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組織片 NEW 実績あり 外国出願あり

国内特許コード P180015628
整理番号 4601
掲載日 2018年11月22日
出願番号 特願2016-554142
出願日 平成27年10月16日(2015.10.16)
国際出願番号 JP2015079364
国際公開番号 WO2016060260
国際出願日 平成27年10月16日(2015.10.16)
国際公開日 平成28年4月21日(2016.4.21)
優先権データ
  • 特願2014-212008 (2014.10.16) JP
  • 特願2014-212010 (2014.10.16) JP
  • 特願2014-212014 (2014.10.16) JP
発明者
  • 劉 莉
  • 李 俊君
  • 南 一成
  • 陳 勇
  • 中辻 憲夫
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 組織片 NEW 実績あり 外国出願あり
発明の概要 本発明は、配列構造を示す培養細胞を含む組織片、特に心筋組織片を得る方法であって、配向性ファイバーシート上で細胞を培養することを含む、方法を提供する。本発明はまた、本発明の方法により製造される組織片を提供する。
また、本発明は、細胞の電気生理学的機能を評価するためのデバイス、並びに細胞の電気生理学的機能を評価するための方法を提供する。本発明はさらに、細胞培養用シートを提供する。
従来技術、競合技術の概要


心筋梗塞を始めとする重症心不全疾患の患者は日本で約80万人おり、年間約18万人が死亡している。現在のところ心臓移植が唯一の有効な治療法であるが、日本では極めて深刻なドナー不足であり、また免疫拒絶反応などの問題を抱えている。多能性幹細胞(例えば、胚性多能性幹細胞(ES)や人工多能性幹細胞(iPS))の樹立によって、心臓移植に代わる治療法として、心筋細胞再生治療による心筋機能を回復させることが出来ると期待されている。臨床において移植治療に用いるためには、生体内と同じ配列構造を模倣し、高成熟で安全な心筋組織片を得る必要がある。



ヒトES/iPS細胞から心筋細胞を誘導する方法は種々提案されている。現在心筋細胞の誘導に使用されている最も一般的な方法は、胚様体のサイトカイン(例えば、DKK1、bFGF、アクチビンA(ActivinA)、およびBMP4)との懸濁培養、またはマウスEND2(近位内胚葉(visceralendoderm)様細胞)との接着共培養である(非特許文献1~4)。



また本発明者らは、新規低分子化合物を用いた安定で高効率な臨床グレードの心筋分化誘導法(~98%)を提案している(非特許文献5、特許文献1)。かかる方法にて誘導した心筋細胞も、分化した細胞はヒト心筋細胞の重要な成熟マーカーであるβ-MHC遺伝子発現量が成体ヒト心臓の発現量と比べて少ない(~10%)、心筋配列組織構造を持たず、電気生理学的にも十分な成熟度が得られないという課題が残る。



心筋細胞移植法として提案されている方法には大別すると以下の2種類がある:(1)心不全の疾患部に細胞を直接注射する方法(2)心筋細胞をシート状に成形し、疾患部に移植する方法。



ヒトES細胞由来心筋細胞の直接注射法によって、モルモットの心筋梗塞を改善することに成功したとの報告がある(非特許文献6)。しかしながら直接注射法では、注入した細胞溶液が心筋組織より流出する、血流にのって全身に散布されるなど、細胞移植の効率が低いことが指摘されている。また生着する細胞が数%以下であり、治療効果も十分ではないと考えられている。



また、細胞シート技術として温度応答性培養皿を用いた細胞のシート化技術が提案されている(非特許文献7)。かかる技術を用いて心筋シートを作成し、これを移植する臨床試験が開始されている。しかし、この技術を用いて構築された心筋シートは細胞が単層で、配向性がなくランダムに分布され、生体内の心筋構造を模倣することができない。そのため、心筋細胞収縮力が弱い、成熟度が低い、強度が低くハンドリングが難しいなどの課題が依然として残されている。また、支持体上に形成されたままで移植可能な心筋細胞シートの製造については未だ報告されていない。



