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水溶性天然ガスの採掘方法 NEW

国内特許コード P180015437
整理番号 B000053JP
掲載日 2018年11月6日
出願番号 特願2016-566362
登録番号 特許第6327730号
登録日 平成30年4月27日(2018.4.27)
国際出願番号 JP2015085714
国際公開番号 WO2016104448
国際出願日 平成27年12月21日(2015.12.21)
国際公開日 平成28年6月30日(2016.6.30)
優先権データ
  • 特願2014-259427 (2014.12.22) JP
発明者
  • 林 嘉久
出願人
  • 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
発明の名称 水溶性天然ガスの採掘方法 NEW
発明の概要 本発明は、水溶性天然ガス田において、砂岩層からだけでなく、泥岩層に含まれるメタンガスの採掘を可能にする水溶性天然ガスの採掘方法を提供する。すなわち、砂岩層(1)と泥岩層(2)とが上下に隣り合って存在する地層構造を有する水溶性天然ガス田において、同ガス田に掘削された圧入井(10)を通じて泥岩層(2)にガスを圧入することにより、泥岩層(2)中のメタンを炭酸ガスと置換する工程と、炭酸ガスと置換されたメタンを、前記ガス田に掘削された生産井(20)を通じて採取する工程とを実施する。
従来技術、競合技術の概要 近年、シェールガスやメタンハイドレートなどの非在来型天然ガス資源が注目を集めている。米国では、頁岩に含まれるシェールガスの採掘技術が確立されて飛躍的に生産量が増加し、世界のエネルギー事情を大きく変化させるムーブメント(いわゆるシェールガス革命)が起こっている。日本でも、海底に氷に似た状態で保存されているメタン、すなわちメタンハイドレートの試掘が成功し、商業的な開発に向けて大きな期待が寄せられている。

日本では、メタンハイドレートの他にも、水溶性天然ガスの採掘が行なわれている。水溶性天然ガスの産出する地域は日本各地に存在するが、中でも千葉県を中心とした南関東一帯には、南関東ガス田と呼ばれる日本最大の水溶性天然ガス田が存在する。

水溶性天然ガスは、太古の昔に砂や泥と一緒に海底に堆積した動植物等の生体有機物をバクテリアが分解するときにできるメタンガスが、地層水に溶け込んだ状態で存在するものと考えられている(非特許文献1を参照)。水溶性天然ガス田には、砂岩層と泥岩層とが相互に隣り合って存在する層(砂泥互層)が形成されており、その砂岩層及び泥岩層には、上記のメタンガスが溶け込んだ地層水が含まれている。

南関東ガス田の水溶性天然ガスは、鹹水(かんすい)と呼ばれる塩化ナトリウムなどの塩分を含む地層水に溶け込んでおり、南関東ガス田では、砂岩層に含まれる鹹水を生産井に設けた水中ポンプなどを使って汲み上げている。地上に汲み上げられた鹹水は大気圧下に曝気することでメタンガスを放出する。
鹹水を採取するにあたっては、水中ポンプの作用に加えて、帯水層である砂岩層に、生産井とは別に設けた圧入井を通じて炭酸ガス(CO2)又は炭酸ガス溶解水を圧入して砂岩層に含まれる鹹水を加圧し、生産井を通じて砂岩層から水溶性天然ガスを含む地層水を汲み上げる方法が提案されている(例えば、特許文献1及び非特許文献2を参照)。
ちなみにこの地域で採取される鹹水には通常の海水の約2000倍という高濃度のヨウ素が含まれており、商業的に開発されて国内のヨウ素生産量の約80%を占めている。

水溶性天然ガス田において生産されるメタンガスの量と水量との比率は、メタンガスを含む砂岩層の圧力、温度に対する飽和ガス/水比に符合する。このことから、水溶性天然ガス田において生産される天然ガスはほとんどが帯水層である砂岩層から回収された鹹水に含まれるメタンガスであり、泥岩層に含まれるメタンガスではないと考えられる。
一方、南関東ガス田の一部地域では、飽和ガス水比を超えたメタンガスが生産されており、このことから泥岩層内の遊離ガスが砂岩層内に流動するのではないかという、いわゆる泥岩説が唱えられている。この泥岩説を検証する実験研究の結果、生産ガス水比が大きくなる挙動は泥岩から遊離メタンガスが供給されることによって生じていると考察されている(非特許文献3)。

