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リガンド蛍光センサータンパク質とその使用 NEW

国内特許コード P180015414
整理番号 (S2016-0169-N0)
掲載日 2018年11月5日
出願番号 特願2017-554202
出願日 平成28年12月2日(2016.12.2)
国際出願番号 JP2016085902
国際公開番号 WO2017094885
国際出願日 平成28年12月2日(2016.12.2)
国際公開日 平成29年6月8日(2017.6.8)
優先権データ
  • 62/340,533 (2016.5.24) US
  • 特願2015-237524 (2015.12.4) JP
発明者
  • 坪井 貴司
  • 北口 哲也
  • 新井 敏
  • 上田 宏
出願人
  • 国立大学法人 東京大学
  • 学校法人早稲田大学
発明の名称 リガンド蛍光センサータンパク質とその使用 NEW
発明の概要 本発明は、リガンドに特異的に応答して蛍光特性が変化するリガンド蛍光センサータンパク質であって、前記リガンド蛍光センサータンパク質は、第1の蛍光タンパク質ドメインと、N末端側リンカーと、リガンド結合ドメインと、C末端側リンカーと、第2の蛍光タンパク質ドメインとを含み、前記リガンド蛍光センサータンパク質に用いられる蛍光タンパク質がβバレル構造を有するものであり、前記第1の蛍光タンパク質ドメインが前記蛍光タンパク質のN末端からβ1~β3のβシート領域と、これに続くαへリックス領域と、β4~β6のβシート領域とを含み、前記第2の蛍光タンパク質ドメインが前記第1の蛍光タンパク質ドメインと同一の前記蛍光タンパク質のβ7~β11のβシート領域を含み、前記N末端側リンカー及び前記C末端側リンカーは、それぞれ独立して1個又は数個のアミノ酸からなるポリペプチドである。
従来技術、競合技術の概要


蛍光生体イメージングとは、生きた組織又は臓器の内部を観察し、そこで生きた細胞及び分子の動態をリアルタイムで解析する新しい研究手法である。近年の光学機器及び蛍光イメージングの技術革新により、様々な組織又は臓器における、多種多様な生命現象に蛍光生体イメージングを適用することで、生きた細胞及び分子の動きを描出することが可能となってきた。



蛍光生体イメージングにおいて、細胞内に存在する分子(リガンド)が特異的に結合するレセプターを用いることで、生きた組織又は臓器内のリガンドの動きを検出することができる。
具体的には、レセプターとして、例えば、生体内の分子に特異的に結合する抗体若しくは生体内に存在する抗体に対する抗原、特定の酵素に対する基質若しくは特定の基質に対する酵素、又はATP、cAMP、若しくはcGMP等の生体内の分子の結合ドメイン等を備える蛍光センサータンパク質を用いることで、細胞内のリガンドの濃度分布や時間変化(時空間ダイナミクス)を可視化解析できる。



蛍光センサータンパク質は、単色型、レシオ型、及びFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)型に大きく分類される。単色型は、各蛍光センサータンパク質について特定される単一波長での蛍光強度がリガンド濃度に応じて変化するタイプである。レシオ型は、各蛍光センサータンパク質ごとに特定される2つの波長での蛍光強度の相対比がリガンド濃度に応じて変化するタイプである。FRET型は、異なる2個の蛍光タンパク質断片を含む融合タンパク質のうち一方の断片が励起状態にあるとき、リガンド濃度に応じて他方の断片との距離が近接すると、励起状態の断片からエネルギーが他方の断片に無放射遷移するフェルスター共鳴エネルギー移動(Forster resonance energy transfer)現象を利用して、リガンド濃度に応じて前者の断片の蛍光強度と後者の断片の蛍光強度との相対比が変化するタイプである。
例えば、現在まで、単色型(例えば、非特許文献1参照)、FRET型(例えば、非特許文献2参照)、及びレシオ型(例えば、非特許文献3、4参照)のATP蛍光センサータンパク質が報告されている。

