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蛍光観察用フィルタ及び蛍光観察顕微鏡

国内特許コード P190015988
整理番号 S2017-0991-N0,S2018-0173-N0
掲載日 2019年4月25日
出願番号 特願2017-160638
公開番号 特開2019-039993
出願日 平成29年8月23日(2017.8.23)
公開日 平成31年3月14日(2019.3.14)
発明者
  • 笹川 清隆
  • 春田 牧人
  • 野田 俊彦
  • 徳田 崇
  • 太田 淳
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 蛍光観察用フィルタ及び蛍光観察顕微鏡
発明の概要 【課題】レンズレスの蛍光観察用フィルタと、それを用いた蛍光観察顕微鏡であって、自家蛍光成分が少なく、励起光成分を高い性能で除去でき、レンズレス光学系における空間分解能の低下を最小限とし、小型で可搬性に優れた蛍光観察用フィルタ及び蛍光観察顕微鏡を提供する。
【解決手段】観察試料に励起光を照射した際の蛍光をイメージセンサで観察するレンズレス蛍光イメージングにおける蛍光観察用フィルタであって、励起光波長の透過特性が互いに同じ干渉フィルタ2と吸収フィルタ3と、厚さ方向に延びる励起光波長の吸収体が分散配置された光入射角制限層4とを備える。蛍光観察用フィルタは、干渉フィルタ2と吸収フィルタ3が光入射角制限層4を介して積層される。干渉フィルタ2の直上に観察試料が配置され、吸収フィルタ3の真下にイメージセンサ5が配置される。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要


従来から、蛍光観察技術は、生体計測、細胞計測や化学分析など、生命科学や医療検査の分野において広く用いられている。生体観察や細胞観察の分野において、染色や遺伝子改変によって特定の部位のみに蛍光を発現させることによって、様々な現象の観察が可能になる。特に、化学分析において、抗原‐抗体反応や蛍光基質と酵素反応を組み合わせることによって、特定の分子の検出が可能であり、蛍光観察は、タンパク質やウィルス等を検出する用途に対して広く用いられている。



しかしながら、蛍光観察を行う蛍光観察顕微鏡は、レンズを用いた光学系の顕微鏡が、レンズを用いない顕微鏡と比較して、高い性能を発揮できるという点がある一方、大きなレンズを用いるために大型かつ高コストになるという問題がある。
これまで、高精度な蛍光観察技術が開発され実用化されているが、蛍光観察顕微鏡が大型かつ高コストであることが課題の1つとなっている。感染症の拡大防止を図るために、医療設備が整っていない環境であっても利用できるような小型かつ簡便な蛍光観察顕微鏡が求められている。



小型かつ簡便な蛍光観察顕微鏡として、光学系にレンズを用いないレンズレス光学系にした単純な構成とし、イメージセンサの直上に観察試料を配置する構成が知られている。その場合、図13に示すように、観察対象の細胞や抗体で修飾されたビーズなどの観察試料7をイメージセンサデバイス5の直上に配置し、その観察試料7の真上から励起光8を照射して、観察試料7の蛍光物質7aの蛍光を2次元イメージセンサ5aで捉える。2次元イメージセンサ5aと観察試料7の間には、励起光8を除去する励起光除去フィルタ1が設けられている。励起光除去フィルタ1は、観察試料7を透過する励起光を除去し、蛍光物質7aの蛍光を透過させて、2次元イメージセンサ5aにおける蛍光の感度を高めている。



上述の如く、レンズレス光学系の蛍光観察顕微鏡では、一般的な蛍光顕微鏡と同様に、励起光除去フィルタが用いられるが、この励起光除去フィルタとして、干渉フィルタのみを用いている場合が多い(例えば、非特許文献1を参照。)。また、適切な条件で干渉フィルタを用いた場合には、干渉フィルタは、励起光と蛍光の透過率比を約10以上にすることができる。
上記のように、干渉フィルタは、性能は高いものの角度依存性がある。図14に示すように、干渉フィルタ2のフィルタ面に対して、垂直に入射する励起光8aは、干渉フィルタ2を透過せず反射するが(8d)、入射角が傾くと励起光8bが干渉フィルタ2を透過してしまう(8e)。また、観察試料7により励起光8cが当たると一部は反射するが(8f)、一部は散乱され、入射角が傾くためにその散乱光9が干渉フィルタ2を透過してしまう。これらの励起光8cの散乱光9は、イメージセンサの感度を下げる要因となり、蛍光検出性能が低下することになる。レンズ光学系ではこの問題を回避可能であるが、レンズレス光学系では、ほとんどの場合、観察対象自体によって励起光が散乱され、干渉フィルタに斜めに入射することにより透過する光成分が現れるといった問題がある。



また、蛍光観察顕微鏡において、励起光除去フィルタとして、干渉フィルタではなく、吸収フィルタを用いることにより、散乱成分の透過を回避する技術も知られている(例えば、非特許文献2を参照。)。
しかしながら、吸収フィルタは、図15に示すように、吸収フィルタの構成物質により、吸収された励起光8のエネルギーの一部が自家蛍光10となり、その自家蛍光10が観察試料由来の蛍光と波長が重なり、イメージセンサにおいて区別ができず、観察試料由来の蛍光と一緒になって観察されることになる。この自家蛍光10は、イメージセンサの直上で発生すると無視できない蛍光強度になり、これがノイズとなりS/N比を低下させる。なお、自家蛍光10は、等方的に放射されるため、イメージセンサから離せる光学系であれば回避することができる。
このように、吸収フィルタは励起光のエネルギーを吸収するため、自家蛍光が発生することから、励起光は除去できるが、観察対象と同波長の蛍光が発生することで、蛍光観察性能が低下するという問題がある。



