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診断装置、診断方法、診断プログラム UPDATE 新技術説明会

国内特許コード P180015752
整理番号 S2018-0681-N0
掲載日 2018年12月27日
出願番号 特願2018-158617
公開番号 特開2020-031714
出願日 平成30年8月27日(2018.8.27)
公開日 令和2年3月5日(2020.3.5)
発明者
  • 桑原 義彦
  • 藤井 公人
出願人
  • 国立大学法人静岡大学
  • 学校法人愛知医科大学
発明の名称 診断装置、診断方法、診断プログラム UPDATE 新技術説明会
発明の概要 【課題】計算コストを増大させずに多様な観測データを得ることができ、がん組織の分布を精度よく、逆問題として再現可能な診断装置等を提供する。
【解決手段】がん組織に固有な電気定数の情報を格納したデータ記憶装置14と、アンテナユニットA~A36の放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイと、アンテナユニットA~A36を選択してマイクロ波を対象部位に照射する送信手段11と、対象部位を透過等したマイクロ波を受信する受信手段12と、データ記憶装置14に格納されたデータと受信手段12が受信したアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成し、再構成された電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニット13を備えトモグラフィ処理を実行する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要

乳がんは女性のがんの中で最も罹患率が高く、年々増加の傾向にある。早期発見・治療が重要であることはいうまでもなく、従来のX線マンモグラフィ、超音波診断に代わる大人数を対象としたスクリーニング手段が必要であり、最近では、マイクロ波を用いたマンモグラフィの研究が活発に行われている。

本発明者は、既に、高分解能でアーチファクトの少ない広帯域ビームフォーミングアルゴリズムを適用したマルチスタティック超高帯域(UWB)レーダベースのマイクロ波マンモグラフィを提案した(特許文献1参照。)。特許文献1に記載されたマイクロ波マンモグラフィは、半球状の内壁面を有する容器、及び内壁面に沿って配置され、対象部位の電気的測定をする複数のアンテナを有するプローブアレイと、対象部位の全体をプローブアレイで覆い、内壁面に対象部位の皮膚を密着させ、対象部位とプローブアレイとの相対的位置を固定する固定手段と、複数のアンテナを制御して電気的測定を実行し、電気的測定によるデータを解析して、対象部位中の異常細胞を検出する測定制御解析手段とを備える。特許文献1に記載された発明は、臨床試験に適用され、直径1.2cmの初期がんや、X線マンモグラフィでは見分けが困難な直径1.5cmの非浸潤性乳がんのイメージングに成功している。

しかし、皮膚に近い病変からの反射応答は強く、反対側の応答は弱くなるのでUWBレーダでは病変の形を正確に再現することは困難である。一方、乳房には乳がんのほか、乳腺症、のう胞などの別の疾患があり、これを見分けて診断を確定できる診断装置が求められている。UWBレーダで病変の有無は検出できるが、その病変が何であるかを特定することはできない。

乳房組織の導電率(電気伝導度)等の電気的特性の不均一性を測定することにより、逆問題としてがんを検出する手法としてマイクロ波トモグラフィが提案されている。マイクロ波トモグラフィにおいては、異なる位置からマイクロ波が乳房に送信され、マイクロ波の散乱信号が乳房の周囲に配列されたアンテナによって収集される。がん細胞は、高い水分含有量を持っており、正常組織よりも強い散乱体であるため、悪性組織があるとマイクロ波の散乱信号に変化が生じる。マイクロ波により測定された電気信号は、含水量、温度や血管新生などの生理的パラメータに敏感であるので、撮像体としての乳房組織の電気定数分布に対応した病変の形が、逆問題を解析することにより、再現できると期待されている。

このマイクロ波トモグラフィで精緻な画像を、逆問題を解析して再構成するためには、多くの観察データが必要である。そのため、複数の周波数を使って観察データを増やす方法が提案されている。複数の周波数を使ったマイクロ波トモグラフィでも、実際の実測データと仮定した電気定数分布での逆問題解析に基づく理論値データの誤差を最小化することによって画像回復を行っている。

しかしながら、複数の周波数を使ったマイクロ波トモグラフィでは、複数の周波数を使うため、広帯域アンテナによって得られた観測データを、逆問題を解析することが必要になるが、現実の広帯域アンテナの製造技術上の誤差を考慮すれば、広帯域アンテナによって得られた観測データを精度良く計算器シミュレーションによって再現することは困難である。よって、従来のマイクロ波トモグラフィによる診断装置では、がん組織の分布を精度よく再現できないという問題があった。

そこで、本発明者は、既に、がん組織の分布を逆問題により精度よく回復できるマイクロ波マンモグラフィを提案した(特許文献2参照。)。特許文献2に記載されたマイクロ波マンモグラフィは、選択された特定のアンテナユニットからマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射し、且つ、対象部位を透過、対象部位から反射又は散乱されたマイクロ波を受信する、特定のアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットの配列からなるアンテナアレイと、特定のアンテナユニットから送信されるマイクロ波の偏波を制御して送信する送信手段、複数のアンテナユニットが受信するそれぞれのマイクロ波の偏波を制御して受信する受信手段を有し、送信手段から特定のアンテナユニットへの接続、複数のアンテナユニットから受信手段への接続及び偏波を切り替えて、偏波ダイバーシチを制御する偏波ダイバーシチ制御手段と、送信手段が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析し、再構成されたがん組織の分布を画像表示する画像処理ユニットとを備え、トモグラフィ処理を実行する。

