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多能性幹細胞から樹状分岐した集合管を伴う腎臓構造を作製する方法 NEW

国内特許コード P190015783
整理番号 (S2017-0656-N0)
掲載日 2019年1月23日
出願番号 特願2018-083304
公開番号 特開2018-183137
出願日 平成30年4月24日(2018.4.24)
公開日 平成30年11月22日(2018.11.22)
優先権データ
  • 特願2017-086533 (2017.4.25) JP
発明者
  • 西中村 隆一
  • 太口 敦博
出願人
  • 国立大学法人 熊本大学
発明の名称 多能性幹細胞から樹状分岐した集合管を伴う腎臓構造を作製する方法 NEW
発明の概要 【課題】本発明の目的は、in vitroにおいて多能性幹細胞から尿管芽細胞を作製する方法を提供することなどである。より具体的には、尿管芽細胞及びその前駆細胞であるWD前駆細胞様細胞の作製方法を提供することである。
【解決手段】工程A: C-X-Cケモカイン受容体4(Cxcr4)陽性かつKIT癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ(KIT)陽性細胞を得る工程を含む、ウォルフ管(WD)前駆細胞様細胞の作製方法及び、Cxcr4陽性かつKIT陽性であるWD前駆細胞を用いた尿管芽様細胞の作製方法、並びに該尿管芽様細胞を用いた腎臓オルガノイドの作製方法が提供された。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


腎臓は大きく分けて2つのグループ、3種類の前駆細胞と血管から形成される。3種類の前駆細胞とは、(1)腎臓の濾過を司る機能単位、ネフロンの元になる細胞である、ネフロン前駆細胞 (nephron progenitor)、(2)ネフロン前駆細胞の周囲に存在しその形成を補助する細胞である、間質前駆細胞(stromal progenitor)、(3)ネフロンで作製された尿を集め排泄する管になる細胞である、尿管芽細胞(ureteric bud)であり、これらのうち、(1)及び(2)は成り立ちが近いため、まとめて後腎間葉(metanephric mesenchyme)とも呼ばれる。



本発明者らは、これまでに多能性幹細胞から、腎臓の機能モジュールであるネフロンの前駆細胞、ネフロン組織を誘導することに世界で初めて成功し、報告している。
一方で、腎臓のもう一つの構成要素である排泄路のもとになる尿管芽細胞を誘導したという報告がある(非特許文献1及び2)が、ネフロン同士を互いに接続して集合管の樹状分岐構造が再現できたものはない。例えば、非特許文献2においては、尿管芽細胞及びネフロン前駆細胞を同時に誘導しているものの、該尿管芽は樹状分岐能を持たないものであった。
腎臓が働くためには、ネフロンで血液から濾過されて作られた尿が、一つの出口をもつ集合管に接続されていなければならず、多数のネフロンと接続した管が1ヵ所の出口を持つためには、1つの尿管芽と呼ばれる突起が先端で2分岐を繰り返して枝を増やす樹状分岐が再現される必要がある。また、胎児期相当の再生臓器には本来十分な大きさにまで育つための前駆細胞ニッチを維持することが必要であるが、これまで他の臓器を含めてこの前駆細胞ニッチを再現できているものは報告がない。

産業上の利用分野


本発明は、多能性幹細胞を用いたウォルフ管(WD)前駆細胞様細胞の作製方法及び尿管芽様細胞の作製方法、並びに腎臓構造の作製方法に関するものである。前記WD前駆細胞様細胞の作製方法は、C-X-Cケモカイン受容体4(Cxcr4)陽性かつKIT癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ(KIT)陽性細胞を得る工程を含む。

特許請求の範囲 【請求項1】
工程A: C-X-Cケモカイン受容体4(Cxcr4)陽性かつKIT癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ(KIT)陽性細胞を得る工程を含む、ウォルフ管(WD)前駆細胞様細胞の作製方法。

