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末梢血単核球又は末梢血単核球より分泌される因子を伴う線維芽細胞を含む細胞シート UPDATE

国内特許コード P190015764
整理番号 H26-050
掲載日 2019年1月8日
出願番号 特願2016-556612
出願日 平成27年10月28日(2015.10.28)
国際出願番号 JP2015080465
国際公開番号 WO2016068217
国際出願日 平成27年10月28日(2015.10.28)
国際公開日 平成28年5月6日(2016.5.6)
優先権データ
  • 特願2014-220865 (2014.10.29) JP
発明者
  • 濱野 公一
  • 細山 徹
  • 上野 耕司
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 末梢血単核球又は末梢血単核球より分泌される因子を伴う線維芽細胞を含む細胞シート UPDATE
発明の概要 本発明は、難治性皮膚潰瘍を治療する上で有効な細胞シート及び該細胞シートを製造する方法を提供する。特に、血液循環が十分ではない虚血性の潰瘍に対し、該細胞シートを移植することにより、人工真皮等にて誘発される様な免疫拒絶反応を生じることなく、該潰瘍部位の十分な治癒改善を実現する細胞シート及びその製造方法を提供する。
本発明は末梢血単核球と線維芽細胞を含む細胞シート及びトランスフォーミング増殖因子又は血小板由来増殖因子による刺激を受けた線維芽細胞を含む細胞シートである。該シートでは、血管新生に重要な働きを果たす血管成長因子の産生量が大幅に増加しており、該細胞シートを、糖尿病マウス背部に作製した皮膚潰瘍部位に移植したところ、線維芽細胞単独での細胞シートの移植に比して、有意な創傷部位の治癒率改善を実現した。更に、該発明に係る末梢血単核球及び線維芽細胞に、患者自身から取得した細胞を用いることにより、移植における免疫拒絶反応を抑制することができる。
従来技術、競合技術の概要


難治性皮膚潰瘍とは、皮膚にできた創(きず)において、正常であるなら治癒すべきものが、感染、血管障害、知覚障害といった異常な要因により、治り難い潰瘍状態になったもののことであり、例として、褥瘡、閉塞性動脈硬化症、糖尿病、静脈不全、膠原病、血管炎等が挙げられる。わが国には、多くの難治性皮膚潰瘍で苦しむ患者が存在し、年間の難治性皮膚潰瘍患者は130万人に上る。現在、該潰瘍に対する治療法としては、主にフィブラストスプレーや人工真皮が用いられている。



フィブラストスプレーは、創傷治癒に関連する一群の成長因子の一種であるFGF-2を精製して作られた薬剤であり、患部にスプレーするだけで治療することが出来る。しかしながら、該薬剤を使用する場合、病変部に最低限の血流があることが治療効果を得るために必要であるため、虚血性の潰瘍に対する治療効果は、必ずしも十分ではない、という問題点がある。



一方、人工真皮は、豚または牛由来のコラーゲンを原材料とするコラーゲンスポンジとシリコーンシートの二層構造からなる人工の真皮様構造体であり,皮膚欠損部分に使用することで,真皮再生の足場として機能することが知られている。しかしながら、該構造体は、患者によっては免疫拒絶反応が起こる可能性がある点、虚血性潰瘍では多くの場合、感染を伴っており、こうした病変部の血流が悪い状態では生着が悪く、感染部位での使用には適していない点、更に、価格が高価である点等により、実際に使用される頻度は極めて低い。



斯様に、既存の治療法では、虚血性潰瘍に対しては十分な改善が得られない症例や潰瘍治癒までに長期間を要する症例などが多く見受けられ、特に、人工真皮による治療法においては、免疫拒絶反応が生じるといった弊害もあり、これらの課題をクリアした効果的な治療法の確立が望まれている。



細胞移植療法は様々な疾患や組織損傷に対する有効な治療手段として注目されている。発明者らは、循環器疾患に対する骨髄細胞を用いた細胞移植療法を長年に渡り研究してきており、1999年には重症下肢虚血に対する自己骨髄細胞移植治療を世界に先駆けて実施している(非特許文献1)。その後、骨髄細胞では侵襲性が高すぎるため、該治療の低侵襲化の目的の為に、移植に用いる細胞種を骨髄細胞から、採血等により容易に入手可能な末梢血単核球に変更することに成功し、基礎実験においてその有効性を確認している。



しかし、単なる移植細胞の移植では、組織に対して生着率が必ずしも高くない、といった問題点が指摘されており、より高い移植による効果を得るために、近年、移植用の生物材料として、所望の細胞をシート状に培養した細胞シートの開発が進められている。細胞シートは、所望の細胞を大量に、損傷部位に定着させることができ、更には、レシピエント組織の特性に合わせて、適度に組織化させた細胞集団を移植することも可能とする、大変有用な治療用材料である。