上記特許文献2に記載の偏波ダイバーシチを実行する手法によれば、観測データを増やすことができ、多様な観測データが得られるので、がん組織の分布を逆問題により精度よく回復できる。しかしながら、偏波ダイバーシチを実行すると計算コストが増大する。

マイクロ波イメージングの基礎となる乳房組織の電気定数は、北米で大規模に調査した結果が公表されている(非特許文献1参照。)。しかし、各組織の電気定数の統計分布が示されているのみで、年齢や症例も勘案した電気定数のデータや比誘電率εrと導電率σの相互関係は示されていない。

産業上の利用分野

本発明はマイクロ波トモグラフィ処理を実行する診断装置、診断方法、診断プログラムに係り、特にがん組織の診断等に用いるのに好適な診断装置、この診断装置を用いた診断方法、この診断方法に採用される診断プログラムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
がん組織に固有な電気定数の情報を格納したデータ記憶装置と、
複数のアンテナユニットの配列からなり、前記複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイと、
前記複数のアンテナユニットのそれぞれを逐次選択して、該選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射する送信手段と、
前記対象部位を透過又は前記対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を前記選択されたアンテナユニットを含む前記複数のアンテナユニットでそれぞれ受信する受信手段と、
前記データ記憶装置に格納された前記情報と前記受信手段が受信した前記複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して前記がん組織の分布を再構成し、前記再構成された電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニットと、
を備え、トモグラフィ処理を実行することを特徴とする診断装置。

【請求項2】
前記データ記憶装置に、前記がん組織の誘電率と導電率の関係情報が格納され、
画像処理ユニットが、前記関係情報を用いて、前記誘電率及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。

【請求項3】
前記データ記憶装置に、前記がん組織の光学的誘電率と導電率の関係情報並びに緩和強度と導電率の関係情報が格納され、
画像処理ユニットが、前記光学的誘電率と前記導電率の前記関係情報並びに前記緩和強度と前記導電率の前記関係情報を用い、前記光学的誘電率、前記緩和強度及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。

【請求項4】
前記対象部位が乳房であり、デカルト座標上の前記がん組織の前記光学的誘電率と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の光学的誘電率と導電率の相関関係とは異なる位置に現れ、デカルト座標上の前記がん組織の前記緩和強度と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の緩和強度と導電率の相関関係とは異なる位置に現れることを特徴とする請求項3に記載の診断装置。

【請求項5】
前記導電率を横軸、前記光学的誘電率を縦軸とする前記デカルト座標で前記乳腺組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.4[S/m]以下の領域に現れ、前記がん組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.7[S/m]以上の領域に現れることを特徴とする請求項4に記載の診断装置。

【請求項6】
がん組織に固有な電気定数の情報を予備知識として取得し、データ記憶装置に格納するステップと、
複数のアンテナユニットの配列からなり、前記複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイのそれぞれを逐次選択して、該選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射するステップと、
前記対象部位を透過、前記対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を前記選択されたアンテナユニットを含む前記複数のアンテナユニットでそれぞれ受信するステップと、
前記データ記憶装置に格納された前記情報と前記受信手段が受信した前記複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して前記がん組織の分布を再構成するステップと、
を含み、トモグラフィ処理を実行することを特徴とする診断方法。

【請求項7】
前記予備知識として、前記がん組織の誘電率と導電率の関係情報をデータ記憶装置に格納し、
前記関係情報を用いて、前記誘電率及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項6に記載の診断方法。

【請求項8】
前記予備知識として、前記がん組織の光学的誘電率と導電率の関係情報並びに緩和強度と導電率の関係情報をデータ記憶装置に格納し、
画像処理ユニットが、前記光学的誘電率と前記導電率の前記関係情報並びに前記緩和強度と前記導電率の前記関係情報を用い、前記光学的誘電率、前記緩和強度及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項6に記載の診断方法。

【請求項9】
前記対象部位が乳房であり、デカルト座標上の前記がん組織の前記光学的誘電率と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の光学的誘電率と導電率の相関関係とは異なる位置に現れ、デカルト座標上の前記がん組織の前記緩和強度と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の緩和強度と導電率の相関関係とは異なる位置に現れることを特徴とする請求項8に記載の診断方法。

【請求項10】
前記導電率を横軸、前記光学的誘電率を縦軸とする前記デカルト座標で前記乳腺組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.4[S/m]以下の領域に現れ、前記がん組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.7[S/m]以上の領域に現れることを特徴とする請求項8に記載の診断方法。

【請求項11】
予備知識として事前に取得した、がん組織に固有な電気定数の情報をデータ記憶装置に格納させる命令と、
送信手段に対し、複数のアンテナユニットの配列からなり、前記複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイのそれぞれを逐次選択して、該選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射させる命令と、
受信手段に対し、前記対象部位を透過、前記対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を前記選択されたアンテナユニットを含む前記複数のアンテナユニットでそれぞれ受信させる命令と、
画像処理ユニットに、前記データ記憶装置に格納された前記情報を読み出させ、該読み出したデータと前記受信手段が受信した前記複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して前記がん組織の分布を再構成させる命令と、
を含む一連の命令によりコンピュータシステムを動作させ、トモグラフィ処理を実行することを特徴とする診断プログラム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
  • 4C127AA06
  • 4C127AA10
  • 4C127EE01
  • 4C127GG09
画像

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出願権利状態 公開
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