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シレン-アウリビリアス層状酸ハロゲン化物を光触媒として用いた可視光照射下での水分解方法 NEW

国内特許コード P180015678
整理番号 5300
掲載日 2018年11月22日
出願番号 特願2016-004734
公開番号 特開2017-124365
出願日 平成28年1月13日(2016.1.13)
公開日 平成29年7月20日(2017.7.20)
発明者
  • 阿部 竜
  • 陰山 洋
  • 東 正信
  • 国奥 広伸
  • 加藤 大地
  • 藤戸 大徳
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 シレン-アウリビリアス層状酸ハロゲン化物を光触媒として用いた可視光照射下での水分解方法 NEW
発明の概要 【課題】可視光吸収能、水分解能(水の還元能力と水の酸化能力の両方)及び水の酸化に対する安定性を有する特定の材料を光触媒として用いた、可視光照射下での効率的な水分解方法を提供する。
【解決手段】下記組成式(1)
(MX(M’1-yM’’) (1)
〔式中、M=Bi3+又はSb3+であり、X=Cl,Br又はIであり、M’=Nb5+であり、M’’=Ta5+であり、0≦y≦1である。)及び
下記組成式(2)
(MX(M’0.5M’’0.5) (2)
〔式中、M=Bi3+又はSb3+であり、X=Cl,Br又はIであり、M’=Ti4+又はZr4+であり、M’’=W6+又はMo6+である〕
の少なくとも一種により示されるシレン-アウリビリアス層状酸ハロゲン化物を光触媒Aとして使用し、可視光照射により水を分解することを特徴とする水分解方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


再生可能エネルギーである太陽光エネルギーと資源豊富な水とを利用して安価で且つ高性能な光エネルギー変換システムを構築することは、省エネルギー、環境保全等の観点から特に重要な課題となっている。例えば、太陽光エネルギーを用いて水を分解して水素を得る技術は、水素燃料電池の早期実用化のために是非必要な技術である。そのような技術の1つとして「光触媒を用いた水の分解による太陽光水素製造」が有望視され、そのための光触媒及び関連システムの開発が活発に進められている。



この「光触媒を用いた水の分解による太陽光水素製造」の実用化には、その太陽光エネルギー変換効率の更なる向上が必須であり、特に太陽光中に豊富に含まれる可視光の効率的利用が鍵となっている。例えば、ある光触媒が紫外光領域(200~400nm)の全光子を吸収し、100%の量子収率(吸収された光子のうち反応に寄与した光子の割合)で水を分解しても、太陽光エネルギーから水素エネルギーへの変換効率(太陽光エネルギー変換効率)は最大でも2%程度にとどまる。しかしながら、可視光領域の600nmまで利用域を拡大すると光子数の大幅な増加により最大変換効率は16%まで向上し、仮に平均の量子収率を30%としても約5%の太陽光エネルギー変換効率が期待できる。従って、可視光を効率的に吸収して水を水素と酸素に分解できる光触媒の開発が極めて重要な課題となっている。ところが、そのようなポテンシャルを有する材料の報告例は多くなく、実際にこれらを用いて可視光照射下において水を定常的に水素と酸素に分解する実証例は未だ極めて限定的である。



半導体にバンドギャップ以上のエネルギーを有する光子が吸収されると伝導帯に励起電子が生じ、価電子帯に正孔が生じる(図1(a))。ここで、水の分解が進行するためには、「伝導帯下端が水の還元電位よりも負」、「価電子帯上端が水の酸化電位よりも正」且つ「半導体が光照射下において安定(安定性)」の3つの条件が必要である。



これまで光触媒として広く用いられてきた金属酸化物系半導体は、安定性には優れるものの、酸素(O)の2p軌道が形成する価電子帯上端が水の還元電位より約3Vほど正となる。よって、バンドギャップが3.0eVよりも小さく可視光を吸収できる金属酸化物の殆どはその伝導帯下端が水の還元電位よりも正となり、水素生成能を有さない(図1(b))。



一方、構成元素として酸素以外に窒素(N)、硫黄(S)、ハロゲン(Cl,Br,I)を含む、(酸)窒化物系、(酸)硫化物系、(酸)ハロゲン化物系半導体は、これらに含まれるN3-,S2-,Xアニオンの電気陰性度がO2-アニオンの電気陰性度よりも低く、価電子帯上端が、対応する金属酸化物の価電子帯上端よりも負となる(図1(c))。そのため、バンドギャップが3.0eVより小さく可視光を吸収できるものであってもその伝導帯下端は水の還元電位より負となり、水素生成が可能なものが多く存在する。



