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神経系血管バリアーの機能回復剤及び神経系疾患治療剤 UPDATE

国内特許コード P190015760
整理番号 H27-015
掲載日 2019年1月8日
出願番号 特願2017-547680
出願日 平成28年9月29日(2016.9.29)
国際出願番号 JP2016078775
国際公開番号 WO2017073232
国際出願日 平成28年9月29日(2016.9.29)
国際公開日 平成29年5月4日(2017.5.4)
優先権データ
  • 特願2015-212817 (2015.10.29) JP
発明者
  • 池田 栄二
  • 有馬 充
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 神経系血管バリアーの機能回復剤及び神経系疾患治療剤 UPDATE
発明の概要 本発明の課題は、低酸素状態のみならず様々な誘因による血管バリアー破綻に対して作用する神経系血管バリアーの破綻抑制剤及び神経系疾患治療剤を提供することである。解決手段として、(a)ベイシジン(basigin)遺伝子の発現を抑制する機能性核酸;(b)ベイシジンの生理活性を消失又は減退する機能性核酸;(c)上記(a)又は(b)の機能性核酸をコードするDNAを含む該機能性核酸発現ベクター;のいずれかを有効成分とする神経系血管バリアーの破綻抑制剤又は神経系疾患治療剤を調整する。神経系疾患としては、脳神経系疾患又は網膜神経系疾患が好ましい。
従来技術、競合技術の概要


成体の神経組織(脳、網膜、脊髄など)では、血液と神経組織の間に血管バリアー(血液脳関門、血液網膜関門など)が形成され、神経細胞が正常に機能できる至適組織微小環境が維持されており、組織特異的に分化した血管系が有するバリアー機能により他組織から区画化されている。成体神経組織の血管バリアー機能は個体発生過程において誘導されるが、いったん誘導された血管バリアー機能も常に一定の状態にあるわけではなく、成体は血管バリアー機能を増強したり減弱させたりすることにより、神経細胞が正常に機能するための至適微小環境を維持している。一方、虚血性脳疾患などの難治性神経系疾患においては、血管バリアー機能が破綻し組織微小環境の撹乱が生じることが、病態を悪化させる大きな要因として働いている。したがって、血管バリアー機能の調節因子は、それら難治性疾患の病態悪化を妨げるための新規治療法開発の標的となることが期待される。



神経系血管バリアー機能の本体は、血管の内皮細胞間に形成されるタイトジャンクション(tight junction:以下、TJ)網に依存することから、TJ構成分子を研究することが、血管バリアー調節機構の解明に向けた戦略の中心となっている。TJ構成分子としては、occludin、claudin(27メンバーからなるファミリーを形成)、junctional adhesion molecule A (JAM-A)などが特定されているが、生理的状態の神経系血管内皮細胞の細胞膜に発現・局在しているクローディン-5(claudin-5:claudin family membersの一つ)が血管バリアー機能に必須であることが報告されている(非特許文献1参照)。また、本発明者らは、1)難治性神経系疾患の血管内皮細胞の細胞膜からのクローディン-5の消失、2)血管バリアー機能の破綻、3)病態悪化、というカスケードを報告した(非特許文献2参照)。しかしながら、血管バリアー機能の制御機構については、いまだ多くが不明のままである。



神経系血管バリアーの破綻は、神経毒性分子の組織内侵入を許すとともに、血漿成分の浸出による組織浮腫を惹起する。浮腫が一定期間を超えて持続すると神経系組織に不可逆的な障害が加わる。現在の医療では、血管バリアー破綻による脳浮腫に対しては、グリセオールの静脈内投与により血漿膠質浸透圧を上げ、組織間質液を血管内に移動させる治療が主流となっている。副腎皮質ステロイド投与も浮腫に有効との考えもあるが、その浮腫軽減機構は明らかではなく、副作用も多く併発することから治療適応は狭い。



また、難治性神経疾患において血管バリアーを破綻させる種々の誘因が知られているが、本発明者らは、誘因として組織低酸素状態に焦点を当てた解析を行い、ADAM12及びADAM17を血管バリアー破綻の責任因子として特定し、それらを標的とした治療薬の有用性を示した(特許文献1、非特許文献3参照)。ADAM12及びADAM17を標的とした治療薬は、主として低酸素状態を誘因とした血管バリアー破綻に対して有用である。



