TOP > 国内特許検索 > 前立腺がん検査用尿中バイオマーカー

前立腺がん検査用尿中バイオマーカー NEW 外国出願あり

国内特許コード P180015564
整理番号 3629
掲載日 2018年11月21日
出願番号 特願2014-508014
登録番号 特許第6312141号
出願日 平成25年3月28日(2013.3.28)
登録日 平成30年3月30日(2018.3.30)
国際出願番号 JP2013059208
国際公開番号 WO2013146997
国際出願日 平成25年3月28日(2013.3.28)
国際公開日 平成25年10月3日(2013.10.3)
優先権データ
  • 特願2012-078963 (2012.3.30) JP
発明者
  • 中山 憲司
  • 清水 一治
  • 内海 潤
  • 井上 貴博
  • 小川 修
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 前立腺がん検査用尿中バイオマーカー NEW 外国出願あり
発明の概要 要約
非侵襲で且つ従来よりも精度の高い前立腺がん検査を可能にする新規な手段が開示されている。本願発明者らは、前立腺がん患者及び前立腺がんに罹患していない非がん被検者の尿検体を鋭意分析した結果、前立腺がん検査の指標となる尿中ペプチドを新たに見出した。これらの尿中ペプチドを指標とすれば、前立腺がんの検出や前立腺がんと前立腺肥大症との識別、前立腺がん治療の治療効果のモニタリング、術後再発のモニタリングなどを包含する様々な前立腺がん関連検査が可能になる。
従来技術、競合技術の概要


前立腺がんは欧米諸国では罹患率の高い悪性疾患であり、我が国でも近年その罹患率の増加は著しい(非特許文献1)。前立腺がん死亡数は2009年には我が国において10,036人と1万人を超え、これも増加傾向にある(非特許文献2)。したがって、前立腺がんの診断技術の向上と新たな治療法の開発は社会的にもその要望が高い。



1979年にWangらによって精漿から分離された前立腺特異抗原 (PSA: prostate-specific antigen) は237個のアミノ酸からなる分子量34kDaの糖タンパク質であり、ヒトカリクレイン3と同一物質である(非特許文献3)。血清中のPSA測定は、現在では前立腺がんの診断や再発の判定のみならず、予後の予測や治療効果判定にも広く用いられている。血清PSAは、前立腺がん検出感度はよいが、前立腺特異抗原であって前立腺がん特異抗原でないので、前立腺肥大症、前立腺炎などの良性疾患や直腸診、射精行為でもPSAが上昇することがあるため、そのがん検出特異度は低い。従って、基準値である4ng/mLを精密検査の血清PSA値カットオフとすると、偽陽性率が高く、結果として、患者の身体的負担が大きい不必要な前立腺生検が施行されることになる。実際、血清PSA値が4~10ng/mLのいわゆるグレイゾーンにおいては前立腺がんの陽性率は25~30%であり、この範囲の値では約70%で不要な生検が行われているとされている(非特許文献4)。従って、非がん患者の不必要な生検を回避し、血清PSAに比べ前立腺がん患者をより効率よく検出する新たなバイオマーカーが切に望まれている。



さらに、患者から得る臨床試料の採取法にも改善が求められている。血液は一般的な臨床試料であるが、疾患の経時的なモニタリングの際には採血が頻回になると採血量の制限がかかることがある。より負担の少なく採取できる臨床試料が利用できれば、より好ましい。毎日排泄される尿は非侵襲的に採取可能であり、尿中マーカーは倫理的にも理想的な検査材料である。さらには、前立腺の腺管は尿道に開口しているので、随時尿と前立腺マッサージ後尿を比較することで前立腺から直に分泌されている様々な物質を検出することが可能である。実際、尿を検体とした診断方法として、(1)尿中RNA、(2)尿中DNA、(3)尿中タンパク質、(4)尿中代謝物などがある。このうち、Non-coding RNAである前立腺がん遺伝子3(PCA3)は、前立腺がんで発現が高く、正常の前立腺ではその発現が低いことが報告され(非特許文献5)、このPCA3を尿中で検出する前立腺がん診断法の報告が近年散見される(非特許文献6)が、臨床現場の検査法としては血清PSAを凌駕する方法までには至っておらず、またその他の尿中成分を用いた診断方法も研究段階にある。従って、新たに疾患関連性のある尿中ペプチドやタンパク質断片による前立腺疾患検査法が確立されれば、その臨床的意義は非常に高い。



尿中には、分子量10kDa以下のペプチドやタンパク質断片が多種存在し、その排泄量は健常人でも通常数十mg/dayに達する(非特許文献7)。尿は、非侵襲的なサンプリングが可能であり、プロテアーゼの活性も低く、血液・腎臓・膀胱・卵巣・前立腺などに由来する物質を含んでいることから、分子量10kDa以上のタンパク質を標的にした疾患関連マーカー探索に関するプロテオミクス研究が多面的に実施されている(非特許文献8、9)。



網羅的なペプチドやタンパク質解析の手法として一般的な方法は、二次元電気泳動法や液体クロマトグラフィーであるが、一般に分子量1万以上の分子分画に適しており、低分子量タンパク質やペプチドの特異的検出には適していない。また、Surface Enhanced Laser Desorption/Ionization (SELDI) と飛行時間型質量分析装置(Time-of-flight/Mass spectromery: TOF/MS)を組み合わせたプロテインチップテクノロジーが開発され、新規腫瘍マーカーの検出のなどに活用されたが(非特許文献10)、SELDI-TOF/MSで検出された疾患関連マーカーピークは、構造決定(アミノ酸配列決定)が出来ないことから、検証的な臨床検査には不向きである。



