TOP > 国内特許検索 > 急性リンパ性白血病関連の新規遺伝学的異常及びその利用

急性リンパ性白血病関連の新規遺伝学的異常及びその利用 NEW

国内特許コード P180015415
整理番号 (S2016-0212-N0)
掲載日 2018年11月5日
出願番号 特願2017-558310
出願日 平成28年12月22日(2016.12.22)
国際出願番号 JP2016088570
国際公開番号 WO2017111129
国際出願日 平成28年12月22日(2016.12.22)
国際公開日 平成29年6月29日(2017.6.29)
優先権データ
  • 特願2015-255179 (2015.12.25) JP
発明者
  • 奥野 友介
  • 小島 勢二
  • 鈴木 喬悟
  • 川島 希
  • 関屋 由子
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 急性リンパ性白血病関連の新規遺伝学的異常及びその利用 NEW
発明の概要 急性リンパ性白血病の治療方針の決定や予後予測などに役立つ、新規な遺伝学的異常を見出し、治療成績の向上に貢献することを課題とする。再発小児急性リンパ性白血病患者から、MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子の形成で特徴付けられる遺伝学的異常が見出された。この遺伝学的異常は治療方針を決定する際の新たな指標となる。
従来技術、競合技術の概要


急性リンパ性白血病(ALL; acute lymphoblastic leukemia)は小児期において最も頻度の高い白血病である。日本においては年間500例が発生し、長期生存率は80%前後である。ALLの特徴として非常に多様な遺伝学的異常(遺伝子融合、遺伝子欠失・増幅、点変異)を伴って発症することが知られている(非特許文献1)。そして、備える遺伝学的異常の違いによって、生命予後や各種治療法への反応性が異なる。例えば、ETV6-RUNX1融合遺伝子やTCF3-PBX1融合遺伝子を有するALLは通常の化学療法によく反応し、予後良好である。BCR-ABL融合遺伝子を有するALLは予後不良とされていたが、BCR-ABLの分子標的薬(イマチニブ、ダサチ二ブ等)を用いた治療で予後が改善することが明らかとなった。TP53遺伝子やIKZF1遺伝子に点変異・欠失を有するALLや、21番染色体内に部分的な増幅を有するALLは予後不良である。NT5C2遺伝子に点変異を有するALLは特定の化学療法(6-メルカプトプリン)に対して抵抗性を備える(特許文献1)。近年の大規模研究によって、活性化型チロンンキナーゼ変異(点変異や遺伝子融合による)を有するALLの一群が同定され、対応するチロンンキナーゼ阻害薬によって治療できる可能性が示された。

産業上の利用分野


本発明は急性リンパ性白血病に関連する新規遺伝学的異常に関する。詳しくは、新たに見出されたMEF2D-BCL9融合遺伝子の各種用途(例えば、検査方法、治療方針の決定、治療方法)等に関する。本出願は、2015年12月25日に出願された日本国特許出願第2015-255179号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下のステップ(1)~(3)を含む、急性リンパ性白血病の検査方法:
(1)急性リンパ性白血病患者から単離した白血病細胞を含む検体を用意するステップ;
(2)前記検体における、MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子がコードする融合タンパク質の存否を検出するステップ;
(3)前記融合遺伝子又は前記融合タンパク質が検出された場合に予後不良又は治療困難と判定するステップ。

【請求項2】
MEF2D遺伝子ではイントロン6又は7に切断点が存在し、BCL9遺伝子ではエクソン8又はイントロン9に切断点が存在する染色体逆位によって前記融合遺伝子が形成される、請求項1に記載の検査方法。

【請求項3】
ステップ(2)における前記融合遺伝子の検出が、RT-PCR法、PCR法、PCR-RFLP、PCR-SSCP法、RNAシーケンス解析、ターゲットシーケンス解析、FISH法及び全ゲノム解析からなる群より選択されるいずれかの検出法によって行われ、ステップ(2)における前記融合タンパク質の検出が免疫学的測定法によって行われる、請求項1又は2に記載の検査方法。

【請求項4】
前記急性リンパ性白血病患者が小児である、請求項1~3のいずれか一項に記載の検査方法。

【請求項5】
以下のステップ(4)又は(4')を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の検査方法:
(4)前記ステップ(3)の判定に基づき、前記急性リンパ性白血病患者が属するリスク群を特定し、治療方針を決定又は変更するステップ;
(4')前記ステップ(3)の判定と、他の検査の結果に基づき、前記急性リンパ性白血病患者が属するリスク群を特定し、治療方針を決定又は変更するステップ。

【請求項6】
前記リスク群が高リスク群である、請求項5に記載の検査方法。

【請求項7】
前記ステップ(4)又は(4')で変更した後の治療方針が、変更前よりも強化された療法を含む、請求項5又は6に記載の検査方法。

【請求項8】
前記ステップ(4)又は(4')で決定した又は変更した後の治療方針が、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及び/又はプロテアソーム阻害剤の投与による処置を含む、請求項5又は6に記載の検査方法。

【請求項9】
前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤がヒストン脱アセチル化酵素9阻害剤である、請求項8に記載の検査方法。

