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組換え発現ベクター及び当該ベクターを封入した脂質膜構造体 NEW

国内特許コード P180015299
整理番号 (S2016-0168-N0)
掲載日 2018年9月25日
出願番号 特願2017-552752
出願日 平成28年11月28日(2016.11.28)
国際出願番号 JP2016085098
国際公開番号 WO2017090763
国際出願日 平成28年11月28日(2016.11.28)
国際公開日 平成29年6月1日(2017.6.1)
優先権データ
  • 特願2015-230498 (2015.11.26) JP
発明者
  • 原島 秀吉
  • 山田 勇磨
  • 石川 卓哉
  • 秋田 英万
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 組換え発現ベクター及び当該ベクターを封入した脂質膜構造体 NEW
発明の概要 【課題】
本発明は、ミトコンドリアにおいて目的タンパク質を効率的に発現させ、かつミトコンドリア以外の細胞オルガネラでの目的タンパク質の望ましくない発現を抑制することのできる、新たな発現ベクターを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、動物細胞の細胞核内で転写活性を示すプロモーター配列、及び目的タンパク質をコードするコーディング領域であって、トリプトファンに対応するコドンとして1つ又は複数のTGAを含むコーディング領域を前記プロモーター配列の制御下に有する、動物細胞のミトコンドリア内で目的タンパク質を発現させるための組換え発現ベクター、並びに当該ベクターを封入した脂質膜構造体を提供する。本発明の発現ベクターを用いることで、ミトコンドリアにおいてより効率的に、かつ選択的に目的タンパク質を発現させることができ、より安全でかつ効果の優れたミトコンドリア病治療用の医薬として利用することができる。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


細胞のオルガネラの1つであるミトコンドリアは、細胞核から独立したゲノムDNAを有している。このゲノムDNAにおける変異と種々の疾患(脳筋症、神経変性疾患、癌、糖尿病など)との関連が多数報告されており、これらはミトコンドリア病と総称される。



ミトコンドリア病の治療方法として、治療効果が期待されるタンパク質をミトコンドリア内で発現させることを目的とした遺伝子治療が挙げられる。かかる治療を実現するための方法として、細胞核内で発現させた目的タンパク質をミトコンドリア内に移送させる方法、及びミトコンドリア内で直接的に目的タンパク質を発現させることができる外来遺伝子発現システムを利用する方法が提案されている。



細胞核内で発現させた目的タンパク質をミトコンドリア内に移送させる方法に関連して、多種多様な発現ベクターが開発されている。その多くは、細胞核ゲノムにコードされているミトコンドリアタンパク質が有する、ミトコンドリア移行性シグナルペプチド(mitochondrial targeting signal peptide、MTS)を利用している。具体的には、MTSを上流に有する目的タンパク質(MTS付加タンパク質)をコードする発現ベクターを細胞核に送達し、細胞質においてMTS付加タンパク質を発現させ、ミトコンドリアに送達するというものである。



この方法はある種の目的タンパク質においては有用であり得るが、遺伝子治療への利用が期待される、ミトコンドリアゲノムDNAにコードされたミトコンドリアタンパク質(ミトコンドリア内因性タンパク質)に対する適用性が低いという問題を有する。ミトコンドリア内因性タンパク質の多くは細胞質内で不溶性であるために、細胞質で発現されたミトコンドリア内因性タンパク質が凝集し、ミトコンドリアへの移行が不十分となるからである。



特許文献1は、水溶性を高めたMTSと特定のミトコンドリア内因性タンパク質とからなるMTS付加タンパク質をコードする発現ベクターを用いて、目的タンパク質の細胞質での凝集を抑える方法を開示している。しかし、ミトコンドリア内因性タンパク質は、ミトコンドリア以外の細胞内オルガネラにあると細胞毒性を示すことが多いので、特許文献1に記載された方法が利用可能な目的タンパク質の範囲は制限される。



