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細胞培養支持体、細胞培養装置、細胞培養キット、及び細胞シート NEW

国内特許コード P180015605
整理番号 4252
掲載日 2018年11月22日
出願番号 特願2015-526354
出願日 平成26年7月8日(2014.7.8)
国際出願番号 JP2014068199
国際公開番号 WO2015005349
国際出願日 平成26年7月8日(2014.7.8)
国際公開日 平成27年1月15日(2015.1.15)
優先権データ
  • 特願2013-143706 (2013.7.9) JP
発明者
  • オケヨ ケネディ オモンディ
  • 鷲津 正夫
  • 小寺 秀俊
出願人
  • 国立大学法人 東京大学
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 細胞培養支持体、細胞培養装置、細胞培養キット、及び細胞シート NEW
発明の概要 本発明は、状態のよい細胞で形成された高品質で安全性の高い細胞シートを、継代を必要とせず作製及び維持できる細胞培養支持体、及びこれを使用して製造した細胞シート等を提供することを課題とする。本発明は、細胞培養を行うための細胞培養支持体であって、平面状メッシュ構造を有し、前記メッシュ構造の開口部は、培養する細胞が通過できる大きさである、細胞培養支持体を提供する。
従来技術、競合技術の概要


細胞は生物の基本構成要素である。生物から取り出した細胞を人工的に増殖、維持することを細胞培養といい、これを可能にするのが細胞培養技術である。この技術は、基礎研究や医療を支える重要な技術であり、産業的価値も高い。



線維芽細胞や上皮細胞などの接着性細胞の一般的な培養方法では、シャーレやフラスコ等の容器の底面上に細胞を播種して、十分な数まで増幅させる。このような培養方法では、細胞を播種する面が広く平坦であることが大きな特徴である。
シャーレやフラスコを用いて培養する場合、細胞の数が増えてコンフルエント状態になると、細胞の接触障害(コンタクトインヒビション)が生じる。それ以上培養を続けると細胞の状態が悪くなるので、コンフルエント状態の70%程度まで細胞が増えたら、細胞を継代、すなわち容器底面に接着した細胞を剥離し、新しい培養装置に移して培養するのが一般的である。特に増殖の速い細胞の場合、毎日継代しなければならないため手間がかかり、コストも非常に高くなる。



近年、培養した細胞を用いて様々な高次細胞構造を作製する方法が提案されている。その代表的な例として、細胞シートがあげられる。細胞シートとは、隣り合う細胞同士の相互結合により形成される、少なくとも単層のシート状の細胞集合体のことを言う。細胞シートは材料として再生医療などの分野で広く用いられ始めている(例えば特許文献1、2、非特許文献1、2)。



このような細胞シートを製造する方法として、従来、目的の細胞をシャーレ等の容器に播種し、増殖させる方法が用いられている。しかしながら、上述のとおり、コンフルエント状態になると、コンタクトインヒビションが生じるので、継代が必要となり、手間とコストの問題が生じる。また、コンタクトインヒビションによって細胞の状態が変化しやすくなるため、長期間(例えば1ヶ月以上)細胞シートを安定に維持することが難しい。



さらに、シャーレ等の容器を用いて培養する方法では、細胞が容器に接着するため、得られた細胞シートを容器から剥離させる必要がある。特に、細胞が容器に強く結合している場合、細胞シートを回収するために、機械的または化学的な操作を加える必要がある。
機械的な細胞シート剥離方法としては、流れを起こして流体力学的なせん断応力の効果で細胞シートを容器から剥離させる方法(例えば特許文献1)や、器具等を用いて力学的に細胞シートを剥離させる方法がある(例えば非特許文献3、4)。しかし、このような剥離操作は、細胞にダメージを与えるのみならず、細胞同士の接着も壊してしまうため、細胞シートの実用的価値が損なわれてしまう(例えば非特許文献3、4)。
化学的な細胞シート剥離方法としては、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)やコラーゲン分解酵素(コラーゲナーゼ)等のタンパク質分解酵素を作用させ、細胞と細胞培養支持体の結合を弱めて細胞シートを細胞培養支持体から剥離させる方法があげられる。しかし、これらのたんぱく質分解酵素の作用により細胞シートを形成する細胞同士の間の接着分子も分解されてしまう(例えば非特許文献3)。また、剥離に使われている一般的なタンパク分解酵素であるトリプシンは細胞毒性があることが明らかになっている(例えば非特許文献3、4)。よって、化学的な剥離を施した場合、細胞シートの破壊や品質の劣化による利用価値の低下が問題であった。



刺激応答性高分子を用いた新たな細胞シート剥離方法も提案されている。例えば、温度応答性材料や光応答性材料等の刺激応答性高分子材料で被覆した容器で細胞を培養して細胞シートを作製した後、温度や光等の刺激を付与することにより、親水性や疎水性等の高分子材料表面の特性を変化させて、容器から細胞シートを剥離させる方法がある(例えば特許文献3、非特許文献5)。しかし、この方法では、特殊な高分子材料が必要なため、コストが高くなる。また、剥離の際に付与される温度や光等の刺激が細胞培養環境を変化させてしまうのみならず、足場がなくなると細胞シートの強度を保つ細胞内骨格構造が壊され、シートが縮まってしまうなど、細胞シートの性質が低下する(例えば非特許文献6)。さらに、刺激応答性高分子は、細胞培養液の影響を受けやすく、培養液中では機能しなくなることがあるという問題もあった。



