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ロボットと人間とが共生する環境下においては、当該環境に対するロボットの安全対策が重要になる。この安全対策として、ロボットが所望の動作を行っている最中に環境中の人間や物体に不意に衝突した場合に、当該衝突を緩和するコンプライアンス機能が必要になる。当該コンプライアンス機能としては、ロボットの可動部であるロボットアーム等に衝突時の衝撃緩和用のばね等の弾性要素を取り付けたものが一般的である。しかしながら、当該ばねを衝撃緩和用として用いる場合、例えば、衝突時にばねを弱めることでクッション性を高める等、ロボットの動作中にばねの弾性を調整する必要があり、このことがロボットアームの位置制御を難しくする一要因になる。また、ばね等の弾性要素は、ロボットの加速動作をスピーディーにしにくくするばかりか、ロボットの動作時における振動発生の要因にもなる。
ところで、特許文献1には、ロボットハンドが所定以上の大きさの外力で他の物体等に衝突した際に、当該物体等に作用する力を逃がす衝突トルク緩衝機構を備えたロボットが開示されている。この衝突トルク緩衝機構は、ロボットハンド側とロボットアーム側との間の接続部分に潤滑剤を充填し、当該潤滑剤の粘性によって、ロボットアーム側にある程度までの外力が作用してもロボットハンド側とロボットアーム側の連結状態を維持する一方で、それを超える外力が作用したときに、ロボットハンド側とロボットアーム側の相対回転を許容することで、衝突時に物体に作用する力を緩衝するようになっている。
前記特許文献1の衝突トルク緩衝機構において、ロボットハンド側とロボットアーム側の相対回転を許容するトルク値は、潤滑剤の粘性によって決まり、製品毎に一定値に設定される。ところが、昨今のロボットの様々な役割を考慮すると、前記トルク値を可変にすることにより、安全性を確保しつつ種々の動作を可能にするロボットが要請される。このため、本発明者らは、モータによって動作する入力部から、ロボットアーム側に繋がる出力部に伝達されるトルクを電気的に調整可能な電磁式の摩擦クラッチ等を用いたロボット制御システムを既に提案している(特許文献2参照)。
本発明は、入力側から出力側に伝達されるトルクや力の上限値となるリミット値を可変にする可変動力伝達装置を使用し、所定の条件下で出力側への動力の伝達制御を行う機械装置の動力伝達システムに関する。
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