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有機色素材料及びそれを用いた色素増感太陽電池

国内特許コード P180015606
整理番号 4166
掲載日 2018年11月22日
出願番号 特願2015-504403
登録番号 特許第6526557号
出願日 平成26年3月6日(2014.3.6)
登録日 令和元年5月17日(2019.5.17)
国際出願番号 JP2014055872
国際公開番号 WO2014136915
国際出願日 平成26年3月6日(2014.3.6)
国際公開日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権データ
  • 特願2013-044626 (2013.3.6) JP
発明者
  • 若宮 淳志
  • 遠藤 克
  • 下河 広幸
  • 村田 靖次郎
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 有機色素材料及びそれを用いた色素増感太陽電池
発明の概要 本発明は、高い電荷注入効率、高い光電変換効率、及び二酸化チタンへの優れた吸着性能を有する有機色素化合物を提供する。また、本発明は当該有機色素化合物を含む色素増感太陽電池を提供する。
本発明は、一般式(1):
(式省略)
(式中、Tは酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、環Ar及び環Arは、ヘテロ芳香環であり、Y及びYは、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、水素原子、ハロゲン、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基等であり、Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-等であり、Qは、π共役骨格を有する2価の基(スペーサー部位)であり、Dは、電子供与性骨格を有する1価の基(ドナー部位)である。実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。)
で表される化合物、及び色素に関する。
従来技術、競合技術の概要

有機色素増感太陽電池は、次世代型の太陽電池として活発に研究が行われている。これまでに、ルテニウム錯体色素を用いて光電変換効率11%が達成されているものの、実用化に向けてさらに高い光電変換効率の実現が必要である。また、ルテニウム錯体には、白金族のルテニウムが用いられ、高価であることから、低コストかつ高性能である色素の開発が望まれている。

高い光電変換効率の実現のための最も主要な戦略は、有機色素材料としての化合物に長波長の光を吸収させることである。ここで、当該化合物が適切なHOMOのエネルギー準位(HOMOレベル)及びLUMOのエネルギー準位(LUMOレベル)を有することが重要である。

ルテニウム錯体を用いない有機色素として、二酸化チタンへのアンカー部位として、シアノアクリル酸基などの強い電子求引性基が導入されたものが多数報告されている。この有機色素では、電子供与性の骨格に、強い電子求引性のシアノアクリル酸基を導入することで、強制的にLUMOレベルを低下させて長波長吸収を実現させているため、高い光電変換効率を得るためにはこのユニットの導入が必須とされている(非特許文献1等)。

しかし、この有機色素は、シアノアクリル酸基を含むことでLUMOレベルを低下できるという利点はあるが、LUMOの位置がシアノアクリル酸基に偏在するため、HOMO-LUMO遷移に対応する光吸収強度が低下してしまう。また、有機色素における多様性のあるアンカー部位の構築という観点からも制約がある。

近年、二酸化チタンと結合するアンカー部位、ホウ素への分子内配位結合を有する部分構造(アクセプター部位)、スペーサー部位、及びドナー部位を有する有機色素が報告されている(特許文献1)。このアクセプター部位を有する色素は、広がりのあるπ軌道を保持したままLUMOレベルを下げることができるため、広い波長領域の太陽光を吸収でき、高い光吸収効率、高い電荷分離効率等を実現できるとされている。また、アンカー部位はシアノアクリル酸基に限定されず多様な基に変換できるという利点もある。

しかし、かかる有機色素も、電荷注入効率、光電変換効率、二酸化チタンへの吸着性能等の観点から、必ずしも満足できるものではなく、更なる性能の向上が望まれていた。

産業上の利用分野

本発明は、有機色素材料及びそれを用いた色素増感太陽電池に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
【化1】
(省略)
(式中、Tは
【化2】
(省略)
(式中、nは1~3の整数であり、環Arは、芳香環である。Tは、カルボキシル基を示す。「・」印は三重結合の炭素原子と結合する位置を示す。)
で表される酸化物半導体に結合可能な1個以上の基を有する1価の基であり、
環Ar及び環Arは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環であり、当該ヘテロ芳香環はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基の少なくとも1個の置換基を有していてもよく、
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アルキル基(ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アリール基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルケニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルキニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アミノ基(アルキル基、アリール基、及びペルフルオロアルキル基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルコキシ基、アリールアルコキシ基(アリール基がアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、及び水酸基からなる群より選ばれる1種であるか、X及びXが結合して1,1’-ビフェニル基、2,2’-ビチエニル基、1,1,2,2-テトラメチルエチレン-1,2-ジオキシ基、又は2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオキシ基からなる2価の基を形成してもよく、
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Qは、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環から2個の水素原子を除いた2価の基からなるπ共役骨格を有し、アクセプター部分とドナー部位との間をπ共役骨格で結合することによりπ共役を拡張する2価の基(スペーサー部位)であり、
Dは、トリアリールアミン誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、カルバゾール誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、置換又は非置換のアリール基、又は置換又は非置換のアリールアミノ基からなる電子供与性骨格を有し、前記トリアリールアミン誘導体はトリフェニルアミン、ジナフチルフェニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)フェニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)フェニルアミン、ビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)フェニルアミン、ジフェニルチエニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)チエニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)チエニルアミン、又はビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)チエニルアミンであり、前記カルバゾール誘導体はN-アルキルカルバゾール、又はN-アリールカルバゾールであり、前記置換又は非置換のアリール基はフェニル基、4-アルコキシフェニル基、4-テトラエチレングリコキシフェニル基、3,4,5-トリアルコキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジアルキルアミノフェニル基、ピロリジルフェニル基、チエニル基、アルキルチエニル基、アルコキシチエニル基、エチレンジオキシチエニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、又はチアントレニル基であり、前記置換又は非置換のアリールアミノ基はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、又はピロリジル基である1価の基(ドナー部位)である。
実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。
前記シリル基は水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される3個の置換基を有するシリル基である。
前記シロキシ基は水酸基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基からなる群より選択される3個の置換基を有するシロキシ基である。)
で表される化合物。