より効果的な移植やアッセイに使用するため、生体内細胞構造を模倣した構造の組織片の作製が望まれており、マイクロエンジニアリング手法で生体内細胞構造を模倣する研究が注目されている。例えば生体内において、心筋細胞は配列構造を有しており、マイクロラインや、マイクロパンチや、ファイバーなどの手法によって、培養心筋細胞を配列化させる試みが報告されている(非特許文献8~14)。



医薬品の開発における安全性の評価には従来、動物由来の初代培養細胞や動物が使用されてきたが、ヒトの生体組織の細胞と機能との種差、ロットによる差など様々な問題を抱えている。また、現在では、全ての領域の医薬品について心毒性心電図QT延長に関する非臨床実験の実施を求める指針がある。iPS細胞のような多能性幹細胞から心筋細胞を誘導し、これを培養して得られる心筋組織片を用いて薬物の毒性評価や動態評価に応用することに対する産業界の需要は高い。



細胞の電気生理学的評価には、細胞内電位を記録することができるパッチクランプ法がよく使われている。しかしながらパッチクランプ法には、パッチ電極により細胞が侵襲され、長期間の測定が難しい。また、手技が難しくスクリーニングに向かない。



多電極技術の発展により、多電極上でヒトES/iPS細胞由来の心筋細胞を培養し、その電気生理学機能を評価することが可能となっている(非特許文献15および16)。この技術は細胞外電位活動を測定するため、細胞にダメージを与えずに、細胞培養しながらその機能を長期間観察・測定することができる。この技術により創薬スクリーニングに欠かせない薬物の毒性評価のみならず、ヒトES細胞及びiPS細胞のような多能性幹細胞から心筋細胞への分化誘導および成熟度プロセスをモニタリングすることも可能となっている。



従来の心筋分化誘導法で得られる心筋細胞組織は心筋細胞の向きがバラバラで配向されておらず筋収縮力が弱い、QT延長実験等心電図を取得すると頻繁に不整脈が発生する、電極との接着性が弱く、長期培養ができないなど、創薬スクリーニングの応用に用いるための、安定した評価システムとして提供するにはまだまだ課題が残る。そもそも、心筋細胞がランダム、あるいは塊状に増殖した心筋細胞組織からの電気信号は、生体内の心筋組織における挙動を十分に模倣しているとは言い難い。

産業上の利用分野


本発明は、配列構造を示す培養細胞を含む組織片を得る方法を提供する。本発明はまた、本発明の方法により製造される組織片を提供する。
本発明はさらに、細胞の電気生理学的機能を評価するためのデバイス、並びに細胞の電気生理学的機能を評価するための方法を提供する。本発明はまた、細胞培養用シートを提供する。

特許請求の範囲 【請求項1】
配向性ファイバーシートと、該配向性ファイバー上の培養心筋細胞とを含む、心筋組織片。

【請求項2】
配向性ファイバーシートが培養心筋細胞層の間に介在している、心筋組織片。

【請求項3】
該心筋細胞が多能性幹細胞から誘導された心筋細胞である請求項1または2に記載の心筋組織片。

【請求項4】
配向性ファイバーシートにおけるファイバーの直径が0.1μm~5μm、シートの幅1mm当たりのファイバーの本数30~15000本、シートの厚みが0.1μm~20μmである、請求項1~3いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項5】
心筋細胞層の数が10層以上である、請求項1~4いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項6】
配向性ファイバーシートが生体内分解性の材料で構成されている、請求項1~5いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項7】
配向性ファイバーシートが分解されにくい素材で構成されている、請求項1~5いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項8】
配向性ファイバーシートが、周囲にフレーム部を有する、請求項1~7何れかに記載の心筋組織片。

