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乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測用組成物及び方法 NEW

国内特許コード P180015468
整理番号 5625
掲載日 2018年11月19日
出願番号 特願2013-512406
登録番号 特許第6026408号
出願日 平成24年4月25日(2012.4.25)
登録日 平成28年10月21日(2016.10.21)
国際出願番号 JP2012061100
国際公開番号 WO2012147800
国際出願日 平成24年4月25日(2012.4.25)
国際公開日 平成24年11月1日(2012.11.1)
優先権データ
  • 特願2011-097432 (2011.4.25) JP
発明者
  • 妙本 陽
  • 小園 聡子
  • 佐藤 史顕
  • 戸井 雅和
  • 上野 貴之
  • 王 智鵬
  • 辻本 豪三
  • 清水 一治
出願人
  • 東レ株式会社
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測用組成物及び方法 NEW
発明の概要 この発明は、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測のための組成物及び方法、具体的には、配列表に記載される配列番号1~9、配列番号11~19、及び配列番号21~23で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、を含むポリヌクレオチド、その変異体、その誘導体、又は16以上の連続した塩基を含むその断片、或いは、それらに相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチドを用いてHer2蛋白質の発現量の増減を指標にしてトラスツズマブに対する治療感受性を予測するための組成物、キット、DNAチップ、並びに方法に関する。
従来技術、競合技術の概要


乳ガンとは、乳房組織内の細胞が悪性化して無秩序に増殖する疾患であり、女性の罹患率は日本で25人~30人に1人、欧米では8~10人に1人とされる。なお、罹患率は低いが男性も乳ガンに罹患することが知られている。最近の研究により、乳ガンは異なる生物学的特性を有する多様な集団からなっており、治療に対する反応性や予後がそれぞれの集団の患者で異なることがわかってきた。すなわち、DNAチップ解析による網羅的な発現遺伝子解析によって乳ガンは大きくわけて5つの分子サブタイプに分類できることが示唆されている。ただし、日常臨床においては、エスロトジェン受容体、プロジェステロン受容体、Her2タンパク質の発現を検出することによって4つのサブタイプに分類して治療方針が検討されることが多い。乳ガンの治療は原則的には外科療法であるが、進行度や転移、全身状態、乳ガンの分類によって薬物療法や放射線療法が併用される。特に薬物療法の実施においては、上述の乳ガンサブタイプに応じて、対象患者に投与すべき薬物を評価し、適切な治療方針を選択することが重要である(非特許文献1)。



これらのサブタイプの中で、乳ガンの約25%を占めるHer2陽性乳ガンは悪性度、転移率が高く予後不良であり、Her2陽性乳ガンの治療成績の向上は今後も極めて重要な課題となっている。



トラスツズマブ(商品名「ハーセプチン」(登録商標、中外製薬))は厚生労働省によって認可された抗体医薬であり、Her2陽性乳ガンの細胞表面に存在するHer2タンパク質に結合することで抗腫瘍効果を引き起こす。トラスツズマブはHer2陽性乳ガンに対して用いられる第一選択薬である。しかしその一方で、Her2陽性乳ガン患者の中には、トラスツズマブの効果がないトラスツズマブ非感受性乳ガン患者や、トラスツズマブの投薬によって心不全・呼吸困難・アレルギーといった重篤な副作用を生じる患者の存在も知られている。現在の臨床診断において乳ガンがHer2陽性であるか否かを区別するために用いられている手法は免疫組織化学的手法によるHer2タンパク質の過剰発現の検出、及び/又はHer2タンパク質に対応するゲノム上の遺伝子増幅の検出であるが、これの手法では上述のHer2陽性であるにもかかわらずトラスツズマブ非感受性を示す乳ガン患者、及び副作用を併発する乳ガン患者を判別することはできない。



