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ヒト多能性幹細胞から視床下部ニューロンへの分化誘導 NEW コモンズ

国内特許コード P190015799
整理番号 (NU-646)
掲載日 2019年1月24日
出願番号 特願2017-562850
出願日 平成29年1月18日(2017.1.18)
国際出願番号 JP2017001544
国際公開番号 WO2017126551
国際出願日 平成29年1月18日(2017.1.18)
国際公開日 平成29年7月27日(2017.7.27)
優先権データ
  • 特願2016-010940 (2016.1.22) JP
発明者
  • 須賀 英隆
  • 小川 晃一郎
  • 笠井 貴敏
  • 有馬 寛
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 ヒト多能性幹細胞から視床下部ニューロンへの分化誘導 NEW コモンズ
発明の概要 ヒト多能性幹細胞から視床下部ニューロンへと効率よく分化誘導する方法を提供する。また、ヒト多能性幹細胞から視床下部組織と下垂体組織が一体化した細胞構造体を構築する方法を提供する。ヒト多能性幹細胞の凝集塊を、低濃度の骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質及び低濃度のShhシグナル経路作用物質を含む培地中で浮遊培養するステップと、当該ステップで得られた細胞凝集塊を、低濃度のShhシグナル経路作用物質を含む培地中で更に浮遊培養するステップを含む方法によって、視床下部組織を含む細胞構造体を得る。また、ヒト多能性幹細胞の凝集塊を、骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質及びShhシグナル経路作用物質を含む培地中で浮遊培養するステップと、当該ステップで形成された細胞凝集塊を、骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質及びShhシグナル経路作用物質を含む培地中で更に浮遊培養するステップと、当該ステップで得られた細胞凝集塊を、下垂体及び視床下部の同時誘導に適した培地中で浮遊培養するステップを含む方法によって、視床下部組織と下垂体組織を含む細胞構造体を得る。
従来技術、競合技術の概要


視床下部は、成長・思春期・代謝・ストレス対応・生殖・授乳保育・免疫など、ヒトの体の恒常性を保つための中枢である。特に最近は、糖尿病など生活習慣病の増加に伴う食欲コントロールへの関心が高まっているが、食欲中枢も視床下部に存在する。他にも、視床下部ホルモンの一つであるオキシトシンは、従来から言われてきた射乳・子宮収縮効果以外にも、信頼関係や愛情に関係するとの報告が増えてきており、ヒトの生活に深く関わるホルモンと判明してきた。



視床下部が異常を来すと正常なホルモン分泌が行われず、中枢性尿崩症等の疾患、摂食障害、睡眠障害などが引き起こされる。視床下部の異常によるホルモン分泌不全に対してはホルモン補充療法が行われている。しかし、ホルモン補充療法には限界があり、十分な効果が得られないことも多い。本来、ホルモンの分泌量は環境の変化に対応して調節される。このような生体が備える調節機構を、外部からの補充によって再現することは事実上、不可能といえる。



視床下部は脳の深部にあり、また小さな領域であることから、実際の組織を取り出して研究に用いることは困難であった。一方、ES細胞等の多能性幹細胞から視床下部ニューロンを作製することが試みられている。例えば、2008年にWatayaらは、SFEBq法を開発し、マウスES細胞から視床下部AVP産生細胞を分化誘導する手法を確立した(非特許文献1)。SFEBq法では血清や成長因子を含まないgfCDM培地を使用し、非接着性のプレート内で細胞を凝集させて3次元浮遊培養を行い、神経組織へと分化させる。2015年には、Merkleらが3次元浮遊培養及び2次元平面培養の2種類の方法を用い、ヒトES細胞及びiPS細胞から視床下部ニューロンの分化誘導に成功した(非特許文献2)。

産業上の利用分野


本発明はヒト多能性幹細胞を視床下部ニューロンへ分化する技術及びその応用に関する。本出願は、2016年1月22日に出願された日本国特許出願第2016-10940号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下のステップ(1)及び(2)を含む、視床下部組織を含む細胞構造体の製造方法:
(1)ヒト多能性幹細胞の凝集塊を、低濃度の骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質及び低濃度のShhシグナル経路作用物質を含む培地中で浮遊培養するステップ、
(2)ステップ(1)で得られた細胞凝集塊を、低濃度のShhシグナル経路作用物質を含む培地中で更に浮遊培養するステップ。

