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エマルション流の発生消滅装置及びそれを用いた特定物質の製造方法

国内特許コード P190015968
整理番号 14138
掲載日 2019年4月19日
出願番号 特願2018-068878
公開番号 特開2018-099691
登録番号 特許第6483886号
出願日 平成30年3月30日(2018.3.30)
公開日 平成30年6月28日(2018.6.28)
登録日 平成31年2月22日(2019.2.22)
発明者
  • 長縄 弘親
  • 柳瀬 信之
  • 永野 哲志
出願人
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 エマルション流の発生消滅装置及びそれを用いた特定物質の製造方法
発明の概要 【課題】エマルションフロー法の持つ従来の課題を解決し、ポンプなどによる送液のみでエマルション流の発生と消滅を制御できる簡潔な構造の装置、及びその装置を用いた特定物質の製造方法を提供すること。
【解決手段】液相を微細液滴化するためのノズルヘッドと、ノズルヘッドによってエマルション流を発生させる混合部、混合部の側方に配置された重液相分離部、混合部と重液相分離部の両方にまたがって、それらの上方に配置された軽液相分離部、あるいは、前記混合部の側方で、かつ前記重液相分離部の上方に配置された軽液相分離部を備え、エマルション流が混合部から軽液相分離部を介して重液相分離部に向けて移動し、初めて重液相分離部内の重液相と接触する際に、エマルション流が消滅させられる構造を有する。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要

水相と有機相から成る2液相系は、液液抽出(溶媒抽出)による目的成分の分離・精製、製薬・食品・化学工業における化学合成での生成物の分別回収などに用いられ、様々な産業分野において重要な役割を果たしている。たとえば、液液抽出法は、金属の精製、廃水中の有害成分の除去、有価成分の回収・リサイクルなどに用いられている。


水相(多くの場合、重液相に対応)と有機相(多くの場合、軽液相に対応)を混合してエマルション化(乳濁化)するとき、一般に撹拌、振とうなどの機械力が用いられる。たとえば、剪断刃先端を持つシャフトの回転による機械的撹拌を行うホモジナイザーがよく知られている。一方、機械力によってエマルション化された水相と有機相は、乳化剤を含まない場合は、機械力を停止して静置すれば重力によって分離し、水相と有機相に分離する。また、重力分離を待たず迅速に分相したいときには、一般的に遠心力による遠心分離が行われる。


工業的に液液抽出を行うには、このような2液相の混合と分離を連続的に行う手法が必要である。現在、最も普及している工業的液液抽出の手法は、ミキサー部においてインペラー撹拌によって2液相を混合して発生させたエマルションを、セトラー部に導いて重力による2液相の分離を待つミキサーセトラー法である。また、分相に遠心力を用いて迅速処理を可能とする遠心抽出法も開発されたが、装置構造が複雑でコスト高になり、かつ、装置内に付着した固形成分の除去などで定期的なオーバーホールを要することから、ミキサーセトラー法のようには普及していない。


一方、最近開発されたエマルションフロー法は、撹拌、振とうなどの機械的外力を用いることなく、ポンプ送液のみで2液相を混合してエマルション化し、かつ、重力分離を待つことなく、かといって遠心力のような機械的外力を用いることもなく、ポンプによる定量送液を利用してエマルション化した2液相を迅速に分離することができる手法である(特許文献1乃至3)。また、装置構造は極めてシンプルで簡便に操作できる。たとえば、本願の図1に示す向流方式の装置は、有機相の微細液滴を下から噴出させて、上から導入した水相と向流接触させる仕組みを持つ。この装置は、中央の混合部(2液相がエマルション化する部位)と、その上下に位置する相分離部(分離後の両相が別々に集まる部位)から成る、極めてシンプルな構造の装置である。

産業上の利用分野

本発明は、撹拌、振動、遠心力などの機械的な外力を用いることなく、ポンプなどによる送液のみによって、エマルション流(水相と有機相が混合して乳濁した状態の流れ)の発生と消滅を行う装置、及びそれを用いた特定物質の製造方法に関するものである。


具体的には、水相、有機相の少なくとも一方を、ノズルヘッドで微細化した液滴として、もう一方の液相の中に噴出させることで、エマルション流を発生させ、同時に、エマルション流が通過する部位の断面積が急激に増加する容器構造を利用することで、重力による相分離を待つことなく、迅速にエマルション流を消滅させる装置、及びそれを用いて水相又は有機相内に含まれる特定物質を連続的に得るための製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
重液相又は軽液相を微細液滴化するための少なくとも1個のノズルヘッド、
内部に設置された前記少なくとも1個のノズルヘッドによって、前記重液相と前記軽液相の2液相が混合したエマルション流を発生させる混合部、
前記混合部の側方に配置された重液相分離部、及び
前記混合部と前記重液相分離部の両方にまたがって、それらの上方に配置された軽液相分離部、あるいは、前記混合部の側方で、かつ前記重液相分離部の上方に配置された軽液相分離部を備え、
2液相が分離した後の軽液相が集まる前記軽液相分離部と連通している前記混合部に設けられた開口部から流出したエマルション流が、前記重液相分離部の重液相と接触することなく、前記重液相分離部と前記軽液相分離部との間に設置された仕切り板の上を移動し、なおかつ、該仕切り板の端に位置する前記重液相分離部と前記軽液相分離部との間の開口部において前記重液相分離部内の重液相と初めて接触し、前記エマルション流が消滅するように構成されたエマルション流の発生消滅装置。