産業上の利用分野


本発明は、リガンド蛍光センサータンパク質とその使用に関する。
本願は、2015年12月4日に、日本に出願された特願2015-237524号、及び2016年5月24日に、米国に仮出願された米国特許第62/340,533号明細書に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リガンドに特異的に応答して蛍光特性が変化するリガンド蛍光センサータンパク質であって、
前記リガンド蛍光センサータンパク質は、第1の蛍光タンパク質ドメインと、N末端側リンカーと、リガンド結合ドメインと、C末端側リンカーと、第2の蛍光タンパク質ドメインとを含み、
前記リガンド蛍光センサータンパク質に用いられる蛍光タンパク質がβバレル構造を有するものであり、
前記第1の蛍光タンパク質ドメインが前記蛍光タンパク質のN末端からβ1~β3のβシート領域と、これに続くαへリックス領域と、β4~β6のβシート領域とを含み、
前記第2の蛍光タンパク質ドメインが前記第1の蛍光タンパク質ドメインと同一の前記蛍光タンパク質のβ7~β11のβシート領域を含み、
前記N末端側リンカー及び前記C末端側リンカーは、それぞれ独立して1個又は数個のアミノ酸からなるポリペプチドであることを特徴とするリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項2】
前記蛍光タンパク質がBFP、GFP、Citrine、又はmAppleである請求項1に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項3】
前記リガンド蛍光センサータンパク質は、N末端からC末端に向かって、第1の蛍光タンパク質ドメインと、N末端側リンカーと、リガンド結合ドメインと、C末端側リンカーと、第2の蛍光タンパク質ドメインとが、直接この順番にペプチド結合で連結してなるポリペプチドを含む請求項1又は2に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項4】
前記リガンド蛍光センサータンパク質は、2つのリガンド結合ドメインを含み、
N末端からC末端に向かって、第1のリガンド結合ドメインと、N末端側リンカーと、第2の蛍光タンパク質ドメインと、第1の蛍光タンパク質ドメインと、C末端側リンカーと、第2のリガンド結合ドメインと、が、直接この順番にペプチド結合で連結してなるポリペプチドを含む請求項1又は2に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項5】
前記第1の蛍光タンパク質ドメインは、以下の(B1)~(B3)のいずれかのポリペプチドを含み、
前記第2の蛍光タンパク質ドメインは、以下の(C1)~(C3)のいずれかのポリペプチドを含み、
前記第1の蛍光タンパク質ドメインと第2の蛍光タンパク質ドメインとが同一の蛍光タンパク質に由来する請求項1又は2に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。
(B1)配列番号1、3、5、又は7で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(B2)配列番号1、3、5、又は7で表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、前記第2の蛍光タンパク質ドメインとβバレル構造を形成し、蛍光を発するポリペプチド、
(B3)配列番号1、3、5、又は7で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、且つ、前記第2の蛍光タンパク質ドメインとβバレル構造を形成し、蛍光を発するポリペプチド、
(C1)配列番号2、4、6、又は8で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(C2)配列番号2、4、6、又は8で表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、前記第1の蛍光タンパク質ドメインとβバレル構造を形成し、蛍光を発するポリペプチド、
(C3)配列番号2、4、6、又は8で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、且つ、前記第1の蛍光タンパク質ドメインとβバレル構造を形成し、蛍光を発するポリペプチド

【請求項6】
前記リガンドが、ヌクレオチド若しくはその誘導体、核酸、糖鎖、タンパク質、脂質複合体、又は低分子化合物である請求項1~5のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項7】
前記ヌクレオチド若しくはその誘導体が、ATP、cAMP、又はcGMPである請求項6に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項8】
前記タンパク質が抗原又は抗体である請求項6に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項9】
以下の(D1)~(D3)のいずれかのポリペプチドを含む請求項1~8のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。
(D1)配列番号9~14のいずれかで表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(D2)配列番号9~14のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、挿入、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、且つ、前記ポリペプチド(D1)と同一の、リガンドへの結合能及び蛍光特性を有するポリペプチド、
(D3)配列番号9~14のいずれかで表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、且つ、前記ポリペプチド(D1)と同一の、リガンドへの結合能及び蛍光特性を有するポリペプチド

