療に用い得る治療用遺伝子、又は医薬、診断薬若しくは試薬に用い得るタンパク質が、抗体である、請求項9に記載の遺伝子発現用カセット。

【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の遺伝子発現用カセットを含む、遺伝子発現用プラスミド。

【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載の遺伝子発現用カセットを含む、遺伝子発現用ベクター。

【請求項14】
請求項1~11のいずれかに記載の発現用カセットを用いて発現させようとする遺伝子を発現させる方法。

【請求項15】
請求項10に記載の遺伝子発現用カセットを用いて産生されたヒスチジンリッチ糖タンパク質(HRG)。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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