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歯周炎治療薬 UPDATE

国内特許コード P190015863
整理番号 S2017-0765-N0
掲載日 2019年2月25日
出願番号 特願2017-101501
公開番号 特開2018-197196
出願日 平成29年5月23日(2017.5.23)
公開日 平成30年12月13日(2018.12.13)
発明者
  • 山口 洋子
  • 大島 光宏
  • 齋藤 朗
  • 長瀬 隆英
  • 堀江 真史
出願人
  • 学校法人日本大学
  • 国立大学法人 東京大学
発明の名称 歯周炎治療薬 UPDATE
発明の概要 【課題】歯周炎の原因細胞であるアグレッシブ線維芽細胞の治療薬の提供。
【解決手段】アグレッシブ線維芽細胞のmiRNAを解析した結果、hsa-miR-21-5p、hsa-miR-497-5p、hsa-miR-885-3p、hsa-miR-374b-5p、hsa-miR-365a-5pの発現が変化していることが明らかとなった。これらmiRNAの発現を調節するポリヌクレオチドを有効成分とする歯周炎の治療剤。前記miRNAの阻外剤でありhsa-miR-365a-5pの発現をミミックするmiRNAミミックである歯周炎治療剤。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


歯周病はう蝕とともに、歯の二大疾患である。歯周病は歯肉炎と歯周炎とに分けられるが、最終的な歯の喪失に至るのは、いわゆる歯槽膿漏といわれる歯周炎である。歯周病は世界で最も多い疾患であるともいわれ、我が国でも成人の約8割が罹患しているとされる。歯喪失の42%は歯周炎によると報告されており、歯喪失の重要な原因でもある。保持歯数は全身の健康状態とも密接に関連し、心疾患、メタボリック・シンドローム、糖尿病など様々な疾患と関連することが指摘されている。したがって、歯周炎の治療と予防は歯科分野だけではなく、医療全般の問題ともなる。



歯周炎の原因は、これまで歯肉炎同様、細菌感染であると考えられていたことから、現在の治療法としては、抗菌、抗炎症などの対症療法が主流である(例えば、特許文献1、2)。特許文献1には、歯周病の原因は嫌気性グラム陰性桿菌であると考え、嫌気性グラム陰性桿菌に対しては強い殺菌力を有しているが、正常歯垢細菌であるレンサ球菌群に対しては殺菌力が弱い殺菌薬が開示されている。特許文献2は、歯周病は歯周疾患性細菌が原因であり、細菌のリポ多糖(LPS)の刺激による炎症性サイトカインであるIL-1やIL-6の過剰産生による局所的な炎症によって引き起こされると考えている。特許文献2では、抗CD14抗体を有効成分とすることにより、歯周組織の炎症性の症状を緩和し、軽減することができる治療薬が開示されている。



これに対し本発明者らのグループは、歯周炎は細菌が原因である歯肉炎と異なり、細菌感染が直接の原因ではなく、患者の線維芽細胞に原因があると考えている。歯周炎は慢性的な炎症と、これに付随する細胞外マトリックスの再構成によって進行する。歯周炎は進行すると、主としてコラーゲンからなる歯と歯槽骨との結合組織性付着が喪失するアタッチメント・ロスが生じ、歯周ポケットが深くなり、やがて歯の喪失につながる。歯肉線維芽細胞は、種々の細胞の足場ともなる結合組織中の細胞外マトリックスを産生しており、細胞外マトリックスのターンオーバーに関与していると考えられる。したがって、歯と歯槽骨との結合組織性付着の喪失と歯肉線維芽細胞の正常な機能の喪失は深く関わっていると考えられる。



本発明者らは、歯周炎の研究の過程で、重度歯周炎患者の歯肉由来の線維芽細胞をコラーゲンゲル三次元細胞培養法によって培養を行うと、培地であるゲルのコラーゲンが分解され小さくなるということを見出した(非特許文献1、2)。本願発明者らは、コラーゲン分解能が極度に高い線維芽細胞を歯周炎関連線維芽細胞(periodontitis-associated fibroblast、PAF、あるいはアグレッシブ線維芽細胞ともいう。)と名付け、歯周炎の主因であると考えて研究を進めている。