【請求項10】
さらに、オルガネラ局在化シグナルペプチドを含む請求項1~9のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項11】
前記オルガネラ局在化シグナルペプチドがミトコンドリア局在化シグナルペプチドである請求項10に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項12】
前記オルガネラ局在化シグナルペプチドが核局在化シグナルペプチドである請求項10に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項13】
さらに、細胞膜透過性ペプチドを含む請求項1~12のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質。

【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。

【請求項15】
請求項14に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現ベクター。

【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質を少なくとも1種類含むことを特徴とする細胞。

【請求項17】
請求項1~13のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質をコードするポリヌクレオチドを少なくとも1種類含む染色体を有することを特徴とする細胞。

【請求項18】
請求項15に記載の発現ベクターを少なくとも1種類含むことを特徴とする細胞。

【請求項19】
請求項16~18のいずれか一項に記載の細胞を含むことを特徴とする非ヒト生物。

【請求項20】
請求項1~13のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質、請求項14に記載のポリヌクレオチド、請求項15に記載の発現ベクター、請求項16~18のいずれか一項に記載の細胞、及び請求項19に記載の非ヒト生物からなる群から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とするリガンド濃度測定用キット。

【請求項21】
請求項1~13のいずれか一項に記載のリガンド蛍光センサータンパク質と、既知の濃度のリガンドを含む標準溶液と接触させて、蛍光強度を測定し、検量線を作成する検量線作成工程と、
前記リガンド蛍光センサータンパク質と、未知の濃度のリガンドを含む溶液と接触させて、蛍光強度を測定する蛍光測定工程と、
前記検量線作成工程において、作成された検量線に基づいて、前記蛍光測定工程において測定された蛍光強度に対するリガンド濃度を決定する濃度決定工程と、
を備えることを特徴とする被検試料中のリガンド濃度の決定方法。

【請求項22】
請求項16~18のいずれか一項に記載の細胞を用いて、経時的な蛍光強度を測定する工程を備えることを特徴とする生細胞におけるリガンド濃度の経時変化の検知方法。

【請求項23】
請求項19に記載の非ヒト生物を用いて、経時的な蛍光強度を測定する工程を備えることを特徴とする生きた非ヒト生物におけるリガンド濃度の経時変化の検知方法。

【請求項24】
ATP濃度に特異的に応答して蛍光特性が変化するATP蛍光センサータンパク質であって、該ATP蛍光センサータンパク質は、N末端からC末端に向けて、第1の蛍光タンパク質ドメインと、N末端側リンカーと、ATP結合ドメインと、C末端側リンカーと、第2の蛍光タンパク質ドメインとが、直接この順にペプチド結合で連結したポリペプチドを含み、該ポリペプチドは、
第1の蛍光タンパク質ドメインは、蛍光タンパク質BFP、Citrine又はmAppleのN末端から、β1~β3のβシート領域と、これに続くαヘリックス領域と、β4~β6のβシート領域とを含み、
第2の蛍光タンパク質ドメインは、第1の蛍光タンパク質ドメインと同一の蛍光タンパク質のβ7~β11のβシート領域を含み、
ATP結合ドメインはF-ATP合成酵素のεサブユニットからなり、
N末端側リンカー及びC末端側リンカーは、それぞれ、1個又は数個のアミノ酸からなるポリペプチドであることを特徴とするATP蛍光センサータンパク質。