また、MTS付加タンパク質を利用した上記方法は、本来のミトコンドリア内因性タンパク質の細胞内輸送に干渉する又はこれと競合することで細胞に致死的ダメージを与える可能性があり、遺伝子治療のツールとしては懸念が残る。



一方、ミトコンドリア内で直接的に目的タンパク質を発現させることができる外来遺伝子発現システムの利用では、第一にミトコンドリア内における必要十分な量の目的タンパク質の転写発現が要求される。かかる目的に適合するように、ミトコンドリアゲノムDNAに存在する遺伝子由来のプロモーター、例えばHSP(heavy strand promoter)を選択し、その制御下に目的タンパク質をコードするDNAを置いた発現ベクターが幾つか設計されている。この発現ベクターには、ミトコンドリアゲノムDNAにおいて利用頻度の高いトリプレットコドンを使用するといった工夫も加えられている。しかし、これまでのところ、それら発現ベクターの発現レベルは疾患治療に必要十分な領域には達していない。



例えば、非特許文献1には、MTSを付加した人工ウイルスベクターの内部にHSP制御下にあるミトコンドリア内で転写誘導されるDNAを封入し、ミトコンドリアに直接的にウイルスベクターを導入して目的タンパク質を発現させようとする方法が提唱されている。この方法は、導入されたウイルスベクターからの目的タンパク質の発現レベルが比較的高いという利点を有する一方、ウイルスベクターであることに起因する安全性の問題を伴うことに加え、目的タンパク質が期待通りにミトコンドリア内で発現しているかについての検証が完全にはなされていない。

産業上の利用分野


本発明は、動物細胞のミトコンドリア内で目的タンパク質を発現させるための組換え発現ベクター、及び当該ベクターを封入した脂質膜構造体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
動物細胞の細胞核内で転写活性を示すプロモーター配列、及び目的タンパク質をコードするコーディング領域であって、トリプトファンに対応するコドンとして1つ又は複数のTGAを含むコーディング領域を前記プロモーター配列の制御下に有する、動物細胞のミトコンドリア内で目的タンパク質を発現させるための組換え発現ベクター。

【請求項2】
前記目的タンパク質をコードするコーディング領域の5’末端側に、ミトコンドリアゲノムDNAのコーディング領域をさらに有する、請求項1に記載の組換え発現ベクター。

【請求項3】
前記目的タンパク質をコードするコーディング領域の3’末端側にミトコンドリアtRNAに対応する塩基配列を有する、請求項1又は2に記載の組換え発現ベクター。

【請求項4】
プロモーター配列がサイトメガロウイルスプロモーター、シミアンウイルス40プロモーター、ラウスサルコーマウイルスプロモーター、EF1αプロモーター、βアクチンプロモーター及びT7プロモーターよりなる群から選択されるプロモーターの塩基配列である、請求項1~3のいずれかに記載の組換え発現ベクター。

【請求項5】
プロモーター配列がサイトメガロウイルスプロモーター又はラウスサルコーマウイルスプロモーターの塩基配列である、請求項4に記載の組換え発現ベクター。

【請求項6】
前記目的タンパク質をコードするコーディング領域におけるトリプトファンに対応するコドンの全てがTGAである、請求項1~5のいずれかに記載の組換え発現ベクター。

【請求項7】
前記ミトコンドリアゲノムDNAのコーディング領域がNADHデヒドロゲナーゼ、サブユニット4のコーディング領域である、請求項2~6のいずれかに記載の組換え発現ベクター。

【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の発現ベクターを封入した脂質膜構造体。

【請求項9】
スフィンゴミエリンを脂質膜の構成脂質として含む、請求項8に記載の脂質膜構造体。

【請求項10】
配列番号13で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを脂質膜表面に有する、請求項8又は9に記載の脂質膜構造体。

【請求項11】
ジオレイルホスファチジルエタノールアミンとスフィンゴミエリンとを脂質膜の構成脂質として含有し、かつ配列番号13で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを脂質膜表面に有する、動物細胞のミトコンドリアに核酸を導入するための脂質膜構造体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2017552752thum.jpg
出願権利状態 公開
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