一方、多くの神経系疾患における血管バリアー破綻には低酸素状態が誘因として働くものの、実際には、低酸素状態以外の種々の誘因が混在して血管バリアー破綻に関与している。そのため、ADAM12及び/又はADAM17を標的とした治療薬は神経系疾患の病態改善に寄与するが、血管バリアー破綻の抑制が完全ではない可能性が残る。そこで、低酸素状態のみならず様々な誘因による血管バリアー破綻に対して作用する神経系疾患治療薬が求められていた。



ところで、ベイシジンは細胞膜に局在するイムノグロブリンスーパーファミリーに属する糖タンパク質であり、EMMPRIN(extracellular matrix metalloproteinase inducer)、CD147(cluster of differentiation 147)、HT7、OX-47とも称されている。かかるベイシジンをターゲットとするsiRNAがMMP-9を減少させること、及び、ベイシジンをターゲットとする抗体が、肝細胞がんと共培養したヒト繊維芽細胞におけるMMP-2を増減させること(特許文献2参照)や、ベイシジン抗体が、がんや炎症性疾患の診断、治療に用いることができること(特許文献3、4参照)や、ベイシジン抗体が、血管新生に関与する悪性疾患の診断又は治療に用いることができること(特許文献5、6参照)が報告されているが、ベイシジンと血管バリアー破綻との関係は示されていない。

産業上の利用分野


本発明は低酸素状態のみならず様々な誘因による神経系血管バリアー破綻に対して作用する神経系血管バリアー破綻抑制剤及び神経系疾患治療剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)~(c)のいずれかを有効成分とする神経系血管バリアーの破綻抑制剤。
(a)ベイシジン(basigin)遺伝子の発現を抑制する機能性核酸;
(b)ベイシジンの活性を消失又は減退する機能性核酸;
(c)上記(a)又は(b)の機能性核酸をコードするDNAを含む該機能性核酸発現ベクター;

【請求項2】
ベイシジン遺伝子の発現を抑制する機能性核酸がsiRNAであることを特徴とする請求項1記載の神経系血管バリアー破綻抑制剤。

【請求項3】
ベイシジン遺伝子の発現を抑制する機能性核酸が、配列番号1に示すヌクレオチドのセンス鎖配列と配列番号2に示すその相補的なアンチセンス鎖配列から構成されるsiRNA、又は、配列番号3に示すヌクレオチドのセンス鎖配列と配列番号4に示すその相補的なアンチセンス鎖配列から構成されるsiRNAであることを特徴とする請求項2記載の神経系血管バリアー破綻抑制剤。

【請求項4】
以下の(a)~(c)のいずれかを有効成分とする神経系血管バリアーの破綻に起因する神経系疾患治療剤。
(a)ベイシジン(basigin)遺伝子の発現を抑制する機能性核酸;
(b)ベイシジンの活性を消失又は減退する機能性核酸;
(c)上記(a)又は(b)の機能性核酸をコードするDNAを含む該機能性核酸発現ベクター;

【請求項5】
神経系疾患が、脳神経系疾患又は網膜神経系疾患であることを特徴とする請求項4記載の神経系疾患治療剤。

【請求項6】
神経系疾患が、脳浮腫又は網膜浮腫であることを特徴とする請求項5記載の神経系疾患治療剤。

【請求項7】
ベイシジン遺伝子の発現を抑制する機能性核酸がsiRNAであることを特徴とする請求項4~6のいずれか記載の神経系疾患治療剤。

【請求項8】
ベイシジン遺伝子の発現を抑制する機能性核酸が、配列番号1に示すヌクレオチドのセンス鎖配列と配列番号2に示すその相補的なアンチセンス鎖配列から構成されるsiRNA、又は、配列番号3に示すヌクレオチドのセンス鎖配列と配列番号4に示すその相補的なアンチセンス鎖配列から構成されるsiRNAであることを特徴とする請求項7記載の神経系疾患治療剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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