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HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬の投与が有効ながん患者を選択するためのキットおよび方法

国内特許コード P180015742
整理番号 4903
掲載日 2018年12月20日
出願番号 特願2017-563804
出願日 平成29年1月26日(2017.1.26)
国際出願番号 JP2017002645
国際公開番号 WO2017131066
国際出願日 平成29年1月26日(2017.1.26)
国際公開日 平成29年8月3日(2017.8.3)
優先権データ
  • 特願2016-014465 (2016.1.28) JP
発明者
  • 武藤 学
  • 吉岡 正博
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬の投与が有効ながん患者を選択するためのキットおよび方法
発明の概要 本発明は、HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬の投与が有効ながん患者を選択するためのキットおよび方法を提供する。本発明のキットは、試料が流れる方向の上流から順に、試料を添加するサンプルパッド、第一の抗HER2タンパク質抗体が保持されたコンジュゲートパッド、第二の抗HER2タンパク質抗体および第一の抗HER2タンパク質抗体に結合する抗体が固相化された領域を有するメンブレン、吸収パッドが連結された構成を有し、第一の抗HER2タンパク質抗体および第二の抗HER2タンパク質抗体のいずれか一方に、HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬を用いたラテラルフローイムノアッセイ用テストストリップを含み、本発明の方法は、当該テストストリップを用いたラテラルフローイムノアッセイにより患者のがん組織中のHER2タンパク質を検出する工程を含む。
従来技術、競合技術の概要


HER2タンパク質はヒトがん遺伝子HER2/neu(c-erbB-2)の遺伝子産物で、HERファミリーとして知られる一連の上皮系増殖因子受容体タンパク質(HER1~4)の一つであり、細胞質側にチロシンキナーゼ活性領域を有する分子量約185000の膜貫通型タンパク質である。HER2タンパク質は、細胞表面に発現したHERファミリータンパク質とホモダイマーまたはヘテロダイマーを形成して、上皮系増殖因子の増殖シグナルを核に伝達する役割を担っている。これまでに、乳がん、胃がん、食道がん、大腸がん、胆管がん、胆嚢がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、膀胱がん、卵巣がん、子宮がん、唾液腺がんなどの一定の患者にHER2の過剰発現が確認されており、予後とHER2過剰発現の関連が研究されている。



HER2タンパク質を標的とする分子標的薬として、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(商品名「ハーセプチン(登録商標)」)が薬価収載されており、HER2過剰発現が確認された乳がん、および、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がんについての適用が承認されている。近年、分子標的薬の開発による治癒率の向上がもたらされる一方で、医療経済性も重視され、より適正な対象への使用が求められることから、トラスツズマブについても投与に先立って、その標的分子であるHER2タンパク質の過剰発現を確認する検査およびHER2遺伝子増幅を確認する検査が不可欠となっている。胃がんの場合、HER2タンパク過剰発現には免疫組織化学(IHC)、HER2遺伝子増幅にはin situ hybridization(ISH)法が使用されている(非特許文献1)。



非特許文献2には、胃がん61症例で、手術前の内視鏡下生検により得られた試料と手術により得られた試料とのHER2過剰発現検査結果の一致率が報告されている。これによれば、生検試料で陰性結果が得られた後に、手術により得られた試料で陽性結果が得られた症例が3例(4.9%)あった。この結果は、生検試料で偽陰性が発生することを示しており、これらの患者は本来トラスツズマブによる治療が有効であるにも関わらず、その後に手術試料で陽性の結果が得られない限りトラスツズマブによる標準治療が受けられないことを意味する。すなわち、現行の検査法は生検試料で正確な判断を行うには不十分であると言わざるを得ない。



このように、現行の生検試料を用いるHER2過剰発現検査(IHCおよびISH)では、数%程度の偽陰性が発生するため、トラスツズマブによる治療の恩恵に与るべき症例が見逃される可能性がある。また、IHCおよびISHのどちらも工程数が多く、手技が煩雑で、検査結果に影響を与える因子が複数存在し、施設や病理医師により結果が異なる場合がある。さらに、生検試料採取から検査結果が得られるまで数日から数週間を要し、迅速性に欠けるという問題もある。それゆえ、迅速、簡便かつ確実にHER2過剰発現患者を選択できる検査方法の確立が望まれている。