該細胞シートは、様々な外科領域において、標的部位での細胞生着率を向上させる技術として研究され、例えば、心臓分野では梗塞心における高い生着性とそれに伴う心筋再生誘導の促進が報告されており(非特許文献2、3)、表皮や粘膜組織の再生への応用として、例えば「角膜再生上皮シート」や食道癌除去後の組織再生を目指す「食道再生上皮シート」などへの応用が考えられている(特許文献1)。



しかしながら、通常の培養細胞にかわり、細胞シートを難治性皮膚潰瘍の治療に用いることは従来、何ら報告されておらず、該疾患の治療法としての効果はこれまで不明である。特に血流の悪い状態にある虚血性潰瘍などの疾患治療に用いた場合、該潰瘍の十分な改善・治癒を実現するためには、移植細胞シートにより何らかの形で、該潰瘍部位での血流改善の誘導が必要であり、又、人工真皮による治療法において認められるような免疫拒絶反応の発生を回避することも重要な課題である。このように、細胞シートの移植については、これまで様々な報告はあるものの、該細胞シートの機能において、その移植用生物材料としての難治性皮膚潰瘍の治療に適した構成並びにその製造条件については、未だ十分に解明されるに至っていない。

産業上の利用分野


本発明は、末梢血単核球又は末梢血単核球より分泌される因子を伴う線維芽細胞を含む細胞シートおよび該細胞シートの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
トランスフォーミング増殖因子又は血小板由来増殖因子による刺激を受けた線維芽細胞を含む細胞シート。

【請求項2】
前記線維芽細胞が、治療を施す対象である、難治性皮膚潰瘍を患う個体から取得したものであることを特徴とする請求項2に記載の細胞シート。

【請求項3】
前記線維芽細胞の播種と同時に前記トランスフォーミング増殖因子又は前記血小板由来増殖因子による刺激開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞シート。

【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の細胞シートを含有する難治性皮膚潰瘍治療用移植材料。

【請求項5】
以下の(a)~(c)の工程を含む細胞シートを製造する方法。
(a)培養基材上で線維芽細胞を播種し、該細胞を含む細胞シートを形成させる工程、
(b)該細胞シートを、トランスフォーミング増殖因子又は血小板由来増殖因子により刺激する工程、
(c)該細胞シートを培養基材から剥離する工程

【請求項6】
前記(a)の工程と(b)の工程を同時に行うことを特徴とする請求項5に記載の細胞シートを製造する方法。

【請求項7】
前記工程(a)の前に、
(a0)治療を施す対象である、難治性皮膚潰瘍を患う個体より、線維芽細胞を取得する工程、
を含む、請求項5又は6に記載の細胞シートを製造する方法。

【請求項8】
末梢血単核球と線維芽細胞を含む細胞シート。

【請求項9】
前記末梢血単核球及び/又は前記線維芽細胞が、治療を施す対象である、難治性皮膚潰瘍を患う個体から取得したものであることを特徴とする請求項8に記載の細胞シート。

【請求項10】
末梢血単核球及び線維芽細胞を共培養することで製造される請求項8又は9に記載の細胞シート。

【請求項11】
末梢血単核球を5.0x10個/cm~1.5x10個/cmで播種し、線維芽細胞を1.0x10個/cm~1.5x10個/cmで播種することで、前記共培養を実施することを特徴とする請求項10に記載の細胞シート。

【請求項12】
前記共培養を、末梢血単核球と線維芽細胞とを同時に播種することで開始することを特徴とする請求項10又は11に記載の細胞シート。

【請求項13】
前記細胞シートを、低温及び低酸素条件にて、所定の期間培養することを特徴とする、請求項8乃至12のいずれかに記載の細胞シート。

【請求項14】
請求項8乃至13のいずれかに記載の細胞シートを含有する難治性皮膚潰瘍治療用移植材料。

【請求項15】
以下の(d)~(e)の工程を含む細胞シートを製造する方法。
(d)培養基材上で末梢血単核球と線維芽細胞を共培養し、該細胞を含むからなる細胞シートを形成させる工程、
(e)該細胞シートを培養基材から剥離する工程

【請求項16】
前記工程(d)の前に、
(d0)治療を施す対象である、難治性皮膚潰瘍を患う個体より、末梢血単核球及び/又は線維芽細胞を取得する工程、
を含む、請求項15に記載の細胞シートを製造する方法。

【請求項17】
前記工程(d)と(e)の間に、
(d2)工程(a)の細胞シートを、低温及び低酸素条件にて、所定の期間培養する工程、
を含む、請求項15又は16に記載の細胞シートを製造する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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