【請求項2】
前記環Ar及び環Arが、それぞれ独立して、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン又はピリミジン環である、請求項1に記載の化合物。

【請求項3】
nが1又は2である、請求項1又は2に記載の化合物。

【請求項4】
前記環ArとT(当該Tが複数の場合そのうちの1個)との単結合、及び前記環Arと三重結合炭素との単結合がほぼ直線上に位置する請求項1~3のいずれかに記載の化合物。

【請求項5】
前記環Arがベンゼン環であり、前記T(当該Tが複数の場合そのうちの1個)及び三重結合炭素が互いに、当該ベンゼン環の1,4-位(パラ位)の位置で結合している請求項1~4のいずれかに記載の化合物。

【請求項6】
前記請求項1~5のいずれかに記載の化合物からなる色素。

【請求項7】
第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体及び請求項6に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。

【請求項8】
一般式(5):
【化3】
(省略)
(式中、Uはカルボキシ基、又は、カルボキシ基を1個以上有する、アルケニル基及び/又はアリール基であり、
環Ar及び環Arは、それぞれ独立して、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環であり、当該ヘテロ芳香環はアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基の少なくとも1個の置換基を有していてもよく、
及びYは、それぞれ独立して、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる1種であり、Y及びYの少なくとも一方は窒素原子であり、
及びXは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、アルキル基(ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アリール基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルケニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルキニル基(アルキル基、アリール基、シリル基、シアノ基、ニトロ基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アミノ基(アルキル基、アリール基、及びペルフルオロアルキル基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アルコキシ基、アリールアルコキシ基(アリール基がアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、アシル基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、及び水酸基からなる群より選ばれる1種であるか、X及びXが結合して1,1’-ビフェニル基、2,2’-ビチエニル基、1,1,2,2-テトラメチルエチレン-1,2-ジオキシ基、又は2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオキシ基からなる2価の基を形成してもよく、
Eは、単結合、-CR=CR-、=CR-、>C=O、=N-、-NR-、-O-、-S-、-PR-、=P-、-P(O)R-からなる群より選ばれる1種であり、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、チエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、ポリエチレンジオキシ基、ペルフルオロアルキル基、シアノ基、アミノ基、シリル基、ニトロ基、ハロゲン、及びアシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
Q3は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環から2個の水素原子を除いた2価の基からなるπ共役骨格を有し、アクセプター部分とドナー部位との間をπ共役骨格で結合することによりπ共役を拡張する2価の基であり、
Q4は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香環から2個の水素原子を除いた2価の基からなるπ共役骨格を有し、アクセプター部分とドナー部位との間をπ共役骨格で結合することによりπ共役を拡張する2価の基であり、
は同一又は異なって、水素原子、アルキル基(ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、アリール基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)、又はチエニル基、チアゾリル基、フリル基、ピリジル基、オキサゾリル基(アルキル基、ペルフルオロアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、及び保護されていてもよい水酸基の少なくとも1個で置換されていてもよい)であり、
Dは、トリアリールアミン誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、カルバゾール誘導体から1個の水素原子を除いた1価の基、置換又は非置換のアリール基、又は置換又は非置換のアリールアミノ基からなる電子供与性骨格を有し、前記トリアリールアミン誘導体はトリフェニルアミン、ジナフチルフェニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)フェニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)フェニルアミン、ビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)フェニルアミン、ジフェニルチエニルアミン、ビス(4-アルキルフェニル)チエニルアミン、ビス(4-アルコキシフェニル)チエニルアミン、又はビス(9,9-ジメチルフルオレ-2-ニル)チエニルアミンであり、前記カルバゾール誘導体はN-アルキルカルバゾール、又はN-アリールカルバゾールであり、前記置換又は非置換のアリール基はフェニル基、4-アルコキシフェニル基、4-テトラエチレングリコキシフェニル基、3,4,5-トリアルコキシフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジアルキルアミノフェニル基、ピロリジルフェニル基、チエニル基、アルキルチエニル基、アルコキシチエニル基、エチレンジオキシチエニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、又はチアントレニル基であり、前記置換又は非置換のアリールアミノ基はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、又はピロリジル基である1価の基(ドナー部位)である。
実線矢印は、共有結合又は配位結合を示す。)
で表される化合物。

【請求項9】
前記請求項8に記載の化合物からなる色素。

【請求項10】
第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体及び請求項9に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。

【請求項11】
第1電極と、前記第1電極上に形成された光吸収層と、前記光吸収層が形成された第1電極に対向配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極間に位置する電荷輸送材料とを含み、前記光吸収層が、酸化物半導体、請求項6に記載の色素、及び請求項9に記載の色素を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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