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磁気光学測定方法および磁気光学測定装置

国内特許コード P190015798
整理番号 (S2016-0279-N0)
掲載日 2019年1月24日
出願番号 特願2017-560070
出願日 平成28年12月12日(2016.12.12)
国際出願番号 JP2016086855
国際公開番号 WO2017119237
国際出願日 平成28年12月12日(2016.12.12)
国際公開日 平成29年7月13日(2017.7.13)
優先権データ
  • 特願2016-003038 (2016.1.8) JP
発明者
  • 橋本 佑介
  • 齊藤 英治
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 磁気光学測定方法および磁気光学測定装置
発明の概要 【課題】スピン波の空間情報を取得することができる磁気光学測定方法および磁気光学測定装置を提供する。
【解決手段】磁性を有する被測定物1に対し、ポンプ光照射手段11により、パルス光から成るポンプ光を照射する。被測定物1に対して、プローブ光照射手段12により、ポンプ光から所定の遅延時間だけ遅らせてプローブ光を照射する。第1偏光手段14により、被測定物1への照射前に、プローブ光を所定の角度で直線偏光する。第2偏光手段15により、プローブ光が被測定物1を通過した後の通過光を、所定の角度を含む範囲内で角度を変えながら直線偏光する。強度取得手段16により、第2偏光手段15で直線偏光した角度ごとに、通過光の強度分布を取得する。解析手段17により、第2偏光手段15による直線偏光の角度と、その角度ごとに取得された通過光の強度分布とに基づいて、ポンプ光による被測定物1の応答情報を取得する。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要

近年の高度情報化社会において、我々の生活を支える情報処理を担うデバイスは、増加の一途をたどっている。これらのデバイスによる消費電力の増加は社会的課題と認知されており、その解決に向けて様々な取り組みがなされている。そのような取り組みにより発展している分野の一つとして、スピントロニクスがあげられる。

スピントロニクスは、従来のエレクトロニクスに代わる情報処理技術である。エレクトロニクスでは、電子のもつ電荷によってビットを表現し、電流によって情報を伝達している。これに対してスピントロニクスでは、電子の持つスピンによってビットを表現し、スピン流によって情報を伝達している。スピントロニクスは、ジュール熱などの損失が少なく、エレクトロニクスに比較して消費電力が少ない情報処理が実現できると期待されており、すでに記憶素子での実用化がなされている。

この様な背景の中、スピントロニクスに適した材料開発も大きく進展してきた。スピントロニクスに利用される材料は、磁性体である。磁性体は、その内部の電子スピンがある方向に固定されており、自発磁化を発現している。この自発磁化の運動は、磁性体中を波として伝搬することが知られており、一般にスピン波あるいはマグノンと呼ばれる。このスピン波は、前述のスピン流の一種であり、スピントロニクスにおいて情報の伝達を担うことができる。電荷を一切利用せず、このスピン波だけによって情報処理及び伝達を実現する技術はマグノニクスと呼ばれ、このマグノニクスを利用したデバイスは、さらに電力消費の小さなデバイスとして期待されている。したがって、スピン波の性質を同定することが、スピントロニクスにおける材料開発において重要である。

物質中の波の性質は、分散関係によって特徴づけられる。分散関係とは、物質中における波の振動数と波数との関係である。分散関係を測定によって決定することが、波の性質の同定に他ならない。

スピン波の分散関係の測定方法として、中性子散乱が知られている。また、近年では、スピン波を、ポンプ・アンド・プローブ法によって直接観測する方法が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。ポンプ・アンド・プローブ法を利用することにより、スピン波を実空間でとらえることが可能である。また、スピン波の実空間での時間変化を測定する方法も開発されている(例えば、非特許文献1乃至3参照)。

産業上の利用分野

本発明は、磁気光学測定方法および磁気光学測定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
磁性を有する被測定物に対し、パルス光から成るポンプ光を照射するポンプ光照射工程と、
前記被測定物に対して、前記ポンプ光から所定の遅延時間だけ遅らせて、所定の角度で直線偏光されたプローブ光を照射するプローブ光照射工程と、
前記プローブ光が前記被測定物を通過した後の通過光を、前記所定の角度を含む範囲内で角度を変えながら直線偏光させる偏光工程と、
前記通過光を直線偏光した角度ごとに前記通過光の強度分布を取得する強度取得工程と、
前記通過光を直線偏光した角度と、その角度ごとの前記通過光の強度分布とに基づいて、前記ポンプ光による前記被測定物の応答情報を得る応答情報取得工程とを、
有することを特徴とする磁気光学測定方法。

【請求項2】
前記応答情報取得工程は、前記被測定物の応答情報として、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の空間情報を得ることを特徴とする請求項1記載の磁気光学測定方法。

