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フザリウム菌の拮抗細菌増殖促進物質及びその製造方法、並びにフザリウム菌の増殖を抑止する方法 NEW

国内特許コード P180015405
整理番号 (S2017-0565-N0)
掲載日 2018年11月2日
出願番号 特願2018-054746
公開番号 特開2018-157816
出願日 平成30年3月22日(2018.3.22)
公開日 平成30年10月11日(2018.10.11)
優先権データ
  • 特願2017-057255 (2017.3.23) JP
発明者
  • 清水 将文
  • 西岡 友樹
出願人
  • 国立大学法人岐阜大学
発明の名称 フザリウム菌の拮抗細菌増殖促進物質及びその製造方法、並びにフザリウム菌の増殖を抑止する方法 NEW
発明の概要 【課題】土壌中のフザリウム菌の増殖防止に有効な物質とその製造方法並びに物質を用いたフザリウム病を抑止する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る物質は、アデノシン、5’-S-メチル-5’-チオアデノシン、及びγ-グルタミル-S-アリルシステインからなる群から選択される一種以上の化合物を含有し、土壌に付与することでフザリウム菌に拮抗する細菌の増殖を促進し、フザリウム菌の増殖を抑制する。本発明のフザリウム菌の拮抗細菌増殖促進物質は、ネギ属の根から抽出することができる。本発明の物質は、土壌に付与することでフザリウム病を抑止することができる。
【選択図】図21
従来技術、競合技術の概要


農作物に感染し、連作障害の原因になる糸状菌の一種に、フザリウム菌がある。フザリウム菌の中で病原性を有するものは、100種以上の植物に対して、主に根から進入して導管内で増殖し、通水を阻害して葉の黄化や萎れなどの症状を生じさせ、時に枯死させる。フザリウム菌は、耐久性の高い厚壁胞子を形成しており、何年間も土壌中で生きながらえるため、一度フザリウム菌が増殖してこれに由来する病変が発生した土地では、長期にわたって宿主となる作物の栽培ができなくなる。農業現場では、フザリウム菌による病変の対策として、抵抗性品種の利用、抵抗性台木への接ぎ木を利用した栽培、及び土壌燻蒸消毒が行われているが、いずれも病変を完全に防止するには至っていない。



以下では、フザリウム菌のうち病原性を有するもの、例えばフザリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)について、単にフザリウム菌とも称する。そして、フザリウム菌によって引き起こされる様々な作物の病変をフザリウム病とも称する。



消毒薬等の薬品を用いずにフザリウム菌を駆除する、生物防除法の検討が進められている。土壌病害に対する生物防除法の一般的な戦略は、拮抗微生物、特に拮抗細菌といわれる細菌を土壌に大量投入し、病原菌の活動、増殖、あるいは植物体への感染を抑制することで土壌病害の発生を軽減しようとするというものである。拮抗微生物を用いたフザリウム病の防除法として、特許文献1には、非病原性フザリウム菌を用いる技術が開示されている。特許文献2には、コリモナス属細菌を用いる技術が開示されている。特許文献3には、ロドシュードモナス属細菌およびバチルス属細菌を用いる技術が開示されている。特許文献4には、シュードモナス属細菌を用いる技術が開示されている。特許文献5には、ストレプトミセス属放線菌を用いる技術が開示されている。しかしながら、pH、有機物含量、重金属等といった土壌要因、気象条件、土着微生物との生存競争などが原因で、拮抗微生物が投入場所の土壌に十分量住み着くことができず、期待された病害抑制効果を発揮できないことも多い。



それぞれの土地に生息する土着の拮抗微生物の活動と増殖を人為的に活発化させることで、土壌病害が発生しにくい土壌を作り出す技術の開発が進められている。以下、病害の発生しにくい特性のことを、発病抑止性と称し、このような土壌を発病抑止土壌という。特許文献6および非特許文献1,2には、カニやエビの殻、カニ殻由来のキチン、キトサンおよびその分解物を含む資材を土壌に投入することにより、キチン、キトサン分解微生物の増殖を促し、キチンを細胞壁の主成分とする病原糸状菌の数を減少させ、フザリウム病をはじめとする土壌伝染性の糸状菌病害の発生を防止し、連作障害の発生を軽減する方法が公開されている。しかし、特許文献6および非特許文献1,2で開示されている資材によって十分な発病抑制効果を得るためには、土壌への多量の施用が必要であった。一方で、キチン、キトサンおよびその分解物は、近年、医薬品、健康食品等への利用が進んでおり、価格が高騰して土壌改良材としての利用は困難になっている。



