TOP > クイック検索 > 国内特許検索 > CD11bアンタゴニストを含む劇症型急性肺炎治療用組成物

CD11bアンタゴニストを含む劇症型急性肺炎治療用組成物 UPDATE

国内特許コード P190015757
整理番号 H29-034
掲載日 2019年1月8日
出願番号 特願2017-203850
公開番号 特開2018-070605
出願日 平成29年10月20日(2017.10.20)
公開日 平成30年5月10日(2018.5.10)
優先権データ
  • 特願2016-207067 (2016.10.21) JP
発明者
  • 長谷川 明洋
  • 荻野 英賢
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 CD11bアンタゴニストを含む劇症型急性肺炎治療用組成物 UPDATE
発明の概要 【課題】劇症型急性肺炎の予防及び/又は治療に有効な手段を提供すること。
【解決手段】CD11bアンタゴニスト、例えばCD11bを特異的に認識する抗体(抗CD11b抗体)を含む、劇症型急性肺炎を予防及び/又は治療するために使用される薬剤又は医薬組成物、CD11bアンタゴニスト、例えばCD11bを特異的に認識する抗体(抗CD11b抗体)を含む、肺胞内の好中球凝集抑制剤、CD11bアンタゴニスト、例えばCD11bを特異的に認識する抗体(抗CD11b抗体)を含む、肺の好中球浸潤抑制剤、並びに、CD11bアンタゴニスト、例えばCD11bを特異的に認識する抗体(抗CD11b抗体)を投与することを含む、劇症型急性肺炎を予防及び/又は治療する方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


劇症型急性肺炎は、急性呼吸促拍症候群(acute respiratory distress syndrome;以下、ARDSと略称することがある)と比較してより重篤な症状を示す呼吸促拍症候群をいう。急性肺炎は、一般的に、急激に症状が発生し、そして、症状が急速に悪化し、短い症状改善期間の後、急速に治癒するが、劇症型急性肺炎は、急激に症状が発生し、肺炎の進行が急激であり予後が不良、すなわち重症化しやすく死亡リスクも高い。



ARDSは、体内への何らかの侵襲が引き金となって発症する肺胞領域の非特異的炎症による非心原性肺水腫で、重篤な低酸素血症と肺コンプライアンスの低下が特徴である。また、激しい好中球浸潤と肺胞の広範な傷害(diffuse alveolar damage;DAD)を呈する病理像が特徴である。侵襲から発症までの期間は通常数日以内で、発症後の死亡率は40%を越えている。集中治療室等で人工呼吸を受けている患者の約20%に発症する等、臨床現場で大きな問題となっている疾患である。ARDSの発症にともない肺の毛細血管の内皮細胞や肺胞上皮細胞が傷害され、肺の浮腫や繊維化が誘導されて呼吸困難により死に至る。現在その治療は機械的人工換気の他、ステロイド剤や好中球エステラーゼ阻害薬等の薬物療法が試みられているが、有効な治療法となり得ていない。また、これまでの研究からARDSの発症には浸潤した活性化好中球が産生する脂質メディエーターやインターフェロン-γ(IFNγ)等のサイトカインが関与していること等が報告されているが、その詳細な発症メカニズムは明らかになっていない。



最近、鳥インフルエンザ(H7N9、H5N1等)のヒトへの感染と世界的な流行の兆候がみられ、30~60%に達する高い感染致死率を示しているが、主な死因はウイルスの増殖による直接的な影響よりも宿主側の過剰な免疫応答の結果として起こる劇症型のARDS(Fulminant ARDS;以下、FARDSと略称する)、すなわち劇症型急性肺炎であることがわかってきた。そのため、将来的なパンデミックに備えた治療法の確立が急務の課題となっている。



ARDS及びFARDSの識別は、吸入酸素濃度に対する動脈血中の酸素分圧の比率(P/F比)に基づいて行われる。健常人のP/F比は400~500程度である。P/F比が300以下である場合は急性肺損傷(acute lung injury;ALI)、200以下の場合はARDS、100以下である場合はFARDSと判定される。ALIは、敗血症、肺炎、外傷、誤嚥等の原因により引き起こされる急性・進行性の呼吸疾患であり、重症化するとARDSやFARDSに至る。



CD11b分子(以下、単にCD11bと称することがある)は、c型レクチンファミリー(c-type lectin family)に属するI型の膜貫通型糖結合タンパク質で、インテグリンαM鎖ともよばれる。CD11b分子は、CD18分子と複合体を形成してMac-1抗原を形成し細胞表面に発現している。また、CD11b分子は、単球/マクロファージ、好中球、NK細胞などに強く発現している。機能としては、補体やフィブリノーゲンとの結合や血管内皮細胞との接着に関与することが知られているが、炎症誘導における具体的な役割については不明な点が多い。



本発明者らはこれまでにCD69ノックアウトマウスを作製し、その解析を行って好中球上のCD69分子が関節炎の発症に重要であること(非特許文献1)、CD69ノックアウトマウスではアレルギー性喘息や腸炎が起きないこと(非特許文献2、3)等を明らかにしてきた。そして、CD69分子をターゲットとするアレルギー性喘息治療薬(特許文献1、2)、腸炎治療薬(特許文献3、4)、及び肝炎治療薬(特許文献3、5-7)を開示してきた。また、CD69ノックアウトマウスでは、ブレオマイシン気管内投与により誘導された肺の炎症及び線維化が野生マウスと比較して軽減されたことが報告されている(非特許文献4)。しかしながら、劇症型急性肺炎の発症や増悪におけるCD11bの役割は知られていない。

産業上の利用分野


本発明は、CD11bアンタゴニストを含む組成物であって、劇症型急性肺炎を予防及び/又は治療するために使用される薬剤又は医薬組成物に関する。また、本発明は、CD11bアンタゴニストを含む肺胞内の好中球凝集抑制剤に関する。さらに、本発明は、CD11bアンタゴニストを含む肺の好中球浸潤抑制剤に関する。加えて、本発明は、CD11bアンタゴニストを含む劇症型急性肺炎の予防剤及び/又は治療剤に関する。また、本発明は、CD11bアンタゴニストを投与することを含む劇症型急性肺炎の予防及び/又は治療方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
CD11bアンタゴニストを含む劇症型急性肺炎の予防及び/又は治療用医薬組成物。

【請求項2】
CD11bアンタゴニストがCD11bを特異的に認識する抗体である請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項3】
CD11bアンタゴニストを含む、肺胞内の好中球凝集抑制剤。

【請求項4】
CD11bアンタゴニストがCD11bを特異的に認識する抗体である請求項3に記載の肺胞内の好中球凝集抑制剤。

【請求項5】
CD11bアンタゴニストを含む、肺の好中球浸潤抑制剤。

【請求項6】
CD11bアンタゴニストがCD11bを特異的に認識する抗体である請求項5に記載の肺の好中球浸潤抑制剤。

【請求項7】
CD11bアンタゴニストを含む劇症型急性肺炎の予防剤及び/又は治療剤。

【請求項8】
CD11bを特異的に認識する抗体を含む劇症型急性肺炎の予防剤及び/又は治療剤。

【請求項9】
CD11bアンタゴニストを、劇症型急性肺炎の予防及び/又は治療が必要であると診断されている被験体に、該肺炎を予防及び/又は治療するのに効果的な量で投与することを含む、劇症型急性肺炎の予防及び/又は治療方法。

【請求項10】
CD11bアンタゴニストがCD11bを特異的に認識する抗体である請求項9に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close