具体的には、免疫組織化学的手法によってHer2タンパク質の過剰発現が認められ、トラスツズマブ単剤による治療を受けた患者のうちトラスツズマブに感受性を示した患者の割合は35%以下であることが知られており(非特許文献2)、免疫組織化学的手法によるHer2タンパク質の過剰発現の検出又はHer2タンパク質に対応するゲノム上の遺伝子増幅の検出によってHer2陽性を区別する検査方法(非特許文献3の検査方法)において、トラスツズマブに他の抗ガン剤を組み合わせた治療を受けた患者のうちトラスツズマブに感受性を示した患者の割合は65.2%以下であることが知られている(非特許文献3)。すなわち、現在、臨床現場で利用されている非特許文献3の検査方法でのトラスツズマブ感受性予測の精度は65.2%にとどまる。



一方、乳ガン治療のための薬物療法は特に近年目覚しい発展をとげており、ガンの性質に応じてさまざまな治療薬を選択することが可能になりつつある。このような状況において、現在、Her2陽性を区別するために用いられている方法以上に高い精度で、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性を予測することが可能になれば、Her2陽性乳ガン患者の治療法の選択をより容易にし、薬物療法の効果の最大化及び副作用の最小化ができると考えられる。



これまでのHer2陽性乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性に関する報告には、非特許文献4に記載のPTENタンパク質の活性化、非特許文献5に記載のCyclin Eの遺伝子増幅及び/又は過剰発現、非特許文献6に記載のmiR-125a及び/又はmiR-125bによるHer2タンパク質発現の制御についてのものが存在する。



非特許文献4では、Her2陽性乳ガン患者のPTENの発現量を免疫組織学的手法で評価し、PTENの発現を抑制した細胞はトラスツズマブによる増殖抑制を受けにくいこと、PTENの発現量がHer2陽性乳ガン患者のトラスツズマブによる病勢進行の抑制と相関していることを示している。



また非特許文献5では、Her2陽性乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性患者におけるCyclin Eタンパク質の発現量を免疫組織化学的手法で評価し、トラスツズマブと他の抗ガン剤による治療を受けた患者群においてCyclin Eタンパク質の発現量が多い群においては病勢が進行しなかった患者の割合が高かったことを示している。



また、非特許文献6はmiR-125a及びmiR-125bの発現量増加がトラスツズマブの標的タンパク質であるHer2タンパク質の発現量を低下させることを示している。



また、let-7a(特許文献1)、let-7b(特許文献1)、及びmiR-145(特許文献2)は乳ガン患者で発現量が低下すること、そしてmiR-200c(特許文献3)は乳ガン患者で発現量が上昇することが知られる。

産業上の利用分野


本発明は、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性の予測(或いは、判定、評価、検出又は診断)に有用な組成物、該組成物を利用した乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性の予測(或いは、判定、評価、検出又は診断)方法、及び該組成物を利用した乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性の予測(或いは、判定、評価、検出又は診断)用キットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
miR-1234、miR-513a-5p、miR-494、miR-26a、let-7a、let-7b、let-7g、miR-940、miR-1470、miR-200c、let-7e、miR-1228、let-7c、miR-1229、miR-145、miR-181a、miR-191、let-7d、及びmiR-23aからなる群から選択される3以上の標的核酸の発現を測定するための下記の(a)~(e)に示すポリヌクレオチドからなる群から選択される以上のポリヌクレオチドを含む、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測用組成物:
(a)配列番号1~9、1115、17~19、及び22~23で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、からなるポリヌクレオチド、又は16以上の連続した塩基からなるその断片
(b)配列番号1~9、1115、17~19、及び22~23で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、を含むポリヌクレオチド
(c)配列番号1~9、1115、17~19、及び22~23で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は16以上の連続した塩基からなるその断片
(d)配列番号1~9、1115、17~19、及び22~23で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(e)前記(a)~(d)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド。