また、新潟地方の水溶性ガス田では、生産を停止した坑井において再び生産が可能になった場合、一時的に高いガス水比で生産される現象が確認された。このような現象の要因は、上記の泥岩説を踏まえて推察すると、泥岩層内から移動したメタンガスが砂岩層内に自由度の高い状態で存在し、周辺と比べて比較的地表から浅い地層にあるその坑井に移動、集積したことによると考えられる。

泥岩層は軟質な泥岩からなり、メタンの浸透率は0.002~0.008mdと砂岩に比べて非常に小さいが、空隙率は30~40%であり砂岩層と同様の値を示す。泥岩層内の空隙には、メタンガスが溶け込んだ地層水が含まれていると考えられる。また、泥岩層には多様な鉱物粒子が含まれており、それら鉱物粒子の周囲には多量のメタン分子が吸着されていると考えられる。
このように泥岩層内に存在するメタンは、鉱物粒子への吸着量及び空隙を満たす水への溶解量が飽和状態になると、砂岩層に移動して鹹水に溶解すると考えられる。

泥岩層内のメタン量は、非特許文献4のデータを引用すると、泥岩層深度1000m、空隙率40%の場合、泥岩層1立方メートル当たり吸着量は10立方メートル、空隙内を満たした水中の溶解量は0.8立方メートルと見積もられた。泥岩層に存在する吸着メタンと溶解メタンの総量は、砂岩層1立方メートル当たりに存在する溶解メタン量0.8立方メートルを上回ると推測される。
産業上の利用分野 本発明は、水溶性天然ガス田から天然ガスを採掘する方法に関する。
本願は、2014年12月22日に日本に出願された特願2014-259427号に対して優先権を主張し、その内容をここに援用する。
特許請求の範囲 【請求項1】
砂岩層と泥岩層とが上下に隣り合って存在する地層構造を有するガス田からの水溶性天然ガスの採掘方法であって、
前記ガス田に掘削された圧入井を通じて前記ガス田にガスを圧入することにより、前記泥岩層中のメタンを前記ガスと置換する工程と、
前記ガスと置換された前記メタンを、前記ガス田に掘削された生産井を通じて採取する工程と
前記ガスの圧入に続き、前記圧入井を通じて前記砂岩層に水を圧入する工程とを備え、
前記ガスは前記圧入井から前記砂岩層に圧入され、
前記砂岩層内の地層水と、前記砂岩層に圧入された前記水との間に、前記水に先んじて圧入された前記ガスのセルが画成され、
前記砂岩層に対する前記水の加圧を維持することにより、前記セルが前記圧入井から前記生産井に向けて移動し、
前記セルの移動の過程で、前記泥岩層中のメタンが前記セル内の前記ガスと置換され、
前記セル内のガス相に移動した前記メタンが、前記地層水と共に前記生産井を通じて採取される水溶性天然ガスの採掘方法。

【請求項2】
前記砂岩層への前記ガスの圧入及び前記水の圧入が交互に行なわれることにより、前記砂岩層内に複数の前記セルが画成され、 前記砂岩層に対する前記ガス又は前記水の加圧を維持することにより、複数の前記セルが前記圧入井から前記生産井に向けて移動する、請求項に記載の水溶性天然ガスの採掘方法。

【請求項3】
前記砂岩層に圧入すべき水は塩分を含む請求項1又は2に記載の水溶性天然ガスの採掘方法。

【請求項4】
砂岩層と泥岩層とが上下に隣り合って存在する地層構造を有するガス田からの水溶性天然ガスの採掘方法であって、
前記泥岩層に、該泥岩層の広がる方向に向けて、前記ガス田に掘削された圧入井から水平坑を掘削する工程と、
前記圧入井及び水平坑を通じて前記泥岩層にガスを圧入することにより、前記泥岩層中のメタンを前記ガスと置換する工程と、
前記ガスと置換された前記メタンを、前記ガス田に掘削された生産井を通じて採取する工程とを備え、
前記水平坑に前記ガスが圧入され、前記泥岩層中のメタンが、前記水平坑に圧入された前記ガスと置換され、
前記ガスと置換された前記メタンが前記砂岩層に移動し、前記生産井を通じて採取される水溶性天然ガスの採掘方法。

【請求項5】
前記泥岩層に割れ目を生じさせる工程をさらに備え、前記ガスを前記圧入井から前記割れ目に圧入する請求項4に記載の水溶性天然ガスの採掘方法。

【請求項6】
前記圧入井を前記生産井として使用する請求項5に記載の水溶性天然ガスの採掘方法。

【請求項7】
前記ガスは炭酸ガスを含む請求項1からのいずれか一項に記載の水溶性天然ガスの採掘方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2016566362thum.jpg
出願権利状態 登録


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