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動物用飼料原料及びその用途 NEW

国内特許コード P180015586
整理番号 4978
掲載日 2018年11月22日
出願番号 特願2015-076670
公開番号 特開2016-195558
出願日 平成27年4月3日(2015.4.3)
公開日 平成28年11月24日(2016.11.24)
発明者
  • 木村 功
  • 齋藤 三四郎
  • 小川 順
  • 岸野 重信
出願人
  • 株式会社J-オイルミルズ
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 動物用飼料原料及びその用途 NEW
発明の概要 【課題】動物の消化管内の発酵を促進することにより、消化を改善し、病気を予防し、飼料の利用効率を高め、そして少量の飼料で畜産産物を効率的に生産する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、アセトン可溶物含有量が10質量%以下であり、全リン脂質中のホスファチジルコリン含量が25~50質量%であるレシチンを含む飼料原料を提供する。本発明は、また、上記飼料原料を、リン脂質の質量基準で0.1~5質量%含む飼料を提供する。上記飼料は、10質量%以上の粗飼料を含むことが好ましい。本発明の飼料用原料及びそれを配合した飼料は、特に反芻動物に有用である。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


家畜の消化管の機能を調節することは、消化機能を改善し、消化機能の低下による病気を予防し、その結果、畜産産物を効率的に生産するのに有効である。消化管での消化には、摂食物の消化管内の発酵が大きく影響する。そのため、発酵を制御する微生物製剤を家畜へ投与することがよく行われる。



ウシ等の反芻動物は、通常の動物で利用できないような繊維質をエネルギー源として利用するために、ルーメン(第一胃)という反芻胃を発達させている。ルーメン内は、摂取した飼料、唾液、発酵産物等によって恒常性が保たれ、微生物が棲息するのに適した環境となっている。



ルーメン発酵の経路を図1に示す。飼料には、セルロース、ヘミセルロース、デンプン等の炭水化物が大量に含まれる。炭水化物は、ルーメン内の微生物の酵素によって、酢酸、酪酸、プロピオン酸等の短鎖脂肪酸(VFAや揮発性脂肪酸ともいう)、乳酸、メタン、二酸化炭素、水素等に変換される。変換された短鎖脂肪酸の大部分は、ルーメン壁から吸収され、動物の主要なエネルギー源となる。この場合、特に酢酸、プロピオン酸の生成を促すことが好ましい。



ルーメン発酵経路の途中で生成する乳酸がプロピオン酸へ変換されないまま、ルーメン内に蓄積すると、反芻動物の生育に影響を及ぼす。非特許文献1によれば、ルーメンpHが5.8以下の状態を亜急性ルーメンアシドーシスという。亜急性ルーメンアシドーシスが続くと、家畜は、摂餌量の低下、下痢、ルーメン粘液の損傷、蹄葉炎、肝膿瘍等の疾病を発する。ルーメンアシドーシスは、ルーメン内でLactobacillus、Streptococcus bovis等の乳酸産生菌が増殖して、乳酸がルーメン内に蓄積し、ルーメン液のpH(以下、「ルーメンpH」という)が5以下となる状態をいう。ルーメンアシドーシスになると、家畜は、食欲喪失、乳量激減、横臥、起立不能等の臨床症状を示す。したがって、反芻動物のルーメン内の乳酸の蓄積を抑え、乳酸からプロピオン酸の変換を促進する手法が望まれる。一方、ピルビン酸からアセチルCoAへの変換を促す手法も、乳酸の蓄積量を抑制するために有効である。



動物の飼育においては、限られた穀物資源をより有効に利用することも重要な課題である。例えば、反芻動物用飼料が反芻胃で発酵して得られる短鎖脂肪酸が、乳腺で乳脂肪、乳糖及び乳タンパク質を合成するための原料となる。



乳成分の合成量は、乳腺に蓄えられるグルコース、アミノ酸、酢酸、酪酸、遊離脂肪酸、グリセリン、無機物類等の乳成分原料によって規定される。乳成分原料の生成量は、給与飼料中の炭水化物、タンパク質及び脂質の化学的特性(消化性や代謝・内分泌特性)とその配合比率によって大きく変動する。