前立腺がんに関しては、Theodorescuらが尿検体のキャピラリー電気泳動(capillary electrophoresis: CE)-TOF/MS解析を行い、12種のペプチドピークを検出・同定し、前立腺がん関連マーカー候補として報告しているが(非特許文献11)、まだ実用化には至っていない。また、Okamotoらは、前立腺マッサージ後尿を検体として、シナピン酸をマトリックスとしてm/z2,500~150,000の質量範囲でのSELDI-TOF/MS解析を行い、前立腺肥大症と有意に異なる72種のピークを検出している(非特許文献12)が、検出された多くのピークは同定されなかったため、臨床応用されていない。



産業応用を目指した特許文献1~8には、20~30残基程度以下の短いPSA断片が開示されているが、これらはいずれもPSAの配列を解析し、エピトープなど特定の生物学的効果を誘導する領域から成るペプチドであり、天然物ではなく人工物である。実際の尿中にこうした短いPSA断片が存在し、それが前立腺がん検査用マーカーとして利用可能であるという開示情報は一切なく、また臨床検査用に実用化されているものはない。

産業上の利用分野


本発明は、新規な前立腺がん検査用尿中バイオマーカーに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記のペプチドからなる前立腺疾患検査用尿中バイオマーカー。
(a) 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチド

【請求項2】
下記のペプチドからなる前立腺がん検査用尿中バイオマーカー。
(a) 配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチド

【請求項3】
下記(b)~(d)から選択される少なくとも1種のペプチドからなる前立腺疾患検査用尿中バイオマーカーと組み合わせて用いられる、請求項1記載の尿中バイオマーカー。
(b) 配列番号2に示すアミノ酸配列からなるペプチド
(c) 配列番号3に示すアミノ酸配列からなるペプチド
(d) 配列番号4に示すアミノ酸配列からなるペプチド

【請求項4】
下記(b)~(d)から選択される少なくとも1種のペプチドからなる前立腺がん検査用尿中バイオマーカーと組み合わせて用いられる、請求項2記載の尿中バイオマーカー。
(b) 配列番号2に示すアミノ酸配列からなるペプチド
(c) 配列番号3に示すアミノ酸配列からなるペプチド
(d) 配列番号4に示すアミノ酸配列からなるペプチド

【請求項5】
前記全てのペプチドは、前立腺がん患者において高値で検出されるペプチドである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の尿中バイオマーカー。

【請求項6】
前記全てのペプチドは、前立腺がん患者において、既知の非前立腺がん患者集団における尿中ペプチド量の平均値の2倍以上の値を示すペプチドである請求項5記載の尿中バイオマーカー。

【請求項7】
下記のペプチドからなる前立腺疾患検査用尿中バイオマーカー。
(1) 質量分析によるm/zが2332±4であるペプチド

【請求項8】
下記のペプチドからなる前立腺がん検査用尿中バイオマーカー。
(1) 質量分析によるm/zが2332±4であるペプチド

【請求項9】
下記(2)~(4)から選択される少なくとも1種のペプチドからなる前立腺疾患検査用尿中バイオマーカーと組み合わせて用いられる、請求項7記載の尿中バイオマーカー。
(2) 質量分析によるm/zが1243±3であるペプチド
(3) 質量分析によるm/zが1314±3であるペプチド
(4) 質量分析によるm/zが2444±4であるペプチド

【請求項10】
下記(2)~(4)から選択される少なくとも1種のペプチドからなる前立腺がん検査用尿中バイオマーカーと組み合わせて用いられる、請求項8記載の尿中バイオマーカー。
(2) 質量分析によるm/zが1243±3であるペプチド
(3) 質量分析によるm/zが1314±3であるペプチド
(4) 質量分析によるm/zが2444±4であるペプチド

【請求項11】
前記全てのペプチドは、前立腺がん患者において高値で検出されるペプチドである請求項7ないし10のいずれか1項に記載の尿中バイオマーカー。

【請求項12】
前記全てのペプチドは、前立腺がん患者において、既知の非前立腺がん患者集団における尿中ペプチド量の平均値の2倍以上の値を示すペプチドである請求項11記載の尿中バイオマーカー。

【請求項13】
被検者から採取された尿検体を分析し、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の尿中バイオマーカーの存否又は存在量を調べることを含む、前立腺疾患の検査のための方法。

【請求項14】
被検者から採取された尿検体を分析し、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の尿中バイオマーカーの存否又は存在量を調べることを含む、前立腺がんの検査のための方法。

【請求項15】
尿検体の分析が、質量分析法、クロマトグラフィー法、電気泳動法、イムノアッセイ法、マイクロアレイ法又はこれらのうちのいずれかの組み合わせにより行なわれる請求項13又は14記載の方法。

【請求項16】
尿検体を前処理した後に分析が行なわれる請求項13ないし15のいずれか1項に記載の方法。

【請求項17】
尿検体をイオン交換処理した後に質量分析法による分析が行なわれる請求項15記載の方法。

【請求項18】
前記尿検体が、被検者に対し前立腺マッサージを実施した後に採取された尿検体である請求項13ないし17のいずれか1項に記載の方法。

【請求項19】
前記被検者が前立腺がんの疑いのある被検者であり、前記尿中バイオマーカーを指標として前立腺がんと前立腺肥大症との判別を補助する、請求項13ないし18のいずれか1項に記載の方法。

【請求項20】
前記被検者が前立腺がん治療中又は治療後の患者であり、前記尿中バイオマーカーを指標として前立腺がんの治療効果のモニタリングを補助する、請求項13ないし18のいずれか1項に記載の方法。

【請求項21】
前記被検者が前立腺がん治療後の患者であり、前記尿中バイオマーカーを指標として前立腺がんの再発のモニタリングを補助する、請求項13ないし18のいずれか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2014508014thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close