【請求項2】
重液相を軽液相内の上方から下方に向けて、もしくは下方から上方に向けて微細液滴化するため、上方もしくは下方に設けられた、少なくとも1個の第1のノズルヘッド、
軽液相を重液相内の下方から上方に向けて微細液滴化するため、前記第1のノズルヘッドの下方に設置された、少なくとも1個の第2のノズルヘッド、
内部に設置された前記第1及び第2のノズルヘッドによって、前記重液相と前記軽液相の2液相が混合したエマルション流を発生させる混合部、
前記混合部の側方に配置された重液相分離部、及び
前記混合部と前記重液相分離部の両方にまたがって、それらの上方に配置された軽液相分離部、あるいは、前記混合部の側方で、かつ前記重液相分離部の上方に配置された軽液相分離部を備え、
2液相が分離した後の軽液相が集まる前記軽液相分離部と連通している前記混合部に設けられた開口部から流出したエマルション流が、前記重液相分離部の重液相と接触することなく、前記重液相分離部と前記軽液相分離部との間に設置された第1の仕切り板の上を移動し、なおかつ、該第1の仕切り板の端に位置する前記重液相分離部と前記軽液相分離部との間の開口部において前記重液相分離部内の重液相と初めて接触し、前記エマルション流が消滅するように構成されたエマルション流の発生消滅装置。

【請求項3】
請求項2において、前記混合部の中で、エマルション流が常時通過する経路として前記混合部が前記軽液相と連通する側に配置した、前記軽液相を微細液滴化して上方に噴射させる第3のノズルヘッドと、前記第3のノズルヘッドの側と前記第2のノズルヘッドの側の間に設置された第2の仕切り板とを備え、前記第2の仕切り板の下端に設けられた開口を介して、前記第2のノズルヘッドの側で発生したエマルション流と前記第3のノズルヘッドの側で発生したエマルション流とが流体的に接続されていることを特徴とするエマルション流の発生消滅装置。

【請求項4】
請求項2または3において、前記重液相分離部が前記混合部の両側に設けられている容器の構造を持つことを特徴とするエマルション流の発生消滅装置。

【請求項5】
請求項2または3において、筒によって仕切られた前記混合部が前記容器の中央部に配置され、筒状の前記混合部の周囲に中空筒状に前記重液相分離部が配置されていることを特徴とするエマルション流の発生消滅装置。

【請求項6】
請求項2または3において、エマルション流が前記混合部から前記軽液相分離部の下部を通って移動する経路の先に、前記第1の仕切り板の端にて、前記重液相分離部と前記軽液相分離部との間の前記開口部を備えた張り出し部位であるところのトラップ部位を設け、該トラップ部位において前記重液相内の固形成分を連続的に捕集するようにしたことを特徴とするエマルション流の発生消滅装置。

【請求項7】
請求項2において、前記混合部の上部に設置された前記第1のノズルヘッドの最大径を前記混合部の直径に近づける、前記混合部の上部を突起物の設置により狭窄化する、あるいは、これらの両方によって、前記混合部の上部におけるエマルション流の消滅を促進することを特徴とするエマルション流の発生消滅装置。

【請求項8】
請求項6に記載のエマルション流の発生消滅装置の容器の中に前記軽液相と前記重液相を設置する第1の工程、
前記エマルション流の発生消滅装置に対して、特定の物質が含まれる重液相を供給する第2の工程、及び、
前記軽液相分離部に抽出された特定物質もしくは抽出されずに前記重液相分離部に残された特定物質、前記トラップ部位に捕集された固形成分としての特定物質、あるいは前記軽液相分離部に抽出された特定物質もしくは抽出されずに前記重液相分離部に残された特定物質と前記トラップ部位に捕集された特定物質の両方を回収する第3の工程、
から成る特定物質の製造方法。

【請求項9】
請求項8に記載の特定物質の製造方法において、前記エマルション流の発生消滅装置に対して供給される、特定の物質が含まれる重液相の比重が1.25から1.35の間の水溶液であるところの、特定物質の製造方法。

【請求項10】
請求項8に記載の特定物質の製造方法において、前記エマルション流の発生消滅装置内での、特定の物質が含まれる重液相の滞留時間が20分から60分の間であるところの、特定物質の製造方法。

【請求項11】
請求項8に記載の特定物質の製造方法において、前記エマルション流の発生消滅装置に対して供給される重液相内に懸濁した固形成分で、その蓄積によってエマルションの状態悪化を招く前記固形成分を、連続的に排除・回収しながら、前記重液相に含まれる特定の物質を前記軽液相に連続的に抽出する、もしくは前記重液相に残存させて連続的に回収するところの、特定物質の製造方法。

【請求項12】
請求項8に記載の特定物質の製造方法において、前記重液相に固形成分として含まれる特定の物質を前記トラップ部位に連続的に回収するところの、特定物質の製造方法。

【請求項13】
請求項8に記載の特定物質の製造方法において、前記重液相に固形成分として含まれる第1の特定物質を前記トラップ部位に連続的に回収すると同時に、前記重液相に溶存成分として含まれる第2の特定物質を前記軽液相に連続的に抽出する、もしくは前記重液相に残存させて連続的に回収するところの、特定物質の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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