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テラヘルツ波を用いた皮膚角層水分量の計測方法 NEW

国内特許コード P180015532
整理番号 4704
掲載日 2018年11月21日
出願番号 特願2014-179672
公開番号 特開2016-053528
出願日 平成26年9月3日(2014.9.3)
公開日 平成28年4月14日(2016.4.14)
発明者
  • 小川 雄一
  • 白神 慧一郎
  • 赤宗 行三
  • 森田 美穂
  • 土田 克彦
出願人
  • 国立大学法人京都大学
  • 株式会社ナリス化粧品
発明の名称 テラヘルツ波を用いた皮膚角層水分量の計測方法 NEW
発明の概要 【課題】 テラヘルツ波を用いて角層の水分量を測定する方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る角層の水分量計測方法は、テラヘルツ波出射面であるプリズム表面に皮膚表面を接触させ、好ましくは周波数が0.1THz以上3.0THz以下のテラヘルツ波を照射して吸収係数を求める工程を有する計測方法であって、屈折率が2.0以上、好ましくは2.5以上、さらに望ましくは3.0以上のプリズムを用いる方法である。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


皮膚の最外層である角層は、水分の蒸発や微生物、毒物などに対する主要な保護バリアである。角層において、水分は角層の物質透過性、可塑性などの物理的性質や、皮膚表層の角層細胞の落屑に重要な作用を有する酵素の活性を制御することが知られている(非特許文献1)。したがって、角層における水分量やその変化を詳細に知るということは、角層機能を評価するために重要である。



角層における水分量やその変化を計測する方法として、これまでにも種々の方法が考案されている。例えば、角層の電気伝導率や静電容量、誘電率などの電気的性質が、角層中の水分量によって変化する、ということに着目し、電気的性質の測定値から相対的な角層水分量を知ろうとする装置が提案されている(特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。



これらの装置は皮膚を傷つけることなく、迅速かつ簡便に角層水分量を知ることができる点で有益であった。しかし、化粧品やその原料をはじめとする皮膚外用剤を塗布した状態の皮膚では、塗布物が電気の流れを阻害する、あるいは促進することにより測定値に影響を与える場合があり、必ずしも角層中の水分量のみを反映した計測値が得られるわけではない、という問題があった。



また、角層中の水分量によって近赤外線の吸収度が変化する、ということに着目し、近赤外線を利用した拡散反射分光法あるいは全反射減衰分光法(Attenuated Total Reflection Spectroscopy:ATR法)により角層水分量を計測する方法が提案されている(非特許文献4)。



これらの方法も皮膚を傷つけることなく角層水分量を知ることができる点で有益である。しかし、水の近赤外吸収スペクトルと化粧品や皮膚外用剤に含まれる物質、あるいは皮膚中の物質の吸収スペクトルとの分離が難しいことや、皮膚組織中での多重散乱やメラニン色素による吸収など、角層水分以外の物質による影響を受けやすい、といった問題があり、簡便かつ高精度に角層機能を評価するには十分な技術とは言えなかった。



さらに、水を構成する水素原子の核磁気共鳴により得られる信号から皮膚中の水分量の分布を観察する方法も提案されている(非特許文献5)。核磁気共鳴を利用する方法は、皮膚を傷つけることなく水分量分布が画像として取得できるため、皮膚中のどの部位の水分量の情報を得たいか、という要望に応じてデータを取得することができる利点がある。しかし、非常に高価な装置や設備が必要であること、非常に強い磁場の中に試料をおく必要があること、皮膚に塗布する皮膚外用剤の組成によっては火傷などの事故が生じる可能性がある、といった問題があった。