また、中国や日本の一部地域では、フザリウム病の抑制のために、ウリ科の植物に対してネギの混植やタマネギの輪作が行われており、一定の効果が認められる。図16に、フザリウム オキシスポラムが増殖している土壌に、キュウリとネギを混植した場合と、キュウリとニラを混植した場合と、キュウリのみを栽培した場合の、それぞれのキュウリの発病率を示す。ネギ属の混植や輪作栽培は、トマトやホウレンソウなど様々な作物のフザリウム病予防にも有効であることが、実験的に確認されている。しかしながら、ネギ属の栽培によってフザリウム病が防止される機構は、未だ解明されていない。また、フザリウム病を予防したい作物の作付け体系や作付け時期、収穫方法、品質への影響などの点からネギ属を混植したり輪作することができない場合が多く、汎用性が高い技術とはいえなかった。



しかしながら、ネギやニラの混植は、ウリ科の植物だけでなく、他の植物のフザリウム菌による病害にも有効である。ホウレンソウ萎凋病もフザリウム菌による病害であるが、図17に示すように、ホウレンソウとネギやニラを混植すると、フザリウム病の発病率を低下させる効果がある。図17に示した混植の評価方法は、ホウレンソウ萎凋病菌を混和したポット内の培土にネギまたはニラの苗を移植し、その周囲にホウレンソウを10粒播種し、播種20日後まで発病を調査し、AUDPC(発病進展曲線下面積:発病の程度を表す値)を算出した結果である。ネギ属に含まれる成分を特定し、その成分を利用することができれば、フザリウム病に対する、有効な対策をとることができると考えられてきた。

産業上の利用分野


本発明は、フザリウム菌に拮抗する細菌の増殖を促進する物質及びその製造方法に関する。さらに、フザリウム菌の拮抗細菌増殖促進物質を用いてフザリウム菌の増殖を抑止する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アデノシン、5’-S-メチル-5’-チオアデノシン、及びγ-グルタミル-S-アリルシステインからなる群から選択される一種以上の化合物を含有する、フザリウム菌の拮抗細菌増殖促進物質。

【請求項2】
ネギ属の根から抽出した組成物である、請求項1記載のフザリウム菌の拮抗細菌増殖促進物質。

【請求項3】
アデノシン、5’-S-メチル-5’-チオアデノシン、及びγ-グルタミル-S-アリルシステインからなる群から選択される一種以上の化合物を、育苗用の苗床または植物苗を定植する圃場の土壌に付与することにより、フザリウム病を抑止する方法。

【請求項4】
ネギ属の根を凍結する工程と、
凍結した前記ネギ類の根を磨砕する工程と、
磨砕したネギ類の根を滅菌水に懸濁して懸濁液を得る工程と、
前記懸濁液を濾過して濾液を得る工程と、
前記濾液をクロマトグラフィーにかけることによってアデノシン、5’-S-メチル-5’-チオアデノシン、及びγ-グルタミル-S-アリルシステインからなる群から選択される一種以上の化合物を分画する工程と、
前記化合物を育苗用の苗床または植物苗を定植する圃場の土壌に付与する工程と、
フザリウム菌に対する拮抗細菌を増殖させる工程と、
フザリウム菌の増殖を抑制する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項3記載のフザリウム病を抑止する方法。

【請求項5】
ネギ属の根を凍結する工程と、
凍結した前記ネギ類の根を磨砕する工程と、
磨砕したネギ類の根を滅菌水に懸濁して懸濁液を得る工程と、
前記懸濁液を濾過して濾液を得る工程と、
前記濾液をクロマトグラフィーにかけることによってアデノシン、5’-S-メチル-5’-チオアデノシン、及びγ-グルタミル-S-アリルシステインからなる群から選択される一種以上の化合物を分画する工程と、
を含むことを特徴とするフザリウム菌の拮抗細菌増殖促進物質を製造する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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