【請求項10】
前記ステップ(4)又は(4')で決定した又は変更した後の治療方針が、造血幹細胞移植の適応を含む、請求項5又は6に記載の検査方法。

【請求項11】
前記造血幹細胞移植が第1寛解期に実施される、請求項10に記載の検査方法。

【請求項12】
請求項5~11のいずれか一項に記載の検査方法で決定した又は変更した後の治療方針に従って前記急性リンパ性白血病患者を処置することを含む、急性リンパ性白血病の治療方法。

【請求項13】
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及び/又はプロテアソーム阻害剤を含む、MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子の形成で特徴付けられる急性リンパ性白血病患者を治療するための医薬。

【請求項14】
前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤がヒストン脱アセチル化酵素9阻害剤である、請求項13に記載の医薬。

【請求項15】
MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子の形成で特徴付けられる急性リンパ性白血病患者に対して、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤及び/又はプロテアソーム阻害剤を含む医薬を治療上有効量投与することを含む、急性リンパ性白血病の治療方法。

【請求項16】
前記ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤がヒストン脱アセチル化酵素9阻害剤である、請求項15に記載の治療方法。

【請求項17】
MEF2D遺伝子ではイントロン6又は7に切断点が存在し、BCL9遺伝子ではエクソン8又はイントロン9に切断点が存在する染色体逆位によって形成される、MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子の転写産物であるmRNAに相補的なDNAを特異的に増幅できるように設計したフォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマーセット。

【請求項18】
MEF2D遺伝子ではイントロン6又は7に切断点が存在し、BCL9遺伝子ではエクソン8又はイントロン9に切断点が存在する染色体逆位によって形成される、MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子を特異的に増幅できるように設計したフォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマーセット。

【請求項19】
請求項17又は18に記載のプライマーセットを含む、MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子の形成で特徴付けられる遺伝学的異常の検出用キット。

【請求項20】
前記プライマーセットとして以下のプライマーセットを含む、請求項19に記載の検出用キット:
MEF2D遺伝子のエクソン1~6の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるフォワードプライマーと、BCL9遺伝子のエクソン10の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるリバースプライマーからなるプライマーセット

【請求項21】
前記プライマーセットとして以下の(a1)~(a3)の中の一つ以上を含む、請求項19に記載の検出用キット:
(a1)MEF2D遺伝子のエクソン3~4の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるフォワードプライマーと、BCL9遺伝子のエクソン10の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるリバースプライマーからなるプライマーセット;
(a2)MEF2D遺伝子のエクソン5~6の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるフォワードプライマーと、BCL9遺伝子のエクソン10の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるリバースプライマーからなるプライマーセット;
(a3)MEF2D遺伝子のエクソン6の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるフォワードプライマーと、BCL9遺伝子のエクソン10の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるリバースプライマーからなるプライマーセット。

【請求項22】
前記プライマーセットとして以下の(b1)及び/又は(b2)を含む、請求項19に記載の検出用キット:
(b1)MEF2D遺伝子のエクソン2の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるフォワードプライマーと、BCL9遺伝子のエクソン10の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるリバースプライマーからなるプライマーセット;
(b2)MEF2D遺伝子のエクソン5の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるフォワードプライマーと、BCL9遺伝子のエクソン10の領域の一部分であって13塩基以上からなる部分に相補的な配列からなるリバースプライマーからなるプライマーセット。

【請求項23】
以下のステップ(i)~(iii)を含む、MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子の形成で特徴付けられる急性リンパ性白血病患者の治療に有効な物質のスクリーニング方法:
(i)MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子を発現する細胞を用意するステップ;
(ii)試験物質の存在下、前記細胞を培養するステップ;
(iii)細胞の生存数を測定し、前記試験物質の有効性を判定するステップ。

【請求項24】
MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子。

【請求項25】
MEF2D遺伝子ではイントロン6又は7に切断点が存在し、BCL9遺伝子ではエクソン8又はイントロン9に切断点が存在する染色体逆位によって生ずる、請求項24に記載の融合遺伝子。

【請求項26】
MEF2D遺伝子のエクソン1~6とBCL9遺伝子のエクソン10又はその一部を含む、請求項25に記載の融合遺伝子。

【請求項27】
配列番号11の配列と配列番号12の配列を含む、請求項26に記載の融合遺伝子。

【請求項28】
請求項24~27のいずれか一項に記載の融合遺伝子がコードする融合タンパク質。

【請求項29】
配列番号13の配列と配列番号14の配列を含む、請求項28に記載の融合タンパク質。

【請求項30】
請求項24~27のいずれか一項に記載の融合遺伝子の転写産物であるmRNAに相補的なDNA。

【請求項31】
配列番号15の配列と配列番号16の配列を含む、請求項30に記載のDNA。

【請求項32】
MEF2D遺伝子とBCL9遺伝子との融合遺伝子がコードする融合タンパク質を認識する抗体。

【請求項33】
前記融合タンパク質が、請求項28又は29に定義される融合タンパク質である、請求項32に記載の抗体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
名古屋大学の公開特許情報を掲載しています。ご関心のある案件がございましたら、下記まで電子メールでご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close