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人工多能性幹細胞の腸管上皮細胞への分化誘導 NEW

国内特許コード P190015853
整理番号 (S2016-0443-N0)
掲載日 2019年2月22日
出願番号 特願2018-504455
出願日 平成29年3月3日(2017.3.3)
国際出願番号 JP2017008616
国際公開番号 WO2017154795
国際出願日 平成29年3月3日(2017.3.3)
国際公開日 平成29年9月14日(2017.9.14)
優先権データ
  • 特願2016-044088 (2016.3.8) JP
発明者
  • 岩尾 岳洋
  • 壁谷 知樹
  • 松永 民秀
出願人
  • 公立大学法人名古屋市立大学
発明の名称 人工多能性幹細胞の腸管上皮細胞への分化誘導 NEW
発明の概要 生体の腸管上皮細胞に近い機能を示す細胞を簡便に調製可能な新たな方法及びその用途を提供することを課題とする。(1)人工多能性幹細胞を内胚葉様細胞へと分化させる工程と、(2)工程(1)で得られた内胚葉様細胞を腸管幹細胞様細胞へと分化させる工程と、(3)工程(2)で得られた腸管幹細胞様細胞を腸管上皮細胞様細胞へと分化させる工程であって、MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下、且つcAMPが細胞へ供給される条件下での培養を含む工程によって、人工多能性幹細胞を腸管上皮細胞へ分化誘導する。
従来技術、競合技術の概要


小腸には多くの薬物代謝酵素や薬物トランスポーターが存在することから、肝臓と同様、薬物の初回通過効果に関わる臓器として非常に重要である。そのため、医薬品開発早期の段階から小腸における医薬品の膜透過性や代謝を評価することが、薬物動態特性に優れた医薬品の開発に必要である。現在、小腸のモデル系としてはヒト結腸癌由来のCaco-2細胞が多用されている。しかし、Caco-2細胞における薬物トランスポーターの発現パターンはヒト小腸とは異なる。また、Caco-2細胞には薬物代謝酵素の発現及び酵素誘導はほとんど認められないことから、正確に小腸での薬物動態を評価することは難しい。したがって、小腸における薬物代謝及び膜透過性を総合的に評価するためには初代小腸上皮細胞の利用が望ましいが、初代小腸上皮細胞の入手は困難である。



ところで、ヒト人工多能性幹(induced pluripotent stem:iPS)細胞は2007年に山中らによって樹立された。このヒトiPS細胞は、1998年にThomsonらによって樹立されたヒト胚性幹(embryonic stem:ES)細胞と同様な、多分化能とほぼ無限の増殖能をもつ細胞である。ヒトiPS細胞はヒトES細胞に比べ倫理的な問題が少なく、医薬品開発のための安定した細胞供給源として期待される。



尚、薬剤の吸収試験などに利用される腸管上皮細胞を提供するために、腸管由来の細胞から腸管の幹/前駆細胞を選択的に取得する方法が報告されている(特許文献1)。また、ALK5阻害因子を用いた多能性細胞の作製ないし維持方法が提案されている(特許文献2)。

産業上の利用分野


本発明は人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem:iPS)を腸管上皮細胞へ分化誘導する方法及びその用途に関する。本出願は、2016年3月8日に出願された日本国特許出願第2016-044088号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の工程(1)~(3)を含む、人工多能性幹細胞を腸管上皮細胞へ分化誘導する方法:
(1)人工多能性幹細胞を内胚葉様細胞へと分化させる工程;
(2)工程(1)で得られた内胚葉様細胞を腸管幹細胞様細胞へと分化させる工程;
(3)工程(2)で得られた腸管幹細胞様細胞を腸管上皮細胞様細胞へと分化させる工程であって、MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下、且つcAMPが細胞へ供給される条件下での培養を含む工程。

【請求項2】
工程(3)の前記培養の期間が7日間~40日間である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
工程(3)が、以下のA~Cのいずれかの培養工程を含む、請求項1に記載の方法、
培養工程A:(a-1)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下での培養と、該培養に続く、(a-2)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下、且つcAMPが細胞へ供給される条件下での培養を含む、
培養工程B:(b-1)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下、且つcAMPが細胞へ供給される条件下での培養と、該培養に続く、(b-2)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤、EGF及びcAMP分解酵素阻害剤の存在下での培養を含む、
培養工程C:(c-1)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下、且つcAMPが細胞へ供給される条件下での培養を含む。