【請求項3】
前記強度取得工程は、前記通過光の光軸に対して垂直な平面で、前記通過光の強度分布を取得し、
前記応答情報取得工程は、前記平面上の所定の位置(x,y)ごとに、前記通過光を偏光した各角度αと、各角度αに対応する前記通過光の強度Iとの関係を、二次関数でフィッティングすることにより、前記通過光の強度Iと、前記ポンプ光により前記被測定物で発生するファラデー効果による前記プローブ光の直線偏光の回転角θとを求め、この回転角θの前記平面上の分布から、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の空間情報を得ることを
特徴とする請求項1記載の磁気光学測定方法。

【請求項4】
前記強度取得工程は、前記通過光の光軸に対して垂直な平面で、前記通過光の強度分布を取得し、
前記応答情報取得工程は、前記平面上の所定の位置(x,y)ごとに、前記通過光を偏光した各角度α(i=1~N、Nは前記通過光を偏光した角度を変えたときの全ての測定回数)と、各角度αに対応する前記通過光の強度I(i)との関係を、
【数1】
(省略)
の関係式でフィッティングすることにより、前記通過光の強度Iと、前記ポンプ光により前記被測定物で発生するファラデー効果による前記プローブ光の直線偏光の回転角θとを求め、この回転角θの前記平面上の分布から、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の空間情報を得ることを
特徴とする請求項1記載の磁気光学測定方法。

【請求項5】
前記遅延時間を変化させながら各工程を繰り返す繰り返し工程と、
各遅延時間に対して前記応答情報取得工程で得られた前記被測定物の応答情報から、前記被測定物の応答の時空間情報を得る時空間情報取得工程とを、
有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項6】
前記遅延時間を変化させながら各工程を繰り返す繰り返し工程と、
各遅延時間に対して前記応答情報取得工程で得られた前記被測定物の空間情報から、前記被測定物の応答の時空間情報を得る時空間情報取得工程とを有し、
前記応答情報取得工程は、各遅延時間に対して、前記関係式の右辺の3×3行列の計算を1回行い、得られた3×3行列を全ての位置(x,y)でのフィッティングに共通して利用することにより、前記被測定物のスピン波の空間情報を得ることを
特徴とする請求項4記載の磁気光学測定方法。

【請求項7】
前記被測定物の応答の時空間情報をフーリエ変換することにより、前記被測定物の逆空間情報を得ることを特徴とする請求項5または6記載の磁気光学測定方法。

【請求項8】
前記偏光工程で前記通過光を直線偏光する各角度を、前記繰り返し工程の各遅延時間に対して同じにすることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項9】
前記被測定物の応答の時空間情報をフーリエ変換することにより、前記被測定物の逆空間情報として、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の分散関係を得ることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項10】
前記ポンプ光および前記プローブ光は、ピコ秒またはフェムト秒レーザーから成ることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項11】
前記ポンプ光は、その進行方向に対して垂直な断面でのスポット径が10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項12】
前記プローブ光は、その進行方向に対して垂直な断面でのスポット径が100μm~2mmであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項13】
前記偏光工程で、前記通過光を直線偏光する角度の範囲は、前記所定の角度-10°~前記所定の角度+10°の範囲であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項14】
前記強度取得工程は、前記通過光を受光して、前記通過光の強度分布画像を取得することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の磁気光学測定方法。

【請求項15】
磁性を有する被測定物に対し、パルス光から成るポンプ光を照射し、
前記被測定物に対してプローブ光を照射し、
前記プローブ光が前記被測定物を通過した後の通過光を測定することにより、前記ポンプ光による前記被測定物の応答の実空間情報を取得し、
前記実空間情報を逆空間情報にフーリエ変換することにより、前記被測定物の応答の分散関係を得ることを
特徴とする磁気光学測定方法。

【請求項16】
前記プローブ光は、所定の角度で直線偏光されており、前記被測定物に対して、前記ポンプ光から所定の遅延時間だけ遅らせて照射され、
前記通過光を、前記所定の角度を含む範囲内で角度を変えながら直線偏光させて、その直線偏光の角度ごとに前記通過光の強度分布を取得し、
前記通過光を直線偏光した角度と、その角度ごとの前記通過光の強度分布とに基づいて、前記実空間情報を取得し、
前記遅延時間を変化させながら前記プローブ光を照射し、各遅延時間に対して、前記通過光の直線偏光の角度ごとの前記通過光の強度分布を取得して前記実空間情報を取得し、
各遅延時間に対して得られた前記実空間情報をフーリエ変換することにより前記分散関係を得ることを
特徴とする請求項15記載の磁気光学測定方法。

