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イオウ原子を同位体標識したシステイン及びシステイン誘導体の合成法の確立

国内特許コード P190016010
整理番号 (S2016-0715-N0)
掲載日 2019年5月9日
出願番号 特願2018-514686
出願日 平成29年4月27日(2017.4.27)
国際出願番号 JP2017016654
国際公開番号 WO2017188355
国際出願日 平成29年4月27日(2017.4.27)
国際公開日 平成29年11月2日(2017.11.2)
優先権データ
  • 特願2016-090864 (2016.4.28) JP
発明者
  • 澤 智裕
  • 小野 勝彦
出願人
  • 国立大学法人熊本大学
発明の名称 イオウ原子を同位体標識したシステイン及びシステイン誘導体の合成法の確立
発明の概要 本発明は、イオウ原子を同位体標識したシステイン及びシステイン誘導体の合成方法に関する。本発明はまた、当該合成方法に使用するためのキットに関する。本発明により、イオウ原子を同位体標識したシステイン及びシステイン誘導体を簡便かつ効率よく合成することが可能になる。
従来技術、競合技術の概要

近年の質量分析技術の発展により、プロテオミクスやメタボロミクスなどの分析が盛んに行われている。質量分析による精密定量には安定同位体標識された化合物を内部標準として用いることが必要である。しかしながら、炭素原子や窒素原子の安定同位体は市販品が多種多様に存在する一方、イオウ原子の安定同位体は特注品を除きほとんど市販されていない。

イオウ原子を同位体標識したアミノ酸の合成方法としてこれまでに知られている手法は、有機化学合成又は生合成によるものであった。有機化学合成によってイオウ原子を同位体標識したアミノ酸を合成する場合は、多段階の煩雑な工程を経る必要があり(非特許文献1)、収率についても0.01%程度といった低いものであった。生合成による手法は、大腸菌等の微生物を、同位体標識されたイオウを含む基質を唯一のイオウ源として含む培地で培養し、当該微生物が産生したシステイン又はメチオニンを回収するという手法である(非特許文献2)。生合成による手法によって得られるイオウ原子が同位体標識されたシステインの収率は10%程度であり、十分に高い収率とはいえない。

産業上の利用分野

本発明は、イオウ原子を同位体標識したシステイン及びシステイン誘導体の合成方法に関する。本発明はまた、当該合成方法に使用するためのキットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
イオウ原子を同位体標識したシステインの合成方法であって、システインシンターゼ(EC:2.5.1.47)の存在下で、O-アセチル-L-セリン及びイオウ原子について同位体標識された基質を反応させる工程を含み、ここで当該イオウ原子について同位体標識された基質は硫化水素ナトリウム(NaHS)、硫化ナトリウム(NaS)、又は硫化水素(HS)であり、そしてここで当該イオウ原子の同位体標識は、安定同位体32S、安定同位体34S、放射性同位体33S及び放射性同位体35Sからなる群より選択される、前記方法。

【請求項2】
O-アセチル-L-セリンを、以下の工程:セリン-O-アセチルトランスフェラーゼ(EC:2.3.1.30)の存在下で、窒素および/または炭素原子について同位体標識されたセリンを反応させる;により得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
システインシンターゼが、システインシンターゼA(CysK)又はシステインシンターゼB(CysM)である、請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
システインシンターゼAが、サルモネラ属に属する微生物由来である、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
システインシンターゼが、ヒスチジンタグを含む組換えタンパク質である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
イオウ原子を同位体標識したシスチンの合成方法であって、請求項1又は2に記載の方法にしたがってイオウ原子を同位体標識したシステインを合成し、当該システインを酸化剤の存在下で酸化することによりシスチンを得る工程を含む、前記方法。

