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植物のカリウムイオン輸送体の機能制御剤及び植物の育成方法 NEW

国内特許コード P180015382
整理番号 S2017-0386-N0
掲載日 2018年11月1日
出願番号 特願2017-042163
公開番号 特開2018-145136
出願日 平成29年3月6日(2017.3.6)
公開日 平成30年9月20日(2018.9.20)
発明者
  • 魚住 信之
  • 遠藤 晃輔
  • 浜本 晋
  • 池ノ上 芳章
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 植物のカリウムイオン輸送体の機能制御剤及び植物の育成方法 NEW
発明の概要 【課題】茶に含まれるカテキン誘導体化合物をスクリーニングすることによる植物のカリウムイオン輸送体の機能制御剤の提供、及び、当該機能制御剤を植物に施用する改質された植物体の育成方法を提供。
【解決手段】式(1)のカテキン化合物、及び該化合物を施用する植物の育成方法。



(R2は、H又はOH;R、R3からR10は、Hに代表される)
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


植物は葉や茎にある気孔から空気中の炭酸ガス(CO2)を体内に取り込み、光合成でCO2を炭素源(C源)の養分とする。窒素(N)、リン(P)、鉄(Fe)、硫黄(S)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、塩素(Cl)、ケイ素(Si)、モリブデン(Mo)、ホウ素(B)などの無機養分は根から吸収する。この吸収は、気孔の開口によって生じる蒸散流が寄与している。気孔の開口によって体内の水分が外界へ抜けることとなる。このため、乾燥時には気孔は閉じている必要がある。



気孔の開閉を調節するのは、孔辺細胞と呼ばれる2つの細胞である。孔辺細胞のカリウム(K)イオン輸送体(K+チャネル・K+トンランスポーター・ポンプ)が孔辺細胞の体積を制御している。モデル植物のシロイヌナズナには、細胞外から細胞内へK+(本明細書ではK+を単にKと記載することがある。)を吸収するカリウム(K)イオンチャネル(KAT1、KAT2、AKT1)、細胞内から細胞外へカリウムイオン(K+)を排出するK+チャネル(GORK、SKOR)、両方向にK+を輸送するAKT2が存在している。特に、KAT1、KAT2、GORKは気孔で良く機能することが知られている。



これまでの報告や教科書より、孔辺細胞が膨潤する(すなわち、気孔が開口する)場合、内向きチャネルのKAT1、KAT2がオープン(open)になり活性化する。同時に、外向きチャネル(GORK)がクローズ(close)になる。
一方、孔辺細胞が収縮する(すなわち、気孔が閉鎖する)場合、内向きチャネルのKAT1、KAT2がcloseになり活性化する。同時に、外向きチャネル(GORK)がオープン(open)になる。



このような気孔の開閉の制御以外の目的にもカリウムイオン輸送体が利用される。根で行われるカリウムイオンの吸収と排出においても,カリウムイオン輸送体が主体となって機能している。カテキン類によるカリウムイオン輸送体の機能の制御により、養分吸収や細胞内イオン環境が調節されることになり、植物の機能の制御が可能となる。さらに、通導組織である維管束系〈導管や篩管〉などのカリウムイオンの出入りにもカリウムイオン輸送体が機能しており、上記同様にこの輸送体の機能制御を行うことにより、植物の機能の制御が可能となる。さらに、生殖組織である花においてもカリウムイオン輸送体は機能することから、この輸送体の機能制御を行うことにより、受精、果実形成が制御される。



理論通り、内向きチャネルのKAT1、KAT2の発現量が低下した植物変異株では、気孔の閉鎖が促進されるため、乾燥耐性をもつことが実際に報告されている(非特許文献1;Plant Physiology,(2001),127,473~485)。



特許文献1(WO2012/008042号公報)には、植物に対する様々なストレスが生じる環境において生育を促進するストレス耐性を植物に付与できる植物ストレス耐性付与方法が開示され、特定成分のセルロース誘導体とカテキン類及び水を含有する組成物が用いられ、前記セルロース誘導体の含有量が45.0~99.5重量%である植物ストレス耐性付与剤組成物を、植物ストレス率が111~200%のストレス栽培条件にある植物に施用する工程を含むことを特徴とする。
特許文献1には、また植物の適切な育成環境では、植物活力能が殆ど認められない特定のセルロース誘導体とストレス耐性付与能が殆ど認められないカテキン類とを主成分とする組成物が、前記植物にストレスがかかる環境で、予想を超えたストレス耐性を植物に付与することを開示している(特許文献1,段落[0022])。



一方、ヒト向けの医薬品では、このようにイオン輸送体を標的としたイオンチャネル阻害剤/イオンチャネル遮断薬(ion channel blocker)(チャネルブロッカーなどと称される。)が数多く開発されている(例えば、動物のATP依存性Kチャネル阻害剤であるグリベンクラミド(オイグルコン euglucon(登録商標)など)。

産業上の利用分野


本発明は、植物のカリウムイオン輸送体(チャネル・トンランスポーター・ポンプ)の機能制御剤及び当該機能制御剤を施用する植物の育成方法に関する。さらに詳しく言えば、特定の化学構造を有するカテキン化合物からなる植物のカリウムイオン輸送体の機能制御剤、及びその制御剤を植物に施用する改質された植物体の育成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】


(式中、R1~R7は、それぞれ独立して、水素原子、C1~10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルエステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、1級、2級または3級アミノ基、トリハロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる1価基を表すか、またはR1~R7の少なくとも2種の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3~7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する2価の基を形成してもよい。前記R1~R7が表すアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、またはそれらによって形成される環状炭化水素鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ結合を任意の数含んでもよい。R8~R10はそれぞれ独立して、水素原子、C1~10の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基またはアルキルエステル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、1級、2級または3級アミノ基、トリハロメチル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる1価基を表すか、前記R8~R10が表すアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基、またはそれらによって形成される環状炭化水素鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノ結合を任意の数含んでもよい。)
で示されるカテキンガレート誘導体を含む植物のカリウムイオン輸送体の機能制御剤。

【請求項2】
前記カテキンガレート誘導体が、前記一般式(1)中のR1~R10が水素原子である下記式(1-1)
【化2】


で示されるカテキンガレート(CG)、または前記一般式(1)中のR2が水酸基であり、R1、R3~R10が水素原子である下記式(1-2)
【化3】


で示されるガロカテキンガレート(GCG)である請求項1に記載の植物のカリウムイオン輸送体の機能制御剤。

【請求項3】
請求項1または2に記載の植物のカリウムイオン輸送体の機能制御剤を植物に施用することを特徴とする植物の育成方法。

【請求項4】
前記カリウムイオン輸送体の機能制御がカリウムイオン輸送体の機能阻害である請求項3に記載の植物の育成方法。

【請求項5】
前記カリウムイオン輸送体の機能制御がカリウムイオン輸送体の機能活性化である請求項3に記載の植物の育成方法。

【請求項6】
植物に、乾燥耐性の付与、炭酸ガス取り込み阻害による植物体の矮小化、作物サイズの調節、収穫時期の変化、植物体のみずみずしさの増強、植物体や実の糖度の調節(変化)、根の成長促進性の変化、葉の肉厚の変化、及び低カリウム化から選択される少なくとも1種の機能を付与する請求項3~5のいずれかに記載の植物の育成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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