また、皮膚中の水分量によってラマン散乱の強度が変化するということに着目し、共焦点レーザー顕微ラマン分光装置の使用により、皮膚中の水分量の分布を計測する方法が提案されている(非特許文献6)。この方法では、角層を水とタンパクからなるものと仮定し、水を構成するOH基に由来するOH伸縮振動に基づくラマン散乱強度とタンパクを構成するCH3基に由来するCH3伸縮振動に基づくラマン散乱強度の比から、試料表面からの深さによる検出強度の変化を補正することで、各深さ地点での水分量を重量パーセントで表すことを可能にしている。しかしながら、化粧品や皮膚外用剤を塗布した状態の皮膚では、塗布物中にもCH3伸縮振動を有する物質が含まれていることがほとんどであるため、CH3伸縮振動によるラマン散乱強度を用いた補正が、正しい水分重量パーセントを与えないことがあるという問題があった。



テラヘルツ波と呼ばれる0.1~10テラヘルツの電磁波は光波と電波の中間領域に位置する。テラヘルツ波は良好な物質透過性を有する、人体に対して安全に利用できる、生体組織内での散乱が小さい、水による吸収が非常に大きい、という特徴を持つ。これらの特徴に着目して、近年、テラヘルツ波を用いて水の分布の画像化や分光計測を行うことが試みられている。例えば、テラヘルツ波時間領域分光法を利用して、皮膚組織を構成する角層、表皮、真皮、皮下組織角層の各群屈折率の違いから生じる群屈折率不連続面で生じるテラヘルツ波のエコーパルスの強度情報から水分量を計測する方法が提案されている(非特許文献7)。



この方法は空気―角層界面から得られるエコーパルスの強度を用いて角層水分量を推定する方法であるが、明瞭な界面が形成されていない角層―表皮境界面からのエコーが得られにくいことや、テラヘルツ波のパルス幅に対する角層の薄さのため、角層内部の水分に関する情報を精度良く得ることが困難であることなどの課題が残されていた。



また、全反射する条件で試料にテラヘルツ波を入射し、その際に生じるテラヘルツ帯の表面波(エバネッセント波)と試料の相互作用によるテラヘルツ波の減衰を測定することで、試料の複素屈折率又は複素誘電率を求めることが試みられている(特許文献2、非特許文献8)。特許文献2では、入射角条件の異なる2つのスペクトルを測定することで、透過法のように極薄い厚みの液体層を必要とすることなく試料の複素屈折率を求めている。非特許文献8では、単層の細胞層などの極薄い薄膜試料に積層された水の影響を排除すべく、薄膜試料と水の界面における反射を考慮したいわゆる二界面モデルを用いて薄膜試料の複素誘電率を求めている。



しかしながら、いずれの文献も複素屈折率又は複素誘電率が測定されたことを示しているにすぎない。また、皮膚の角層は単層の細胞層ではなく、死んだ角化細胞が複雑に積層したものであって、角層の水分量を測定する方法に利用できるかどうか分からなかった。

産業上の利用分野


本発明は皮膚角層水分量の計測方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
テラヘルツ波を用いた全反射減衰分光法により皮膚角層水分量を計測する方法であって、 テラヘルツ波出射面であるプリズム表面に皮膚表面を接触させてテラヘルツ波を照射して吸収係数を求める工程を有することを特徴とする皮膚角層水分量の計測方法。

【請求項2】
前記プリズムの屈折率は、テラヘルツ波を用いた全反射減衰分光法により算出される角層の複素屈折率よりも大きく、当該角層の複素屈折率は前記真皮層と前記角層の界面における反射係数を考慮した二界面モデルを適用して算出されたことを特徴とする請求項1に記載の皮膚角層水分量の計測方法。

【請求項3】
前記プリズムの屈折率が、2.0以上である請求項1に記載の計測方法。

【請求項4】
前記プリズムの屈折率が、3.0以上である請求項1に記載の計測方法。

【請求項5】
周波数が0.1THz以上3.0THz以下のテラヘルツ波を照射することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の皮膚角層水分量の計測方法。

【請求項6】
前記求められた吸収係数と、水分量が既知である皮膚モデルを用いて測定された吸収係数との対比から角層の水分量を求める工程をさらに有する請求項1~5の何れか1項に記載の計測方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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