【請求項17】
磁性を有する被測定物に対し、パルス光から成るポンプ光を照射可能に設けられたポンプ光照射手段と、
前記被測定物に対して、前記ポンプ光から所定の遅延時間だけ遅らせてプローブ光を照射可能に設けられたプローブ光照射手段と、
前記被測定物への照射前に、前記プローブ光を所定の角度で直線偏光可能に設けられた第1偏光手段と、
前記プローブ光が前記被測定物を通過した後の通過光を、前記所定の角度を含む範囲内で角度を変えながら直線偏光可能に設けられた第2偏光手段と、
前記第2偏光手段で直線偏光した角度ごとに、前記通過光の強度分布を取得可能に設けられた強度取得手段と、
前記第2偏光手段による直線偏光の角度と、その角度ごとに前記強度取得手段で取得された前記通過光の強度分布とに基づいて、前記ポンプ光による前記被測定物の応答情報を取得可能に設けられた解析手段とを、
有することを特徴とする磁気光学測定装置。

【請求項18】
前記解析手段は、前記被測定物の応答情報として、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の空間情報を取得可能であることを特徴とする請求項17記載の磁気光学測定装置。

【請求項19】
前記強度取得手段は、前記通過光の光軸に対して垂直な平面で、前記通過光の強度分布を取得可能に設けられ、
前記解析手段は、前記平面上の所定の位置(x,y)ごとに、前記通過光を偏光した各角度αと、各角度αに対応する前記通過光の強度Iとの関係を、二次関数でフィッティングすることにより、前記通過光の強度Iと、前記ポンプ光により前記被測定物で発生するファラデー効果による前記プローブ光の直線偏光の回転角θとを求め、この回転角θの前記平面上の分布から、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の空間情報を取得可能であることを
特徴とする請求項17記載の磁気光学測定装置。

【請求項20】
前記強度取得手段は、前記通過光の光軸に対して垂直な平面で、前記通過光の強度分布を取得可能に設けられ、
前記解析手段は、前記平面上の所定の位置(x,y)ごとに、前記通過光を偏光した各角度α(i=1~N、Nは前記通過光を偏光した角度を変えたときの全ての測定回数)と、各角度αに対応する前記通過光の強度I(i)との関係を、
【数2】
(省略)
の関係式でフィッティングすることにより、前記通過光の強度Iと、前記ポンプ光により前記被測定物で発生するファラデー効果による前記プローブ光の直線偏光の回転角θとを求め、この回転角θの前記平面上の分布から、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の空間情報を取得可能であることを
特徴とする請求項17記載の磁気光学測定装置。

【請求項21】
前記遅延時間を変化可能に設けられた遅延時間変更手段を有し、
前記強度取得手段は、各遅延時間ごと、および前記第2偏光手段で直線偏光した角度ごとに、前記通過光の強度分布を取得可能であり、
前記解析手段は、各遅延時間に対して前記被測定物の応答情報を取得して、前記被測定物の応答の時空間情報を取得可能であることを
特徴とする請求項17乃至20のいずれか1項に記載の磁気光学測定装置。

【請求項22】
前記遅延時間を変化可能に設けられた遅延時間変更手段を有し、
前記強度取得手段は、各遅延時間ごと、および前記第2偏光手段で直線偏光した角度ごとに、前記通過光の強度分布を取得可能であり、
前記解析手段は、各遅延時間に対して、前記関係式の右辺の3×3行列の計算を1回行い、得られた3×3行列を全ての位置(x,y)でのフィッティングに共通して利用することにより、前記被測定物のスピン波の空間情報を取得し、その各遅延時間の前記被測定物のスピン波の空間情報から、前記被測定物の応答の時空間情報を取得可能であることを
特徴とする請求項20記載の磁気光学測定装置。

【請求項23】
前記解析手段は、前記被測定物の応答の時空間情報をフーリエ変換することにより、前記被測定物の逆空間情報を取得可能であることを特徴とする請求項21または22記載の磁気光学測定方法。

【請求項24】
前記第2変更手段は、前記通過光を直線偏光する各角度を、各遅延時間に対して同じにするよう構成されていることを特徴とする請求項21乃至23のいずれか1項に記載の磁気光学測定装置。

【請求項25】
前記解析手段は、前記被測定物の応答の時空間情報をフーリエ変換することにより、前記被測定物の逆空間情報として、前記ポンプ光により励起された前記被測定物のスピン波の分散関係を取得可能であることを特徴とする請求項21乃至24のいずれか1項に記載の磁気光学測定装置。

【請求項26】
前記強度取得手段は、前記通過光を受光して、前記通過光の強度分布画像を取得可能に設けられていることを特徴とする請求項17乃至25のいずれか1項に記載の磁気光学測定装置。
国際特許分類(IPC)
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