非特許文献2によれば、乳牛に酢酸を給与することで、乳量の増加、乳脂肪濃度及び乳糖濃度が上昇し、またプロピオン酸を給与することで乳タンパク質濃度が上昇することが報告されている。



牛乳の乳脂率は、平均3.9%である。乳脂肪の主成分は、97~98%を占めるトリグリセリド(TG)である。TGを構成するC4~C16脂肪酸は、ルーメン内で生産された酢酸及び酪酸を用いて乳腺で合成される。C16~C18脂肪酸は、飼料由来の脂肪や体脂肪から乳脂肪に取り込まれる。よって、乳脂率は、飼養管理によっても変動する。



非特許文献3(p91~92)によれば、低脂肪乳の現象としては、濃厚飼料の給比率の上昇や粗飼料の給比率の減少によってルーメン内の発酵パターンが変化して、酢酸や酪酸の供給量が不足すること、同様の原因によりプロピオン酸の生産量やグルコース供給量が増加し、内分泌制御に起因する乳腺への脂肪供給不足が生じること、不飽和度の高い植物性脂肪の過給によりルーメン内の微生物叢が影響を受けること、乳腺におけるトランス型多価不飽和脂肪酸による乳脂肪酸合成が阻害されること等が指摘されている。したがって、低乳脂肪の発生を防止するには、ルーメン内発酵を適切に維持し、ルーメン内でのVFA(特に酢酸及び酪酸)の生成を促進することが重要である。そして、ルーメン内を酢酸が優勢となる発酵状態に維持し、乳腺への酢酸供給量を増加させるためには、飼料の粗飼料配合量の適正化に加えて、繊維の消化性を改善することが重要である。よって、乳の生産量及び乳成分量を高めるために、飼料を特定の短鎖脂肪酸へ効率的に変換できることが望ましい。



反芻動物は、夏場の暑熱ストレスにより、飼料の摂取量が低下し、生体内のエネルギーが不足して乳量や乳成分量が低下することが知られている。泌乳初期には、摂食エネルギーよりも乳として排出されるエネルギーの方が多くなる。体内のエネルギーバランスがマイナスとなることと、代謝障害や繁殖障害の発生が多くなることが知られている(非特許文献3 p57-64)。



高泌乳牛やその他の家畜のエネルギー源として、特に暑熱時のエネルギー補給用に、脂肪酸カルシウムを配合した飼料を給与する方法が知られている。(非特許文献3 p91-92)。脂肪酸カルシウムは、ルーメン内では消化されず、第四胃以降で消化吸収されるため、エネルギーを効率良く補給できるとされる。



これらの従来方法は、不足しがちとなった生体内のエネルギーの補完を目的とするものであり、家畜の消化管内での発酵を促進するものではなかった。

産業上の利用分野


本発明は、特定のレシチンを含む動物用飼料原料とその用途に関し、より詳細には消化機能を改善する飼料原料とその用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
アセトン可溶物含有量が10質量%以下であり、全リン脂質中のホスファチジルコリン含量が25~50質量%であるレシチンを含む動物用飼料原料。

【請求項2】
消化管での短鎖脂肪酸産生を向上させることを特徴とする、請求項1に記載の動物用飼料原料。

【請求項3】
請求項1の動物用飼料原料を、リン脂質の質量基準で0.1~5質量%含む飼料。

【請求項4】
10質量%以上の粗飼料を含む、請求項3に記載の動物用飼料。

【請求項5】
反芻動物用である、請求項3に記載の動物用飼料。

【請求項6】
請求項1に記載の動物用飼料原料を、リン脂質の質量基準で8~400g/日、動物に給与することを含む、動物の飼育方法。

【請求項7】
アセトン可溶物含有量が10質量%以下であり、全リン脂質中のホスファチジルコリン含量が25~50質量%であるレシチンを含む、消化管での短鎖脂肪酸産生向上剤。

【請求項8】
請求項7に記載の短鎖脂肪酸産生向上剤を動物に給与することを含む、動物の消化管での短鎖脂肪酸の産生を向上させる方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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