産業上の利用分野


本発明は、HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬の投与が有効ながん患者を選択するためのキットおよび方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬の投与が有効ながん患者を選択するためのキットであって、がん組織中のHER2タンパク質を検出するためのラテラルフローイムノアッセイ用テストストリップを含み、該テストストリップは、試料が流れる方向の上流から順に、試料を添加するサンプルパッド、第一の抗HER2タンパク質抗体が保持されたコンジュゲートパッド、第二の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域および第一の抗HER2タンパク質抗体に結合する抗体が固相化された領域を有するメンブレン、ならびに吸収パッドが連結された構成を有し、前記第一の抗HER2タンパク質抗体および第二の抗HER2タンパク質抗体のいずれか一方に、前記抗体医薬を用いることを特徴とするキット。

【請求項2】
前記抗体医薬が、トラスツズマブ、ペルツズマブおよびトラスツズマブ-エムタンシンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のキット。

【請求項3】
前記第一の抗HER2タンパク質抗体がコロイド微粒子で標識されていることを特徴とする請求項1または2に記載のキット。

【請求項4】
前記第一の抗HER2タンパク質抗体に前記抗体医薬を用いることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のキット。

【請求項5】
前記第二の抗HER2タンパク質抗体に前記抗体医薬を用いることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のキット。

【請求項6】
前記メンブレンが、第三の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域、または、第三の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域と第四の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域をさらに含み、前記第二の抗HER2タンパク質抗体、前記第三の抗HER2タンパク質抗体および前記第四の抗HER2タンパク質抗体はそれぞれ異なる前記抗体医薬であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のキット。

【請求項7】
被験者から採取されたがん組織から調製したタンパク質抽出液を試料とすることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のキット。

【請求項8】
前記がん組織が生検組織であることを特徴とする請求項7に記載のキット。

【請求項9】
前記がん組織が上部消化管のがん組織であることを特徴とする請求項7または8に記載のキット。

【請求項10】
HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬の投与が有効ながん患者を選択する方法であって、以下の工程(1)~(3)を含むことを特徴とする方法:
(1)被験者から採取されたがん組織から試料を調製する工程、
(2)前記HER2タンパク質を治療標的分子とする抗体医薬を用いたラテラルフローイムノアッセイにより前記試料中のHER2タンパク質を検出する工程、および
(3)前記ラテラルフローイムノアッセイで陽性を示した被験者を選択する工程。

【請求項11】
前記抗体医薬が、トラスツズマブ、ペルツズマブおよびトラスツズマブ-エムタンシンからなる群より選択されることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【請求項12】
前記工程(2)において、試料が流れる方向の上流から順に、試料を添加するサンプルパッド、第一の抗HER2タンパク質抗体が保持されたコンジュゲートパッド、第二の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域および第一の抗HER2タンパク質抗体に結合する抗体が固相化された領域を有するメンブレン、ならびに吸収パッドが連結された構成を有するラテラルフローイムノアッセイ用テストストリップを用い、前記第一の抗HER2タンパク質抗体および第二の抗HER2タンパク質抗体のいずれか一方に、前記抗体医薬を用いることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。

【請求項13】
前記第一の抗HER2タンパク質抗体がコロイド微粒子で標識されていることを特徴とする請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記第一の抗HER2タンパク質抗体に前記抗体医薬を用いることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。

【請求項15】
前記第二の抗HER2タンパク質抗体に前記抗体医薬を用いることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。

【請求項16】
前記メンブレンが、第三の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域、または、第三の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域と第四の抗HER2タンパク質抗体が固相化された領域をさらに含み、前記第二の抗HER2タンパク質抗体、前記第三の抗HER2タンパク質抗体および前記第四の抗HER2タンパク質抗体はそれぞれ異なる抗体医薬であることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。

【請求項17】
前記がん組織が生検組織であることを特徴とする請求項10~16のいずれかに記載の方法。

【請求項18】
前記がん組織が上部消化管のがん組織であることを特徴とする請求項10~17のいずれかに記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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