【請求項2】
ステップ(2)を高酸素分圧条件下で行う、請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
以下のステップ(3)を更に含む、請求項1又は2に記載の製造方法:
(3)ステップ(2)で得られた細胞凝集塊を回収し、細胞凝集塊を構成する細胞を分散培養するステップ。

【請求項4】
ステップ(3)を高酸素分圧条件下で行う、請求項3に記載の製造方法。

【請求項5】
ステップ(1)における前記骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質がBMP4であり、培地中のその濃度が0.1 nM~5.0 nMであり、
ステップ(1)及び(2)における前記Shhシグナル経路作用物質がSAGであり、培地中のその濃度が0.1μM~2.0μMであり、
前記ステップ(1)及び(2)によって背側視床下部組織への分化が誘導される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項6】
前記背側視床下部組織はバゾプレシンニューロン、オキシトシンニューロン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンニューロン、コルチコトロピン放出ホルモンニューロン及びニューロペプチドYニューロンからなる群より選択される一以上のニューロンを含む、請求項5に記載の製造方法。

【請求項7】
ステップ(1)における前記骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質がBMP4であり、培地中のその濃度が0.1 nM~3.0 nMであり、
ステップ(1)及び(2)における前記Shhシグナル経路作用物質がSAGであり、培地中のその濃度が0.1μM~2.0μMであり、
前記培地がAkt阻害剤を更に含み、
前記ステップ(1)及び(2)によって腹側視床下部組織への分化が誘導される、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項8】
前記腹側視床下部組織はアグーチ関連タンパク質ニューロン、プロオピオメラノコルチンニューロン、メラニン凝集ホルモンニューロン及びOrexinニューロンからなる群より選択される一以上のニューロンを含む、請求項7に記載の製造方法。

【請求項9】
前記浮遊培養をフィーダー細胞の非存在下で行う、請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項10】
ステップ(1)における前記凝集塊が、分散させたヒト多能性幹細胞の浮遊培養によって形成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項11】
前記浮遊培養を無血清凝集浮遊培養法で行う、請求項10に記載の製造方法。

【請求項12】
以下のステップ(i)~(iii)を含む、視床下部組織と下垂体組織を含む細胞構造体の製造方法:
(i)ヒト多能性幹細胞の凝集塊を、骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質及びShhシグナル経路作用物質を含む培地中で浮遊培養するステップ、
(ii)ステップ(i)で形成された細胞凝集塊を、骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質及びShhシグナル経路作用物質を含む培地中で更に浮遊培養するステップ、
(iii)ステップ(ii)で得られた細胞凝集塊を、下垂体及び視床下部の同時誘導に適した培地中で浮遊培養するステップ

【請求項13】
ステップ(ii)及び(iii)を高酸素分圧条件下で行う、請求項12に記載の製造方法。

【請求項14】
ステップ(ii)とステップ(iii)の間に以下のステップ(a)を行い、ステップ(iii)ではステップ(a)で得られた細胞凝集塊を浮遊培養する、請求項12又は13に記載の製造方法:
(a)ステップ(ii)で得られた細胞凝集塊を、Shhシグナル経路作用物質を含む培地中で更に浮遊培養するステップ。

【請求項15】
ステップ(a)を高酸素分圧条件下で行う、請求項12~14のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項16】
前記浮遊培養をフィーダー細胞の非存在下で行う、請求項12~15のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項17】
ステップ(i)における前記凝集塊が、分散させたヒト多能性幹細胞の浮遊培養によって形成される、請求項12~16のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項18】
骨形成因子シグナル伝達経路活性化物質がBMP4である、請求項12~17のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項19】
Shhシグナル経路作用物質がSAGである、請求項12~18のいずれか一項に記載の製造方法。

【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の製造方法で得られる細胞構造体。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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