【請求項4】
(a-1)の培養の期間は1日間~5日間であり、(a-2)の培養の期間は3日間~15日間であり、
(b-1)の培養の期間は3日間~15日間であり、(b-2)の培養の期間は3日間~15日間であり、
(c-1)の培養の期間は3日間~15日間である、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
(a-2)の培養、(b-1)の培養、及び(c-1)の培養が、MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFに加えてcAMP分解酵素阻害剤も存在する条件で行われる、請求項3又は4に記載の方法。

【請求項6】
培養工程Aが、(a-2)の培養に続く、(a-3)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下での培養を含み、
培養工程Bが、(b-2)の培養に続く、(b-3)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下での培養を含み、
培養工程Cが、(c-1)の培養に続く、(c-2)MEK1阻害剤、DNAメチル化阻害剤、TGFβ受容体阻害剤及びEGFの存在下での培養を含む、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。

【請求項7】
(a-3)の培養、(b-3)の培養、及び(c-2)の培養の期間は1日間~10日間である、請求項6に記載の方法。

【請求項8】
cAMPが細胞へ供給される条件が、培地中に8-Br-cAMPが存在することである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。

【請求項9】
cAMP分解酵素阻害剤がIBMXである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。

【請求項10】
MEK1阻害剤がPD98059であり、DNAメチル化阻害剤が5-アザ-2’-デオキシシチジンであり、TGFβ受容体阻害剤がA-83-01である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。

【請求項11】
工程(1)における分化誘導因子としてアクチビンAを用いる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。

【請求項12】
工程(2)における分化誘導因子としてFGF2を用いる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。

【請求項13】
人工多能性幹細胞がヒト人工多能性幹細胞である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。

【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法で得られた腸管上皮細胞様細胞。

【請求項15】
請求項14に記載の腸管上皮細胞様細胞を用いた、被検物質の体内動態又は毒性を評価する方法。

【請求項16】
前記体内動態が、代謝、吸収、排泄、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、又は薬物トランスポーターの誘導である、請求項15に記載の方法。

【請求項17】
以下の工程(i)~(iii)を含む、請求項15又は16に記載の方法:
(i)請求項14に記載の腸管上皮細胞様細胞で構成された細胞層を用意する工程;
(ii)前記細胞層に被検物質を接触させる工程;
(iii)前記細胞層を透過した被検物質を定量し、被検物質の吸収性ないし膜透過性、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、薬物トランスポーターの誘導、又は毒性を評価する工程。

【請求項18】
以下の工程(I)及び(II)を含む、請求項15又は16に記載の方法:
(I)請求項14に記載の腸管上皮細胞様細胞に被検物質を接触させる工程;
(II)被検物質の代謝若しくは吸収、薬物相互作用、薬物代謝酵素の誘導、薬物トランスポーターの誘導、又は毒性を測定・評価する工程。

【請求項19】
以下の工程(a)及び(b)を含む、被検物質の消化管粘膜障害作用を評価する方法:
(a)請求項14に記載の腸管上皮細胞様細胞に被検物質を接触させる工程;
(b)前記腸管上皮細胞様細胞におけるムチン2の発現を検出し、検出結果に基づき被検物質の消化管粘膜障害作用を判定する工程であって、ムチン2の発現低下が認められることが、被検物質が消化管粘膜障害作用を有することの指標となる工程。

【請求項20】
以下の工程(A)及び(B)を含む、被検物質の消化管粘膜保護作用を評価する方法:
(A)請求項14に記載の腸管上皮細胞様細胞に被検物質を接触させる工程;
(B)前記腸管上皮細胞様細胞におけるムチン2の発現を検出し、検出結果に基づき被検物質の消化管粘膜保護作用を判定する工程であって、前記物質によるムチン2の発現上昇が認められることが、被検物質が消化管粘膜保護作用を有することの指標となる工程。

【請求項21】
請求項14に記載の腸管上皮細胞様細胞を含む、細胞製剤。
国際特許分類(IPC)
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