一方で、蛍光画像検出装置の検出能に係わる漏れ光を低減するために、蛍光側フィルタ部において、干渉フィルタと吸収フィルタを蛍光の進行方向に直列配置するレンズ光学系の装置が知られている(特許文献1を参照)。この装置に用いられる蛍光観察フィルタは、図16に示すように、励起側フィルタ11(Fex)と、蛍光側フィルタ部(Fem)の蛍光側多層膜干渉フィルタ12と吸収フィルタ13とから構成される。照射ユニット30から励起光が観察試料31に照射され、観察試料31の蛍光が結像レンズ32を介して2次元検出器38で検出される。
干渉フィルタ12と吸収フィルタ13は、蛍光の進行方向に直列配置され、蛍光に相当する波長帯域の光を十分に透過させながら、試料に照射される励起光に相当する波長帯域の光を遮光する。
しかしながら、干渉フィルタと吸収フィルタを蛍光の進行方向に直列配置する構成だけでは、十分な観察性能を得ることが困難であり、干渉フィルタ12と吸収フィルタ13を直列配置した蛍光側フィルタ部(Fem)の後に結像レンズ32を用いたレンズ光学系の構成とし、蛍光観察性能を高めている。

産業上の利用分野


本発明は、レンズを用いない蛍光観察用フィルタ、及び、レンズレス光学系の蛍光観察顕微鏡に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
観察試料に励起光を照射した際の蛍光をイメージセンサで観察するレンズレス蛍光イメージングにおける蛍光観察用フィルタであって、
励起光波長の透過特性が互いに同じ干渉フィルタ層と吸収フィルタ層と、厚さ方向に延びる励起光波長の吸収体が分散配置された光入射角制限層とを備え、
前記蛍光観察用フィルタは、前記干渉フィルタ層と前記吸収フィルタ層が前記光入射角制限層を介して積層され、
又は、
前記蛍光観察用フィルタは、前記干渉フィルタ層と前記吸収フィルタ層が積層され、前記光入射角制限層が前記干渉フィルタ層に積層され、
前記干渉フィルタ層もしくは前記光入射角制限層の直上に観察試料が配置され、前記吸収フィルタ層の真下にイメージセンサが配置されることを特徴とする蛍光観察用フィルタ。

【請求項2】
前記光入射角制限層の屈折率は、前記干渉フィルタ層の屈折率よりも小さく、
前記吸収体は、前記干渉フィルタ層と前記吸収フィルタ層との間のスペーサとして用いられることを特徴とする請求項1に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項3】
前記スペーサは、イメージセンサにおける画素センサ間の境界部に合せて設けられたことを特徴とする請求項2に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項4】
前記光入射角制限層は、空気層、真空層、ポーラス材質層の何れかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項5】
前記吸収体の配置間隔を小さくすることによって、前記光入射角制限層の厚さを小さくしたことを特徴とする請求項4に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項6】
前記励起光を短波長化すること、又は、前記干渉フィルタ層のカットオフ波長を長波長化すること、の少なくとも何れかによって、前記光入射角制限層の厚さを小さくしたことを特徴とする請求項4又は5に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項7】
前記光入射角制限層は、複数の光ファイバが束ねられて構成されたファイバオプティックプレートであり、前記吸収体は、各光ファイバの被覆材(クラッド)に含まれていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項8】
前記ファイバオプティックプレートの開口数が0.7より大きい場合に、前記蛍光観察用フィルタは、前記干渉フィルタ層と前記吸収フィルタ層が前記ファイバオプティックプレートを介して積層され、前記干渉フィルタ層の直上に観察試料が配置され、前記吸収フィルタ層の真下にイメージセンサが配置されることを特徴とする請求項7に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項9】
前記ファイバオプティックプレートの開口数が0.4より小さい場合に、前記蛍光観察用フィルタは、前記干渉フィルタ層と前記吸収フィルタ層が積層され、前記ファイバオプティックプレートが前記干渉フィルタ層に積層され、前記ファイバオプティックプレートの直上に観察試料が配置され、前記吸収フィルタ層の真下にイメージセンサが配置されることを特徴とする請求項7に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項10】
前記ファイバオプティックプレートの開口数が0.4以上0.7以下の場合に、
前記蛍光観察用フィルタは、前記干渉フィルタ層と前記吸収フィルタ層が前記ファイバオプティックプレートを介して積層され、前記干渉フィルタ層の直上に観察試料が配置され、前記吸収フィルタ層の真下にイメージセンサが配置される、
又は、
前記蛍光観察用フィルタは、前記干渉フィルタ層と前記吸収フィルタ層が積層され、前記ファイバオプティックプレートが前記干渉フィルタ層に積層され、前記ファイバオプティックプレートの直上に観察試料が配置され、前記吸収フィルタ層の真下にイメージセンサが配置される、ことを特徴とする請求項7に記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項11】
前記干渉フィルタ層は誘電体多層膜であり、前記吸収フィルタ層は色素添加膜であることを特徴とする請求項1~10の何れかに記載の蛍光観察用フィルタ。

【請求項12】
請求項1~11の何れかの蛍光観察用フィルタを用いた蛍光観察顕微鏡。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 公開
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