【請求項7】
酸化剤がヨウ素(I)である、請求項6に記載の方法。

【請求項8】
システイン誘導体の合成方法であって、
(i)システイン誘導体が、イオウ原子を同位体標識したスルホシステインであり、システインシンターゼの存在下で、O-アセチル-Lセリン及び亜硫酸ナトリウム(NaSO)を反応させる工程を含み、ここでイオウ原子は、安定同位体32S、安定同位体34S、放射性同位体33S及び放射性同位体35Sからなる群より選択される;
(ii)システイン誘導体が、イオウ原子を同位体標識したS-スルホシステインであり、システインシンターゼBの存在下で、O-アセチル-L-セリン及びチオ硫酸ナトリウム(Na)を反応させる工程を含み、ここでイオウ原子は、安定同位体32S、安定同位体34S、放射性同位体33S及び放射性同位体35Sからなる群より選択される;
(iii)システイン誘導体が、イオウ原子を同位体標識したシステインパースルフィドであり、システインシンターゼの存在下で、O-アセチル-L-セリン及び二硫化ナトリウム(Na)を反応させる工程を含み、ここでイオウ原子は、安定同位体32S、安定同位体34S、放射性同位体33S及び放射性同位体35Sからなる群より選択される;
(iv)システイン誘導体が、イオウ原子を同位体標識したシステインパースルフィドであり、(a)システインシンターゼの存在下で、O-アセチル-L-セリン及びイオウ原子について同位体標識された基質を反応させてイオウ原子を同位体標識したシステインを得る工程、ここで当該イオウ原子について同位体標識された基質は硫化水素ナトリウム(NaHS)、又は硫化ナトリウム(NaS)であり、そしてここで当該イオウ原子の同位体標識は、安定同位体32S、安定同位体34S、放射性同位体33S及び放射性同位体35Sからなる群より選択される、および(b)工程(a)で得たイオウ原子を同位体標識したシステインと、二硫化ナトリウムを反応させる工程、を含む;
または
(v)システイン誘導体が、セレノシステインであり、システインシンターゼの存在下で、O-アセチル-L-セリン及びセレン化ナトリウム(NaSe)を反応させる工程を含む;
前記方法。

【請求項9】
O-アセチル-L-セリンを、セリン-O-アセチルトランスフェラーゼ(EC:2.3.1.30)の存在下で、窒素および/または炭素原子について同位体標識されたセリンを反応させる;により得ることをさらに含む、請求項8に記載の方法。

【請求項10】
システインシンターゼが、システインシンターゼA(CysK)又はシステインシンターゼB(CysM)である、請求項8又は9に記載の方法。

【請求項11】
システインシンターゼAが、サルモネラ属に属する微生物由来である、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
システインシンターゼが、ヒスチジンタグを含む組換えタンパク質である、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。

【請求項13】
イオウ原子を同位体標識したシステインもしくはシスチン、またはシステイン誘導体を合成するためのキットであって、
システインシンターゼ;及び
イオウ原子について同位体標識された硫化水素ナトリウム(NaHS)、硫化ナトリウム(NaS)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、及び二硫化ナトリウム(Na)からなる群より選択される少なくとも一つのイオウを含む基質、ここで当該イオウ原子の同位体標識は、安定同位体32S、安定同位体34S、放射性同位体33S及び放射性同位体35Sからなる群より選択される、またはセレン化ナトリウム(NaSe);
を含む、前記キット。

【請求項14】
システイン誘導体の合成方法であって、
(i)システイン誘導体が、イオウ原子を同位体標識したシスチンポリスルフィドであり、(a)請求項1または2に記載の方法にしたがってイオウ原子を同位体標識したシステインを合成する工程、(b)工程(a)で得たイオウ原子を同位体標識したシステインを酸化剤と反応させる工程、および(c)さらに硫化ナトリウム(NaS)を添加して反応させる工程、を含む;または
(ii)システイン誘導体が、イオウ原子を同位体標識したN-アセチルシステインであり、(a)請求項1または2に記載の方法にしたがってイオウ原子を同位体標識したシステインを合成する工程、および(b)工程(a)で得たイオウ原子を同位体標識したシステインをアセチル化剤と反応させる工程、を含む;
前記方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 公開
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