【請求項25】
(A11)ATP結合ドメインは配列番号15のアミノ酸配列であり、第1及び第2の蛍光タンパク質ドメインは、それぞれ、配列番号1及び2のアミノ酸配列であり、N末端及びC末端側のリンカーは、それぞれ、配列番号16及び17のアミノ酸配列である、MaLion Bポリペプチドと、
(A12)ATP結合ドメイン、第1の蛍光タンパク質ドメイン、第2の蛍光タンパク質ドメイン、N末端側のリンカー、及びC末端側のリンカーは、それぞれ独立に、配列番号15、1、2、16、及び17のアミノ酸配列か、配列番号13、1、2、14、及び15のアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列かであり、かつ、MaLion Bポリペプチド(A11)と同一のATP結合能及び蛍光特性を有する、MaLion Bポリペプチドと、
(B11)ATP結合ドメインは配列番号15のアミノ酸配列であり、第1及び第2の蛍光タンパク質ドメインは、それぞれ、配列番号5及び6のアミノ酸配列であり、N末端及びC末端側のリンカーは、それぞれ、WRG(Trp-Arg-Gly)及び配列番号18のアミノ酸配列である、MaLion Gポリペプチドと、
(B12)ATP結合ドメイン、第1の蛍光タンパク質ドメイン、第2の蛍光タンパク質ドメイン、N末端側のリンカー及びC末端側のリンカーは、それぞれ独立に、配列番号15、5、6、WRG(Trp-Arg-Gly)、及び配列番号18のアミノ酸配列か、配列番号15、5、6、WRG(Trp-Arg-Gly)、及び配列番号18のアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列かであり、かつ、MaLion Gポリペプチド(B11)と同一のATP結合能及び蛍光特性を有する、MaLion Gポリペプチドと、
(C11)ATP結合ドメインは配列番号15のアミノ酸配列であり、第1及び第2の蛍光タンパク質ドメインは、それぞれ、配列番号7及び8のアミノ酸配列であり、N末端及びC末端側のリンカーは、それぞれ、配列番号19及びPEE(Pro-Glu-Glu)のアミノ酸配列である、MaLion Rポリペプチドと、
(C12)ATP結合ドメイン、第1の蛍光タンパク質ドメイン、第2の蛍光タンパク質ドメイン、N末端側のリンカー及びC末端側のリンカーは、それぞれ、配列番号15、7、8、19、及びPEE(Pro-Glu-Glu)のアミノ酸配列か、配列番号15、7、8、19、及びPEE(Pro-Glu-Glu)のアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列かであり、かつ、MaLion Rポリペプチド(C11)と同一のATP結合能及び蛍光特性を有する、MaLion Rポリペプチドとからなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む請求項24に記載のATP蛍光センサータンパク質。

【請求項26】
(A21)配列番号9のアミノ酸配列からなる、MaLion Bポリペプチドと、
(A22)配列番号9のアミノ酸配列のうち、配列番号16及び17のアミノ酸配列を除くアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、MaLion Bポリペプチド(A21)と同一のATP結合能及び蛍光特性を有する、MaLion Bポリペプチドと、
(B21)配列番号10のアミノ酸配列からなる、MaLion Gポリペプチドと、
(B22)配列番号10のアミノ酸配列のうち、配列番号10の第146-148位のWRG(Trp-Arg-Gly)のアミノ酸配列と、配列番号18のアミノ酸配列とを除くアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、MaLion Gポリペプチド(B21)と同一のATP結合能及び蛍光特性を有する、MaLion Gポリペプチドと、
(C21)配列番号11のアミノ酸配列からなる、MaLion Rポリペプチドと、
(C22)配列番号11のアミノ酸配列のうち、配列番号11の第288-290位のPEE(Pro-Glu-Glu)のアミノ酸配列と、配列番号19のアミノ酸配列とを除くアミノ酸配列に1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、MaLion Rポリペプチド(C21)と同一のATP結合能及び蛍光特性を有する、MaLion Rポリペプチドとからなる群から選択される少なくとも1つのポリペプチドを含む請求項24又は25に記載のATP蛍光センサータンパク質。

【請求項27】
請求項24~26のいずれか一項に記載のATP蛍光センサータンパク質を含むことを特徴とする蛍光組成物。

【請求項28】
前記ATP蛍光センサータンパク質は固体支持体に不動化される請求項27に記載の蛍光組成物。

【請求項29】
前記ATP蛍光センサータンパク質は、第1及び第2の蛍光タンパク質ドメインの対の異なる少なくとも2種類のATP蛍光センサータンパク質である請求項28に記載の蛍光組成物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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