【請求項9】
フレーム部が配向性ファイバーシートと同一素材で構成されている、請求項8記載の心筋組織片。

【請求項10】
フレーム部が配向性ファイバーシートと別素材で構成されている、請求項8記載の心筋組織片。

【請求項11】
複数の配向性ファイバーシートと、該複数の配向性ファイバーシート上で培養された複数の心筋細胞層を含み、配向性ファイバーシートが同一配向方向にて心筋細胞層間に介在している、請求項1~10いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項12】
さらに培養用チャンバー部分を有し、該心筋細胞が、該配向性ファイバーシート上の培養用チャンバー中にある、請求項1~4、6および7いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項13】
該心筋細胞のβ-MHCの発現量が成人の正常心筋細胞の10%以上である、請求項1~12いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項14】
細胞の機能評価に用いるための、請求項1~13いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項15】
移植に用いるための、請求項6、8~11および13いずれかに記載の心筋組織片。

【請求項16】
複数の心筋組織片を配向性ファイバーシートの配向が同一となるよう重ねて培養する工程を含む、請求項11に記載の心筋組織片の製造方法。

【請求項17】
得られた心筋組織片の電気信号を、該心筋組織片と接触させた多電極アレイにより検出して心筋細胞の機能を評価する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。

【請求項18】
請求項14に記載の心筋組織片を多電極アレイに接触させて電気信号を検出することを含む、心筋細胞の機能評価方法。

【請求項19】
細胞機能を指標に医薬候補物質の有効性の評価を行う、請求項18に記載の方法。

【請求項20】
細胞機能を指標に物質の安全性の評価を行う、請求項18に記載の方法。

【請求項21】
滅菌された包装材および、その中に封入されている請求項1~15いずれかに記載の心筋組織片を含む製品。

【請求項22】
多電極アレイおよび、該多電極アレイ上の配向性ファイバーシートを含む、心筋細胞機能評価用デバイス。

【請求項23】
該配向性ファイバーシート上に培養用チャンバー部分をさらに有する、請求項22に記載の心筋細胞機能評価用デバイス。

【請求項24】
該培養用チャンバー部分の中に培養心筋細胞をさらに含む、請求項23に記載の心筋細胞機能評価用デバイス。

【請求項25】
請求項24記載のデバイスの培養心筋細胞の電気信号を多電極アレイにより検出する工程を含む、心筋細胞機能評価方法。

【請求項26】
シート状細胞培養部と該細胞培養部の周囲にフレームを含む、細胞培養用シート。

【請求項27】
該シート状細胞培養部がファイバーシートである、請求項26に記載の細胞培養用シート。

【請求項28】
シート状細胞培養部とフレームが同一素材で構成されている、請求項26または27に記載の細胞培養用シート。

【請求項29】
該シート状細胞培養部とフレームが異なる素材で構成されている、請求項26または27に記載の細胞培養用シート。

【請求項30】
該ファイバーシートにおいて、ファイバーがランダムな構造を有する、請求項27~29いずれかに記載の細胞培養用シート。

【請求項31】
該ファイバーシートにおいて、ファイバーが配向性の構造を有する、請求項27~29いずれかに記載の細胞培養用シート。

【請求項32】
該ファイバーシートが生体内分解性の素材で構成されている、請求項27~31いずれかに記載の細胞培養用シート。

【請求項33】
該ファイバーシートが分解されにくい素材で構成されている、請求項27~31いずれかに記載の細胞培養用シート。

【請求項34】
フレーム上に、スペーサーをさらに備える、請求項26~33いずれかに記載の細胞培養用シート。

【請求項35】
請求項26~34何れかに記載の細胞培養用シートと、該細胞培養用シート上の培養細胞を含む、組織片。

【請求項36】
複数の細胞培養用シートが培養細胞層間に介在している、請求項35記載の組織片。

【請求項37】
滅菌された包装材および、その中に封入されている請求項35または36に記載の組織片を含む製品。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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