TOP > 国内特許検索 > 高分化度の多能性幹細胞由来細胞の製造方法

高分化度の多能性幹細胞由来細胞の製造方法 UPDATE

国内特許コード P180015396
整理番号 (S2017-0290-N0)
掲載日 2018年11月2日
出願番号 特願2018-004816
公開番号 特開2018-113962
出願日 平成30年1月16日(2018.1.16)
公開日 平成30年7月26日(2018.7.26)
優先権データ
  • 特願2017-006673 (2017.1.18) JP
発明者
  • 川上 民裕
出願人
  • 帝人株式会社
  • 学校法人 聖マリアンナ医科大学
発明の名称 高分化度の多能性幹細胞由来細胞の製造方法 UPDATE
発明の概要 【課題】多能性幹細胞由来の細胞が特定細胞系統に分化する過程に、相対的に低分化度の段階と高分化度の段階とが存在する場合において、低分化度の細胞の分化を促進させる工程を含む、高分化度の多能性幹細胞由来細胞の製造方法を提供する。
【解決手段】多能性幹細胞由来細胞が特定細胞系統に分化する過程に、相対的に低分化度の段階と相対的に高分化度の段階とが存在する場合において、特定細胞系統への分化段階が低分化度である多能性幹細胞由来細胞と、同一細胞系統への分化段階が高分化度である多能性幹細胞由来細胞とを共培養することで、低分化度の多能性幹細胞由来細胞を高分化度の多能性幹細胞由来細胞に分化させる工程を含む、高分化度の多能性幹細胞由来細胞の製造方法。
【選択図】図9
従来技術、競合技術の概要


人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞を含む多能性幹細胞は、体を構成するすべての細胞、組織、臓器に分化誘導できる潜在性をもつとともに、制限のない増殖の可能性があり、再生医療を含むさまざまな臨床応用が期待されている。
そうした応用分野の一つとして、皮膚色素が関係する疾患が挙げられる。
色素細胞障害の発症にはヒト表皮性メラノサイト(色素細胞)が関与している。白斑や遺伝性対側性色素異常症のような皮膚色素の疾患では、病変部位におけるメラノサイトの喪失に至るが、その機序は未だ明確にはされていない。
こうした疾患に対しては、脱色性皮膚病変部位への通常の表皮性メラノサイトの自家移植による治療がしばしばなされるが、脱色部位における効果が常に認められるわけではない(非特許文献1)。



白斑はメラノサイトの喪失によって生ずると考えられているが、ヒト表皮性メラノサイトについては、増殖や分化の制御に重要な役割を果たす因子がいくつか同定されている。
ヒト表皮性メラノサイトの増殖や分化の制御においては、幹細胞因子(SCF)、Wnt3a、骨形成タンパク質4(BMP-4)、アスコルビン酸、1,25-ジヒドロキシビタミンD(活性型ビタミンD)、αヒトメラノサイト刺激ホルモン(αMSH)、N6,2’-O-ジブチリルアデノシン 3’,5’-環状一リン酸ナトリウム塩(DBcAMP)、L-チロシン、トランスフェリン、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、肝細胞増殖因子(HGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、ハイドロコーチゾン、およびエンドセリン1が重要であることがわかっている(非特許文献2-7、特許文献1)。本明細書では、これらの因子につき、括弧内の表記も用いる。
すでに、ヒトiPS細胞からメラノサイトへ分化させた報告はあるが(非特許文献8、9)、いずれも表皮性メラノサイトを大量培養できる技術ではない。



また、特許文献2には、幹細胞からメラノサイトへの分化を誘導し、細胞増殖を刺激する増殖因子に関する記載があり、特許文献3には特定の薬剤のほか、特定のフィーダー細胞を用いて多能性幹細胞からメラノサイトの集団を得る方法が記載されている。
しかし、広範囲の白斑や脱色素斑病変に対するメラノサイト移植治療では、より容易にメラノサイトを大量産生できる製造方法が求められている。
これを実現するためには、多能性幹細胞由来の細胞が特定細胞系統に分化する過程に、相対的に低分化度の段階と高分化度の段階とが存在する場合において、低分化度の細胞の分化を促進させる技術が求められる。



特許文献4には、膵前駆細胞から内分泌前駆細胞までのいずれかの段階の細胞をフィーダー細胞とし、その上で、内分泌前駆細胞まで分化させた細胞を単一細胞に分散させてから培養したところ、生体内の膵島と同様の三次元構造を有する細胞塊が得られることが記載されている。これは、分化段階の低い細胞と分化段階の高い細胞とを共培養することで、分化段階の高い細胞の分化段階をさらに進めるものである。しかし、この技術は分化段階の低い細胞の分化を進めて分化段階の高い細胞のそれに追いつかせるものではない。



