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近年の高度情報化社会において、我々の生活を支える情報処理を担うデバイスは、増加の一途をたどっている。これらのデバイスによる消費電力の増加は社会的課題と認知されており、その解決に向けて様々な取り組みがなされている。そのような取り組みにより発展している分野の一つとして、スピントロニクスがあげられる。
スピントロニクスは、従来のエレクトロニクスに代わる情報処理技術である。エレクトロニクスでは、電子のもつ電荷によってビットを表現し、電流によって情報を伝達している。これに対してスピントロニクスでは、電子の持つスピンによってビットを表現し、スピン流によって情報を伝達している。スピントロニクスは、ジュール熱などの損失が少なく、エレクトロニクスに比較して消費電力が少ない情報処理が実現できると期待されており、すでに記憶素子での実用化がなされている。
この様な背景の中、スピントロニクスに適した材料開発も大きく進展してきた。スピントロニクスに利用される材料は、磁性体である。磁性体は、その内部の電子スピンがある方向に固定されており、自発磁化を発現している。この自発磁化の運動は、磁性体中を波として伝搬することが知られており、一般にスピン波あるいはマグノンと呼ばれる。このスピン波は、前述のスピン流の一種であり、スピントロニクスにおいて情報の伝達を担うことができる。電荷を一切利用せず、このスピン波だけによって情報処理及び伝達を実現する技術はマグノニクスと呼ばれ、このマグノニクスを利用したデバイスは、さらに電力消費の小さなデバイスとして期待されている。したがって、スピン波の性質を同定することが、スピントロニクスにおける材料開発において重要である。
物質中の波の性質は、分散関係によって特徴づけられる。分散関係とは、物質中における波の振動数と波数との関係である。分散関係を測定によって決定することが、波の性質の同定に他ならない。
スピン波の分散関係の測定方法として、中性子散乱が知られている。また、近年では、スピン波を、ポンプ・アンド・プローブ法によって直接観測する方法が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。ポンプ・アンド・プローブ法を利用することにより、スピン波を実空間でとらえることが可能である。また、スピン波の実空間での時間変化を測定する方法も開発されている(例えば、非特許文献1乃至3参照)。
本発明は、磁気光学測定方法および磁気光学測定装置に関する。
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