現在までに50症例以上の歯周炎患者から、歯周炎関連線維芽細胞の単離を試み、すべての歯周炎患者歯肉から歯周炎関連線維芽細胞は単離できている。さらに、プラーク量が少なく、炎症の程度は軽いが、結合組織性付着の急速な消失が起こる疾患である侵襲性歯周炎罹患歯肉からは、コラーゲン分解能の非常に高い歯周炎関連線維芽細胞が分離できることが明らかとなった。



本発明者らは、歯周炎関連線維芽細胞はコラーゲン分解能が高いことから、歯と歯槽骨との間に存在するコラーゲンを主成分とする歯根膜を分解する原因となっていると考え、歯周炎の部位特異性についても、歯周炎関連線維芽細胞が存在することで説明できると考えている。



本発明者らのグループはすでに歯周炎関連線維芽細胞の分子生物学的な特徴を解析するために、歯周炎関連線維芽細胞(PAFs)についてFANTOM5においてCAGE法による解析を行った。その結果、歯周炎関連線維芽細胞では、歯肉線維芽細胞と比較していくつかの特徴的な遺伝子発現が見出されたが、特にDLX5及びRUNX2のバリアントの発現に変化が見られることを報告している(非特許文献3)。したがって、歯周炎関連線維芽細胞は、遺伝子発現が正常な組織由来の線維芽細胞とは異なるものであることは明らかである。本発明者らは、歯周炎関連線維芽細胞の分子学的な特徴を解析し、医薬を開発することができれば、歯周炎を根本的に治療する医薬を開発することができると考え、さらに歯周炎関連線維芽細胞のmiRNA発現の解析を行った。



今までに、コラーゲン分解能の高い歯周組織由来の細胞に着目してmiRNAを解析している文献はないが、歯周炎において、miRNA発現を解析している文献は見受けられる(特許文献3)。特許文献3には、hsa-miR-21、hsa-miR-374b、hsa-miR-885-5pを上方調節することによる歯周病治療薬が記載されている。

産業上の利用分野


本発明は、歯周炎治療薬、及び歯周炎予防薬に関する。特に、miRNAを有効成分とし、歯周炎の原因細胞に作用する歯周炎治療薬、予防薬に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
hsa-miR-21-5p、hsa-miR-497-5p、hsa-miR-885-3p、hsa-miR-374b-5p、及び/又はhsa-miR-365a-5pからなる群より選択される1つ以上のmiRNAの歯肉組織中の含有量を調節するポリヌクレオチドを有効成分とする歯周炎治療剤。

【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが、
hsa-miR-21-5p、hsa-miR-497-5p、hsa-miR-885-3p、hsa-miR-374b-5pのmiRNA阻害剤であり、
hsa-miR-365a-5pの発現をミミックするmiRNAミミックである請求項1記載の歯周炎治療剤。

【請求項3】
前記miRNA阻害剤がhsa-miR-21-5p、hsa-miR-497-5p、hsa-miR-885-3p、hsa-miR-374b-5pの配列と少なくとも90%以上相補的な配列を有するものであり、
前記miRNAミミックがhsa-miR-365a-5pのmiRNA、pre-miRNA、pri-miRNA配列と少なくとも90%以上相同性を有するものである請求項2記載の歯周炎治療剤。

【請求項4】
前記miRNA阻害剤が、miRNA阻害剤の5´末端におけるヌクレオチドのリン酸又はヒドロキシルに対する置換基を含む請求項2又は3記載の歯周炎治療剤。

【請求項5】
前記置換基が、ビオチン、アミン基、低級アルキルアミン基、アセチル基、2´O-Me、DMTO、フルオレセイン、チオール、またはアクリジンである請求項4記載の歯周炎治療剤。

【請求項6】
前記miRNA阻害剤のポリヌクレオチド配列が、 配列番号1(CAACATCAGTCTGATAAGCT)で示す配列である請求項2~5のいずれか1項記載の歯周炎治療剤。

【請求項7】
前記ポリヌクレオチドが遺伝子治療用ベクターに組み込まれたものであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項記載の歯周炎治療剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 公開
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