また、特許文献5には、ヒト由来の多能性幹細胞を、ヒト由来の多能性幹細胞から樹立した間葉系幹細胞との共培養下で分化誘導する方法が記載されているが、この間葉系幹細胞はフィーダー細胞として機能するのみで、それ自体の分化段階が進行するわけではない。
特許文献6にも、血管内皮細胞や間葉系細胞とともに、臓器細胞を培養することで器官芽を作製する技術が開示されているが、これも分化段階の低い細胞の分化を進めて分化段階の高い細胞のそれに追いつかせる技術ではない。

産業上の利用分野


本発明は、多能性幹細胞由来細胞の分化誘導技術に関する。さらに詳細には、多能性幹細胞由来の細胞が特定細胞系統に分化する過程に、相対的に低分化度の段階と高分化度の段階とが存在する場合において、低分化度の細胞の分化を促進させる工程を含む、高分化度の多能性幹細胞由来細胞の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
多能性幹細胞由来細胞が特定細胞系統に分化する過程に、相対的に低分化度の段階と相対的に高分化度の段階とが存在する場合において、
特定細胞系統への分化段階が低分化度である多能性幹細胞由来細胞と、同一細胞系統への分化段階が高分化度である多能性幹細胞由来細胞とを共培養することで、低分化度の多能性幹細胞由来細胞を高分化度の多能性幹細胞由来細胞に分化させる工程を含む、高分化度の多能性幹細胞由来細胞の製造方法。

【請求項2】
共培養する高分化度の多能性幹細胞由来細胞が、当該細胞系統への分化段階が低分化度の多能性幹細胞由来細胞の培養系から、当該細胞系統への分化度の指標に基づいて高分化度の細胞を分離して得たものである、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
共培養する高分化度の多能性幹細胞由来細胞が、当該細胞系統への分化段階が低分化度の多能性幹細胞由来細胞の培養上清中に存在していた細胞である、請求項1に記載の製造方法。

【請求項4】
特定細胞系統への分化がメラノサイトへの分化であり、低分化度の多能性幹細胞由来細胞が着色のないメラノサイトであり、高分化度の多能性幹細胞由来細胞が着色のあるメラノサイトである、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。

【請求項5】
共培養工程が、表皮誘導を刺激する成分、ケラチノサイトへの最終分化を刺激する成分、および増殖因子もしくは培養剤を含む培地中で行われる、請求項4に記載の製造方法。

【請求項6】
表皮誘導を刺激する成分が、SCF、BMP-2、BMP-4、BMP-7、Smad1、Smad5、Smad7、GDF-6、EGF、Wnt3a、およびbFGFからなる群から選択される一つ以上の成分である、請求項5に記載の製造方法。

【請求項7】
ケラチノサイトへの最終分化を刺激する成分が、アスコルビン酸および/または活性型ビタミンDである、請求項5または6に記載の製造方法。

【請求項8】
増殖因子もしくは培養剤がCa塩、KGF、GM-CSF、HGF、α-MSH、DBcAMP、L-チロシン、およびトランスフェリンからなる群から選択される一つ以上の成分である、請求項5から7のいずれかに記載の製造方法。

【請求項9】
共培養工程が、SCF、Wnt3a、BMP4、アスコルビン酸、活性型ビタミンD、αMSH、 DBcAMP、L-チロシン、トランスフェリン、KGF、GM-CSF、HGF、bFGF、ハイドロコーチゾン、およびエンドセリン1を含有する培地中で行われる、請求項4に記載の製造方法。

【請求項10】
多能性幹細胞がヒト多能性幹細胞である、請求項1から9のいずれかに記載の製造方法。

【請求項11】
ヒト多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、請求項10に記載の製造方法。

【請求項12】
共培養工程が、他の細胞も他の細胞の培養上清も用いない工程である、請求項1から11のいずれかに記載の製造方法。

【請求項13】
SCF、Wnt3a、BMP-4、アスコルビン酸、活性型ビタミンD、αMSH、
DBcAMP、L-チロシン、トランスフェリン、KGF、GM-CSF、HGF、bFGF、ハイドロコーチゾン、およびエンドセリン1を含有する動物細胞培養用培地。

【請求項14】
請求項13に記載の培地を用いた動物細胞の培養方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2018004816thum.jpg
出願権利状態 公開
※ 技術移転のお問い合わせはMPO㈱でも結構です。TEL:044-979-1631 FAX:044-979-1632 Mail:info@mpoinc.Co.jp WEB:http://www.mpoinc.co.jp


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close