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細胞の調製方法 NEW

国内特許コード P180015424
整理番号 (S2015-2063-N0)
掲載日 2018年11月5日
出願番号 特願2017-545800
出願日 平成28年10月20日(2016.10.20)
国際出願番号 JP2016081187
国際公開番号 WO2017069222
国際出願日 平成28年10月20日(2016.10.20)
国際公開日 平成29年4月27日(2017.4.27)
優先権データ
  • 特願2015-207529 (2015.10.21) JP
発明者
  • 山本 健太
  • 岸田 綱郎
  • 素輪 善弘
  • 山本 俊郎
  • 松田 修
出願人
  • 京都府公立大学法人
発明の名称 細胞の調製方法 NEW
発明の概要 哺乳動物の分化した体細胞を、前記分化した体細胞以外の他の体細胞を分化誘導するための培地中で、TGF-βパスウェイ阻害剤の存在下に培養して、前記分化した体細胞を他の体細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、体細胞を調製する方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要


近年、細胞を患者に移植することによって、機能や形態の異常を補完し、病気を治療する再生医療技術が着目されている。



例えば骨芽細胞については、骨腫瘍、外傷や骨髄炎等にともなう骨欠損、また骨腫瘍等の掻爬後の骨欠損の修復目的で、病変部に骨芽細胞を移植すれば、骨形成を促進し、機能的形態的な予後が向上すると期待できる。実際に、たとえば患者の海綿骨から採取した骨髄細胞を自家移植する治療が行われており、その有効性が知られている。この場合自家骨髄細胞に含まれる間葉系幹細胞から骨芽細胞が分化誘導され、骨形成とリモデリングに寄与していると考えられる。一方、高齢化にともなって骨粗しょう症の罹患率が増加しており、高齢者が骨折すると長期臥床に繋がることもある。骨芽細胞の移植は、骨粗しょう症や外傷等に伴う骨折、難治性骨折や偽骨折の治癒を促進できると考えられる。骨芽細胞の移植はまた、関節リウマチ、突発性大腿骨頭壊死、変形性関節症、腰椎変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎分離症、脊椎分離すべり症、脊椎側弯症、頸椎症性脊髄症、後縦靭帯骨化症、脊髄損傷、変形性股関節症、変形性膝関節症、大腿骨頭すべり症、骨軟化症、手術後の骨の修復(心臓手術後の胸骨の修復など)、人工足関節手術に伴う欠損部の修復、骨髄炎、骨壊死等にも有用な可能性がある。



一方、歯周病は第4の生活習慣病とも呼ばれ、罹患率が極めて高く、またさまざまな全身疾患の原因になっている。歯周病の進行にともなって、歯槽骨の骨吸収が起こるので、骨芽細胞を効率良く局所の骨吸収部に供給出来れば、歯槽骨の再生治療につながると考えられる。



また、骨芽細胞の移植を、骨移植、人工骨移植、人工関節やインプラントと併用すれば、治療効果を高められる可能性がある。



再生医療技術において、用いる細胞の供給手段が課題の一つである。



例えば移植目的の骨芽細胞として、これまで骨髄間葉系幹細胞や骨髄間葉系幹細胞を含む骨髄細胞などが用いられてきた。しかし骨髄の採取は患者への侵襲が大きく、また十分な数の骨髄細胞が供給できない場合があるなどの問題点がある。一方、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)を用いれば、患者から骨髄を採取する必要はなく、また十分な数の骨芽細胞を供給できる可能性があるが、倫理的問題に加えて移植後に残存ES細胞が腫瘍化する危険性がある。またiPS細胞を用いても、患者から骨髄を採取する必要はなく、また十分な数の骨芽細胞を供給できる可能性があるが、移植後に残存iPS細胞が腫瘍化する危険性がある。



他の細胞についても、同様の問題がある。



非特許文献1は、ヒトES細胞へのOsterixのLentivirusベクター導入+Osteogenic培地での骨芽細胞への分化誘導を行っている。非特許文献2,3は、マウスiPS細胞からMSCを経てOsteogenic培地で分化誘導して骨芽細胞を得ている。



非特許文献4は、マウスiPS細胞にRunx2のAdenovirusベクターを導入し、Osteogenic培地で分化誘導して骨芽細胞を得ている。非特許文献1~4に示されるように、骨芽細胞はES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞から分化誘導して作製されているため、長期間の培養を要し、また癌化の危険性があった。



体細胞に、組織特異的な転写因子の遺伝子群を導入して、iPS細胞を経ずに直接その組織細胞に分化誘導できること(ダイレクト・コンヴァージョン(ダイレクト・リプログラミング))について、たとえば、以下の報告がある:
マウス線維芽細胞→軟骨細胞(SOX9 + Klf4 + c-Myc遺伝子を導入)
マウス線維芽細胞→心筋細胞(GATA4 + Mef2c + Tbx5遺伝子を導入)
マウス線維芽細胞→肝細胞(Hnf4α+(Foxa1またはFoxa2またはFoxa3)遺伝子を導入)
マウス線維芽細胞→神経幹細胞(Sox2 + FoxG1遺伝子を導入など)、
マウス、ヒト細胞→造血幹細胞など。



特許文献1には、体細胞に所定の遺伝子群を導入して、機能性を有する骨芽細胞を効率よく調製(ダイレクト・コンヴァージョン)するための方法が開示されている。しかしながら、遺伝子を導入する方法では、導入した遺伝子やベクターの影響で、細胞が腫瘍化する可能性がある。また安全性の検証のために費用と時間を要するなどの問題もある。そこで、遺伝子を導入せずに移植用の細胞を誘導する技術が求められている。

産業上の利用分野


[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年10月21日に出願された、日本国特許出願第2015-207529号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。



本発明は、主に細胞の調製方法に関する。詳しくはダイレクト・リプログラミングによる細胞の調製方法に関する。本発明はまた、分化した体細胞を他の体細胞にコンヴァートさせるための誘導剤にも関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
哺乳動物の分化した体細胞を、前記分化した体細胞以外の他の体細胞を分化誘導するための培地中で、TGF-βパスウェイ阻害剤の存在下に培養して、前記分化した体細胞を他の体細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、体細胞を調製する方法。

【請求項2】
TGF-βパスウェイ阻害剤が、D4476、SB431542、LY2157299、SD208、又はALK5 inhibitor IIである、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
TGF-βパスウェイ阻害剤が、ALK5 inhibitor IIである、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
線維芽細胞を間葉系の細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
線維芽細胞又はケラチノサイトを骨芽細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
線維芽細胞又は末梢血単核細胞を白色脂肪細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
線維芽細胞又はケラチノサイトを褐色脂肪細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
体細胞を分化誘導するための培地が、Peroxisome Proliferator-Activated Receptor-γ (PPAR-γ)アゴニストを含む、請求項6又は7に記載の方法。

【請求項9】
線維芽細胞を軟骨細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項10】
線維芽細胞を筋芽細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。

【請求項11】
線維芽細胞をシュワン細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項12】
ケラチノサイトを尿路上皮細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項13】
線維芽細胞を間葉系幹細胞にコンヴァートさせることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項14】
TGF-βパスウェイ阻害剤を含む、分化した体細胞を他の体細胞にコンヴァートさせるための誘導剤。

【請求項15】
分化した体細胞を他の体細胞にコンヴァートさせるためのキットであって、TGF-βパスウェイ阻害剤及び前記他の体細胞を分化誘導するための培地を含むキット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開


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