【請求項2】
miR-125a-5p、miR-205、miR-125b、及びmiR-92aからなる群から選択される1以上の別の標的核酸の発現を測定するための下記の(f)~(j)に示すポリヌクレオチドからなる群から選択される1以上のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1に記載の組成物:
(f)配列番号10、16、20及び21で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、からなるポリヌクレオチド、又は16以上の連続した塩基からなるその断片
(g)配列番号10、16、20及び21で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、を含むポリヌクレオチド
(h)配列番号10、16、20及び21で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は16以上の連続した塩基からなるその断片
(i)配列番号10、16、20及び21で表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、に相補的な塩基配列を含むポリヌクレオチド
(j)前記(f)~(i)のいずれかのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド。

【請求項3】
miR-1234、miR-513a-5p、miR-494、miR-26a、let-7a、let-7b、let-7g、miR-940、miR-1470、miR-200c、let-7e、miR-1228、let-7c、miR-1229、miR-145、miR-181a、miR-191、let-7d、及びmiR-23aからなる群から選択される3以上の標的核酸の発現を測定するための請求項1に記載の(a)~(e)に示すポリヌクレオチドの3以上のポリヌクレオチドを含む、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測用キット。

【請求項4】
miR-125a-5p、miR-205、miR-125b、及びmiR-92aからなる群から選択される1以上の別の標的核酸の発現を測定するための請求項2に記載の(f)~(j)に示すポリヌクレオチドの1以上のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項3に記載のキット。

【請求項5】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号1~23のいずれかで表される塩基配列、もしくは該塩基配列においてuがtである塩基配列、からなるポリヌクレオチド、その相補的配列からなるポリヌクレオチド、又はそれらの16以上の連続した塩基からなる断片、或いはそれらのポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項3~4のいずれか1項に記載のキット。

【請求項6】
前記ポリヌクレオチドが、別個に又は任意に組み合わせて異なる容器に包装されている、請求項3~5のいずれか1項に記載のキット。

【請求項7】
miR-1234、miR-513a-5p、miR-494、miR-26a、let-7a、let-7b、let-7g、miR-940、miR-1470、miR-200c、let-7e、miR-1228、let-7c、miR-1229、miR-145、miR-181a、miR-191、let-7d、及びmiR-23aからなる群から選択される3以上の標的核酸の発現を測定するための請求項1に記載の(a)~(e)に示すポリヌクレオチドの3以上のポリヌクレオチドを含む、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測用DNAチップ。

【請求項8】
miR-125a-5p、miR-205、miR-125b、及びmiR-92aからなる群から選択される1以上の別の標的核酸の発現を測定するための請求項2に記載の(f)~(j)に示すポリヌクレオチドの1以上のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項7に記載のDNAチップ。

【請求項9】
請求項1~2のいずれかに記載の組成物、請求項3~6のいずれかに記載のキット、請求項7~8のいずれかに記載のDNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、乳ガン患者由来の試料における3以上の標的核酸の発現量を測定し、乳ガン患者がトラスツズマブに対する治療感受性を発揮することの可能性をin vitroで予測支援することを含む、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測を支援するための方法。

【請求項10】
DNAチップを用いる、請求項9に記載の方法。

【請求項11】
請求項1~2のいずれかに記載の組成物、請求項3~6のいずれかに記載のキット、請求項7~8のいずれかに記載のDNAチップ、又はそれらの組み合わせを用いて、乳ガン患者がトラスツズマブに対する治療感受性を持つことが既知の複数の試料中の標的核酸の発現量、及び乳ガン患者がトラスツズマブに対する治療感受性を持たないことが既知の複数の試料中の標的核酸の発現量をin vitroで測定する第1の工程、前記第1の工程で得られた該標的核酸の発現量を教師としたサポートベクターマシンに基づく判別式を作成する第2の工程、乳ガン患者の手術時又は生検検査時に採取した試料中の該標的核酸の発現量を第1の工程と同様にin vitroで測定する第3の工程、前記第2の工程で得られた判別式に第3の工程で得られた該標的核酸の発現量を代入し、該判別式から得られた結果に基づいて、乳ガン患者がトラスツズマブに対する治療感受性を持つことを予測支援する第4の工程を含む、乳ガン患者のトラスツズマブに対する治療感受性予測を支援するための方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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