しかしながら、これらの半導体を水分解用の光触媒として用いると、殆どの場合で、光吸収によって生成した正孔が、水ではなくこれらのN3-,S2-,Xアニオンを酸化してしまい、容易にその光触媒活性が失われることが知られている。そのため基本的に水の酸化(酸素生成)能力を有さず、これらの材料を用いて水を酸化するためには、(酸)窒化物系の表面を酸化コバルトや酸化イリジウムなどの助触媒微粒子で修飾する(非特許文献1,2)、シリカとチタニアの複合膜で被覆する(非特許文献3,4)等の特殊な表面処理が必須である。また、現状では可視光水分解(水素と酸素の同時生成)の実証例は(酸)窒化物のごく一部に限定されており、(酸)硫化物や(酸)ハロゲン化物を用いた実証例は皆無である。



以上のように、金属酸化物では酸素アニオンの形成する価電子帯の位置が深すぎて可視光吸収能と水の還元能力の両立が困難である一方、他のアニオンを導入すると可視光吸収能は得られるが水の酸化能力が欠如するという問題がある。よって、単一の半導体を光触媒として用いた可視光水分解の実証は困難であると考えられている。



近年になって、二種類の異なる光触媒をそれぞれ水素生成用と酸素生成用に使用し、両者間の電子伝達を酸化還元対(レドックス)を介して行う二段階励起型可視光水分解システム(図2)が開発され、様々な可視光応答型光触媒が適用可能となってきている。しかしながら、このシステムにおいても、酸素生成用光触媒は水の酸化に対する安定性と酸化還元対を還元するための適切な還元力との両方を有することが必要である。



このような状況下、ごく最近になって、例えばBiMOX(M=Nb,Ta;X=Cl,Br)等の組成式で表されるシレン-アウリビリアス層状酸ハロゲン化物が可視光を吸収できる小さなバンドギャップを有すること、更には可視光照射下において有機物の酸化分解に対する光触媒活性を示すことが報告されている(非特許文献5)。



有機物の酸化分解は自由エネルギー変化が負の自発的反応であり、水分解のような自由エネルギー変化が正のエネルギー蓄積型反応とは異なり非常に容易に進行する。また、半導体のバンドレベルへの必要条件が大きく異なり、特に酸化側の反応が四電子反応を伴う水の酸化とは異なり、有機物の酸化分解は主に一電子反応で進行するため、上記の安定性の問題を殆ど考慮する必要がなく、結果的に多種多様な光触媒でその進行が報告されている。但し、有機物分解に活性を示す光触媒が水の分解に活性を示す例は、その進行の困難さと安定性の必要性から極めて稀である。事実、シレン-アウリビリアス層状酸ハロゲン化物で水の分解が進行したという報告例は現在のところ皆無である。

産業上の利用分野


本発明は、シレン-アウリビリアス層状酸ハロゲン化物を光触媒として用いた可視光照射下での水分解方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記組成式(1)
(MX(M’1-yM’’) (1)
〔式中、M=Bi3+又はSb3+であり、X=Cl,Br又はIであり、M’=Nb5+であり、M’’=Ta5+であり、0≦y≦1である。)及び
下記組成式(2)
(MX(M’0.5M’’0.5) (2)
〔式中、M=Bi3+又はSb3+であり、X=Cl,Br又はIであり、M’=Ti4+又はZr4+であり、M’’=W6+又はMo6+である。〕
の少なくとも一種により示されるシレン-アウリビリアス層状酸ハロゲン化物を光触媒Aとして使用し、可視光照射により水を分解することを特徴とする水分解方法。

【請求項2】
水中に少なくとも前記光触媒Aが分散している分散系に対して可視光を照射する、請求項1に記載の水分解方法。

【請求項3】
前記光触媒Aに加えて、前記光触媒Aとは異なる光触媒B、及び酸化還元対を用いる、請求項1又は2に記載の水分解方法。

【請求項4】
前記光触媒Aは、酸素生成用光触媒である、請求項3に記載の水分解方法。

【請求項5】
前記酸化還元対は、三価の鉄イオン及び二価の鉄イオンである、請求項3又は4に記載の水分解方法。

【請求項6】
前記光触媒Aは、(BiCl(NbO),(BiBr(NbO),(BiCl(TaO),(BiBr(TaO)及び(BiCl(Ti0.50.5)からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1~5のいずれかに記載の水分解方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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