別の細胞シート作製手段として、培養容器表面に形成した凹凸の上や、培養容器に立てたマイクロピラーやナノピラーの上で細胞を培養する技術が提案されている(例えば特許文献2-4)。これらの方法は、細胞の剥離が容易で細胞へのダメージも少ないとされる。しかしながら、特許文献2および非特許文献7、8に記載されているように、細胞接着や接着した細胞の挙動は平面に接着する場合と凹凸表面に接着する場合とでは異なり、ナノピラー上では細胞の接着や伸展が遅くなったり、細胞表面から仮足が発生したりするという問題がある。また凹部が20μm以上の幅を有する場合には細胞が潜入してしまうという問題もある。凹部に細胞が隔離されると、細胞が隣の細胞と結合することが難しくなるため細胞シートを形成しにくい。また、凹部に細胞を高密度に播種すると、細胞同士が重なり合うため、均一な細胞シートの作製が難しい。



従来、スキャフォールド(足場)として、細胞を誘導、増殖させるため、金属多孔質体、チタン等の生体適合性の高い金属の線材を絡合した不織布状のものが用いられている。これ以外にも、例えば非特許文献7には、生体適合性の高い線材をコイル状に形成し集積したものが記載されており、特許文献8では、チタンの薄板をアルカリ水溶液に浸漬させることで、細胞を誘導、増殖させる網目状の浸食層を備えた足場が開示されている。さらに、細胞培養の際、多孔性ポリマーのシートを足場として培養する方法も提案されている(特許文献9)。しかしながら、これらのスキャフォールドは、いずれも細胞に比較して大きな足場を有し、その足場に細胞が乗るような状態で培養される。すなわち、不織布、コイル、網目構造の隙間から細胞が落ちないようなサイズに設計されている。例えば、特許文献9には、ヒトPVMC由来の単球が吸着して培養されるためには、多孔性ポリマーの孔径が2μm~20μm程度であることが必要であり、孔径が2μm未満であると、培養足場として使用したとしても単球を効率的に吸着・培養させることができず、また、20μmを超える場合には、培養足場としての機能が低下すると記載されている。



さらに、細胞シートを再生医療に用いる場合は、安全性が重要となる。しかしながら、シャーレ等の容器表面で細胞シートを作製する従来の方法では、死細胞を選択的に駆除することはできず、生細胞と死細胞の混在した細胞シートしか作製できなかった。また、上述のとおり、コンタクトインヒビションによる細胞の劣化も生じるので、安全上、このような細胞シートは再生医療を目的とした用途には向かない。

産業上の利用分野


本発明は、メッシュ構造の細胞培養支持体、及びそれを用いて製造された細胞シート等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
細胞培養を行うための細胞培養支持体であって、平面状メッシュ構造を有し、前記メッシュ構造の開口部は、培養する1個の細胞が通過できる大きさである、細胞培養支持体。

【請求項2】
前記メッシュ構造の開口部の最小径は、播種時の細胞の最大径より大きい、請求項1に記載の細胞培養支持体。

【請求項3】
前記メッシュ構造のフレーム部の幅は、前記細胞培養支持体に接着した状態の細胞の最大径の半分以下である、請求項1又は2に記載の細胞培養支持体。

【請求項4】
前記細胞培養支持体の厚みは、前記細胞培養支持体に接着した状態の細胞の最大径より小さい、請求項1から3のいずれか1項に記載の細胞培養支持体。

【請求項5】
前記メッシュ構造の開口部が、三角形、四角形、六角形、又は多角形である、請求項1から4のいずれか1項に記載の細胞培養支持体。

【請求項6】
前記メッシュ構造は、形状的異方性を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の細胞培養支持体。

【請求項7】
光硬化性樹脂、生体適合性材料、及び生体分解性材料からなる群より選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の細胞培養支持体。

【請求項8】
弾性変形可能な材料で作製されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の細胞培養支持体。

【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養支持体を装着可能な細胞培養装置であって、
1又は2以上の前記細胞培養支持体を、培養液中に浮かせた状態で保持する部材を備える、細胞培養装置。

【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養支持体を装着可能な細胞培養装置であって、
1又は2以上の前記細胞培養支持体を、垂直に保持する部材を備える、細胞培養装置。

【請求項11】
さらに、培養液に流れを生じさせる部材を備える、請求項9又は10に記載の細胞培養装置。

【請求項12】
請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養支持体と、請求項9から11のいずれか1項に記載の細胞培養装置とを含む、細胞培養キット。

【請求項13】
請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養支持体に細胞を播種する工程と、
前記細胞を培養する工程と、を含む細胞シートの製造方法。

【請求項14】
前記細胞を播種する工程の前に、細胞接着促進材料で細胞培養支持体をコーティングする工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。

【請求項15】
前記細胞を培養する工程において、繰り返し応力を印加することにより、細胞機能の強化及び/又は細胞の分化の促進を行う、請求項13又は14に記載の方法。

【請求項16】
予め、前記細胞培養支持体を変形させてから、細胞培養装置に設置する、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。

【請求項17】
前記細胞を培養する工程において、1又は2以上の前記細胞培養支持体を細胞培養装置内に垂直に設置し、培養液に、細胞培養支持体の主面と平行な方向の流れを生じさせる、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。

【請求項18】
前記細胞を培養する工程において、1又は2以上の前記細胞培養支持体を細胞培養装置内に浮かせた状態で水平に設置する、請求項13から15のいずれか1項に記載の方法。

【請求項19】
前記細胞を培養する工程において、複数の細胞培養装置を細胞装置内に設置し、細胞の大量培養を行う、請求項13から18のいずれか1項に記載の方法。

【請求項20】
請求項1から8のいずれか1項に記載の細胞培養支持体を含む細胞シート。

【請求項21】
請求項9から12のいずれか1項に記載の細胞培養装置、請求項12に記載の細胞培養キット、又は請求項13から20のいずれか1項に記載の細胞シートの製造方法を用いて製造された細胞シート。

【請求項22】
請求項20又は21に記載の細胞シートを変形又は積層して構成された細胞構造体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 公開
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