【請求項2】
前記Cxcr4陽性かつKIT陽性細胞を得る工程が、Cxcr4陽性かつKIT陽性細胞が、全細胞中の30%以上となる細胞の選別工程である請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記Cxcr4陽性かつKIT陽性細胞が、さらにPaired box(Pax)2、LIM homeobox(Lhx)1、empty spiracles homeobox(Emx)2、ret proto-oncogene(RET)及びhomeobox(HOX)B7からなる群から選ばれる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、さらに好ましくは全て、を発現する、請求項1に記載の方法。

【請求項4】
下記の工程B1、B2、C及びD:
工程B1 多能性幹細胞を、アクチビンA又は腫瘍増殖因子を含む培地中で培養する工程、
工程B2 工程B1により得られる細胞を、Wntアゴニストを含む培地中で培養する工程、
工程C 工程B2により得られる細胞を、(i) レチノイン酸又はレチノイン酸アナログ、(ii) 線維芽細胞成長因子及び(iii) TGFβシグナル経路阻害物質又はWntアゴニスト、を含む培地中で培養する工程、
工程D 工程Cにより得られる細胞を、(i) レチノイン酸又はレチノイン酸アナログ、(ii) Wntアゴニスト、及び(iii) 線維芽細胞成長因子を含む培地中で培養する工程、
(但し、各工程の成分は、同一物質であっても異なった物質であってもよい)
を更に含む、請求項1~3のいずれか一つに記載の方法。

【請求項5】
工程Aが、工程Dにより得られる細胞から、Cxcr4陽性かつKIT陽性細胞を選別することにより行われる、請求項4に記載の方法。

【請求項6】
多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、請求項4又は5に記載の方法。

【請求項7】
工程B1において用いる培地が、1 ~ 1000 ng/mLのアクチビンAを含み、工程B2において用いる培地が、1 ~ 1000μMのCHIR99021を含む、請求項3~6のいずれか一つに記載の方法。

【請求項8】
工程B2の培養時間が、1日~2日である、請求項3~7のいずれか一つに記載の方法。

【請求項9】
工程(E) C-X-Cケモカイン受容体4(Cxcr4)陽性かつKIT癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ(KIT)陽性のWD前駆細胞様細胞を、(i) レチノイン酸又はレチノイン酸アナログ、(ii) Wntアゴニスト、(iii) FGF9、及び(iv) ROCK阻害物質を含む培地中で培養する工程を含む、尿管芽様細胞の製造方法。

【請求項10】
さらに、
工程(F) 工程(E)により得られる細胞を、(i) レチノイン酸又はレチノイン酸アナログ、(ii) Wntアゴニスト、(iii) 線維芽細胞成長因子、(iv) ROCK阻害物質、及び(v) グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)又はGDNFアナログを含む培地中で培養する工程を含む、請求項9に記載の方法。

【請求項11】
さらに、
工程(G) 工程(F)により得られる細胞を、(i) レチノイン酸又はレチノイン酸アナログ、(ii) Wntアゴニスト、(iii) ROCK阻害物質、及び(iv) GDNF又はGDNFアナログを含む培地中で培養する工程を含む、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
C-X-Cケモカイン受容体4(Cxcr4)陽性かつKIT癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼ(KIT)陽性のWD前駆細胞様細胞から誘導した尿管芽様細胞を、ネフロン前駆細胞、及び胚性腎臓由来の Platelet Derived Growth Factor Receptor Alpha(Pdgfra)陽性間質細胞と共培養することを含む、腎臓オルガノイドの製造方法。

【請求項13】
WD前駆細胞様細胞が、請求項1~8のいずれか一つに記載の方法により製造されたWD前駆細胞様細胞である、請求項9~12のいずれか一つに記載の方法。

【請求項14】
尿管芽様細胞が、Hnf1b、E-Cadherin及びCALB1を発現する、請求項9~13のいずれか一つに記載の方法。

【請求項15】
アクチビンAを含む培地B1、
Wntアゴニストを含む培地B2、
RA、FGF9、及び、TGFβシグナル経路阻害物質又はWntアゴニストを含む培地C及び
RA、GSK-3β阻害物質及びFGF9を含む培地D
を含む、多能性幹細胞からのWD前駆細胞様細胞作製用キット。

【請求項16】
さらに、Cxcr4抗体及びKIT抗体を含む、請求項15に記載のキット。

国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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